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84.『奪還』(1)
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エレベータが開くと、ライヤーは壁を伝って頽れたブルームを振り返ることなく踏み出した。通い慣れ歩き慣れた中央庁最上階、向かうは執務室のはずだったが、背後から掠れた声で呼びかけられて立ち止まる。
「そ…っちじゃ…ない…」
既にカークの紋章を探りながら意識を四方に伸ばしていたから、一瞬意味が取れなかった。
「はい?」
問いかけながら視線とともに散々ブルームを蹂躙した感覚を飛ばす。無意識に手の甲で唇を拭ったライヤーに、ブルームが軽く体を震わせた。
「何か?」
「そっちじゃ…ない…」
おどおどと繰り返すブルームは、何とか立ち上がってエレベーターの開いた扉にもたれながら、乱れ落ちた前髪の下で目を動かした。
「もっと奥だ」
「奥?」
「カークは…」
ライヤーの視線に息を呑み、やがて弱々しく続ける。
「カークは、ダグラス・ハイトの部屋だ」
「…」
予想はしていたが、直接引きずり込まれていたのか。
鋭く見やった先は、中央庁執務室の、なお奥まった通路の先の木の扉だ。
「マジェスとシュガットが連れて入った」
「お二人はまだそこに?」
「…」
首を振り、今度は執務室へ顎をしゃくる。
促されて執務室へ向かい扉を開いてすぐに気がつき、見下ろした。
黒のフローリングに敷かれた、悪趣味極まりない毛足の長い真紅に染めた毛皮。
その上に虚ろな目をしたマジェスが座り込んでいる。執務室の机に背中を預けて籠ったような呻き声をたてつつ、両手で一物を握りしめ、際限なく自慰に耽っているのかと思いきや、必死に握りしめているものの先が紅にささくれた状態でしぼんでいる。まるで鋭い歯を持つ獣に先端を喰いちぎられたような有様だ。顔色は真っ青で剥き出された目は己のものを凝視したまま、流れる汗とともになおも両手に渾身の力を込めて握り込んでいるのは、激痛に気を失いかけながら出血を止めようとしているのだろう。
どこからか風が流れてくるのに訝しく顔を上げれば、執務室の机の向こう、巨大なガラス窓に向かって一人立つ姿がある。
「…シュガットさん?」
おそらくは遠くない先に狂うだろうマジェスを置いて、ライヤーは部屋に踏み込み近づいていく。遠目からは悲惨な状況に背中を向け、悠々と素晴しい頂上からの眺めを楽しんでいるように思える。だが、真隣まで近づいてライヤーは気づく、シュガットもまた、下半身の衣類を落とされ別の地獄を覗き込んでいると。
「…ライヤー…」
ガラス窓に両手を当てた姿勢でぎくしゃくと顔を振り向けたシュガットの顔は、虚ろでしかも半分笑っていた。
「もう……立って…いられない…んだ…」
「…そうでしょうね」
ぶるぶる震える下半身の筋肉は、既に痙攣を始めているようだ。いつからこんな状態だったのかはわからないが、もうそれほど長くは保たないのだろう。
ライヤーは視線を落とす。シュガットの中心はガラスの外に飛び出していた。恐怖からなのか、それともそれでも快楽なのか、ガラスに開いたぎざぎざの穴に突き入れてそのまま屹立している。穴はシュガットが震えるたびに柔らかな肉を切り裂いて、ガラスも股間も紅に染まっているが、それでも切り落とされてはいない、今のところ。
「…たの…む…」
助けてくれ、と吐息だけで呟く声に、ライヤーはうっそりと笑みを返した。
「…ねだって下さい」
「…らい…」
「ここから自由にしてくれと」
あなたがカークさんに命じたように。
カークの名前を聞いたシュガットはさすがに一瞬苦々しい表情を浮かべたが、
「貴様がこんなことを…」
「僕じゃありませんよ」
それほど趣味は悪くない。
「きぃいいい…っ!」
突然引き裂くような悲鳴が響いて、机が激しく押されてガタガタ鳴った。
「ぎゃああああああっ!」
絶叫に変わった声が唐突に止み、体が床に転がった振動が沈黙を追った。
「…残ったのはあなただけのようですね」
「い…ったい…何が……起きた…」
「…中央庁に仕込まれたシステムが限界を越えたんですよ」
「仕込まれた…システム…?」
「欲望を煽り、人を踏みにじっても快楽を得ようとする意思」
ライヤーはシュガットの背後に立った。
「…何…を」
「助けて欲しいんでしょう?」
微笑しながら、シュガットの背中を指先で撫で下ろす。
「やめろ…っ」
悲鳴が上がると同時にシュガットの体が跳ねた。食いしばられた歯、竦む体が、膨れ上がった中心に食い込んだガラスの刃を教える。
「こんなところが気持ちいいんですか」
しかもこんな状況で。
「…ぎ…っ」
がつり、となおも歯を食いしばる音が響いた。ライヤーが取り上げたのは机の上に放置されていた羽根ぼうき、それを首に当てられ耳を撫でられ悲痛な声が漏れる。
「やめ…ろおおお…」
「許してあげますよ、僕は優しいので」
あなたがカークさんにした仕打ちの数百分の一の責め苦しか与えなくとも。そしてまた、最後に僅かでも快楽を与えてしまうことを、
「許して下さいね、カークさん」
彼方の闇に囁いて、ライヤーはシュガットを背後から貫く。
「うぐああああ」
「イけば楽になる…そうでしょう?」
耳元で囁くと仰け反ったシュガット体の向こうでみしみしとガラスがたわむ音がした。じたばたと暴れる相手の体から唐突に力が抜ける。同時に表現し難い粘着質のものが引き離される感覚と同時に、ライヤーは体を引いた。
ぶちっ。
真紅を吹き出しシュガットが崩れる。ガラスの向こうを切り離された肉塊がくるくると朱色の光を撒きながら落ちていく。
「う…あ…」
背後から微かな声が聞こえた。スラックスのジッパーを上げて振り返ると、吐き戻しながらブルームが戸口で座り込んでいる。
「あなたはカークさんに何もしなかったんですね、いい意味でも悪い意味でも」
だからハイトの攻撃対象にもならなかった。
「幸運な人だ」
言い捨ててライヤーは奥へと進んだ。
「そ…っちじゃ…ない…」
既にカークの紋章を探りながら意識を四方に伸ばしていたから、一瞬意味が取れなかった。
「はい?」
問いかけながら視線とともに散々ブルームを蹂躙した感覚を飛ばす。無意識に手の甲で唇を拭ったライヤーに、ブルームが軽く体を震わせた。
「何か?」
「そっちじゃ…ない…」
おどおどと繰り返すブルームは、何とか立ち上がってエレベーターの開いた扉にもたれながら、乱れ落ちた前髪の下で目を動かした。
「もっと奥だ」
「奥?」
「カークは…」
ライヤーの視線に息を呑み、やがて弱々しく続ける。
「カークは、ダグラス・ハイトの部屋だ」
「…」
予想はしていたが、直接引きずり込まれていたのか。
鋭く見やった先は、中央庁執務室の、なお奥まった通路の先の木の扉だ。
「マジェスとシュガットが連れて入った」
「お二人はまだそこに?」
「…」
首を振り、今度は執務室へ顎をしゃくる。
促されて執務室へ向かい扉を開いてすぐに気がつき、見下ろした。
黒のフローリングに敷かれた、悪趣味極まりない毛足の長い真紅に染めた毛皮。
その上に虚ろな目をしたマジェスが座り込んでいる。執務室の机に背中を預けて籠ったような呻き声をたてつつ、両手で一物を握りしめ、際限なく自慰に耽っているのかと思いきや、必死に握りしめているものの先が紅にささくれた状態でしぼんでいる。まるで鋭い歯を持つ獣に先端を喰いちぎられたような有様だ。顔色は真っ青で剥き出された目は己のものを凝視したまま、流れる汗とともになおも両手に渾身の力を込めて握り込んでいるのは、激痛に気を失いかけながら出血を止めようとしているのだろう。
どこからか風が流れてくるのに訝しく顔を上げれば、執務室の机の向こう、巨大なガラス窓に向かって一人立つ姿がある。
「…シュガットさん?」
おそらくは遠くない先に狂うだろうマジェスを置いて、ライヤーは部屋に踏み込み近づいていく。遠目からは悲惨な状況に背中を向け、悠々と素晴しい頂上からの眺めを楽しんでいるように思える。だが、真隣まで近づいてライヤーは気づく、シュガットもまた、下半身の衣類を落とされ別の地獄を覗き込んでいると。
「…ライヤー…」
ガラス窓に両手を当てた姿勢でぎくしゃくと顔を振り向けたシュガットの顔は、虚ろでしかも半分笑っていた。
「もう……立って…いられない…んだ…」
「…そうでしょうね」
ぶるぶる震える下半身の筋肉は、既に痙攣を始めているようだ。いつからこんな状態だったのかはわからないが、もうそれほど長くは保たないのだろう。
ライヤーは視線を落とす。シュガットの中心はガラスの外に飛び出していた。恐怖からなのか、それともそれでも快楽なのか、ガラスに開いたぎざぎざの穴に突き入れてそのまま屹立している。穴はシュガットが震えるたびに柔らかな肉を切り裂いて、ガラスも股間も紅に染まっているが、それでも切り落とされてはいない、今のところ。
「…たの…む…」
助けてくれ、と吐息だけで呟く声に、ライヤーはうっそりと笑みを返した。
「…ねだって下さい」
「…らい…」
「ここから自由にしてくれと」
あなたがカークさんに命じたように。
カークの名前を聞いたシュガットはさすがに一瞬苦々しい表情を浮かべたが、
「貴様がこんなことを…」
「僕じゃありませんよ」
それほど趣味は悪くない。
「きぃいいい…っ!」
突然引き裂くような悲鳴が響いて、机が激しく押されてガタガタ鳴った。
「ぎゃああああああっ!」
絶叫に変わった声が唐突に止み、体が床に転がった振動が沈黙を追った。
「…残ったのはあなただけのようですね」
「い…ったい…何が……起きた…」
「…中央庁に仕込まれたシステムが限界を越えたんですよ」
「仕込まれた…システム…?」
「欲望を煽り、人を踏みにじっても快楽を得ようとする意思」
ライヤーはシュガットの背後に立った。
「…何…を」
「助けて欲しいんでしょう?」
微笑しながら、シュガットの背中を指先で撫で下ろす。
「やめろ…っ」
悲鳴が上がると同時にシュガットの体が跳ねた。食いしばられた歯、竦む体が、膨れ上がった中心に食い込んだガラスの刃を教える。
「こんなところが気持ちいいんですか」
しかもこんな状況で。
「…ぎ…っ」
がつり、となおも歯を食いしばる音が響いた。ライヤーが取り上げたのは机の上に放置されていた羽根ぼうき、それを首に当てられ耳を撫でられ悲痛な声が漏れる。
「やめ…ろおおお…」
「許してあげますよ、僕は優しいので」
あなたがカークさんにした仕打ちの数百分の一の責め苦しか与えなくとも。そしてまた、最後に僅かでも快楽を与えてしまうことを、
「許して下さいね、カークさん」
彼方の闇に囁いて、ライヤーはシュガットを背後から貫く。
「うぐああああ」
「イけば楽になる…そうでしょう?」
耳元で囁くと仰け反ったシュガット体の向こうでみしみしとガラスがたわむ音がした。じたばたと暴れる相手の体から唐突に力が抜ける。同時に表現し難い粘着質のものが引き離される感覚と同時に、ライヤーは体を引いた。
ぶちっ。
真紅を吹き出しシュガットが崩れる。ガラスの向こうを切り離された肉塊がくるくると朱色の光を撒きながら落ちていく。
「う…あ…」
背後から微かな声が聞こえた。スラックスのジッパーを上げて振り返ると、吐き戻しながらブルームが戸口で座り込んでいる。
「あなたはカークさんに何もしなかったんですね、いい意味でも悪い意味でも」
だからハイトの攻撃対象にもならなかった。
「幸運な人だ」
言い捨ててライヤーは奥へと進んだ。
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