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5.亡霊(3)
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「う……んっ」
寝返りを打って目を覚ます。全身、汗びっしょりになっている。
「くそぉ…夢の中でも怪奇映画かよ…」
ぼやきながら体を起こして、枕元の腕時計を薄暗い明かりの中で確かめる。
午前一時二十分。
よりにもよって、こんな不気味な時間に目を覚まさなくても良さそうなもんだが、夢の中でのっぺらぼうに追っかけられてドブに落ちたところだったから、タイミングが悪いとは言えない。あれ以上夢の中にいたら、俺は確実にドブ漬け人肉として美味しくいただかれていただろう。
「ふぅ…」
体を起こしてごしごし顔をこする。べったりとした汗を掌で拭ってもすっきりはしない。
部屋の空気は墓場みたいに動かず、周囲には物音一つしなかった。足止めを食らった刑事も客達も今はぐっすり寝入っているのだろう。
それにしても寝苦しい夜だった。空気が重く湿気を含んでいて、身動きするたびに纏わりつき絡みついてくるようだ。もう一眠りするにも妙に目が冴えてしまい、途方に暮れて隣に寝ている周一郎に目を落とす。
「おーお、無防備な面しやがって…」
サングラスを外しているせいもあるのか、本当に子どもっぽい顔で眠っている。いつも何かを考え込んで憂いをたたえている目は閉じられて、整った顔立ちを引き締めている緊張も解けている。そこには計算し尽くし裏を読みくつしている冷たさも、仮面をかぶり続けている片意地さもない。珍しく乱れたままの髪、静かで安らかな寝息。
起きるなよ。
胸の中で呟いた。
起きれば、周一郎は人の裏を見ずにはいられない。心優しい笑顔の裏の、濁り腐りきった闇に自分を晒し続けなくてはならない。それが、周一郎の深いところにある優しさを容赦なく切り捨てさせ、傷つけていく。その脆さを嘲笑しようとしてしきれないまま、周一郎は心を守ろうとして、より防御を固めていく。
それなら今は眠っていろ。
ほんの少しでも安らげているなら、ここで眠ってていいんだ。
「…こふっ」
咳き込みかけて慌てて口を押さえる。汗をかいたせいか喉がカラカラだ。
熟睡している周一郎を起こさないように、のそのそと体を前に倒し、布団から這い出した。水でもちょっとと思ったが慣れない気配りはするもんじゃない、障子に手を伸ばそうとして押し出した足が布団を滑り、思い切り前にのめる。
「べ!」
「ん…滝さん?」
ごそりと背後で周一郎が起き上がった。鼻をぶつけて痛みを堪えている俺に、
「何してるんですか、こんな時間に」
「う…」
訝しげな声にお前を起こさないようにだなあと言うのも気恥ずかしく、寝ぼけて水泳の練習をしてたんだあはは、とでも言い訳するかと思った瞬間、さっきまでそよとも動かなかった空気が、いきなり生暖かな風を伴ってどろりと動いた。
「ひえっ」
「風?」
思わず体を竦めて振り返ると、布団の中に半身入れたままの周一郎が、風の方向を探るように体を捻っている。その目を追いかけて行くと、床の間の掛け軸が、まるで命があるようにふわっと浮き上がるのが見えた。
「滝さん」
「…ああ」
嫌々、這いながら近づいて行く。掛け軸は今の動きが夢だったかのように静止している。震えそうになる手をやせ我慢で伸ばしていくと、俺の指から逃げるように再び掛け軸が揺れた。
「っ」「!」
物音を聞いたように周一郎が廊下を振り返った。一緒に振り返って、障子にはっきり、長い髪を乱れさせた人影が映るのを見る。
「、鈴…っ」
「きゃあああああ!」
叫びかけた俺の声をぶった切るように、身の毛がよだつどころか吹っ飛んでいくような子どもの絶叫が響き渡った。障子の向こうの影が身を翻す。同時に、俺は今の悲鳴が『掛け軸の向こう』から聞こえたのに気づいた。皖? 亘? とにかくただ事じゃない声、振り返って掛け軸を掴もうとした矢先、
「滝さん!」「どああっ!」
警告を耳にするまでもなかった。床の間の一段上がった所に膝をぶつけ、壁に突っ込む。これ以上頭を打つとそろそろ修復不可能になるんじゃないか、それとも先に顔面がアウトか。目を閉じ歯を食いしばり体をこわばらせ、壁の手荒い歓迎を覚悟した、のに。
「うわっ」
どん、とぶつかった途端、ガラリと音が鳴って壁が『向こう側』に倒れ、俺は目を見開いた。
ホテルの回転ドア、遊園地のからくり屋敷、そんなものが頭を掠めた次の瞬間に、舌を噛みかけながら転がり落ち、はでに背中と腰を打つ。
「ぐはっ」
「滝さん!」
背後からうろたえた声が降って、のろのろと体を起こす。
「大丈夫ですか!」
「ああ…なんとか……」
部屋じゃない。岩穴、に近い。カビ臭い匂いと湿った空気。腰を摩りながら声の方を見ると、立ち上がって目より少し高い位置に、いま転がり込んだ入り口があった。
「滝さん…っ」
「大丈夫……だが」
顔はよく見えないが声に不安と心配を籠らせて呼びかける相手に笑って立ち上がって見せる。
「……ここ…どこだ?」
「……よく見えませんが……地下道、でしょうか」
「そうみたいだな」
転げ落ちた穴と直角に交わっている横穴を見つける。荒削りの岩肌、人が屈んでやっと一人通り抜けられる大きさ、次第に下りながら続いているようだ。奥の方に明かりのある場所があるのか、薄ぼんやりと通路が見える。
「何のために……こんなものが………っ」
生臭い匂いが漂ってきた。耳を澄ませると、誰かが泣いてでもいるような、ひいひいと言う声が微かに聞こえてくる。
ごくりと唾を飲み込んだ。奥の明かりは揺らいでいるのか、岩肌の影がゆらゆらと揺れ動く。異様な顔をした神像を思わせる怪しくおどろおどろしい影だ。黒と淡い黄色が蠢いて、悪夢のような形を生み出している。
「なんか…やばい……ような………ひっ」
俺の弱気を嗤うように、唐突にどすっと胸の悪くなる音が響いて、獣じみた呻き声が続いた。
「おいおい…」
あれはひょっとするとひょっとするんじゃないのか。
馴染みたくはないが、どうにも馴染みつつある例の、人を突いたり刺したりする物騒な音。
喉を干上がらせながら考える。血の気が引く頭によぎるのは、お由宇が話してくれた陽子伝説、犠牲になった幼子たち、その血を浴びて永遠の若さを保った陽子、そして伝説に絡む石蕗家の暗く重い過去。
凍りついたように動けなくなった俺の目に、地下道の彼方、灯が蠢いて作り出した幻のように一つの影が映った。俺がいるのに気づかないような横顔、悪鬼じみて、しかも恍惚とした表情を浮かべているのは紛れもなく久だ。薄く笑って何かを話すようなそぶりだったが、ふいにはっと振り返る。見つかったのかと思ったが、相手は別の方向を地獄の亡者のような顔で睨みつけ、すぐに視界から消えた。同時に誰かが追われたように走り出す音が谺する。
「滝さんっ」
いつの間に降りてきていたのか、すぐ側にいた周一郎が鋭く俺を呼んだ。瞳を遠くさまよわせながら、
「皖が危ない」
「なにっ」
「こっちです」
周一郎が示す先の数段のはしごをなんとか登り、床の間に戻る。厳しい顔で部屋を走り出す周一郎に続くと、再び子どもの悲鳴が響いた。
「くそっ」
外に飛び出すと、騒ぎにたまたま現れたと言いたげに鈴音が駆け寄ってくる。
「どうなさったんですか」
「鈴音さんこそ」
聞こえなかったのか、あの悲痛な叫びが。
「いえ、亘が急に」
続けようとした俺のことばを遮って、不安そうに訴える。
「皖がどうしたとか言って飛び出したんです」
双子はお互いに気持ちが通じるとか言わなかったか。
「じゃあ、亘君も今…」
「いやああああああーーーっ!!」
悲鳴が尾を引くように闇に流れた。聞こえた場所に不安が募る。この先は急な斜面で、二の門に続く塀でかろうじて真下まで転げ落ちずに済むように遮られている。子ども達はよく知っていて近づかないはずだが、それでも何かあったらあるいは。
「っ」
ざざざざっと草がざわめき、次の瞬間、どんっ、と鈍い音が空を打った。先を走っていた周一郎が体をこわばらせて立ち止まる。同様、不吉な予感に立ち竦んだ俺達の前に、木立をかき分け泣きながら、一人の少年が飛び出してくる。
「た、助けてよ! 誰か…だれ…っ!!」
少年は俺達に気づくと、ぎょっとしたように立ち止まった。素早い一瞥、すぐにまっすぐ俺に飛びついてくる。
「助けてよ! 滝さん! 滝さんっ!」
あれ?
一瞬、何かとても妙な感覚が過ぎった。が、それに悩む間もなく、がたがた震えて押し付けられてくる体を必死に受け止める。
「あ…皖……皖ちゃんが! 皖ちゃんが!」
「おっおいっ!」
周一郎が冷ややかな表情で、ふっと前方の闇に入り込み、やがて静かに戻ってくる。その腕にルトが抱かれているところをみると、どこかで呼び出したんだろう。
周一郎は俺にしがみついている亘に、次に俺に、最後に鈴音に視線を移し、ゆっくりと目を細めた。うす青く見える顔で淡々と、
「塀の側で皖君が倒れています。絶命しているようです」
「あ…きら……」
呆然とした表情で呟く鈴音の声が、これだけの騒ぎに動きのない屋敷の中でうそ寒く響いた。
寝返りを打って目を覚ます。全身、汗びっしょりになっている。
「くそぉ…夢の中でも怪奇映画かよ…」
ぼやきながら体を起こして、枕元の腕時計を薄暗い明かりの中で確かめる。
午前一時二十分。
よりにもよって、こんな不気味な時間に目を覚まさなくても良さそうなもんだが、夢の中でのっぺらぼうに追っかけられてドブに落ちたところだったから、タイミングが悪いとは言えない。あれ以上夢の中にいたら、俺は確実にドブ漬け人肉として美味しくいただかれていただろう。
「ふぅ…」
体を起こしてごしごし顔をこする。べったりとした汗を掌で拭ってもすっきりはしない。
部屋の空気は墓場みたいに動かず、周囲には物音一つしなかった。足止めを食らった刑事も客達も今はぐっすり寝入っているのだろう。
それにしても寝苦しい夜だった。空気が重く湿気を含んでいて、身動きするたびに纏わりつき絡みついてくるようだ。もう一眠りするにも妙に目が冴えてしまい、途方に暮れて隣に寝ている周一郎に目を落とす。
「おーお、無防備な面しやがって…」
サングラスを外しているせいもあるのか、本当に子どもっぽい顔で眠っている。いつも何かを考え込んで憂いをたたえている目は閉じられて、整った顔立ちを引き締めている緊張も解けている。そこには計算し尽くし裏を読みくつしている冷たさも、仮面をかぶり続けている片意地さもない。珍しく乱れたままの髪、静かで安らかな寝息。
起きるなよ。
胸の中で呟いた。
起きれば、周一郎は人の裏を見ずにはいられない。心優しい笑顔の裏の、濁り腐りきった闇に自分を晒し続けなくてはならない。それが、周一郎の深いところにある優しさを容赦なく切り捨てさせ、傷つけていく。その脆さを嘲笑しようとしてしきれないまま、周一郎は心を守ろうとして、より防御を固めていく。
それなら今は眠っていろ。
ほんの少しでも安らげているなら、ここで眠ってていいんだ。
「…こふっ」
咳き込みかけて慌てて口を押さえる。汗をかいたせいか喉がカラカラだ。
熟睡している周一郎を起こさないように、のそのそと体を前に倒し、布団から這い出した。水でもちょっとと思ったが慣れない気配りはするもんじゃない、障子に手を伸ばそうとして押し出した足が布団を滑り、思い切り前にのめる。
「べ!」
「ん…滝さん?」
ごそりと背後で周一郎が起き上がった。鼻をぶつけて痛みを堪えている俺に、
「何してるんですか、こんな時間に」
「う…」
訝しげな声にお前を起こさないようにだなあと言うのも気恥ずかしく、寝ぼけて水泳の練習をしてたんだあはは、とでも言い訳するかと思った瞬間、さっきまでそよとも動かなかった空気が、いきなり生暖かな風を伴ってどろりと動いた。
「ひえっ」
「風?」
思わず体を竦めて振り返ると、布団の中に半身入れたままの周一郎が、風の方向を探るように体を捻っている。その目を追いかけて行くと、床の間の掛け軸が、まるで命があるようにふわっと浮き上がるのが見えた。
「滝さん」
「…ああ」
嫌々、這いながら近づいて行く。掛け軸は今の動きが夢だったかのように静止している。震えそうになる手をやせ我慢で伸ばしていくと、俺の指から逃げるように再び掛け軸が揺れた。
「っ」「!」
物音を聞いたように周一郎が廊下を振り返った。一緒に振り返って、障子にはっきり、長い髪を乱れさせた人影が映るのを見る。
「、鈴…っ」
「きゃあああああ!」
叫びかけた俺の声をぶった切るように、身の毛がよだつどころか吹っ飛んでいくような子どもの絶叫が響き渡った。障子の向こうの影が身を翻す。同時に、俺は今の悲鳴が『掛け軸の向こう』から聞こえたのに気づいた。皖? 亘? とにかくただ事じゃない声、振り返って掛け軸を掴もうとした矢先、
「滝さん!」「どああっ!」
警告を耳にするまでもなかった。床の間の一段上がった所に膝をぶつけ、壁に突っ込む。これ以上頭を打つとそろそろ修復不可能になるんじゃないか、それとも先に顔面がアウトか。目を閉じ歯を食いしばり体をこわばらせ、壁の手荒い歓迎を覚悟した、のに。
「うわっ」
どん、とぶつかった途端、ガラリと音が鳴って壁が『向こう側』に倒れ、俺は目を見開いた。
ホテルの回転ドア、遊園地のからくり屋敷、そんなものが頭を掠めた次の瞬間に、舌を噛みかけながら転がり落ち、はでに背中と腰を打つ。
「ぐはっ」
「滝さん!」
背後からうろたえた声が降って、のろのろと体を起こす。
「大丈夫ですか!」
「ああ…なんとか……」
部屋じゃない。岩穴、に近い。カビ臭い匂いと湿った空気。腰を摩りながら声の方を見ると、立ち上がって目より少し高い位置に、いま転がり込んだ入り口があった。
「滝さん…っ」
「大丈夫……だが」
顔はよく見えないが声に不安と心配を籠らせて呼びかける相手に笑って立ち上がって見せる。
「……ここ…どこだ?」
「……よく見えませんが……地下道、でしょうか」
「そうみたいだな」
転げ落ちた穴と直角に交わっている横穴を見つける。荒削りの岩肌、人が屈んでやっと一人通り抜けられる大きさ、次第に下りながら続いているようだ。奥の方に明かりのある場所があるのか、薄ぼんやりと通路が見える。
「何のために……こんなものが………っ」
生臭い匂いが漂ってきた。耳を澄ませると、誰かが泣いてでもいるような、ひいひいと言う声が微かに聞こえてくる。
ごくりと唾を飲み込んだ。奥の明かりは揺らいでいるのか、岩肌の影がゆらゆらと揺れ動く。異様な顔をした神像を思わせる怪しくおどろおどろしい影だ。黒と淡い黄色が蠢いて、悪夢のような形を生み出している。
「なんか…やばい……ような………ひっ」
俺の弱気を嗤うように、唐突にどすっと胸の悪くなる音が響いて、獣じみた呻き声が続いた。
「おいおい…」
あれはひょっとするとひょっとするんじゃないのか。
馴染みたくはないが、どうにも馴染みつつある例の、人を突いたり刺したりする物騒な音。
喉を干上がらせながら考える。血の気が引く頭によぎるのは、お由宇が話してくれた陽子伝説、犠牲になった幼子たち、その血を浴びて永遠の若さを保った陽子、そして伝説に絡む石蕗家の暗く重い過去。
凍りついたように動けなくなった俺の目に、地下道の彼方、灯が蠢いて作り出した幻のように一つの影が映った。俺がいるのに気づかないような横顔、悪鬼じみて、しかも恍惚とした表情を浮かべているのは紛れもなく久だ。薄く笑って何かを話すようなそぶりだったが、ふいにはっと振り返る。見つかったのかと思ったが、相手は別の方向を地獄の亡者のような顔で睨みつけ、すぐに視界から消えた。同時に誰かが追われたように走り出す音が谺する。
「滝さんっ」
いつの間に降りてきていたのか、すぐ側にいた周一郎が鋭く俺を呼んだ。瞳を遠くさまよわせながら、
「皖が危ない」
「なにっ」
「こっちです」
周一郎が示す先の数段のはしごをなんとか登り、床の間に戻る。厳しい顔で部屋を走り出す周一郎に続くと、再び子どもの悲鳴が響いた。
「くそっ」
外に飛び出すと、騒ぎにたまたま現れたと言いたげに鈴音が駆け寄ってくる。
「どうなさったんですか」
「鈴音さんこそ」
聞こえなかったのか、あの悲痛な叫びが。
「いえ、亘が急に」
続けようとした俺のことばを遮って、不安そうに訴える。
「皖がどうしたとか言って飛び出したんです」
双子はお互いに気持ちが通じるとか言わなかったか。
「じゃあ、亘君も今…」
「いやああああああーーーっ!!」
悲鳴が尾を引くように闇に流れた。聞こえた場所に不安が募る。この先は急な斜面で、二の門に続く塀でかろうじて真下まで転げ落ちずに済むように遮られている。子ども達はよく知っていて近づかないはずだが、それでも何かあったらあるいは。
「っ」
ざざざざっと草がざわめき、次の瞬間、どんっ、と鈍い音が空を打った。先を走っていた周一郎が体をこわばらせて立ち止まる。同様、不吉な予感に立ち竦んだ俺達の前に、木立をかき分け泣きながら、一人の少年が飛び出してくる。
「た、助けてよ! 誰か…だれ…っ!!」
少年は俺達に気づくと、ぎょっとしたように立ち止まった。素早い一瞥、すぐにまっすぐ俺に飛びついてくる。
「助けてよ! 滝さん! 滝さんっ!」
あれ?
一瞬、何かとても妙な感覚が過ぎった。が、それに悩む間もなく、がたがた震えて押し付けられてくる体を必死に受け止める。
「あ…皖……皖ちゃんが! 皖ちゃんが!」
「おっおいっ!」
周一郎が冷ややかな表情で、ふっと前方の闇に入り込み、やがて静かに戻ってくる。その腕にルトが抱かれているところをみると、どこかで呼び出したんだろう。
周一郎は俺にしがみついている亘に、次に俺に、最後に鈴音に視線を移し、ゆっくりと目を細めた。うす青く見える顔で淡々と、
「塀の側で皖君が倒れています。絶命しているようです」
「あ…きら……」
呆然とした表情で呟く鈴音の声が、これだけの騒ぎに動きのない屋敷の中でうそ寒く響いた。
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