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15.クノーラスの異変(5)
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「クノーラス様!」
アオクの悲痛な叫びは虚しかった。
いきなり上空から降ってきたクノーラスが、濡れた重い音をたててドヌー蠢く床に落ちた。
「クノーラス様…っ!」
慌てて駆け寄ろうとするアオクよりも先に、周囲から近寄ったドヌー達が、奇妙な格好で捩じれたままぴくりとも動かないクノーラスを見る見る覆っていく。
「無駄だ」
「あ…ああ」
アシャが肩を掴んで引き止めるのにアオクが顔を歪めて吐くように呻いた。
「……長居は……無用だな……ならば、あの子は…」
今のは明らかに『運命(リマイン)』がこの勝負を捨てた気配、ならばユーノは身動きできない状況にあるのか。
はっとして目を上げたアシャは、ぬらぬらと壁に粘りつく道を引きながら降りてくるドヌーの間を、よろめくように降りてくる相手に気づいた。
「ユーノ!」
「大丈夫か!」
アオクも我に返ったように声をかける、それを背中にアシャは急いで階段の真下に駆け寄った。
「大……丈夫」
こと、こと、と壁にすがるように降りてくるユーノの顔色は真っ青だ。白い唇で強がったものの、こと、と最後の段を降りたとたん。
「……ア……シャ……兄……さ……」
泣きそうな幼い表情がユーノの顔に広がった。
「よく、がんば……おい!」
小刻みに震えるその体をできるだけ早く抱き締めたくて近寄ったアシャに、微かに笑んだユーノが突然ふわりと前にのめる。
「ユーノ!」
(やられてたのか!)
抱きとめた腕に冷えきったユーノの体が崩れ落ち、アシャはぞっとした。
「おい、大丈夫か!!」
慌てて駆け寄ってきたアオクに、急いで体を確かめたが、かすり傷はあるものの問題になるような傷はない。
けれど、すがりつくようにアシャの服を握り締めてきた指は、珍しく剣を手放していて、どれほど厳しい戦いだったのかを思わせた。
(おそらくは、自分への深い不信を抱えたまま)
今無事だということは、それでもアシャの教えたものが何か役立ったということだろうか。
(いずれにせよ、あれっぽっちじゃ足りない)
もっときっちり教え込まなくては、この先生き延びていくことさえできない。
(皮肉だな)
守りたいならば剣を教えなくてはならない。剣を教えれば厄介事に飛び込む機会も増えるだろう。
(どちらも同じ、か)
そして今ユーノの剣を教え直すのはアシャしかいない。
迷いを見抜いたように、ユーノがきつく服を握り締めてきた。目を閉じて気を失っているようなのに、少しでも離すまいとするその指に鼓動が打った。
(そうすれば、俺はお前のかけがえのない相手、になれるか?)
優しく愛しむ恋人同士にはほど遠い関係だとしても。
(お前の側にずっと居られるのか?)
それはきっと愛には届かないものだろうが。
アシャは重い吐息をつき、ゆっくりとユーノの体を抱き上げた。
「大丈夫なのか?」
「ああ…緊張が切れたんだろう」
「………こっちで見ていても凄い戦いだったからな」
二重の戦いだったんだ。
訴えたくなる気持ちをこらえて、アシャはユーノを深く抱き締める。
無事で戻ってきてくれた喜びと、ユーノが何に気づいたのか、その衝撃を思って胸が傷む。
(休ませてやりたい)
先はともかく、今は一刻も早く、少しでも楽にしてやりたい。
だが。
(俺は)
俺には、俺の。
一瞬ユーノの髪に頬を寄せ、アシャは首を振った。腕の中を示しながら、
「アオク…ユーノを連れて先に出てくれ」
「ああ? お前は?」
「ちょっと用がある」
「……わかった」
気がかりそうにクノーラスの遺骸を振り返ったが、もうどうしようもないと見極めをつけたのだろう、アオクはユーノを抱きかかえると急ぎ足に広間から出て行く。
その姿が視界から消えてから、アシャはクノーラスの死体を振り返った。
静かな声で言う。
「視察官(オペ)の任として、この地をとどめる。アシャの名のもとに」
低く祈りに似たその声と同時に、透明な金色の海のようなもやがゆっくりアシャから広がっていく。やがてそれは人の目には微かに煙る霧のようなものとなって、クノーラス居城全体を覆っていき、人々はそこに城があったことをそれとなく、何となく自分達の意識から消していってしまうはずだ。
ネークの王もまた、息子の居城を確認しにはくるだろうが、霧を見るとそこに何もあるはずがない、そういう気持ちに襲われて、城は不可思議な化け物と一緒に呑み込まれ消えてしまったのだ、そう納得することになるだろう。
「……ごまかし、だがな」
冷笑しながら、アシャは唇を歪めて呟く。
「真実を知って絶望するよりはいいだろう」
俺のように。
もやが行き渡っていくのに、目を細めて背中を向ける。
ドヌー達は自分たちを埋めていく波に自らの命が呑み込まれていくのに気づかなかったらしい。アシャを振り返ることもなく、クノーラスや傷ついた仲間を咀嚼する動きを繰り返しつつ、緩やかに動きを止めていった。
「いやしかし、もう少しのんびりしていたかった!」
「なんで?」
「ラセナの飯はうまかったしな!」
「またあんなこと、いってる」
イルファの声にレスファートが呆れたように唇を尖らせて見上げてきて、ユーノは苦笑した。
「まあイルファだし」
「そっか、イルファだもんね」
レスファートが忘れてた、と言いたげに大きく頷く。
4人は今ダノマの街を発ち、再び旅の空の下にいた。
「うまくまとまってよかったな」
「ん……」
アシャが声をかけてくるのに、ユーノは視線を合わせないで頷いた。
アオクとエキオラの結婚式が行われたのは、クノーラスの居城での戦いが済んで十日後のことだった。
ネークを治める王は不運を嘆いたものの、事情を詳しく知った上では、もうアオクを責めはしなかった。
王もあちらこちらで起こりつつある異変を知っていたし、影がとりつくとしか言えない奇行に走る者もクノーラス1人に限ったことではないことも気づいていた。クノーラスの居城が不思議なもやに包まれてどこかへ消えてしまったことも、王の諦めを早めた。
(アシャがまた、何かしたんだろうか)
ユーノはちらりと相手を見たが、アシャは平然とした顔をしていて、それこそ隠し事をしている気配さえない。
王は、アオクの処分に関して、罰を与えることで忠誠心のある秀でた勇士を失うのは愚かと考えたようだ。アオクとエキオラの結婚を許し、より以上の奉仕をアオクに求めることで、王はこの事件を締めくくった。
「王の招待を受けりゃ、もっとうまいものが食えたかも知れんのに」
「あの結婚式で十分だろ、お礼ももらったし」
ぶうぶう言うイルファにユーノが応え、アシャがくすりと笑ってこちらを見やってくる。
その笑みに、みるみる顔が熱くなるのをユーノは感じた。
(く、そ)
恥ずかしい。まだまともにアシャの顔が見られない。
(仕方ないだろ、無意識だったんだし)
必死に言い聞かせても、アシャの笑みが意味ありげで胸がどきどきする。
実はユーノがむっつりしたり赤くなったりしているのには理由がある。
戦いが終わった後、アシャの腕で気を失ってしまったというのも原因の一つだったが、問題はその後、戦いのせいか緊張のせいか、発熱して寝ていたユーノは、こともあろうにアシャの手を握って眠ってしまい、あまつさえその夜中にひどく不安がって、熱で朦朧としたまま、側にいてくれとアシャをかき口説いた、というのだ。
どうやら、昼間味わった恐怖が、熱のせいで自制できなくなったユーノに本音を吐かせてしまったらしい。朝になってそれを聞かされた時は、アシャの顔が見られなかったし、口もきけなかった。
(一体私は何をやってるんだ)
側に居てくれ、なんて。
アシャはどう思っただろう。
ちゃんと側に居てくれたらしいが、他にもっと馬鹿なこと口走ってなかっただろうか。
考えるたびに顔から火を吹きそうな気がする。
それを知ってか知らずか、アシャがことあるごとに意味ありげに笑うから、余計にユーノはうろたえる。
いいかげんにしてほしい。
「ほんっと、アシャって、人をいじめるのが好きなんだよな」
「そうか?」
アシャがまた一瞬目を細め、続いてとても楽しそうにくすくす笑って応え、ユーノはかっとした。
「ア,アシャ!」
「ん?」
「だ、誰にだって調子がおかしい時はあるだろっ!」
「調子? おかしかったか? いつ?」
「う」
「まあ予想外に小さい掌だなとか、予想外に可愛らしいことを言うなあとか」
「そ、それはっ!」
「一晩中側に居て何をしてほしかったのかとか」
「ば、ばばばばかやろうっっ!」
レスファートがきょろきょろと2人を見比べながら瞬きしている。
何となく面白くなさそうに見ていたイルファが、突然口を挟んだ。
「さて、次はどこだったかなあ、アシャ!」
ことさらな大声に一瞬会話が止まった。
「なんだよいきなり」
「いや、次の国はどこかと」
「なんで今」
「何が食えるかなあと」
「…おい」
「…くふっ」
レスファートが小さく吹き出した。
「ペクがあればいいかなあと」
「……嫌がらせか」
「そうだ」
「……わかったからやめろ」
「くくくっ」
ついにユーノも笑い出した。苦虫を噛み潰したような顔になっていたアシャに笑いかけると、相手がふいと眉を緩め、やがて微かに苦笑する。
「イルファだからね?」
「そうだな」
「なんだ、そのイルファだからって」
食べることは大事なことだぞ。
大声で叫んだイルファに笑い声は次第に4人に広がり、遥か高い空に消えていった。
アオクの悲痛な叫びは虚しかった。
いきなり上空から降ってきたクノーラスが、濡れた重い音をたててドヌー蠢く床に落ちた。
「クノーラス様…っ!」
慌てて駆け寄ろうとするアオクよりも先に、周囲から近寄ったドヌー達が、奇妙な格好で捩じれたままぴくりとも動かないクノーラスを見る見る覆っていく。
「無駄だ」
「あ…ああ」
アシャが肩を掴んで引き止めるのにアオクが顔を歪めて吐くように呻いた。
「……長居は……無用だな……ならば、あの子は…」
今のは明らかに『運命(リマイン)』がこの勝負を捨てた気配、ならばユーノは身動きできない状況にあるのか。
はっとして目を上げたアシャは、ぬらぬらと壁に粘りつく道を引きながら降りてくるドヌーの間を、よろめくように降りてくる相手に気づいた。
「ユーノ!」
「大丈夫か!」
アオクも我に返ったように声をかける、それを背中にアシャは急いで階段の真下に駆け寄った。
「大……丈夫」
こと、こと、と壁にすがるように降りてくるユーノの顔色は真っ青だ。白い唇で強がったものの、こと、と最後の段を降りたとたん。
「……ア……シャ……兄……さ……」
泣きそうな幼い表情がユーノの顔に広がった。
「よく、がんば……おい!」
小刻みに震えるその体をできるだけ早く抱き締めたくて近寄ったアシャに、微かに笑んだユーノが突然ふわりと前にのめる。
「ユーノ!」
(やられてたのか!)
抱きとめた腕に冷えきったユーノの体が崩れ落ち、アシャはぞっとした。
「おい、大丈夫か!!」
慌てて駆け寄ってきたアオクに、急いで体を確かめたが、かすり傷はあるものの問題になるような傷はない。
けれど、すがりつくようにアシャの服を握り締めてきた指は、珍しく剣を手放していて、どれほど厳しい戦いだったのかを思わせた。
(おそらくは、自分への深い不信を抱えたまま)
今無事だということは、それでもアシャの教えたものが何か役立ったということだろうか。
(いずれにせよ、あれっぽっちじゃ足りない)
もっときっちり教え込まなくては、この先生き延びていくことさえできない。
(皮肉だな)
守りたいならば剣を教えなくてはならない。剣を教えれば厄介事に飛び込む機会も増えるだろう。
(どちらも同じ、か)
そして今ユーノの剣を教え直すのはアシャしかいない。
迷いを見抜いたように、ユーノがきつく服を握り締めてきた。目を閉じて気を失っているようなのに、少しでも離すまいとするその指に鼓動が打った。
(そうすれば、俺はお前のかけがえのない相手、になれるか?)
優しく愛しむ恋人同士にはほど遠い関係だとしても。
(お前の側にずっと居られるのか?)
それはきっと愛には届かないものだろうが。
アシャは重い吐息をつき、ゆっくりとユーノの体を抱き上げた。
「大丈夫なのか?」
「ああ…緊張が切れたんだろう」
「………こっちで見ていても凄い戦いだったからな」
二重の戦いだったんだ。
訴えたくなる気持ちをこらえて、アシャはユーノを深く抱き締める。
無事で戻ってきてくれた喜びと、ユーノが何に気づいたのか、その衝撃を思って胸が傷む。
(休ませてやりたい)
先はともかく、今は一刻も早く、少しでも楽にしてやりたい。
だが。
(俺は)
俺には、俺の。
一瞬ユーノの髪に頬を寄せ、アシャは首を振った。腕の中を示しながら、
「アオク…ユーノを連れて先に出てくれ」
「ああ? お前は?」
「ちょっと用がある」
「……わかった」
気がかりそうにクノーラスの遺骸を振り返ったが、もうどうしようもないと見極めをつけたのだろう、アオクはユーノを抱きかかえると急ぎ足に広間から出て行く。
その姿が視界から消えてから、アシャはクノーラスの死体を振り返った。
静かな声で言う。
「視察官(オペ)の任として、この地をとどめる。アシャの名のもとに」
低く祈りに似たその声と同時に、透明な金色の海のようなもやがゆっくりアシャから広がっていく。やがてそれは人の目には微かに煙る霧のようなものとなって、クノーラス居城全体を覆っていき、人々はそこに城があったことをそれとなく、何となく自分達の意識から消していってしまうはずだ。
ネークの王もまた、息子の居城を確認しにはくるだろうが、霧を見るとそこに何もあるはずがない、そういう気持ちに襲われて、城は不可思議な化け物と一緒に呑み込まれ消えてしまったのだ、そう納得することになるだろう。
「……ごまかし、だがな」
冷笑しながら、アシャは唇を歪めて呟く。
「真実を知って絶望するよりはいいだろう」
俺のように。
もやが行き渡っていくのに、目を細めて背中を向ける。
ドヌー達は自分たちを埋めていく波に自らの命が呑み込まれていくのに気づかなかったらしい。アシャを振り返ることもなく、クノーラスや傷ついた仲間を咀嚼する動きを繰り返しつつ、緩やかに動きを止めていった。
「いやしかし、もう少しのんびりしていたかった!」
「なんで?」
「ラセナの飯はうまかったしな!」
「またあんなこと、いってる」
イルファの声にレスファートが呆れたように唇を尖らせて見上げてきて、ユーノは苦笑した。
「まあイルファだし」
「そっか、イルファだもんね」
レスファートが忘れてた、と言いたげに大きく頷く。
4人は今ダノマの街を発ち、再び旅の空の下にいた。
「うまくまとまってよかったな」
「ん……」
アシャが声をかけてくるのに、ユーノは視線を合わせないで頷いた。
アオクとエキオラの結婚式が行われたのは、クノーラスの居城での戦いが済んで十日後のことだった。
ネークを治める王は不運を嘆いたものの、事情を詳しく知った上では、もうアオクを責めはしなかった。
王もあちらこちらで起こりつつある異変を知っていたし、影がとりつくとしか言えない奇行に走る者もクノーラス1人に限ったことではないことも気づいていた。クノーラスの居城が不思議なもやに包まれてどこかへ消えてしまったことも、王の諦めを早めた。
(アシャがまた、何かしたんだろうか)
ユーノはちらりと相手を見たが、アシャは平然とした顔をしていて、それこそ隠し事をしている気配さえない。
王は、アオクの処分に関して、罰を与えることで忠誠心のある秀でた勇士を失うのは愚かと考えたようだ。アオクとエキオラの結婚を許し、より以上の奉仕をアオクに求めることで、王はこの事件を締めくくった。
「王の招待を受けりゃ、もっとうまいものが食えたかも知れんのに」
「あの結婚式で十分だろ、お礼ももらったし」
ぶうぶう言うイルファにユーノが応え、アシャがくすりと笑ってこちらを見やってくる。
その笑みに、みるみる顔が熱くなるのをユーノは感じた。
(く、そ)
恥ずかしい。まだまともにアシャの顔が見られない。
(仕方ないだろ、無意識だったんだし)
必死に言い聞かせても、アシャの笑みが意味ありげで胸がどきどきする。
実はユーノがむっつりしたり赤くなったりしているのには理由がある。
戦いが終わった後、アシャの腕で気を失ってしまったというのも原因の一つだったが、問題はその後、戦いのせいか緊張のせいか、発熱して寝ていたユーノは、こともあろうにアシャの手を握って眠ってしまい、あまつさえその夜中にひどく不安がって、熱で朦朧としたまま、側にいてくれとアシャをかき口説いた、というのだ。
どうやら、昼間味わった恐怖が、熱のせいで自制できなくなったユーノに本音を吐かせてしまったらしい。朝になってそれを聞かされた時は、アシャの顔が見られなかったし、口もきけなかった。
(一体私は何をやってるんだ)
側に居てくれ、なんて。
アシャはどう思っただろう。
ちゃんと側に居てくれたらしいが、他にもっと馬鹿なこと口走ってなかっただろうか。
考えるたびに顔から火を吹きそうな気がする。
それを知ってか知らずか、アシャがことあるごとに意味ありげに笑うから、余計にユーノはうろたえる。
いいかげんにしてほしい。
「ほんっと、アシャって、人をいじめるのが好きなんだよな」
「そうか?」
アシャがまた一瞬目を細め、続いてとても楽しそうにくすくす笑って応え、ユーノはかっとした。
「ア,アシャ!」
「ん?」
「だ、誰にだって調子がおかしい時はあるだろっ!」
「調子? おかしかったか? いつ?」
「う」
「まあ予想外に小さい掌だなとか、予想外に可愛らしいことを言うなあとか」
「そ、それはっ!」
「一晩中側に居て何をしてほしかったのかとか」
「ば、ばばばばかやろうっっ!」
レスファートがきょろきょろと2人を見比べながら瞬きしている。
何となく面白くなさそうに見ていたイルファが、突然口を挟んだ。
「さて、次はどこだったかなあ、アシャ!」
ことさらな大声に一瞬会話が止まった。
「なんだよいきなり」
「いや、次の国はどこかと」
「なんで今」
「何が食えるかなあと」
「…おい」
「…くふっ」
レスファートが小さく吹き出した。
「ペクがあればいいかなあと」
「……嫌がらせか」
「そうだ」
「……わかったからやめろ」
「くくくっ」
ついにユーノも笑い出した。苦虫を噛み潰したような顔になっていたアシャに笑いかけると、相手がふいと眉を緩め、やがて微かに苦笑する。
「イルファだからね?」
「そうだな」
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