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8.『太陽の池』(2)
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「真実を映す?」
「城の中に『太陽の池』から水を引いた泉がある。そこに姿を映すと己の真実が見えるんだ」
「本当なの?」
「どうかな……試してみるか?」
ユーノの問いにからかうように振り返って見ると、相手が一瞬顔を強ばらせる。
「……いいよ」
「怖いのか?」
「そんなんじゃない」
「お前、何かやましいことをしてるんだろう」
イルファが笑いながら突っ込んだ。
「してない」
「じゃあ、真実が映っても心配ないはずだ」
「やましいことをしていないから、真実を見る必要なんてないんじゃないか」
「いや、違うぞ、きっと何か良からぬことを考えてだなあ」
「良からぬことって何だよ」
「そりゃあお前、夕飯で人の皿から肉を掠め取ったとか、朝飯で隣のやつの皿と交換したとか」
「イルファの『よからぬこと』ってごはんのことばっかりだね」
レスが無邪気に指摘して、いやそういうことではなくてだなあ、と言い返すイルファ、あんたの方がやましいんじゃないかと笑うユーノ、賑やかな声に背を向けて、アシャは再び城を見上げる。
『盗賊王』の幻が今もなお、窓の向こうから冷ややかに嗤っている気がする。
アシャが踏み込んだ時、『盗賊王』はちょうど泉水を覗き込んでいた。
城の外でも内でも味方も敵も血煙を上げて倒れていきつつあり、敗色濃厚だから諦めていたのかというと、そうではない。
『盗賊王』は水に映った自分の姿に心底見愡れていたのだ。血に塗れ亡霊に付きまとわれ、どろどろとした闇に煙る自分の姿を、破滅へと向かう運命を心の底から喜び楽しみ受け入れていた。
地下の拷問室には数十人の女子供が嬲り殺しにされるために捕らえてあった。男どもは外壁に磔にされていたし、壁面も床も血糊でどろどろになっていた。
血の臭いに蒸せ返るような惨状を『盗賊王』はアシャ達の歓迎のために催したと嗤った。
『お前の中にもある残虐な喜びに敬意と愛情を注いでやろう』
剣を交えながら、どうして刃向かうのかと尋ねられた。
俺にはお前の殺戮への欲望が見える。お前がそれを扱い倦ねているのもわかる。今解き放てば楽になれるぞ、『ラズーン』のアシャよ。
間近で囁かれて、危うく揺れ動いた心の闇を、アシャは未だに覚えている。
(ならばこそ、二度と『ラズーン』には戻るまいと)
巨大な力を制する場所に自分の闇を持ち込んではならないのだと改めて思い知った。
「……このあたりにするか」
乾いた場所を見つけて振り返ると、言い争いを続けていたイルファがふいに話を打ち切った。
「そうか、飯だな!」
「やっぱりごはんばっかりだ……」
レスの呆れ声に、食事っていうのはこの世の中で一番大切なものだぞ、とイルファが言い聞かせる。苦笑しながらユーノも馬を降りて引いてくるが、ヒストの苛立ちがここの気配のせいもあると考えたのだろう、優しく話しかけてやっている。
その光景を見ていると、『盗賊王』の記憶で波立った気持ちがゆっくりおさまってくるのを感じた。
(たいした娘だ)
並の娘ならば気配を感じまい。美しい池と趣きある城に感嘆するだけだろう。鋭いだけの娘ならば逆に怯えて怖がる。ありもしない暗がりに魔物がいたと叫んでレスを恐怖に陥れただろう。
だが、ユーノは静かだ。
ここで何があったかを気付いていないはずがない、壁面の染みも血痕だと気付いているだろう。無闇に怯えないが、かといって警戒を怠るふうでもない。
(思った以上に胆力がある)
それはユーノが追い詰められていた状況の厳しさを思わせる。あれほど平和な国の皇宮の中で、ユーノがどれほどぎりぎりの状態をしのいでいたかを教える。
「こっちにおいで」
3頭の馬達を近くの木に繋ぎにいく後ろ姿、華奢な背中がぴんと伸びているが、手足の動きは滑らかだ。自分の不安が馬達に伝わらないように丁寧に気配りしているのがよくわかる。
ふいに白く輝くその体を背後から強く抱き締めたいような気分になってうろたえ、アシャは目を逸らせた。
「水を汲んでくる」
「おお……ところで、お前、ペクは嫌いだったな?」
イルファがからかい口調で声をかけてきて、じろりと相手を睨み付ける。
ペクは香菜の一種で香りは注意力を弱める。これから抽出したペクタスという薬には麻痺作用がある。ペクの状態で料理に入れ、旅の疲労回復によく使われる。
「そういう刺激物は体に合わない」
自分が浮ついていると見抜かれたようでむっとした。
「わかってるなら聞くな」
「すまん」
気にした様子もなく荷物を解き、火を起こして野営の準備を始めるイルファに、背中を向けて眉をしかめる。ここの空気に毒されたのはアシャの方かもしれない。いつになく刺々しい気分になっている。
注意力の低下はアシャにとって命取りだ。旅人の常としてではなく、特に彼の『体』にとっては、起こしてはならない『魔物』を起こす羽目になる。『盗賊王』が指摘したのもそれなら、アシャを故郷から去らせたのもそれだ。そしてアシャが一生誰とも繋がるまいと放浪することを決めたのもそれ故だ。
水を汲もうと泉を覗き込んだアシャは映った自分の姿を見つめた。灯火もないのに、水面の暗い鏡にアシャの姿はくっきりと浮かび上がっている。よく見るとそれは、体の周囲をゆらゆらと包む、陽炎のような淡い靄のせいだとわかる。
靄は霞み揺らぎながら、やがて寄り集まって形を作った。左右に伸びて羽ばたく猛禽類の翼のように、頭の周囲に濃く集まって光り輝く王冠のように、幾重にも体を覆って豪奢なマントのように、周囲へ飛び離れて全身を猛々しく研ぎすまされた剣で飾るように、腰から下に寄り集まって担ぎ上げる台座のように。やがて見つめる視線に気付いたように緩やかに解け、元通り薄く淡く体を包む。
誰を巻き込むわけにもいかない。
いつかのユーノの思いは、アシャにもまた近しいもので。
「…」
唇を噛み締めてそれら1つ1つを凝視していたアシャは、背後に動いた気配に足を滑らせ小石を泉に落とした。ぼちゃんと音がして水鏡が乱れると同時に、剣に手をかけ振り返る。
木々の隙間を翻るような黒い影が一瞬見えた気がしたが、すでに気配はない。刺客にしては素早すぎる動きだ。少し待ったが、辺りは静まり返って再び戻ってくる様子もない。
(過敏になりすぎているのか?)
溜め息をついて額の汗を拭い、器に水を汲んで夜営地に戻ると、ユーノの膝にもたれてレスファートが寝息をたてていた。
「アシャ」
にこりと笑って見上げてくるユーノに気持ちが緩む。
「眠ったのか?」
「疲れてたんだね」
「それでも頑張ったんだぞ」
イルファが急いでかばってくるのに苦笑して、わかっている、と腰を降ろした。
自分しか感じていないような気配だ、すぐにどうということはあるまい。
「そら」
「うむ」
イルファからスープを受け取り、アシャはゆっくり口へ運んだ。
スープの味はわからなかった。
闇夜を誰かが駆けてくる。
白い足元は華奢だ。
(守らねば)
駆け寄って両手を差し伸べ振り払われて愕然とする。
(ユーノ!)
大丈夫だよアシャ。
(違う、行くな!)
ユーノの駆け去る彼方に暗闇の城が立ち上がる。
(ユーノ!!)
「……、っ」
寝苦しい夢から醒めたアシャは、火が消えているのに気付いて飛び起きた。
寝ずの番として起きているはずのユーノの姿がない。イルファは大いびきをかいて眠っているし、その側でレスファートも丸くなっている。
(どこへ行った?)
脳裏を掠めたのは夕刻の妙な気配、火種に手をかざすとまだ温かく、消えてからそれほどたっていない。素早く火を起こしてイルファを揺り起こす。
「ん…あ? ……どうした?」
「ユーノがいない。探してくる」
「わかった」
目をしょぼしょぼさせながらもイルファはすぐに目覚めた。剣を手に立ち上がるアシャに頷き、レスファートの側に座り直す。頷き返して、おかしな気配が動いた場所へ急ぐ。
「ユーノ!」
一声呼ばわった声が、ユーノ…と淡く響いて薄れていく。数瞬待ったが答えはない。気配を探りながら歩き出す。ユーノのことだ、まさか刺客に倒されてということもあるまいが、と思いつつ、じりじりとした夢の不安がせり上がる。
「アシャ」「!」
ふいにすぐ側の木陰から呼び掛けられて振り向いた。白い姿がぼんやりと木の背後から覗き見ている。
「ユーノ」
ほっとして声が波立った。
「火の番のくせに、何をそんなところで」
「やっと帰ってきたなアシャ」
ユーノが平板な瞳のまま嗄れた声で続けた。
「ユーノ?」
「忘れたとは言わさぬ、この『盗賊王』をな」
抑揚のない声で呟いたと同時に、無表情なユーノは剣を引き抜いた。そのまま一気に飛び込んでくるのを、間一髪かわしてアシャは戸惑う。
「どうしたんだ、ユーノ」
「ユーノではない、俺は『盗賊王』死の女神(イラクートル)の膝元よりお前を迎えに戻って来た」
ユーノの剣先が的確にアシャの急所を狙って突き出される。あやうく抜き放った剣で跳ねのけ、アシャは顔を歪めた。
「夕方の気配は貴様か。死を望んでいたはずのお前が死にきれず亡霊になるとは笑える」「ほざけ」
ガシッ。
2人の剣が噛み合って火花を散らす。いつもならば力で圧倒できるはずのユーノが、じりじりと驚くほど強い力で押し返してくる。
「ふふふ、斬れるのかアシャ。この娘の首を刎ねられるのか。お前の主人お前が心動かす相手を」
表情のないユーノの唇が淡々とことばを紡ぐ。
「ちっ」
心の闇を利用されたな。
舌打ちしながらアシャは力を加減した。相手の攻撃は押してくるだけではなく、時折ふいに緩めてこちらが勢いに切り込んでしまうのを待つ遣り口、一瞬でも気が逸れればユーノを殺しかねない。
ぎゅ、と力で押して出る、次の一瞬にアシャは力を抜いた。思わず突っ込んできたユーノの切っ先をかわし、体を沈めて内懐に飛び込んみ拳を鳩尾に叩き込む。きついとは思ったが長引けば不利、後の手当ては自分がすればいいだけのこと、思い定めてためらいを切る。
「ぐっ!」
呻いたユーノがぐたりと崩れ落ちてくる。とたんに声にならぬ『盗賊王』の歯噛みが聞こえ、ふわりと黒い影が離れた。ユーノの体を片手に剣を一閃、黄金の輝きよりもまばゆい不思議な光を放った短剣が影の中心を裂き散らす。
ぐわあああああっっっ!
虚空に声が響き、影はあっという間に霧散した。
『運命(リマイン)』からすれば小者も小者、ただユーノの体を使ったところが巧みだっただけのこと、息一つも弾ませずにアシャは剣を閃かせて鞘におさめる。
(懲らしめるだけでもよかったが)
ユーノの体に入り込んだ、それが無性に腹が立つ。
(落ち着け)
吐息をついて、腕の中のユーノを抱え直し、活を入れた。落とされていた剣も片付ける。
「ん…っ…」
顔をしかめてユーノが唸り、ぼんやりと目を開ける。虚ろだった黒い瞳に柔らかな光が戻ってきて、2度3度瞬きしたかと思うと、
「アシャ…」
掠れた声で呟き、次の瞬間真っ赤になって跳ね起きた、いや、跳ね起きようとした。
「つ、うっ」
「すまん。少し強すぎた」
鳩尾を抱えてへたり込む相手に苦笑しながらアシャは謝る。一発で決めておきたかったから強く出たが、やはりきつすぎたようだ。
「ここ…どこ……? 私…どうしてここに……」
「俺が聞きたい。火の番をしてたんじゃなかったのか?」
「あ……」
困惑した顔になってユーノが目を逸らせる。
「一体何をしに来ていた?」
「……その、泉を見に、」
「泉?」
そうか、こっそり『真実』を覗きに来ようとしたのか。そのやましさを『盗賊王』に利用された、そういうことだったのか。
心の奥深くまで闇に犯されたのではなかったのかと安堵して、アシャは溜め息をついた。同時にふと気が付いて、
「で、泉は見たのか?」
「いや、覗こうとしたら、背後から何か妙な気配がやってきたから振り返って、後は何が何だか……私は何かまずいことをしたのか?」
「ふぅん、まだか、じゃあ」
「う、わっ!」
アシャはくすりと笑ってユーノを抱き上げた。考えていたより数段軽く足が跳ね上がり、放り出しそうになって思わず抱き締める。腕にしなった体が温かい。とっさに動いた衝動をからかいでごまかす。
「何だ、大声を上げて」
「だ、だって、何をする気かと」
「泉はまだ見てないんだろう、今連れてってやる」
「い、いい、自分で見………ぃたっ」
アシャの腕に掴まっていたユーノがじたばた暴れかけて顔をしかめる。
「本気でやったから、しばらくは動けないと思うぞ?」
「じゃ、じゃあ、今見なくていいっ、後で1人で見るっ」
見る見る赤くなったユーノが喚く。
「俺だって映るんだし、正体もわかるぞ?」
「しょ、正体?」
「俺が何者だか知りたくないか?」
「う」
ユーノが胸に掴まったまま、思い詰めた顔で見つめてくる。セレドやこの先の旅のためには確かめておきたい、けれど自分の姿を見られたくない。心の天秤がゆらゆら揺れているのがわかる。
「……知りたい」
「じゃあ」
「いや、でも、あ、あ、やだっ!」
すたすたと泉の縁まで近寄ったアシャに小さく悲鳴を上げて、ユーノはアシャの胸に顔を伏せてしがみついた。映った姿を見られまいとしたのか小さく縮こまる仕種、けれど布数枚隔てただけで寄り添った体は予想以上に甘くて。
(ユーノ)
ごく、と無意識に唾を飲み込んだのに、ユーノが震える。
(まだ……男、を知らない体)
吹き上がりそうになった気持ちを押し込めて、そのまま静かに泉を覗き込んだとたん、激情に冷水を浴びせられた。
(やはり……)
泉の面にはユーノを抱えたアシャの姿が金色のオーラを纏って光っている。そして、腕の中に潜り込むようなユーノの姿は淡く微かに銀色の靄に包まれている。
(『銀の王族』、か)
胸が痛んだのは、『銀の王族』がラズーンに果たす意味を知っているからだ。『銀の王族』を必要とするこの世界の仕組みを知っているからだ。そして、『銀の王族』に対してラズーンが行う儀式がどんなものであるかも知っているからだ。
一瞬、このまま全てを捨てて攫いたい、と思った。
ラズーンへ着けば、ユーノは酷い苦痛を味わうことになる。アシャのことさえ忘れてしまうかもしれない。故郷セレドに戻れる可能性も少ない。
これほど必死に家族を思い、国を思い、辛い旅に耐えていくのに、見返りは余りにも少ない。その宿命故に、定められたときまで『銀の王族』は他の者より平穏と安楽を約束された人生を送っているはずなのに、ユーノはささやかな喜びさえ奪われて生きている。
それがラズーンの制御が外れてきてることを示し、ならばこそ必要な『銀の王族』として召集されているとは言え、せめてもう少し幸福な笑みをこの娘に保証してやれなかったのか。
切なく眉を寄せ奥歯を噛みしめて、アシャは泉に砂を蹴り落とした。波紋が広がり、絡み合うような金銀に包まれた2人の姿を消していく。
(幻の)
決して結ばれない王と王妃の物語を思い出す。
(俺は…)
首を振って気持ちを切り替えた。ゆっくり向きを変え、泉から離れる。
「ユーノ」
薄赤く染まった耳に囁く。
「………人が悪い」
唇を噛んだユーノが半泣きになった顔をそろそろと上げた。
「最低だ、人が身動きできない時に」
「すまない……けれど、うまく姿が映らなかった」
すまない、と繰り返す。謝罪は2つの意味を含む。
「え?」
「風のせいかな、水面が揺れて乱れてな」
笑いかけると、ユーノが露骨にほっとした顔になった。
「なんだ」
「すまん」
「無茶をするから、泉の神様に嫌われたんだ」
「そうかもしれないな」
悪戯っぽく笑うユーノに笑み返す。
(泉の神様に嫌われた)
真実はこれほど惨い。
(俺は)
命の泉に嫌われている。
ふいにびくりとユーノが震えた。
たまたまとは言え、アシャの胸にしがみついたまま甘えている、それにようやく気付いたのだろう、なおも赤くなっていきながら、それでも囚われたようにアシャを見ている。戸惑うような黒い瞳が微かに潤む。小さな唇が薄く開いたままだ。
「心の中を…見られるのはごめんだ……」
「ああ」
掠れた柔らかな声が囁くのに、アシャは距離を縮める。満更知らないわけじゃない、眠っているときには奪ったこともある、ただしあのときは髪で、唇、ではない、だが、今なら。
(俺は)
真実を暴いた罪は唇で購うものではなかったか?
見つめあった数瞬後、すい、と唐突にユーノが目を逸らせて瞼を伏せた。顔も同時に伏せられて、焦茶色の髪が視界に広がる。
「……アシャ」
「ん」
「降ろして。もう歩ける」
「……」
「イルファやレスが心配してる」
「……そう、だな」
腕を解くと流れ落ちるようにユーノが体を離した。あっという間に熱が去って、寒い感触だけが残される。それが思ってもいなかったほど痛くて、アシャは茫然とした。
(俺は)
何だろう、かけがえのないものを失った?
「行くよ」
「……ああ」
そういうこと、なのか、と思った。
ユーノはアシャに気持ちを向けないということなのか。
なぜだ、と振り向かせて言い募りたくなった。自惚れかも知れない、けれどなぜだ、なぜ俺では駄目なんだ、と。
胸に閃いた答えを無視するように吐く。
(なぜ、俺では駄目だ?)
だが、尋ねた瞬間、今開いたこの距離がもっと大きく裂けてしまい、2度と笑みさえ見せてくれないのではないか、そんな恐怖が襲ってアシャは戸惑いうろたえた。
(俺は……怖がってる…?)
ユーノに手さえ触れられないことを?
「アシャ?」
「んっ」
数歩離れたユーノが突然振り返る。にこ、と小さく笑って付け加えた。
「探しに来てくれて、ありがとう」
「城の中に『太陽の池』から水を引いた泉がある。そこに姿を映すと己の真実が見えるんだ」
「本当なの?」
「どうかな……試してみるか?」
ユーノの問いにからかうように振り返って見ると、相手が一瞬顔を強ばらせる。
「……いいよ」
「怖いのか?」
「そんなんじゃない」
「お前、何かやましいことをしてるんだろう」
イルファが笑いながら突っ込んだ。
「してない」
「じゃあ、真実が映っても心配ないはずだ」
「やましいことをしていないから、真実を見る必要なんてないんじゃないか」
「いや、違うぞ、きっと何か良からぬことを考えてだなあ」
「良からぬことって何だよ」
「そりゃあお前、夕飯で人の皿から肉を掠め取ったとか、朝飯で隣のやつの皿と交換したとか」
「イルファの『よからぬこと』ってごはんのことばっかりだね」
レスが無邪気に指摘して、いやそういうことではなくてだなあ、と言い返すイルファ、あんたの方がやましいんじゃないかと笑うユーノ、賑やかな声に背を向けて、アシャは再び城を見上げる。
『盗賊王』の幻が今もなお、窓の向こうから冷ややかに嗤っている気がする。
アシャが踏み込んだ時、『盗賊王』はちょうど泉水を覗き込んでいた。
城の外でも内でも味方も敵も血煙を上げて倒れていきつつあり、敗色濃厚だから諦めていたのかというと、そうではない。
『盗賊王』は水に映った自分の姿に心底見愡れていたのだ。血に塗れ亡霊に付きまとわれ、どろどろとした闇に煙る自分の姿を、破滅へと向かう運命を心の底から喜び楽しみ受け入れていた。
地下の拷問室には数十人の女子供が嬲り殺しにされるために捕らえてあった。男どもは外壁に磔にされていたし、壁面も床も血糊でどろどろになっていた。
血の臭いに蒸せ返るような惨状を『盗賊王』はアシャ達の歓迎のために催したと嗤った。
『お前の中にもある残虐な喜びに敬意と愛情を注いでやろう』
剣を交えながら、どうして刃向かうのかと尋ねられた。
俺にはお前の殺戮への欲望が見える。お前がそれを扱い倦ねているのもわかる。今解き放てば楽になれるぞ、『ラズーン』のアシャよ。
間近で囁かれて、危うく揺れ動いた心の闇を、アシャは未だに覚えている。
(ならばこそ、二度と『ラズーン』には戻るまいと)
巨大な力を制する場所に自分の闇を持ち込んではならないのだと改めて思い知った。
「……このあたりにするか」
乾いた場所を見つけて振り返ると、言い争いを続けていたイルファがふいに話を打ち切った。
「そうか、飯だな!」
「やっぱりごはんばっかりだ……」
レスの呆れ声に、食事っていうのはこの世の中で一番大切なものだぞ、とイルファが言い聞かせる。苦笑しながらユーノも馬を降りて引いてくるが、ヒストの苛立ちがここの気配のせいもあると考えたのだろう、優しく話しかけてやっている。
その光景を見ていると、『盗賊王』の記憶で波立った気持ちがゆっくりおさまってくるのを感じた。
(たいした娘だ)
並の娘ならば気配を感じまい。美しい池と趣きある城に感嘆するだけだろう。鋭いだけの娘ならば逆に怯えて怖がる。ありもしない暗がりに魔物がいたと叫んでレスを恐怖に陥れただろう。
だが、ユーノは静かだ。
ここで何があったかを気付いていないはずがない、壁面の染みも血痕だと気付いているだろう。無闇に怯えないが、かといって警戒を怠るふうでもない。
(思った以上に胆力がある)
それはユーノが追い詰められていた状況の厳しさを思わせる。あれほど平和な国の皇宮の中で、ユーノがどれほどぎりぎりの状態をしのいでいたかを教える。
「こっちにおいで」
3頭の馬達を近くの木に繋ぎにいく後ろ姿、華奢な背中がぴんと伸びているが、手足の動きは滑らかだ。自分の不安が馬達に伝わらないように丁寧に気配りしているのがよくわかる。
ふいに白く輝くその体を背後から強く抱き締めたいような気分になってうろたえ、アシャは目を逸らせた。
「水を汲んでくる」
「おお……ところで、お前、ペクは嫌いだったな?」
イルファがからかい口調で声をかけてきて、じろりと相手を睨み付ける。
ペクは香菜の一種で香りは注意力を弱める。これから抽出したペクタスという薬には麻痺作用がある。ペクの状態で料理に入れ、旅の疲労回復によく使われる。
「そういう刺激物は体に合わない」
自分が浮ついていると見抜かれたようでむっとした。
「わかってるなら聞くな」
「すまん」
気にした様子もなく荷物を解き、火を起こして野営の準備を始めるイルファに、背中を向けて眉をしかめる。ここの空気に毒されたのはアシャの方かもしれない。いつになく刺々しい気分になっている。
注意力の低下はアシャにとって命取りだ。旅人の常としてではなく、特に彼の『体』にとっては、起こしてはならない『魔物』を起こす羽目になる。『盗賊王』が指摘したのもそれなら、アシャを故郷から去らせたのもそれだ。そしてアシャが一生誰とも繋がるまいと放浪することを決めたのもそれ故だ。
水を汲もうと泉を覗き込んだアシャは映った自分の姿を見つめた。灯火もないのに、水面の暗い鏡にアシャの姿はくっきりと浮かび上がっている。よく見るとそれは、体の周囲をゆらゆらと包む、陽炎のような淡い靄のせいだとわかる。
靄は霞み揺らぎながら、やがて寄り集まって形を作った。左右に伸びて羽ばたく猛禽類の翼のように、頭の周囲に濃く集まって光り輝く王冠のように、幾重にも体を覆って豪奢なマントのように、周囲へ飛び離れて全身を猛々しく研ぎすまされた剣で飾るように、腰から下に寄り集まって担ぎ上げる台座のように。やがて見つめる視線に気付いたように緩やかに解け、元通り薄く淡く体を包む。
誰を巻き込むわけにもいかない。
いつかのユーノの思いは、アシャにもまた近しいもので。
「…」
唇を噛み締めてそれら1つ1つを凝視していたアシャは、背後に動いた気配に足を滑らせ小石を泉に落とした。ぼちゃんと音がして水鏡が乱れると同時に、剣に手をかけ振り返る。
木々の隙間を翻るような黒い影が一瞬見えた気がしたが、すでに気配はない。刺客にしては素早すぎる動きだ。少し待ったが、辺りは静まり返って再び戻ってくる様子もない。
(過敏になりすぎているのか?)
溜め息をついて額の汗を拭い、器に水を汲んで夜営地に戻ると、ユーノの膝にもたれてレスファートが寝息をたてていた。
「アシャ」
にこりと笑って見上げてくるユーノに気持ちが緩む。
「眠ったのか?」
「疲れてたんだね」
「それでも頑張ったんだぞ」
イルファが急いでかばってくるのに苦笑して、わかっている、と腰を降ろした。
自分しか感じていないような気配だ、すぐにどうということはあるまい。
「そら」
「うむ」
イルファからスープを受け取り、アシャはゆっくり口へ運んだ。
スープの味はわからなかった。
闇夜を誰かが駆けてくる。
白い足元は華奢だ。
(守らねば)
駆け寄って両手を差し伸べ振り払われて愕然とする。
(ユーノ!)
大丈夫だよアシャ。
(違う、行くな!)
ユーノの駆け去る彼方に暗闇の城が立ち上がる。
(ユーノ!!)
「……、っ」
寝苦しい夢から醒めたアシャは、火が消えているのに気付いて飛び起きた。
寝ずの番として起きているはずのユーノの姿がない。イルファは大いびきをかいて眠っているし、その側でレスファートも丸くなっている。
(どこへ行った?)
脳裏を掠めたのは夕刻の妙な気配、火種に手をかざすとまだ温かく、消えてからそれほどたっていない。素早く火を起こしてイルファを揺り起こす。
「ん…あ? ……どうした?」
「ユーノがいない。探してくる」
「わかった」
目をしょぼしょぼさせながらもイルファはすぐに目覚めた。剣を手に立ち上がるアシャに頷き、レスファートの側に座り直す。頷き返して、おかしな気配が動いた場所へ急ぐ。
「ユーノ!」
一声呼ばわった声が、ユーノ…と淡く響いて薄れていく。数瞬待ったが答えはない。気配を探りながら歩き出す。ユーノのことだ、まさか刺客に倒されてということもあるまいが、と思いつつ、じりじりとした夢の不安がせり上がる。
「アシャ」「!」
ふいにすぐ側の木陰から呼び掛けられて振り向いた。白い姿がぼんやりと木の背後から覗き見ている。
「ユーノ」
ほっとして声が波立った。
「火の番のくせに、何をそんなところで」
「やっと帰ってきたなアシャ」
ユーノが平板な瞳のまま嗄れた声で続けた。
「ユーノ?」
「忘れたとは言わさぬ、この『盗賊王』をな」
抑揚のない声で呟いたと同時に、無表情なユーノは剣を引き抜いた。そのまま一気に飛び込んでくるのを、間一髪かわしてアシャは戸惑う。
「どうしたんだ、ユーノ」
「ユーノではない、俺は『盗賊王』死の女神(イラクートル)の膝元よりお前を迎えに戻って来た」
ユーノの剣先が的確にアシャの急所を狙って突き出される。あやうく抜き放った剣で跳ねのけ、アシャは顔を歪めた。
「夕方の気配は貴様か。死を望んでいたはずのお前が死にきれず亡霊になるとは笑える」「ほざけ」
ガシッ。
2人の剣が噛み合って火花を散らす。いつもならば力で圧倒できるはずのユーノが、じりじりと驚くほど強い力で押し返してくる。
「ふふふ、斬れるのかアシャ。この娘の首を刎ねられるのか。お前の主人お前が心動かす相手を」
表情のないユーノの唇が淡々とことばを紡ぐ。
「ちっ」
心の闇を利用されたな。
舌打ちしながらアシャは力を加減した。相手の攻撃は押してくるだけではなく、時折ふいに緩めてこちらが勢いに切り込んでしまうのを待つ遣り口、一瞬でも気が逸れればユーノを殺しかねない。
ぎゅ、と力で押して出る、次の一瞬にアシャは力を抜いた。思わず突っ込んできたユーノの切っ先をかわし、体を沈めて内懐に飛び込んみ拳を鳩尾に叩き込む。きついとは思ったが長引けば不利、後の手当ては自分がすればいいだけのこと、思い定めてためらいを切る。
「ぐっ!」
呻いたユーノがぐたりと崩れ落ちてくる。とたんに声にならぬ『盗賊王』の歯噛みが聞こえ、ふわりと黒い影が離れた。ユーノの体を片手に剣を一閃、黄金の輝きよりもまばゆい不思議な光を放った短剣が影の中心を裂き散らす。
ぐわあああああっっっ!
虚空に声が響き、影はあっという間に霧散した。
『運命(リマイン)』からすれば小者も小者、ただユーノの体を使ったところが巧みだっただけのこと、息一つも弾ませずにアシャは剣を閃かせて鞘におさめる。
(懲らしめるだけでもよかったが)
ユーノの体に入り込んだ、それが無性に腹が立つ。
(落ち着け)
吐息をついて、腕の中のユーノを抱え直し、活を入れた。落とされていた剣も片付ける。
「ん…っ…」
顔をしかめてユーノが唸り、ぼんやりと目を開ける。虚ろだった黒い瞳に柔らかな光が戻ってきて、2度3度瞬きしたかと思うと、
「アシャ…」
掠れた声で呟き、次の瞬間真っ赤になって跳ね起きた、いや、跳ね起きようとした。
「つ、うっ」
「すまん。少し強すぎた」
鳩尾を抱えてへたり込む相手に苦笑しながらアシャは謝る。一発で決めておきたかったから強く出たが、やはりきつすぎたようだ。
「ここ…どこ……? 私…どうしてここに……」
「俺が聞きたい。火の番をしてたんじゃなかったのか?」
「あ……」
困惑した顔になってユーノが目を逸らせる。
「一体何をしに来ていた?」
「……その、泉を見に、」
「泉?」
そうか、こっそり『真実』を覗きに来ようとしたのか。そのやましさを『盗賊王』に利用された、そういうことだったのか。
心の奥深くまで闇に犯されたのではなかったのかと安堵して、アシャは溜め息をついた。同時にふと気が付いて、
「で、泉は見たのか?」
「いや、覗こうとしたら、背後から何か妙な気配がやってきたから振り返って、後は何が何だか……私は何かまずいことをしたのか?」
「ふぅん、まだか、じゃあ」
「う、わっ!」
アシャはくすりと笑ってユーノを抱き上げた。考えていたより数段軽く足が跳ね上がり、放り出しそうになって思わず抱き締める。腕にしなった体が温かい。とっさに動いた衝動をからかいでごまかす。
「何だ、大声を上げて」
「だ、だって、何をする気かと」
「泉はまだ見てないんだろう、今連れてってやる」
「い、いい、自分で見………ぃたっ」
アシャの腕に掴まっていたユーノがじたばた暴れかけて顔をしかめる。
「本気でやったから、しばらくは動けないと思うぞ?」
「じゃ、じゃあ、今見なくていいっ、後で1人で見るっ」
見る見る赤くなったユーノが喚く。
「俺だって映るんだし、正体もわかるぞ?」
「しょ、正体?」
「俺が何者だか知りたくないか?」
「う」
ユーノが胸に掴まったまま、思い詰めた顔で見つめてくる。セレドやこの先の旅のためには確かめておきたい、けれど自分の姿を見られたくない。心の天秤がゆらゆら揺れているのがわかる。
「……知りたい」
「じゃあ」
「いや、でも、あ、あ、やだっ!」
すたすたと泉の縁まで近寄ったアシャに小さく悲鳴を上げて、ユーノはアシャの胸に顔を伏せてしがみついた。映った姿を見られまいとしたのか小さく縮こまる仕種、けれど布数枚隔てただけで寄り添った体は予想以上に甘くて。
(ユーノ)
ごく、と無意識に唾を飲み込んだのに、ユーノが震える。
(まだ……男、を知らない体)
吹き上がりそうになった気持ちを押し込めて、そのまま静かに泉を覗き込んだとたん、激情に冷水を浴びせられた。
(やはり……)
泉の面にはユーノを抱えたアシャの姿が金色のオーラを纏って光っている。そして、腕の中に潜り込むようなユーノの姿は淡く微かに銀色の靄に包まれている。
(『銀の王族』、か)
胸が痛んだのは、『銀の王族』がラズーンに果たす意味を知っているからだ。『銀の王族』を必要とするこの世界の仕組みを知っているからだ。そして、『銀の王族』に対してラズーンが行う儀式がどんなものであるかも知っているからだ。
一瞬、このまま全てを捨てて攫いたい、と思った。
ラズーンへ着けば、ユーノは酷い苦痛を味わうことになる。アシャのことさえ忘れてしまうかもしれない。故郷セレドに戻れる可能性も少ない。
これほど必死に家族を思い、国を思い、辛い旅に耐えていくのに、見返りは余りにも少ない。その宿命故に、定められたときまで『銀の王族』は他の者より平穏と安楽を約束された人生を送っているはずなのに、ユーノはささやかな喜びさえ奪われて生きている。
それがラズーンの制御が外れてきてることを示し、ならばこそ必要な『銀の王族』として召集されているとは言え、せめてもう少し幸福な笑みをこの娘に保証してやれなかったのか。
切なく眉を寄せ奥歯を噛みしめて、アシャは泉に砂を蹴り落とした。波紋が広がり、絡み合うような金銀に包まれた2人の姿を消していく。
(幻の)
決して結ばれない王と王妃の物語を思い出す。
(俺は…)
首を振って気持ちを切り替えた。ゆっくり向きを変え、泉から離れる。
「ユーノ」
薄赤く染まった耳に囁く。
「………人が悪い」
唇を噛んだユーノが半泣きになった顔をそろそろと上げた。
「最低だ、人が身動きできない時に」
「すまない……けれど、うまく姿が映らなかった」
すまない、と繰り返す。謝罪は2つの意味を含む。
「え?」
「風のせいかな、水面が揺れて乱れてな」
笑いかけると、ユーノが露骨にほっとした顔になった。
「なんだ」
「すまん」
「無茶をするから、泉の神様に嫌われたんだ」
「そうかもしれないな」
悪戯っぽく笑うユーノに笑み返す。
(泉の神様に嫌われた)
真実はこれほど惨い。
(俺は)
命の泉に嫌われている。
ふいにびくりとユーノが震えた。
たまたまとは言え、アシャの胸にしがみついたまま甘えている、それにようやく気付いたのだろう、なおも赤くなっていきながら、それでも囚われたようにアシャを見ている。戸惑うような黒い瞳が微かに潤む。小さな唇が薄く開いたままだ。
「心の中を…見られるのはごめんだ……」
「ああ」
掠れた柔らかな声が囁くのに、アシャは距離を縮める。満更知らないわけじゃない、眠っているときには奪ったこともある、ただしあのときは髪で、唇、ではない、だが、今なら。
(俺は)
真実を暴いた罪は唇で購うものではなかったか?
見つめあった数瞬後、すい、と唐突にユーノが目を逸らせて瞼を伏せた。顔も同時に伏せられて、焦茶色の髪が視界に広がる。
「……アシャ」
「ん」
「降ろして。もう歩ける」
「……」
「イルファやレスが心配してる」
「……そう、だな」
腕を解くと流れ落ちるようにユーノが体を離した。あっという間に熱が去って、寒い感触だけが残される。それが思ってもいなかったほど痛くて、アシャは茫然とした。
(俺は)
何だろう、かけがえのないものを失った?
「行くよ」
「……ああ」
そういうこと、なのか、と思った。
ユーノはアシャに気持ちを向けないということなのか。
なぜだ、と振り向かせて言い募りたくなった。自惚れかも知れない、けれどなぜだ、なぜ俺では駄目なんだ、と。
胸に閃いた答えを無視するように吐く。
(なぜ、俺では駄目だ?)
だが、尋ねた瞬間、今開いたこの距離がもっと大きく裂けてしまい、2度と笑みさえ見せてくれないのではないか、そんな恐怖が襲ってアシャは戸惑いうろたえた。
(俺は……怖がってる…?)
ユーノに手さえ触れられないことを?
「アシャ?」
「んっ」
数歩離れたユーノが突然振り返る。にこ、と小さく笑って付け加えた。
「探しに来てくれて、ありがとう」
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