『桜の護王』

segakiyui

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1.花王紋

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「ふっ!」
 一瞬目の前の色に溺れそうになって、洋子は目覚めた。
(……ピンク一色……)
 体中が重だるく痺れている。もう一度目を閉じると寒気がした。風邪かと慌て、瞬きして眠気を払う。夕べは遅かったし、今日は看護研修の発表だし、とそこまで考え、
(発表!)
 とっさに跳ね起き、枕元の時計を見ようとして阻まれた。引き止めたものを振り返り、隣に寝ていた綾子の腕が体に巻きついているのに気づく。
「あやこぉ…ちょっと…」
 恋人を抱くような甘ったるい顔の相手に声をかけたが、病棟唯一の同期生は起きる気配もない。
「…か…し……」
 ぷっくりした唇が掠れた声で呼んだ。そのままぎゅううっと腕に力を込め、唇を突き出して洋子を引き寄せようとする。
「んー…」
「こらこらこらこら」
 洋子はじたばたもがいて体を捻った。
「こら、綾子、起きろ!」
 耳もとで怒鳴ってやったのに、ほあ、とか何とか呟いただけでやっぱり目が覚めない。それでも抵抗したせいかずるずると腕が緩み、何とか執拗な抱擁から抜け出した。
「…よかった、まだ時間ある」
 ようやく掴みあげた目覚ましを確認し、鳴りそうなアラームを止める。
 今日は二人でまとめた研究を院内研修会で発表する。
 もっとも、壇上に上るのは洋子だけ、綾子は舞台下で周囲の反応や発表の具合などをチェックすることになってるから、気楽と言えば気楽なのかもしれない。
「綾子、起きるよ」
「う…ん……」
「ねぼすけ」
 洋子は吐息をついて、部屋を出た。寝巻き代わりのジャージ上下のまま、さっさと共同の洗面所で歯磨きをすませようとして、首にある小さな赤いあざに気づく。
「あれ?」
 左の首筋、ほとんど肩に近い部分に、直径1センチぐらいの赤い斑点がある。
「何だ? 内出血…じゃない…蚊にしちゃ大きいし…ああ!」
 指先で触って舌打ちした。
「綾子…誰と勘違いしたんだ」
 わざわざ今日という日にこんなものをつけてくれなくってもいいだろうに、と眉をしかめる。
(もし、師長さんに見つかったら)
 大事な発表前日にデートですか、ずいぶんリラックスしてたんですね。
 倉敷のひんやり温度を下げた声が聞こえそうだ。
 (気づいてよかった)
 それでなくても看護師寮の中は妙な噂がすぐ回る。
 いくら、『発表前に大西さんと一緒に練習をしてて、遅くなったから彼女が私の部屋に泊まったら、夜中に寝ぼけてキスマークつけられたんです』などと説明しても、それこそ妙な疑いを煽るだけだろう。
 へたな相手に見つからぬように、洋子はそそくさとシャツをかきあわせ、部屋に戻った。
 綾子はまだぼうっとした顔で布団で寝そべっている。茶色のふわんとした猫っ毛が色の薄い目にかかってなかなかに可愛らしい。
 事実、綾子に言い寄って振られた相手は医療関係、患者に見舞客合わせ、洋子が知っているだけで20人はくだらない。
「あたし、日勤だから、もう出るね」
「んー…あたしは休み………夕方からだったよね…発表」
「そ。ほら、コーヒー、おいとく。鍵はここね。発表の後で返して」
「わかった…」
 組み立て式のテーブルに置かれたコーヒーに、綾子はようやく目が覚めてきたようだ。
「おお、いい天気!」
 洋子は窓のカーテンを開けた。ついでに籠った湿気を追い出すように窓を開け放とうとして手を止める。
 寮をぐるりと囲む真下の道路に、一人の男が立っている。
 朝の7時。
 出勤の早いサラリーマンなら不思議に思わないところだが、それがどう見ても22、3の大学生ぐらいに見える男だとちょっと警戒する。
 何せここは看護師女子寮、基本的には男子禁制だ。
 周囲を囲む道路はここと病棟、近くのマンションを結んでいるだけの閉鎖路で、しかもそのマンションも一人で住むには大きすぎるファミリータイプとくれば、相手がどこからやってきたのか気になる。
 ついでに言うなら、何を目的にやってきたのか、もだ。
 洋子は閉めた窓の内側から、ガラス越しにじっと男を見下ろした。
 髪は脱色もカラーリングもしていない。真っ黒で短い。形のいい耳がむき出しになっているが、ピアスの類はない。わずかにくせのかかった毛が首筋だけ少し長めだ。黒いと言えば、半袖Tシャツもストレートのジーパンもスニーカーも黒い。ちらほらと桜も咲こうかと言う春景色には不似合いなうっとうしい格好、背もけっこう高い。やや細身だが、肩幅は意外に広い。
 男に目を止めた理由は、もう一つあった。
 相手は繰り返し、4階建ての看護師寮を端から端まで眺めている。額が広くてくっきりとした眉、瞳は切れ長で鋭い気配、探るような視線で、何度も何度も寮の窓をなぞっている。
(誰かを…探してる……?)
 思った瞬間、まるで聞こえたように、男が突然こちらを見た。
「っ」
 正面から見ると圧巻だった。
 テレビや映画ではこういう美形を見たことはあるが、現実に出くわすとなると気を呑まれるものだと初めて知った。
 きれい、というより、端整、と言ったほうがいいのだろう。
 日焼けしていない肌、黒目がちの墨を落としたような瞳、通った鼻筋の下に薄く淡い色の唇。表情が乏しく、まるで能面と向き合っているような気がする。滑らか過ぎて何もかもが人形を思わせる無駄のなさ、触っても体温が感じられないかもしれない。
 息が止まる。
 自分の呼吸が全てを台無しにしてしまいそうで。
 その視線が洋子をまっすぐ貫いているようで。
 だが、男は洋子を見つけたわけではなかったらしい。すぐに再びするすると無表情な瞳を建物全てに巡らせていく。
 確かに下から見上げれば4階に位置する洋子の部屋は、窓から身を少し引いているだけで外から見えない。
(なんだ)
 見つけたわけじゃなかったのか。
「え?」
(見つけた、って。何?)
 わけのわからない自分の呟きに突っ込みながら、何度目かに戻ってくる男の視線を待ち受けて、再び離れていく黒い瞳を眺めている。動かない表情、驚きも失望もなく。けれど、ある一瞬、相手の瞳の中に、激しい炎のようなものが翻ったのにどきりとした。
 イナイ。
 そういう声が響いたような。
 イナイ…イナイ………ココニモ…イナイ。
 ふいにきゅ、と唇を噛んで、男は眉を寄せた。みるみる幼くなった顔が泣き出しそうに歪み、目もとに朱が滲む。微かに微かに、薄紅に染まる鼻のあたりが、ひどく柔らかい気配だ。人形がふいに人になった。滴りそうなほど頼りなげな感情、傷みを堪えるように俯く姿に、思わず窓を開け放つ。
 がらららら!
 はっとしたように男が振り仰ぐ。乱れた前髪の下で、見開いた目が朝日を跳ねて、きら、と黄金の光を弾いた。脅えた小さな子どもの顔。少し開いた唇が噛み切ってしまったのか紅の血を滲ませて、何かを言おうとするように震えるのさえはっきり見える。
(ああ、この顔は)
「…ふ」
 めまいがした。胸の奥から言いようのない濁ったものが沸き出して洪水のように体を浸す。ずき、とさっき見つけた赤い徴を中心に激しい痛みが首に走り、そのまま足元へ駆け落ちて、引きずられるように踞る。
 とっさに思わず首を手で強く覆った、それが誰にも見つからないように。
「洋子、どうしたの!」
 背後で綾子が慌てた声を上げる。
「…だい…じょうぶ」
 閉じた目を瞬く。ふう、と息をついた。
 一瞬だけのことだ。痛みはもうどこにもない。
 体勢を立て直し、それでも窓枠にすがって立ち上がる。
「…………あれ?」
 見下ろした道路に、もう男はいなかった。男がいたことさえ、幻覚だったとでも言うように、そこには影さえ残っていない。
 いや。
「あれ…?」
 視界の端に動いたものを追って、洋子は眉をひそめた。
 見た瞬間は真っ黒な毛糸玉のような子犬に見えた。なのに、瞬きした次には自分の背中を蹴り上げんばかりに走っていく、小さな男の子になっていた。
「あれ…?」
(男の子…?)
 小学生低学年ぐらい、けれどその背中にランドセルもないし、近くに親もいない。必死に駆けて行く男の子の前方、角をちらりと動いて曲がったのは、さっきの男の後ろ姿だろうか? 
 どこへ行くのか、何をしに。
「あれ、あれって何よ、もー」
 無意識に背伸びして男の子の駆けていく先を見ようとしていると、後ろで綾子のむくれた声が響き、ふいに口調を変えてまったりと呼びかけてきた。
「洋子ー」
「んー?」
「7時半まわったよー?」
「げ!」
 遅刻、とショッキングピンクの文字が頭を染めた。

 
「おはよう」
「お、おはようございますっ!」
 ぜえぜえ喘ぎながら、何とか時間ぎりぎりで病棟のナースステーションに転がり込んだ。
 全力疾走したせいで、体中が熱い。首元までしっかり上げていた看服のチャックをおろして、ぱたぱたと手で風を中に送り入れる。
「珍しいわね、葛城さんが遅れるの……最近は」
 電子カルテを準備していた嵯峨が笑う。
「うわあ、それ言わないでくださいよぉ」
 今日の勤務の相方、嵯峨良子は看護師歴7年のベテランだ。洋子が3年前に新人として入ってきた時には、1ヶ月間の初期研修の相手も勤めてくれた。
 今年3年目になった洋子にしてみれば、何もわからない、しかも何をやらかすかわからない新人と二人で夜勤を組む負担がよくわかる。
 よくあの時に嵯峨に組んでもらったものだ。
 何せ洋子ときたら、とにかく毎日走り回ってはいるものの勢いだけで空回りばかりして、緊張と疲労ですぐにへとへとになり、時に勤務時間に起きられず遅刻することさえあったのだから。
「今日は比較的穏やかみたいよ」
「そうですか、ラッキー。でも、嵯峨さんがいれば、何があっても大丈夫ですよ」
「おだてても何にもでないわよ」
「本当ですって」
 洋子は笑い返した。
 冗談ではなく、本当にそう思う。
 嵯峨の、一分の隙もなく、けれども決してぴりぴりした感じではない安心感のある微笑にいつも憧れる。もし『白衣の天使』などというものがこの世に実在するのなら、きっと嵯峨こそがそうだろう。
「申し送り始めます」
「お願いします」
 嵯峨が大輪の百合のような微笑みを残したまま、深夜勤務の看護師に向き直った。
 この病棟では、南側の病室担当がその日の勤務の責任者だ。担当患者の病態把握だけでなく、病棟管理も受け持つ。居室保全や物品管理、人員配置、見舞客や家族との対応、医師とのカンファレンスも。よって、南側はベテランが担当することが多い。
(よかった)
 今日みたいな緊張して落ち着かない日に、嵯峨がリーダーであることはありがたい。何があってもきっと絶対何とかしてくれる。
(ほんと、ラッキーだった)
 嵯峨が管理日誌の申し送りを受けようとしたときに、ナースステーションの電話が鳴った。半日勤務が受話器を取り上げ、ニ、三語やりとりして困った顔をこちらに向ける。
「あの……患者さんからお電話です」
 嵯峨が少し腰をあげる。嵯峨を慕ってか、退院後も電話をかけてくる患者はいる。
 だが、受話器を取った竪山は首を振って、視線を洋子に向けた。
「葛城さんに。送り中だと言ったんですが…どうしても、と」
「へ? 私?」
「冬木さんです、この間のおばあさんのことがどうとか」
「あ、奥さんのこと」
 冬木は1週間前にここを退院していった患者で、高齢の夫婦二人暮しだ。夫が入院している間、かいがいしく付き添いに来ていた妻が、退院後不眠を訴えて体調を崩した。
 冬木が相談に病棟へやってきたのが5日前、そのときたまたま日勤だった洋子が勤務の合間に話を聞いた。
 あれからどうなっただろう、どうしただろう。勤務に追われて確認することを忘れていた。
 洋子は嵯峨にすみません、と軽く会釈して席を立った。
『ああ。すまんね、おはよう』
「どうしたんです、冬木さん」
 電話の向こうで、この間とは打って変わった明るい声が響いた。
『いや、一言、御礼がいいたくてな。あんたの言ったとおりだった、あいつ、疲れとったんだなあ、昼間に一緒にちょっと散歩したり買い物いったりしとるとな、ようやくあんたが帰ってきたんだねえって言いやがって。うれしいよって泣きやがってなあ。あんとき、あんたが散歩だの買い物だのに付き合えって言ったときは、何をふざけてやがる、医者の一つも紹介してくれるのが筋だろうなんて言って……いや、すまんかった。あんたの言ったとおりだった、ほんとにあんたはたいした人だ』
「あ、あはは」
 洋子は微妙にひきつって笑った。
 付き添いの妻の緊張は傍から見ていてもきつかったし、退院してからは夫の管理を全て任されているという緊張で一層ぴりぴりしているのではないかと想像したのが、たまたま当たったに過ぎない。
『おかげで余分な金もかからなかった。御礼に行こうかと思ったが、それよりあんたに電話して……まあ、その、何だな、かかるはずだった医者代で、あいつと何かうまいもんでも食おうか、なんて………いや、まあ、そういうことだ、お、いかん、それじゃあな』
 照れくさそうな頑固老人の声はいきなりうろたえた。受話器の遠くで「お電話ですか」と柔らかな声が響くやいなや、「ああいや間違い電話だ間違い電話」と冬木が応じる声がして、放り投げるように電話は切れる。
「ふふん」
 洋子は思わずにやにやした。
 亭主関白を身上とする冬木は妻に自分が案じたことも、洋子に相談したことも知られたくないらしい。
「葛城さん」
「あ、すいません」
 嵯峨に少し咎めるような声をかけられて、慌てて席に戻る。
「冬木さんでした。お元気そうでした」
「そう……ならいいけど」
 嵯峨は何か言いたそうにこちらをじっと見た。つるんとした年齢を感じさせない卵型の顔、茶色がかった大きなきれいな目が洋子をとらえる。柔らかな光を宿すピンク色の唇が一瞬開いて、ためらった後にっこり笑った。
「次からは申し送り中は控えてもらわなくてはね」
「そうですね」
 洋子は苦笑いした。
 ほんとうにそうだ。いくら気になっていたからといって、こういうところがまだまだなんだ。
 待ち構えていた北側の申し送りを受けた後、嵯峨に南側の患者の容態を確認、注意事項の指示を受け、朝食の配膳が済んだ患者の病室へ巡回を始める。
 重傷者が多い南側に比べて、北側の患者は検査入院が多いので気は楽だったが、申し送られた中で、ここ数日食欲の落ちている高城なおこのことが引っ掛かった。
 高校3年、1ヶ月にもなる入院、原因がはっきりしない症状で検査が繰り返されている。受験のことも心配なはずだ。
「おっはよー」
「あ。おはようございまーす、今日、こっち葛城さん?」
 なおこは手つかずの朝食を横のテーブルに置いたまま、力なくベッドに座っている。洋子を見ると、それでも頑張った感じで笑顔を向けてきた。
「うん、よろしくー」
「よかったー、ちょっと、聞きたくて…」
「ん? 何?」
「あのね…」
 受験か医療方針か、それとも恋人との関係か。そんな頭で相手のさらさらボブを覗き込んだ洋子に、なおこは上目遣いに、
「ここって…出る?」
「は?」
 出る?
「何が?」
「だからさー、ここって出るのかなーって」
 曖昧にぼかした言い方にようやく気づいた。
「出るって…霊、とか?」
 うんうんと直子は頷いた。
「他の人に聞くと叱られそうじゃん? でもって、馬鹿なこと考えてないで寝なさいって言われるでしょ? でもさ、見えたりするとさー」
 はーっとなおこは溜息をついた。
「見えるの?」
「へへー、そこが好きだなー、葛城さん」
 なおこはにこりと笑った。
「そんなものいないとか、見えるはずないとか言わないもんね。葛城さんも見えるとか?」
「見えないよ、残念ながら。けど、見えるといいかもって思ったことはある。なんかいろいろ教えてくれそーだし?」
 聞きたいことは山ほどある。私の看護はどうでしたか? 少しはあなたを楽にできましたか? それとも追い詰めてばっかりのしんどい相手でしたか? 
 応えてくれるとは限らないだろうけど。
「葛城さんって。やっぱ変なやつー」
 なおこはくすくす笑ったが、生真面目な顔になって、
「あのねー、3日前ぐらいにさー。夜中に廊下をうろうろしてる黒づくめの男を見たんだよー。けど、山下さんも片桐さんも見てないって。ナースステーションの前を通ってないって。そんな余計なこと考えてないで寝ろって言われたけどさー、看護師さん、誰も気づいてないなら、なおヤバいでしょ? けど、そっからは見てないし。夢かなーとか思い出して、あたしもやっぱりこんなとこにいるから、ヤバくなってきたのかなーって思うとさー」
 なおこは、はああっと大仰な溜息をついた。
「それがまた美形だったりしたしさー、単にヤバいんじゃなくって、男が欲しいのかなんて思われたのかもって考えたりさー、実際そうなのかなーとか? 彼氏来てくれてないし」
「う~ん」
 洋子はうなった。
 彼氏が来ていたら、それはそれであんまり嬉しくないことに及びそうで心配だが、なおこの見舞客が入院当初より減ってきているのは確かだ。なおこが入院生活の孤独から幻覚を見た可能性もあるし、夢を現実と混同しているのかもしれない。
 だが、実際に看護師が紛れ込んだ人間を見逃した、という可能性もある。洋子だって病棟に出入りする人間を確実に把握しているかどうかとなると、こうやって病室に入り込んでいる場合もあり、難しいだろう。受付事務を通さずにするりと上がってくる見舞客も時にはいる。
「とりあえず、こっちも注意しとく。高城さんも、またその人を見るようなら教えて?」
「ん、わかった。……ふう………ちょっと気分ラクになったかな。パン、食べよかな」
「うん、そうしてみて。不安になったらいつでも話聞くから」
「ん、サンキュー」
 朝食のプレートに向き直るなおこに軽く手を振って、洋子は廊下に出て眉を寄せた。
「う~ん………」
 山下も片桐も5年以上の看護師経験がある。ただ、両方とも霊の話は拒否的だし、男がらみとなるともっと嫌がるタイプだ。綾子が若い研修医に人気があるのを常々疎ましがっているし、なおこのこともナースステーションの中では、わけのわからない最近の女のコ、で通しているのを洋子は知っている。訴えは真剣に聞かれていないかもしれない。
「うーむ」
「おはよう、どうしたの、難しい顔して」
「日高先生」
 廊下でうなっていると、声をかけられて顔を上げた。
 ひょろりとのっぽの細い体、その上でこれまた細面の顔が笑っている。
 とくん、と洋子の胸が温かな波に揺れた。
(優しい、日高先生)
 日高貴司、が本名だが、その外見から『かかし先生』の方がよく通っている。
 新人のころ、失敗ばかりしている洋子が傍目からはそう見えなくても落ち込んでいると、必ず「大丈夫、そのうち慣れるさ」と声をかけてくれた。そういう自分も研修医で、去年病棟を離れて1年、外の病院で経験を積み、今年の春に戻ってきたばかりだ。
 日高の父も医師で、日高病院と言えばけっこう知られた大きな病院だった。見初められれば玉の輿、そんな噂もさらりと流す人当たりのよさが評判だ。
「いえ、ちょっと」
 洋子は相手の柔らかな笑みにほっとして笑い返した。
「今日、発表だね」
「あ、そうだ。この間は、ありがとうございました」
 思い出して洋子は頭を下げた。発表の資料集めには日高からもいろいろと知恵を借りた。
「役に立ってよかったよ、大西もこの間そう言って、来てくれた」
 日高が機嫌よく応じて、洋子はどきんとした。
(綾子が?)
 日高の家は病院から数メートルのマンションにある。病棟での個人的な付き合いは厳禁だが、そこは建前、プライベートでは結構華やかな付き合いがあるとも聞いた。
 日高には、今回の発表でいろいろと相談に乗ってもらっていて、それだけで洋子はあれやこれやのストレスも消えてくれるような気がしていたけれど、綾子はもっと積極的だったのかもしれない。
「何だか悪かったな、ケーキもらったよ。手作りなんだって」
「ああ、はい」
 ふい、と部屋に残してきた綾子の寝ぼけた声を思い出した。「…か…し……」。あれはひょっとして、ひだかたかし、のたかし、の部分だったのだろうか。
(そうか…綾子も日高先生、好きなのか………)
 洋子は何だか気力が抜けてぼんやりとしてしまった。可愛くて明るい綾子。誰だって側にいて笑っていて欲しいと思うだろう。
「葛城さん?」
「そうなんです、綾子、じゃない、大西さん、お菓子つくるの、うまいから」
 呼び掛けられて慌てて返答する。
(何言ってんだか)
 呆れながら、ことばを継いだ。
「あたしもよくごちそうになるんです」
「甘いの苦手なんだけど、おいしかったからつい食べちゃったよ」
 日高が笑うのに、洋子も情けなく笑い返した。
(お菓子は……無理だなあ………)
 こういうところが彼氏はいないよね、と確かめられてしまう原因なのかもしれない。
 ちく、と不意に首が痛くなり、洋子は眉をしかめた。左の首筋、今朝赤くなっていたあざの部分だ。思わず手をあてた洋子に、日高が不審そうに覗き込んでくる。
「どうしたの?」
「えーと…虫に刺されたみたいなんですよね」
 まさか、綾子がどうやらあなたと間違えてキスマークつけたらしいです、とはさすがに病棟内で口に出せる話題ではない。
「ふうん? ……よっぽど、おいしかったのかな?」
「は、はは」
 他意はないのだろうけど、日高のことばは解釈によっては意味深だ。曖昧に笑って話を逸らせたとき、首の痛みより一層鋭い誰かの視線を感じた。本能的に振り返る。
「何?」
「え、いえ、あ、じゃあ、処置がありますんで」
「うん、夕方頑張ってね」
「ありがとうございます」
 頭を下げて日高の前を去りながら、振り返った瞬間の光景に戸惑っている自分を感じる。
 そこにいたのは嵯峨だった。 
 シミ一つない白衣の、目が痛くなるような清らかな立ち姿、なのにこちらを凝視していた瞳が揺らめく激しいものを満たしていた。押していた電子カルテのカートで握りしめられたこぶしが、異様に真っ白で。
(なぜ?)
 洋子はナースステーションに戻って今日の検査を確認しながら、ひたすら戸惑っていた。
(なぜ、嵯峨さんが私を睨んでる?)
 その目は明らかに憎しみをたたえていたのだ。
 

「それでは、次の発表者……出てきてください」
 おわわわあん。
 ひとしきり拍手が鳴って静まり返った会場に、マイクからの声がハウリングを起こした。
 日勤が終わった夕方から始まった研修会は順調に進んでいる。
 各病棟からプライドをかけて送りだされた発表者だけに、どの発表も充実したものだ。
 壇上で発表者として座っている洋子はゆっくりと目を開けた。
 大学付属の病院だけあって、こうした発表には大学内の教室が使われており、詰め掛けた満場の看護師に見つめられての発表は緊張する。
 けれど、こういう時こそ、自分が研ぎすまされていくのも洋子は知っている。 
 何度も経験したことがある、土壇場での居直りに似た落ち着きだ。
 それは緊急がなだれ込む病棟で鍛えられたということもあるが、予想もつかないアクシデントであればあるほど、常識や普通の手順で対処できない事態であればあるほど、自分の中の深いところで目に見えないスイッチが入る、そんな気がする。
 大切なのは、自分の感覚に集中することとその感覚を信頼すること、。
 直前まで頭を過っていた日高のことや、嵯峨の不可思議な瞳をゆっくりと意識の外へ追い出す。
(うん、いい感じ)
 集中力は削がれていない。
 だが、目を開けて洋子は気づいた。
 綾子が戻って来ていない。
 壇の下で、最前列に座っている倉敷や岡村が不機嫌そうにあたりを見回し、洋子に顔をしかめて見せる。どこに行ってるの、彼女。そう問う視線に、目立たないように首を振りながら、洋子はもう一度、正面奥の出入り口を見た。
(どうした? 綾子)
 気分が悪いから、と綾子が言い出したのは20分ほど前だった。緊張したのかな、と珍しく青い顔をしていた。
『トイレにいってくるね、大丈夫、すぐに戻るから』
 そう言って会場から姿を消したまま、一向に綾子は姿を見せない。
「第一病棟、いないんですか!」
「あ、はい!」
 厳しく呼ばれ、とっさに答えてしまって、洋子は首を竦めた。いるのにどうして出てこないの、といいたげに司会者が洋子を睨みつける。
 急いで倉敷師長の顔を見ると、不愉快そうに腕を組んでそっぽを向いている。岡村主任がしかたない、と呟いて、指で『出ろ』と合図を送ってきた。
「第一病棟、待っているんですが」
「はい」
 洋子は仕方なく、原稿を手に立ち上がった。壇上の演台に原稿を広げ、周囲を見渡す。
 会場はほぼ満席だった。
 暗いオーク系木製の古びた座席に何百という看護師達が座ってこちらを見つめている。
 手元の資料にメモを取っている者、首を傾げたり頷いたりしている者。プロとして自分の仕事に誇りを持っている集団だ。
 洋子を見る目はどれも鋭く厳しいものに見える。わさわさと細かく揺れる、どれも同じ白い服、どれも同じ白いナースキャップ。今では珍しい制服姿。
 それぞれに顔は違うし、体つきも違うはずなのに、何だかそっくり同じ看護師が、まるでカラーコピーされた写真のように何百も複製されて座っているように見える。そして、それがかすかなくすくす笑いを思わせる動きとざわめきに、ゆらゆらと波打ち蠢いている。
(ああ、これ、あの夢じゃないか)
 ふいに、洋子の回りからふうっと景色が遠のいていくような気がした。
 全く別の視界が洋子の目の前を埋め尽くす。

 見上げると、それは大きな桜だった。
 つやつやと淡く光っている幹が視界の遥か上まで伸び、その向こうに夜空を煙らせる花が広がっている。
 満開のそめいよしの。
 だが、その色は、あたりの暗がりのせいか、ピンクと言うより白に近い。
 花は風に煽られて、ときおりはらはらと散っていた。
 それを洋子は見上げている。
 ずっとずっと見上げている。
 降ってくる花びらの下、逆に自分が桜の枝の彼方に吸い上げられていきそうだ。
 ごう、と風が鳴る。

(そうだ、この夢だ、これを見たんだ)
 真っ暗な空を背景に、満開に咲き誇った桜が風に嬲られ煽られさざめいている夢。
 会場はどこかに消えてしまった。
 夢の中で、今を盛りと咲き乱れた桜の真下で、洋子はその鮮やかな白い霞に魅入られ取り込まれていく。
(何だろう、この感覚)
 体からゆっくりと緊張が抜けていった。縮み上がっていた筋肉すべてが、湯を注がれたようにほんわりと温かく緩んでいく。
 洋子は少し息を吸って、唇を開いた。
「私達の病棟では、この数年、看護記録の検討に取り組んでまいりました。それは、患者様にとってよりよい看護を提供する効果的なチームナーシングを行うためには、看護記録を充実させることが不可欠と考えたからです」
 会場がひくりと一瞬息をのみ、そのまま深い沈黙になだれ込む。
「そもそも、看護とは一体どういう働きでありましょうか」
 洋子はもう一度息を吸った。十分な間を置き、聴衆を見回す。
「私は、看護とは、問題を抱えた患者様が、それぞれの患者様に必要な方法で問題を解決し、患者様自ら回復していく、その過程を支える働きであると考えております」
 洋子の意識のどこかはまだ、桜の樹を見上げている。
 暗闇の中で、その桜の夢は、今まで見たどの樹よりも、鮮やかで清烈だった。
 感じたのは妖気ではない色香でもない。周囲にどんなに艶やかな花があろうとも追随を許さない気品と誇り。必死に花の全てを咲かせても、次の一瞬ですべてを散らせてよしとする潔さのようなもの。
(大丈夫、やれる)
 まるで、その桜と同化するような誇りが洋子の胸に満ちた。
 洋子は原稿に書かれていた症例と、それに看護記録が果たした役割を丁寧に解説した。口ごもることも怯むこともなかった。心の奥底に何か光り輝く石のようなものがあり、それが、話すほどに、観客に見つめられるほどに輝きを増し、煌めき始める。
 煌めきがぴりぴりとした寒気のようなものになって、洋子の全身を走る。波打ちながら体を満たし、やがて溢れ離れて会場一杯を満たしていく。
 発表はあっという間に終わりに近づいた。
「では、看護において一番の障害となるのはなんでしょう。それは何よりも看護師である私達自身が抱える問題であると言えます。私達の問題は自分ではよく見えません。けれども、看護記録を書いていくことで、私達は患者様の問題に気づくと同時に、看護師である自分の問題に気づくことができます。そして、そこに多くの看護師がチームナーシングの仲間として関わることで、私達はよりよい看護を達成すると同時に、自分自身の問題を解決していく力を得ることにつながっていくでしょう。私達は看護に向き合うことで成長していく、その成長が私達のケアをより充実させ発展させていく。看護記録は患者様の状態の変化やケアの展開を把握し、よりよいケアを提供する力となるだけでなく、私達自身の成長を支えてくれるものであると考えます。最後に、皆様がよくご存知の、看護とは生き方であるという名言をもってこの発表を終りたいと思います。………ご清聴ありがとうございました」
 洋子が話し終えた一瞬、会場は静まり、物音一つしなかった。そればかりか、誰一人、席を立つものも、身動きするものもいない。
 自分が自分でないような高揚感に浸されて、動きを止めた光景を見つめていた洋子は、唐突に我に返った。
 瞬きする。辺りの空気は不思議な熱い緊張感に満ちている。
 はっとして洋子は慌てて原稿を見下ろし、言い損ねていた最後の部分を口にした。
「えーと……あの…御質問があれば承ります」
 突然、うわあ、と声があがって、洋子はぎょっとした。
「っ」
(失敗した?)
 一瞬、朝の夢に気を取られた。
 あまりに見事な桜のイメージに意識を奪われぼけていたかもしれない。その間に、つまらないことを言ってしまったのか。必要なことを言い損ねたか。
 だが、聴衆は何かにとり憑かれたように拍手し始め、会場が爆発したような騒ぎになった。前列の倉敷も岡村もあっけにとられた顔で洋子を見上げている。だが、やがて、周囲の興奮に引きずり込まれように手を叩き始めた。
「すばらしい発表でしたね、病棟での師長さんのご指導が伺えます」
 司会者は早口でほめ上げた。
「御質問はありませんか? では、次に、耳鼻科病棟の…」
 自分の番は終わったのだとようやくわかって、洋子は原稿をかき寄せた。演台を離れて席へ戻ろうとする視界に、ふっと黒い影が過った気がして目を上げる。
 看服で埋まった会場の端を今、黒づくめの細身の体が影のように走り抜けたように見えた。
(黒い男?)
 病棟で聞いたなおこの話と朝見つけた男の姿が重なる。
(ひょっとして……あいつ、何日も病棟の回りをうろついている、とか?)
 誰かを確かに探している、それはストーカーに近いものではないだろうか。それが高じて、夜中に病棟に侵入したりしているのではないか。
(師長さんに言っておいた方がいいかも……けど、綾子はどうしたんだ?)
 考え込んでいたせいか、足下がお留守になって演台に引っ掛かった。よろけて手をつき顔を上げると、右隅の出入り口のあたりに綾子が立っているのが見えた。
(何だ、あんなところにいた)
「あや…」
 笑いかけようとした洋子は、ことばが弾き返されたように喉に戻ってくるのを感じた。
 そちらの扉は人の出入りが少ない。会場の照明からも凹んで陰になっている。
 扉にもたれるように、綾子は身動きせずに立っている。洋子と同じように白衣を着ているはずなのに、なぜか首の回りにもこもことしたマフラーのようなものを巻いていて、白衣が妙に黒く見える。洋子を見ても変わらぬ表情は、静かで固い。
(春に黒いマフラー? そんなの、もってたっけ……第一)
 なぜ、さっきはしていなかったマフラーを綾子はしているのか。
 洋子は無言で目を凝らした。
(黒い? ううん、あれは)
 赤い。
 洋子の息が止まった。
「第一病棟、どうしたんですか」
 司会者がいつまで立っても引き上げない洋子にいらいらした声をかけた。
「早く引き上げて…何を見てるの?」
 訝しそうにマイクから外れて洋子に声をかけてきた、その次に、洋子と同じ方向を見た気配があった。
 一瞬の沈黙は、とても長く感じた。
「きゃああああああ!!」
 大音量の悲鳴が会場を裂く。詰め掛けていた看服が次々とざわめいて戸口を振り返る。
 その動きに支えが外れたようだった。
 戸口にもたれていた綾子の紅に染まった姿が、ずるずると水を含んだ布団のようにずれ落ちる。がくん、がくんと首が上下に動き、そのまま、でろりと床に広がった様子は、とても命ある人の体には見えない。
(綾子?)
 立ちすくむ洋子の視界からその姿を隠すように、無数の桜の花弁のような看服がわらわらと綾子の体に吸い寄せられていく。
「緊急カートっ!!」「ドクター呼んで!」
 厳しく張った声が哀しく空を打つ。
 誰もが気づいている、もう間に合わないと。
 けれど、看護師だから。
 命が終ることを受け入れるまでは手を差し伸べ続けるものだから。
(諦めない)
 残り数秒を、なお踏み込め。
 洋子の中の、いつもよりうんと深いところで、今まで一度も入ったことのないスイッチが押される。その音がはっきりと耳の奥に聞こえる。
 かちん。
 騒然とした会場のただ中で、洋子の意識は闇に呑まれた。
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