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57.『命を弄ぶなかれ』(2)
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一旦引き抜かれて崩れる間もなく、自分の指を揃えられてニ本で突かれ、あっという間に三本突っ込まされて、がたがた震えながら泣くカザルに笑いかけながら、ブルームが低く呟いた。
『ほら、ここだ』
っ…きゃ……ぁああっ。
自分の喉から出たとは思えないほど高い叫びを放ちながら、自分の指でそこを何度も擦らされて、カザルは立続けに達した。気が遠くなっていくのに、腰が勝手に動き続ける。自分の指なのに食い締めて離せない、苦しい体勢を抱えたブルームが、静かな顔で勃ったままのカザルのものに指を伸ばすのを目を見開いて見守った。
や……も……やめ…て……。
『薬を残しとくとな』
いや……ブルー……ム…さ…。
『まずいんだ』
お……ねが……。
絡み付く指、同時に背後の指も強制的に抜き差しされて、絶叫しながら痙攣した。途中から指が抜かれて突き刺さったブルームのものにも、もう拒める状態ではなくて、気を失っては引き起こされて、繰り返し繰り返し犯されて。
一度ぼろぼろにされると、もう一度繰り返すぞと言われるだけで、身体が竦む。
後は薬なしで簡単に相手を誘う術を覚え込んでいった。
脚を開く。力のないものをゆっくり弄びながら感覚を高めていき、相手の視線を捉えて受け止め、唇を指で撫で、そこを無理矢理開くように指を押し込みながら仰け反っていく。舌を出して指を舐め、喘ぎながら客を見る。欲しいとは言わない。ただ濡れた指を顎から喉、胸、乳首、弱いラインを自分で辿り、乾いたら舐めてまた繰り返す。
その頃には勃ち上がってきたものが濡れ始めてるから、今度はそれを両手で嬲る。支えてゆっくり扱きながら、先端を指で触ってみせ、びくり、と跳ねるところを立続けに責めて、自分がどこが気持ちいいのか教える。客の視線がもっと降りればしめたものだ、そのまま身体を倒して脚を開き、股間から後ろへゆっくり指を滑らせていき、湿って柔らかな部分に少し爪先を埋めてから、乱暴に引き抜いてみせる。呻くのもいい、怯えた声が出るともっといい。自分が前への刺激で我を忘れているから無理ができるのだ、そういうふうに思わせれば、客の征服欲は高くなる。
だが、そこから先がいつもカザルは苦手だった。始めにブルームに酷くされたせいか、指が入っただけで竦むのが先、血の気が引いてしまうから、できるならそこを誘惑するまでに一気に襲ってくれる相手のほうがいい。
センサーを植えられてからは少しましになったが、酷いときには指で数回弄っただけで気を失うほど感じてしまって、客が突っ込んだ時には一気に駆け上がってしまうこともあった。それはそれでいい、と喜ぶ相手も多かったのだが。
『もう少し堪え性もないとな』
あ、ああっ。
ブルームは脚を開かせたまま、勃ったものを舐めしゃぶり、指で背後をかき回し続けた。
『まだイくなよ』
あぅ、うっ。
誰か助けて。
声が出ないままブルームの舌と指に弄ばれる。
何度も極めかけて仰け反って、それでもぎりぎりのところでずっと感じ続けさせられる。
『イったら打つぞ』
う……ぅっ。
ブルームの声しか聞こえなくてブルームの感触しかわからなくてブルームのものが入ってくるまで堪えさせられて。
『ほら、ねだってみせろ』
お…ねがい……ちょう…だい……。
朦朧としながら呟いて、ようやく意識を飛ばすことが許された日々。
生きることはそういうことだと思っていた。
自分を削ぎ落として粉々にしていくものだと思っていた。
なのに。
「っ、っ、っは」
オウライカさん。
それに比べれば、オウライカと居る時間は何と優しくて温かいことか。
『斎京』でリヤンにからかわれ、リーンのお弁当を手にして、レシンの隣で細工をすることが、どれほど楽しくて幸せか。
「死ん……じゃ…や…だ」
オウライカがいなくなればどうなる。センサーで始末されるならまだよし、また『塔京』に引き戻されて、人を殺し、陥れる道具として、夜毎日ごとに身体を晒して弄ばれるしかなくなる。
「だい…て…くれなく……ても……いいもん……」
涙が零れて止まらない。
自分が習い覚えた誘惑の手順を繰り返しているのが遠い。けれど、今それしか、カザルの気持ちを逸らせるものはないから。オウライカを失うという恐怖を見ずに済む行為を知らないから。
「俺…ひとり…で……っ……できる……もん……」
他にもう何も望まない。
カザルを黙って『華街』に預けて住まわせてくれた、ときどきは顔を見に来てくれる、それでもう十分だから。
「死な……ないで……よ…っ……オウ……カ…さん…っ」
競り上がってくる快感に悲しみの方が勝ってしまって駆け上がれない。
「お…いて…かな……で……っん…んんっ」
ぼろぼろ涙を零しながら、駆け上がれないとそのまま置き去りにされそうな気になって身悶えた。
「俺…を……おい……て……か……っう、」
………カザル。
「っはっ」
え、と息を吐いてカザルは目を見開いた。輿の中で下半身を滴り落ちるものでべたべたに濡らしている自分、汗と涙に塗れてせわしない息を吐き続けているその呼吸音の彼方から、懐かしい声が聞こえた気がする。
「オウ……ライカさん……?」
カザル、こっちだ。
「…っん」
指を引き抜いて、濡れた部分を衣の裾で拭い、ぐたりと重い身体を引きずるように伸ばして周囲の薄ものをそっと開いた。
輿の進行が止まっている。周囲を取り囲んでいる行列が怯えたような気配を満たして、道の中央に固まっている。
「なに…………っ」
その視線を追って空を見上げて気がついた。
前方遠くの空から見る見る近付いてくる一つの影がある。
周囲の薄闇に、まるで紅蓮の炎に包まれているように微かな光を放つ姿は、コートをはためかせ髪を風に乱しながら静かに降下してくる。
「オウライカ……さん…っ」
遅くなって、すまない。
闇を通して柔らかく響く声にカザルの視界が潤み落ちた。
『ほら、ここだ』
っ…きゃ……ぁああっ。
自分の喉から出たとは思えないほど高い叫びを放ちながら、自分の指でそこを何度も擦らされて、カザルは立続けに達した。気が遠くなっていくのに、腰が勝手に動き続ける。自分の指なのに食い締めて離せない、苦しい体勢を抱えたブルームが、静かな顔で勃ったままのカザルのものに指を伸ばすのを目を見開いて見守った。
や……も……やめ…て……。
『薬を残しとくとな』
いや……ブルー……ム…さ…。
『まずいんだ』
お……ねが……。
絡み付く指、同時に背後の指も強制的に抜き差しされて、絶叫しながら痙攣した。途中から指が抜かれて突き刺さったブルームのものにも、もう拒める状態ではなくて、気を失っては引き起こされて、繰り返し繰り返し犯されて。
一度ぼろぼろにされると、もう一度繰り返すぞと言われるだけで、身体が竦む。
後は薬なしで簡単に相手を誘う術を覚え込んでいった。
脚を開く。力のないものをゆっくり弄びながら感覚を高めていき、相手の視線を捉えて受け止め、唇を指で撫で、そこを無理矢理開くように指を押し込みながら仰け反っていく。舌を出して指を舐め、喘ぎながら客を見る。欲しいとは言わない。ただ濡れた指を顎から喉、胸、乳首、弱いラインを自分で辿り、乾いたら舐めてまた繰り返す。
その頃には勃ち上がってきたものが濡れ始めてるから、今度はそれを両手で嬲る。支えてゆっくり扱きながら、先端を指で触ってみせ、びくり、と跳ねるところを立続けに責めて、自分がどこが気持ちいいのか教える。客の視線がもっと降りればしめたものだ、そのまま身体を倒して脚を開き、股間から後ろへゆっくり指を滑らせていき、湿って柔らかな部分に少し爪先を埋めてから、乱暴に引き抜いてみせる。呻くのもいい、怯えた声が出るともっといい。自分が前への刺激で我を忘れているから無理ができるのだ、そういうふうに思わせれば、客の征服欲は高くなる。
だが、そこから先がいつもカザルは苦手だった。始めにブルームに酷くされたせいか、指が入っただけで竦むのが先、血の気が引いてしまうから、できるならそこを誘惑するまでに一気に襲ってくれる相手のほうがいい。
センサーを植えられてからは少しましになったが、酷いときには指で数回弄っただけで気を失うほど感じてしまって、客が突っ込んだ時には一気に駆け上がってしまうこともあった。それはそれでいい、と喜ぶ相手も多かったのだが。
『もう少し堪え性もないとな』
あ、ああっ。
ブルームは脚を開かせたまま、勃ったものを舐めしゃぶり、指で背後をかき回し続けた。
『まだイくなよ』
あぅ、うっ。
誰か助けて。
声が出ないままブルームの舌と指に弄ばれる。
何度も極めかけて仰け反って、それでもぎりぎりのところでずっと感じ続けさせられる。
『イったら打つぞ』
う……ぅっ。
ブルームの声しか聞こえなくてブルームの感触しかわからなくてブルームのものが入ってくるまで堪えさせられて。
『ほら、ねだってみせろ』
お…ねがい……ちょう…だい……。
朦朧としながら呟いて、ようやく意識を飛ばすことが許された日々。
生きることはそういうことだと思っていた。
自分を削ぎ落として粉々にしていくものだと思っていた。
なのに。
「っ、っ、っは」
オウライカさん。
それに比べれば、オウライカと居る時間は何と優しくて温かいことか。
『斎京』でリヤンにからかわれ、リーンのお弁当を手にして、レシンの隣で細工をすることが、どれほど楽しくて幸せか。
「死ん……じゃ…や…だ」
オウライカがいなくなればどうなる。センサーで始末されるならまだよし、また『塔京』に引き戻されて、人を殺し、陥れる道具として、夜毎日ごとに身体を晒して弄ばれるしかなくなる。
「だい…て…くれなく……ても……いいもん……」
涙が零れて止まらない。
自分が習い覚えた誘惑の手順を繰り返しているのが遠い。けれど、今それしか、カザルの気持ちを逸らせるものはないから。オウライカを失うという恐怖を見ずに済む行為を知らないから。
「俺…ひとり…で……っ……できる……もん……」
他にもう何も望まない。
カザルを黙って『華街』に預けて住まわせてくれた、ときどきは顔を見に来てくれる、それでもう十分だから。
「死な……ないで……よ…っ……オウ……カ…さん…っ」
競り上がってくる快感に悲しみの方が勝ってしまって駆け上がれない。
「お…いて…かな……で……っん…んんっ」
ぼろぼろ涙を零しながら、駆け上がれないとそのまま置き去りにされそうな気になって身悶えた。
「俺…を……おい……て……か……っう、」
………カザル。
「っはっ」
え、と息を吐いてカザルは目を見開いた。輿の中で下半身を滴り落ちるものでべたべたに濡らしている自分、汗と涙に塗れてせわしない息を吐き続けているその呼吸音の彼方から、懐かしい声が聞こえた気がする。
「オウ……ライカさん……?」
カザル、こっちだ。
「…っん」
指を引き抜いて、濡れた部分を衣の裾で拭い、ぐたりと重い身体を引きずるように伸ばして周囲の薄ものをそっと開いた。
輿の進行が止まっている。周囲を取り囲んでいる行列が怯えたような気配を満たして、道の中央に固まっている。
「なに…………っ」
その視線を追って空を見上げて気がついた。
前方遠くの空から見る見る近付いてくる一つの影がある。
周囲の薄闇に、まるで紅蓮の炎に包まれているように微かな光を放つ姿は、コートをはためかせ髪を風に乱しながら静かに降下してくる。
「オウライカ……さん…っ」
遅くなって、すまない。
闇を通して柔らかく響く声にカザルの視界が潤み落ちた。
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