『ドラゴン・イン・ナ・シティ』

segakiyui

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第1章 『竜は街に居る』

10.ドラマが始まる 「なんで君は笑ってられるの?」(2)

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「…舜」
「…大丈夫、だと…思う……」
 薄い布団の上で、舜が喘ぎながら答える。
 不動産屋からコンビニで弁当を買って部屋に戻り、お腹がいっぱいになったあたりで、どちらからともなく抱き合った。
 初めてだから無理かもしれないし、不安だったはず。
 けれど舜は、一度イっとけばマシかも知れないと真面目に応じて、吹き出しながらもそっと裸の舜の全身を、舐めて触ってキスして探って、何度か追い上げて吐き出させた。
「…っ、んん…っ」
 それでも、仰向けになった舜の片足を持ち上げて、指先を差し込むと、僅かに苦しそうに顔を歪めて唸る。
「まだ痛い?」
「…何かずっと……イってて…眠いような……ぼうっと…してて…」
 息を弾ませながら伝えてくれる舜の顔は、紅潮していて汗が滲んでいる。長い睫毛を瞬くと、溜息を一つついて目を閉じた。
「そのまま……ん、あっ」
「何?」
「そ…こ……っ」
「ここ?」
「…んっ」
 眉を寄せて頷く舜の教えたところをゆっくり擦る。ふ、ふ、と次第に息が上がってきて、居心地悪そうに腰を揺らせると、勃ってきたのを自分でも感じたのか、片腕をあげて顔を隠してしまった。
「舜」
「ん…ん」
「顔隠されるとわからないよ」
「んんっ……ふ…っ」
 本当はわかる。息が乱れるのを必死で堪えようとして、それでも時々びくりと大きくはねてしまうのが、本当に恥ずかしそうで可愛い。
「舜?」
「…だって…っ」
 は、と荒い息を吐いて、恨めしそうな目で禄を見た。
「あれだけ……イったのに…も……そこ、触られる、だけで」
「気持ちいい? イきそう?」
「禄……こういう…時の…性格…悪……ぅあああーっ」
 指先で擦りながら、硬くなったものを握って扱き出すと、舜は悲鳴を上げて仰け反った。増やした指が強く締め付けられる。ごくりと禄の喉が鳴り、思わず自由になる指先で触れた部分を引っ掻くと、ひ、と息を引いた舜が吹き上げて崩れる。
 瞬間、ふわりと緩んだ指を引き抜いたのは意識していなかった。無防備に口を開いた背後へ、我慢していた自分のものを押し当てる。ゴムを被っていたとはいえ、ずぶりと先端が一気に飲み込まれた。
「く、ふ…っ……ひ…っあ……」
 掠れた悲鳴がもう一度響く。広がった手が必死にシーツを掴む。
「あ……あ………あ……っ」
 声が押し出されるように溢れた。驚きに目を見張った舜と視線が合う。恐怖と痛みと困惑で霞んだ目が、奥へ進むに連れて閉じられていく。
「…し…んど……」
「まだ行ける?」
「…も……いっぱい……」
「…あー…舜…」
 舜も男だし、わかってるだろう。そんな台詞を聞かされて止まる男なんていないはず。
「ごめん…っ」
「は、あううっ」
 突き入れた瞬間、まるで真紅の水が体の内側に注がれたように、舜は見る見る桜色に染まった。苦しそうに開いた目から涙がぽろぽろ零れる。
「い…た……い」
「うん…」
「おか…しく……なる…」
「…うん……ああ、ごめん、ほんとごめん、舜」
 禄は震える。舜の中が気持ち良すぎて、悲鳴さえ煽られるだけだ。それでも、吹っ飛ばされそうになるのを耐えて、喘ぐ舜の唇にキスし、萎えてしまったものを優しく包んだ。
「や…あ…ああ…っ」
 片足を抱え上げられ、なお深く入られた舜が叫ぶ。萎えきったものを弄られ続けるのにもがく。
 ああ、こういうことなのか、蹂躙って。
 禄は自分も息を切らせながら、加熱した視界に思う。
 強く激しく拘束して相手の領分を犯しながら、同じ手で過敏で繊細な部分に執拗に触れ続けて感覚の逃げ場を無くす。
 こんなことをされて、自分を保てる者などいない。けれども、こんな風に自我を失わせなくては、とてもこれほど深くまで入り込めない。
 だからこそ、そうして、ようやく。
「っ、く、ふ…っう………ふ………っ」
 禄は駆け上がって注ぎ込み、ゆっくり息を吐いた。両手から力を抜き、舜から自分を引き抜いて、ふらつきながら舜の上に崩折れる。
「……禄…?」
「……ごめ……」
 謝りながら呟いた。
 わかったよ、舜。
 わかった。
 オウライカは臆病者だったんだ。
 大義名分を掲げることで人に関わることを避け、人と触れ合うことを避け、自分の嗜虐性を見ないふりして人に押し付けた。清廉潔白な形を保つことで、死ぬ時の未練を減らそうとした。
 本当は欲望に塗れ、殺意に溢れ、破壊衝動に満ちていた。
 そんな自分は受け入れ難かったから、竜に喰われるしかなかった。竜を制御するに及ばなかった。
 けれど世界は、オウライカに贄となることを望んでいなかった。竜を圧し、世界を基礎から組み上げ、生まれ変わらせることを要求していた。オウライカの中にある竜に気づき、見据え、受け入れて欲しいと望んでいた。
 カザルが、そのオウライカの弱点となった時、力への扉は開いた。
 『竜』は人の中に居る。
 ぼくの中にもまた、力を振るう渇望がある。
「……舜……竜が……居る…」
「禄…?」
 眠りに落ちながら、禄は呟く。

 ぼくは今日、被害者でいることを永遠に止める。
 世界に望みを解き放とう。
 そうして、新しい場所へ歩き出そう。
 舜、カザル、君の住む、この街で。
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