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11.ラズーン(1)
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「ジノ。ジノ・スティルはいませんか」
「はい、姫さま。ここに控えております」
どこから姿を現したのか、一人の娘がリディノの前に跪いた。頭に深草色の布を巻き、薄緑の長衣に深草色の帯を締めている。深々と頭を下げると、黒い髪がさらさらと肩に触れて音をたてた。眩げに見上げた目は、やや重くも見える濃い青だ。
「御用でしょうか、姫さま」
「詩をうたってほしいの。構わない?」
尋ねるリディノに熱心に頷く。
「はい、もちろん」
「ユーノもアシャ兄さまもまだ帰ってきてないわ」
リディノはゆっくりと歩いて回廊の窓に近寄った。ジノが静かに目で追ってくる。
「もう、五日にもなるのに……」
憂鬱な顔で梢から漏れる日差しを見上げ、リディノは呟いた。
「おとうさまもイルファもレスも沈んでしまわれて……まるで屋敷が死んだよう……鳴き鳥(メール)の声も聞こえないわ」
「鳴き鳥(メール)は、ラズーンに次々集まってくる見知らぬ『銀の王族』に怯えているのでしょうよ、姫さま」
ジノがリディノの気持ちを引き立てるように応じた。
「そうね………でも、おとうさまの話では、これまで、これほど『銀の王族』が集まったことはなかったそうよ。それに、これまでなら、連れてこられた視察官(オペ)の方ともども、四大公のどこかの屋敷にお泊まりになるのが常なのに、半分近くの方々が、まっすぐに『氷の双宮』に入られるとか……泊まられた方も……ほら」
肩越しに視線を投げて、リディノは思い出させるように続けた。
「昨日来られたハイラカと呼ばれた『銀の王族』の方も、今朝すぐに『氷の双宮』へ向かわれたわ」
「そうですね、それに…」
ジノも考え込んだような色を、日に焼けた顔に浮かべた。
「『氷の双宮』へ『銀の王族』を連れて行かれた視察官(オペ)が、すぐに又、ラズーンを出発されるのも珍しいと聞きます」
「一体どうしたのかしら」
リディノは白い指先を軽く頬に当て、ほうっと溜め息をついた。
「諸国の忠誠を知るには大げさすぎるとは思わない?」
「……でも、このような動乱の世ですから……」
ジノはリディノの抱いた不安を、何とか和らげようとするように言った。
「乱れた諸国の現状を、よりよく捉えようとなさっているのではありませんか、『太皇(スーグ)』は」
「そうね…」
リディノは小さく息をついた。
「そうかもしれないわね」
「はい」
「……じゃ、ジノ、こちらへいらっしゃい。おとうさま方は私室にいらっしゃるのよ。私室で詩を聞かせてちょうだい」
「はい」
再び深々と頭を下げて、ジノは立ち上がった。
ジノはリディノづきの詩人(うたびと)、幼い頃は乳兄弟として育ち、二つ年上のリディノを、ジノはこの上なく尊敬し、愛してくれている。
「おとうさま?」
リディノは公の私室に入り、正面の豪奢な織の敷物の上で、所在ない様子で物思いにふけっている父親に声をかけた。その右に寝そべっていたイルファ、隣で中に羽毛を入れ、ふっくらと仕立てた枕を抱いて丸くなっていたレスファートも目を上げる。
イルファの前の酒と食べ物には手がつけられていなかったし、レスファートの側の皿に盛られた色とりどりの果物も、少年の食欲を誘っていなかった。泣きこそしていないが、眠れない夜を過ごしているらしいレスファートの疲れた顔が痛々しく、リディノはそっとその側に座り、少年の髪を撫でてやった。レスファートは身動きもせず愛撫を受け止めていたが、じっとリディノを見つめる目が決して寛いでいないことを示している。
「ふさいでいてはだめよ」
リディノもユーノやアシャのことが気にかかる、だがリディノは強いて明るい笑みを浮かべた。確信ありげに頷きながら、
「アシャ兄さまがついていらっしゃるのだから、絶対、大丈夫よ」
ジノを振り返って合図し、相手が入り口近くに座るのに優しく命じる。
「何か詩って、ジノ」
「何をご所望でしょうか、姫さま」
「そうね…」
迷って、部屋を見回したリディノの目に、中央の弦が切れたままのアシャの持っていた立風琴(リュシ)が映った。立ち上がって近づき、そっと取り上げ、ジノに渡す。
「アシャ兄さまのために、これで何か…」
「第三弦が切れていますね」
ジノが静かに受け取る。
「張り直しましょうか、新しいのに」
「いえ!」
自分でも意外なほどの強さでリディノは応じた。
「そのままでも弾けるのを」
「はい」
ジノは逆らわずに、他の四本の弦を一本ずつ弾いていきながら尋ねた。
「しかし、第三弦が切れているとなると、恋歌は無理ですね」
「一つも?」
「ええ。少なくとも、私の知っている限りでは」
リディノはジノのことばに切なく瞳を曇らせた。側に居ないアシャ、戻ってこないユーノの背後にレアナの影を感じ取る。リディノの想いは実らない、そう改めて示されたような気がして、急いで口調を変える。
「祭りの歌は?」
「無理です……おや、ほんとだ」
ジノは反射的に応えて不思議そうに首を傾げた。頭の中でさらうように少し目を閉じ、幾つかの詩をぶつぶつと口の中で呟いたが、首を振って目を開け、許しを請うた。
「私の未熟な腕をお笑い下さい、姫さま。第三弦が切れている以上、この立風琴(リュシ)で私が弾けるものはたった一つしかありません。どうか、他の立風琴(リュシ)を使うことをお許し下さい」
「たった一つとは?」
好奇心にかられて、リディノは問いかけた。
「姫さまのご所望には合いません。どうか、他の立風琴(リュシ)を…」
「何なの? 言ってちょうだい、ジノ」
「………『創世の詩(うた)』です」
リディノはゆっくり瞬きした。
「『創世の詩(うた)』…」
「はい」
「……わかりました。では、それを、ジノ」
「……はい」
ジノはなおも応じかねる様子だったが、やがて諦めたように立風琴(リュシ)を抱きかかえた。切れた第三弦を、邪魔にならないように上と下の枠に巻き付け、しばらく調弦を行う。イルファが体を起こし、レスファートが膝を抱えてジノに向き直った。少年の側に、リディノがドレスの裾を広げ直し、ふわりと座る。
ミダス公がなぜか物憂げな目を上げ、聞こえるか聞こえないほどの声で「運命…か」と呟く。
「それでは」
ジノは少し胸を張って息を吸い込んだ。丁寧な手つきで、第一弦、第二弦、第四弦、第五弦と弾いていき、第一弦の押さえ方を変えて、非常に高い第六番目の音を出した。そのちょうど一回り下の音に、声の調子を合わせる。
「それは彼の夜
時の果てのこと
まだこの世に光なく
闇もなくして
運命もなき夜のこと
死に絶えようとした世を
救うためにつくられた
彼の地ラズーン
神おわす地の創世の夜……」
ジノの朗々と張った声は、ゆっくりと創世の伝説を語っていった。
それは長き戦いの果てであった。
東と西の神は、争い、なおも争い、またそのうえに争いを繰り返した。
そして戦いが終わった後、残されたものは、荒れ変わり果てた大地と、神々の戦いに使われた武器のために見るも不気味な姿と習性を備えるようになった生物だった。荒廃したこの世界、かつては緑豊かな『地球』と呼ばれていたこの地の上で、それらの太古生物はお互いを喰み合い、殺し合い、地獄絵図を繰り広げていた。
荒廃の世、と呼ばれているのがその時である。
だが、そういった中でも、わずかに正常な姿を保ったものも居た。
彼らは東西の神々が争い始めた時、行く末を読み取り、ひそかに自らの最高の力を結集させて、万が一のための小部屋を地下に造った。続く大変動の時代を乗り越えるべく造られた小部屋は、生命を造り上げるためのものであった。
その小部屋で、彼らは荒廃の世を耐え忍び、自らの命を、種としての記憶を保存し、再生することによって存えた。
種の記憶は彼らのものだけが保存されているのではなかった。東西の神々が戦いを始める前に、この世界に生きていたもの、ありとあらゆる生物の種の記憶が、そこには保存されていた。
それらを再生し続けることによって、彼らは何とかしてその記憶を、荒廃の世が終わり、また再び彼らが栄える時まで残そうとした。
試みは成功したように思われた。
だが、運命はより苛烈であった。
ある日、彼らは、己の再生した記憶の中に、歪みが生じているのを発見した。記憶通りに再生したはずなのに、その再生された生物は、見るもおぞましい外の荒廃の世界の生物の特徴を備えていたのだ。
どうしたことなのだ。
人々はうろたえた。
これは一体、どういうことなのだ。装置は完璧であったはずだ。何が、どうなったのだ。
それでは、と一人が言い出した。
我々の中に、その因子を受けた者がいるのだ。忌まわしい外界の血を混ぜ込んだ、裏切り者がいるのだ。
それは誰だ。誰が呪われているのだ。
疑心暗鬼、人の心に棲む闇が、人々を焦燥に駆り立てていく。
このままでは、次に再生される生物、いや、再生される自分が、外の世界のような怪物になってしまう! 誰だ? 誰のせいだ!?
ついに、小部屋の中の人々は殺し合いを始めた。誰もが相手こそが怪物の因子を抱えていると疑い、相手さえいなくなれば元の安寧な日々が戻ると信じ。
倒れていく一人、二人、三人、四人……だが、その間も装置は再生し続けていく。正常な姿のヒト、異常な姿のヒト、正常な姿の生物、異常な姿の生物。
最後に生き残った一人が、ようやく発見した。
異常な再生は誰のせいでもない。再生を繰り返すうちに、ほんの微細なずれが生じるのだ。そのずれが重なり続け、時に決定的な記憶を狂わせ、種の記憶を根本から変えてしまっていくのだ。そして、それは、装置による再生を繰り返す限り避けられないことなのだ。
同じもの、同じ種の記憶ーそれはデーヌエーとも呼ばれたーをもとに再生を繰り返す限り、どうしようもないこと……ただ、抵抗する道は二つある。装置を壊し、この世の生命を絶ってしまうこと。もう一つは、新たな種の記憶(デーヌエー)を補充すること。
だが、最後の一人には、その決断は重すぎた。
この世の正常な生命の唯一のつなぎ目を断ち切れば、世は混乱と破滅の果てに死に絶える。かといって、新たな種の記憶(デーヌエー)を補充するためには、これまでに再生して世界に放って来た生物の中から、その保存者を選んでこなくてはならない。
その保存者が自分と同じ、少なくとも異常な因子をほとんど持たない存在である確率はどれぐらいあるのだろう。もし既に外界と交わって、姿のみ同じである者であれば、それこそ忌むべき因子を、殺し合ってまで避けて来た因子を自ら呼び込むことになる。
ではどうすればいい。
煩悶と逡巡、創世の傲慢に浸ることさえできぬ心とその魂。
閃光がひらめき、その体は倒れた。
それを再生するために働く者はもう誰もいなかった。
装置は小部屋の中で、次第に歪んでいく種の記憶(デーヌエー)を元にひたすら生物を再生し続け、決まった手続きで地上へ、荒廃の世へ送り出していった。
最後の一人は、決断を運命に任せた……。
「……」
アシャは水槽の一つ一つを見て回った。
二日前までは空っぽだった五つの水槽に、今は五人の男女が横たわっている。額に薄い膜のような輪を嵌め、輪からは細い線が出て水槽の一部に繋がっている。
洗礼を受けている最中の『銀の王族』達だ。
「こいつは…」
中の一人に見覚えがあって、アシャは立ち止まった。
ユーノと同い年ぐらい、淡色の髪の少年だ。他の『銀の王族』の例に漏れず、幸せそうな笑みを浮かべて眠っている。
彼らの頭に今送り込まれているのはラズーンの歴史であり、送り込みが終わった後に、それを鍵として目覚める『銀の王族』としての知識と経験こそが、ラズーンを復活させる『呼び水』、同時に彼らが『銀の王族』としてふさわしいかを確認する心への審問だ。もちろん、肉体的な種の記憶(デーヌエー)は、既に彼らの細胞から採取され、記録され、蓄えられている。
(ハイラカ、だったな)
アシャは少年の名前を思い出すと同時に、その場を離れた。向かったのは、五つの水槽の一番端、四日前から眠り続けている『銀の王族』、ユーナ・セレディス。
「ユーノ…」
自分の声が深い憂いと切ない甘さに潤んでいるのがわかる。
透明な水色の液体の中、ふんわりと浮いている華奢な体の右肩からは、銀色の泡が煌めきながら浮き上がっている。再生率はやっと半分を越したばかり、意識もまだ戻っていない。だが、約束通り、その額には、他の者達と同様、透き通った薄い膜のような輪が嵌まっており、『銀の王族』としての洗礼が始まっていることを示していた。呼吸はやや荒く、時折苦しそうに眉がひそめられる。他の『銀の王族』にとっては幸福な面白い昔話と感じるようなものさえも、傷ついて回復途中のユーノにはかなりの負担になっていることは間違いなかった。
「ユーノ………」
眉を寄せる。心がねじ切られていく苦痛を、アシャはじっと耐えた。ユーノを見ている限り、守り切れなかった罪悪感と、かけがえなく愛おしい存在を死地へ追い込まなくてはならない負い目に責め立てられるだろうとわかっていたが、側を離れる気にはなれなかった。
今すぐこの輪を外してやれば、ユーノは楽になるだろう。そして、ラズーンは貴重な知識を奪われ、やがてそれは『運命(リマイン)』の暗躍を助長していく。
それに、今ユーノから輪を外してやったとしても、彼女の助かる確率が上がるわけでもないことを、医術師としてのアシャは哀しいほどに理解している。
(ユーノ!)
今すぐ苦痛を取り除いてやりたい、それは愚かで甘い、その場しのぎの自己欺瞞だとわかっている。理性ではそうわかっている、わかってはいるが。
(代われるなら、俺が代わってやりたい)
拳を握りしめ、食い入るようにユーノを見つめた。
蒼白く血の気を失った唇は微かに開いて、透明な『マスク』の中で呼吸を続けている。細い腕が液体の中で波間に弄ばれる海草のように、ゆらりゆらりと上下している。
ユーノをもう一度、命あるものとして抱き締められるなら、アシャは何を惜しむだろう?
(ユーノがもう一度俺を見るなら……もう一度俺の名を呼ぶなら)
しかめた眉を少し緩めた。切なくて苦しくて、身動き出来なくて竦んでいく自分が信じられなくて認められない。
泣き出しそうなのだ、と感じた瞬間にアシャは首を振った。
目に見えぬ大きな力と取引する。
(どんな代償だって払ってやる)
「…戦いの果てに
人の心は荒れ
生き物は己の姿を忘れて久しく
聖なる宮に籠りし者のみ
世を伝えんとして
生命(いのち)刻み
生命(いのち)重ねる……」
ジノの声は哀調を帯びて、聴く者の心に沁み入った。
第三弦を鳴らさぬ代わりに、時折響く六番目の音は、時の流れを表してか、一定の間隔をおいて響き、落ち続ける水滴が、水盤に一滴二滴とその形を穿つようにも聞こえた。
「…いつしか
荒廃の世
古い息吹き浴びて
蘇らんとすれども
なお運命は激しく
宮に籠りし者の心に
呪いの血を吐く
かくして人の世の定めは
宮に籠りし者の心に芽生え
育ち、波立ち、
ついに宮の者もその生を果つ
地は太古生物跳梁し
天の嘆き深く
一つの星を送られん
ラズーンの
性のない神は目覚めの時を迎えたり…」
それはどこから来た人々であったのか。
或いは、彼らこそが『神』だったのかも知れない。
荒廃の世界へ降り立った来訪者は、すぐに小部屋を見つけ、入り込み、そこで起こったことの理解を得た。人がいない間も、永久動力で動き続ける装置を見つけ、何が行われようとして果たせなかったのかを察した。
彼には、それを止めることもできたはずだった。
だが、その時、再生されつつある一つのカプセルに目を止め、その子どもに何を期待したのだろう、子どもが大きくなるのを待って、小部屋を制御する術を教えた。同時に、孤独に揺らがぬ精神を鍛える術、自分が見て取った世界の状態なども教え込んだ。
装置を止めてしまう代わりに、再調整した種の記憶(デーヌエー)を元に、新たに正常な生命を再生し、まずは子どもの周囲を落ち着かせ、やがてその外側に新たな国を造り、王を選び、任せ、そうして、子どもと一緒に、世界の仕組みを一から造り上げていった。
この装置では二百年しか、正常な種の記憶(デーヌエー)を保つことができない。
来訪者はそう告げた。
だから、二百年たったら、お前は新たに種の記憶(デーヌエー)を補充するとともに、世界の状態を知るために、世に散らばった人々の幾人かを集めなくてはいけないよ。
でも、と初代の『太皇(スーグ)』は不安がった。
どうして私がなし得ましょう。私は無力な人間の一人に過ぎません。
それでは、お前と一緒に、もう少しこの世を整えることにしよう。
来訪者は約束した。
そして、視察官(オペ)が造られた。
再生された生命体の中で、精神が強いものは金のオーラを放っている。彼らを集めて武術医術を修めさせ、中央の秘密をある程度まで教えて、世界の様子を見に行かせるのだ。また、その中から次代のお前を選び出せばよい。
次に『銀の王族』が造られた。
特に種の記憶(デーヌエー)として見事な、整ったものを持っているものには、銀のオーラ、それも視察官(オペ)が探し求めた時だけ、視察官(オペ)に見えるようなオーラを持つように、特殊な形質を付与しよう。言わば認識票としてだが、それを持つ者に対しては攻撃しにくくなるように、他の者に条件づけをして、その一族が絶えないようにすればよい。
二百年毎のラズーンの種の記憶(デーヌエー)が崩れる時に『銀の王族』、つまり種の記憶(デーヌエー)を極めて良好な形で保存している生きた器を、視察官(オペ)に集めさせてラズーンへ連れてこさせ、その際に種の記憶(デーヌエー)を細胞から、世界の状況をその者の記憶から、それぞれ記録すればよいだろう。
そして、人間の崩れ、亜種としての『運命(リマイン)』は施政を一部分担させればよい。時に、あからさまに動かしては反発ばかりが大きくなる、施政の裏側の力として。闇の駆け引きを支配するものとして。
そうして、来訪者は去って行った。
残された人間は、死に絶えかけた世界を再生し始めた、その小部屋、『氷の双宮』のもとに。
「はい、姫さま。ここに控えております」
どこから姿を現したのか、一人の娘がリディノの前に跪いた。頭に深草色の布を巻き、薄緑の長衣に深草色の帯を締めている。深々と頭を下げると、黒い髪がさらさらと肩に触れて音をたてた。眩げに見上げた目は、やや重くも見える濃い青だ。
「御用でしょうか、姫さま」
「詩をうたってほしいの。構わない?」
尋ねるリディノに熱心に頷く。
「はい、もちろん」
「ユーノもアシャ兄さまもまだ帰ってきてないわ」
リディノはゆっくりと歩いて回廊の窓に近寄った。ジノが静かに目で追ってくる。
「もう、五日にもなるのに……」
憂鬱な顔で梢から漏れる日差しを見上げ、リディノは呟いた。
「おとうさまもイルファもレスも沈んでしまわれて……まるで屋敷が死んだよう……鳴き鳥(メール)の声も聞こえないわ」
「鳴き鳥(メール)は、ラズーンに次々集まってくる見知らぬ『銀の王族』に怯えているのでしょうよ、姫さま」
ジノがリディノの気持ちを引き立てるように応じた。
「そうね………でも、おとうさまの話では、これまで、これほど『銀の王族』が集まったことはなかったそうよ。それに、これまでなら、連れてこられた視察官(オペ)の方ともども、四大公のどこかの屋敷にお泊まりになるのが常なのに、半分近くの方々が、まっすぐに『氷の双宮』に入られるとか……泊まられた方も……ほら」
肩越しに視線を投げて、リディノは思い出させるように続けた。
「昨日来られたハイラカと呼ばれた『銀の王族』の方も、今朝すぐに『氷の双宮』へ向かわれたわ」
「そうですね、それに…」
ジノも考え込んだような色を、日に焼けた顔に浮かべた。
「『氷の双宮』へ『銀の王族』を連れて行かれた視察官(オペ)が、すぐに又、ラズーンを出発されるのも珍しいと聞きます」
「一体どうしたのかしら」
リディノは白い指先を軽く頬に当て、ほうっと溜め息をついた。
「諸国の忠誠を知るには大げさすぎるとは思わない?」
「……でも、このような動乱の世ですから……」
ジノはリディノの抱いた不安を、何とか和らげようとするように言った。
「乱れた諸国の現状を、よりよく捉えようとなさっているのではありませんか、『太皇(スーグ)』は」
「そうね…」
リディノは小さく息をついた。
「そうかもしれないわね」
「はい」
「……じゃ、ジノ、こちらへいらっしゃい。おとうさま方は私室にいらっしゃるのよ。私室で詩を聞かせてちょうだい」
「はい」
再び深々と頭を下げて、ジノは立ち上がった。
ジノはリディノづきの詩人(うたびと)、幼い頃は乳兄弟として育ち、二つ年上のリディノを、ジノはこの上なく尊敬し、愛してくれている。
「おとうさま?」
リディノは公の私室に入り、正面の豪奢な織の敷物の上で、所在ない様子で物思いにふけっている父親に声をかけた。その右に寝そべっていたイルファ、隣で中に羽毛を入れ、ふっくらと仕立てた枕を抱いて丸くなっていたレスファートも目を上げる。
イルファの前の酒と食べ物には手がつけられていなかったし、レスファートの側の皿に盛られた色とりどりの果物も、少年の食欲を誘っていなかった。泣きこそしていないが、眠れない夜を過ごしているらしいレスファートの疲れた顔が痛々しく、リディノはそっとその側に座り、少年の髪を撫でてやった。レスファートは身動きもせず愛撫を受け止めていたが、じっとリディノを見つめる目が決して寛いでいないことを示している。
「ふさいでいてはだめよ」
リディノもユーノやアシャのことが気にかかる、だがリディノは強いて明るい笑みを浮かべた。確信ありげに頷きながら、
「アシャ兄さまがついていらっしゃるのだから、絶対、大丈夫よ」
ジノを振り返って合図し、相手が入り口近くに座るのに優しく命じる。
「何か詩って、ジノ」
「何をご所望でしょうか、姫さま」
「そうね…」
迷って、部屋を見回したリディノの目に、中央の弦が切れたままのアシャの持っていた立風琴(リュシ)が映った。立ち上がって近づき、そっと取り上げ、ジノに渡す。
「アシャ兄さまのために、これで何か…」
「第三弦が切れていますね」
ジノが静かに受け取る。
「張り直しましょうか、新しいのに」
「いえ!」
自分でも意外なほどの強さでリディノは応じた。
「そのままでも弾けるのを」
「はい」
ジノは逆らわずに、他の四本の弦を一本ずつ弾いていきながら尋ねた。
「しかし、第三弦が切れているとなると、恋歌は無理ですね」
「一つも?」
「ええ。少なくとも、私の知っている限りでは」
リディノはジノのことばに切なく瞳を曇らせた。側に居ないアシャ、戻ってこないユーノの背後にレアナの影を感じ取る。リディノの想いは実らない、そう改めて示されたような気がして、急いで口調を変える。
「祭りの歌は?」
「無理です……おや、ほんとだ」
ジノは反射的に応えて不思議そうに首を傾げた。頭の中でさらうように少し目を閉じ、幾つかの詩をぶつぶつと口の中で呟いたが、首を振って目を開け、許しを請うた。
「私の未熟な腕をお笑い下さい、姫さま。第三弦が切れている以上、この立風琴(リュシ)で私が弾けるものはたった一つしかありません。どうか、他の立風琴(リュシ)を使うことをお許し下さい」
「たった一つとは?」
好奇心にかられて、リディノは問いかけた。
「姫さまのご所望には合いません。どうか、他の立風琴(リュシ)を…」
「何なの? 言ってちょうだい、ジノ」
「………『創世の詩(うた)』です」
リディノはゆっくり瞬きした。
「『創世の詩(うた)』…」
「はい」
「……わかりました。では、それを、ジノ」
「……はい」
ジノはなおも応じかねる様子だったが、やがて諦めたように立風琴(リュシ)を抱きかかえた。切れた第三弦を、邪魔にならないように上と下の枠に巻き付け、しばらく調弦を行う。イルファが体を起こし、レスファートが膝を抱えてジノに向き直った。少年の側に、リディノがドレスの裾を広げ直し、ふわりと座る。
ミダス公がなぜか物憂げな目を上げ、聞こえるか聞こえないほどの声で「運命…か」と呟く。
「それでは」
ジノは少し胸を張って息を吸い込んだ。丁寧な手つきで、第一弦、第二弦、第四弦、第五弦と弾いていき、第一弦の押さえ方を変えて、非常に高い第六番目の音を出した。そのちょうど一回り下の音に、声の調子を合わせる。
「それは彼の夜
時の果てのこと
まだこの世に光なく
闇もなくして
運命もなき夜のこと
死に絶えようとした世を
救うためにつくられた
彼の地ラズーン
神おわす地の創世の夜……」
ジノの朗々と張った声は、ゆっくりと創世の伝説を語っていった。
それは長き戦いの果てであった。
東と西の神は、争い、なおも争い、またそのうえに争いを繰り返した。
そして戦いが終わった後、残されたものは、荒れ変わり果てた大地と、神々の戦いに使われた武器のために見るも不気味な姿と習性を備えるようになった生物だった。荒廃したこの世界、かつては緑豊かな『地球』と呼ばれていたこの地の上で、それらの太古生物はお互いを喰み合い、殺し合い、地獄絵図を繰り広げていた。
荒廃の世、と呼ばれているのがその時である。
だが、そういった中でも、わずかに正常な姿を保ったものも居た。
彼らは東西の神々が争い始めた時、行く末を読み取り、ひそかに自らの最高の力を結集させて、万が一のための小部屋を地下に造った。続く大変動の時代を乗り越えるべく造られた小部屋は、生命を造り上げるためのものであった。
その小部屋で、彼らは荒廃の世を耐え忍び、自らの命を、種としての記憶を保存し、再生することによって存えた。
種の記憶は彼らのものだけが保存されているのではなかった。東西の神々が戦いを始める前に、この世界に生きていたもの、ありとあらゆる生物の種の記憶が、そこには保存されていた。
それらを再生し続けることによって、彼らは何とかしてその記憶を、荒廃の世が終わり、また再び彼らが栄える時まで残そうとした。
試みは成功したように思われた。
だが、運命はより苛烈であった。
ある日、彼らは、己の再生した記憶の中に、歪みが生じているのを発見した。記憶通りに再生したはずなのに、その再生された生物は、見るもおぞましい外の荒廃の世界の生物の特徴を備えていたのだ。
どうしたことなのだ。
人々はうろたえた。
これは一体、どういうことなのだ。装置は完璧であったはずだ。何が、どうなったのだ。
それでは、と一人が言い出した。
我々の中に、その因子を受けた者がいるのだ。忌まわしい外界の血を混ぜ込んだ、裏切り者がいるのだ。
それは誰だ。誰が呪われているのだ。
疑心暗鬼、人の心に棲む闇が、人々を焦燥に駆り立てていく。
このままでは、次に再生される生物、いや、再生される自分が、外の世界のような怪物になってしまう! 誰だ? 誰のせいだ!?
ついに、小部屋の中の人々は殺し合いを始めた。誰もが相手こそが怪物の因子を抱えていると疑い、相手さえいなくなれば元の安寧な日々が戻ると信じ。
倒れていく一人、二人、三人、四人……だが、その間も装置は再生し続けていく。正常な姿のヒト、異常な姿のヒト、正常な姿の生物、異常な姿の生物。
最後に生き残った一人が、ようやく発見した。
異常な再生は誰のせいでもない。再生を繰り返すうちに、ほんの微細なずれが生じるのだ。そのずれが重なり続け、時に決定的な記憶を狂わせ、種の記憶を根本から変えてしまっていくのだ。そして、それは、装置による再生を繰り返す限り避けられないことなのだ。
同じもの、同じ種の記憶ーそれはデーヌエーとも呼ばれたーをもとに再生を繰り返す限り、どうしようもないこと……ただ、抵抗する道は二つある。装置を壊し、この世の生命を絶ってしまうこと。もう一つは、新たな種の記憶(デーヌエー)を補充すること。
だが、最後の一人には、その決断は重すぎた。
この世の正常な生命の唯一のつなぎ目を断ち切れば、世は混乱と破滅の果てに死に絶える。かといって、新たな種の記憶(デーヌエー)を補充するためには、これまでに再生して世界に放って来た生物の中から、その保存者を選んでこなくてはならない。
その保存者が自分と同じ、少なくとも異常な因子をほとんど持たない存在である確率はどれぐらいあるのだろう。もし既に外界と交わって、姿のみ同じである者であれば、それこそ忌むべき因子を、殺し合ってまで避けて来た因子を自ら呼び込むことになる。
ではどうすればいい。
煩悶と逡巡、創世の傲慢に浸ることさえできぬ心とその魂。
閃光がひらめき、その体は倒れた。
それを再生するために働く者はもう誰もいなかった。
装置は小部屋の中で、次第に歪んでいく種の記憶(デーヌエー)を元にひたすら生物を再生し続け、決まった手続きで地上へ、荒廃の世へ送り出していった。
最後の一人は、決断を運命に任せた……。
「……」
アシャは水槽の一つ一つを見て回った。
二日前までは空っぽだった五つの水槽に、今は五人の男女が横たわっている。額に薄い膜のような輪を嵌め、輪からは細い線が出て水槽の一部に繋がっている。
洗礼を受けている最中の『銀の王族』達だ。
「こいつは…」
中の一人に見覚えがあって、アシャは立ち止まった。
ユーノと同い年ぐらい、淡色の髪の少年だ。他の『銀の王族』の例に漏れず、幸せそうな笑みを浮かべて眠っている。
彼らの頭に今送り込まれているのはラズーンの歴史であり、送り込みが終わった後に、それを鍵として目覚める『銀の王族』としての知識と経験こそが、ラズーンを復活させる『呼び水』、同時に彼らが『銀の王族』としてふさわしいかを確認する心への審問だ。もちろん、肉体的な種の記憶(デーヌエー)は、既に彼らの細胞から採取され、記録され、蓄えられている。
(ハイラカ、だったな)
アシャは少年の名前を思い出すと同時に、その場を離れた。向かったのは、五つの水槽の一番端、四日前から眠り続けている『銀の王族』、ユーナ・セレディス。
「ユーノ…」
自分の声が深い憂いと切ない甘さに潤んでいるのがわかる。
透明な水色の液体の中、ふんわりと浮いている華奢な体の右肩からは、銀色の泡が煌めきながら浮き上がっている。再生率はやっと半分を越したばかり、意識もまだ戻っていない。だが、約束通り、その額には、他の者達と同様、透き通った薄い膜のような輪が嵌まっており、『銀の王族』としての洗礼が始まっていることを示していた。呼吸はやや荒く、時折苦しそうに眉がひそめられる。他の『銀の王族』にとっては幸福な面白い昔話と感じるようなものさえも、傷ついて回復途中のユーノにはかなりの負担になっていることは間違いなかった。
「ユーノ………」
眉を寄せる。心がねじ切られていく苦痛を、アシャはじっと耐えた。ユーノを見ている限り、守り切れなかった罪悪感と、かけがえなく愛おしい存在を死地へ追い込まなくてはならない負い目に責め立てられるだろうとわかっていたが、側を離れる気にはなれなかった。
今すぐこの輪を外してやれば、ユーノは楽になるだろう。そして、ラズーンは貴重な知識を奪われ、やがてそれは『運命(リマイン)』の暗躍を助長していく。
それに、今ユーノから輪を外してやったとしても、彼女の助かる確率が上がるわけでもないことを、医術師としてのアシャは哀しいほどに理解している。
(ユーノ!)
今すぐ苦痛を取り除いてやりたい、それは愚かで甘い、その場しのぎの自己欺瞞だとわかっている。理性ではそうわかっている、わかってはいるが。
(代われるなら、俺が代わってやりたい)
拳を握りしめ、食い入るようにユーノを見つめた。
蒼白く血の気を失った唇は微かに開いて、透明な『マスク』の中で呼吸を続けている。細い腕が液体の中で波間に弄ばれる海草のように、ゆらりゆらりと上下している。
ユーノをもう一度、命あるものとして抱き締められるなら、アシャは何を惜しむだろう?
(ユーノがもう一度俺を見るなら……もう一度俺の名を呼ぶなら)
しかめた眉を少し緩めた。切なくて苦しくて、身動き出来なくて竦んでいく自分が信じられなくて認められない。
泣き出しそうなのだ、と感じた瞬間にアシャは首を振った。
目に見えぬ大きな力と取引する。
(どんな代償だって払ってやる)
「…戦いの果てに
人の心は荒れ
生き物は己の姿を忘れて久しく
聖なる宮に籠りし者のみ
世を伝えんとして
生命(いのち)刻み
生命(いのち)重ねる……」
ジノの声は哀調を帯びて、聴く者の心に沁み入った。
第三弦を鳴らさぬ代わりに、時折響く六番目の音は、時の流れを表してか、一定の間隔をおいて響き、落ち続ける水滴が、水盤に一滴二滴とその形を穿つようにも聞こえた。
「…いつしか
荒廃の世
古い息吹き浴びて
蘇らんとすれども
なお運命は激しく
宮に籠りし者の心に
呪いの血を吐く
かくして人の世の定めは
宮に籠りし者の心に芽生え
育ち、波立ち、
ついに宮の者もその生を果つ
地は太古生物跳梁し
天の嘆き深く
一つの星を送られん
ラズーンの
性のない神は目覚めの時を迎えたり…」
それはどこから来た人々であったのか。
或いは、彼らこそが『神』だったのかも知れない。
荒廃の世界へ降り立った来訪者は、すぐに小部屋を見つけ、入り込み、そこで起こったことの理解を得た。人がいない間も、永久動力で動き続ける装置を見つけ、何が行われようとして果たせなかったのかを察した。
彼には、それを止めることもできたはずだった。
だが、その時、再生されつつある一つのカプセルに目を止め、その子どもに何を期待したのだろう、子どもが大きくなるのを待って、小部屋を制御する術を教えた。同時に、孤独に揺らがぬ精神を鍛える術、自分が見て取った世界の状態なども教え込んだ。
装置を止めてしまう代わりに、再調整した種の記憶(デーヌエー)を元に、新たに正常な生命を再生し、まずは子どもの周囲を落ち着かせ、やがてその外側に新たな国を造り、王を選び、任せ、そうして、子どもと一緒に、世界の仕組みを一から造り上げていった。
この装置では二百年しか、正常な種の記憶(デーヌエー)を保つことができない。
来訪者はそう告げた。
だから、二百年たったら、お前は新たに種の記憶(デーヌエー)を補充するとともに、世界の状態を知るために、世に散らばった人々の幾人かを集めなくてはいけないよ。
でも、と初代の『太皇(スーグ)』は不安がった。
どうして私がなし得ましょう。私は無力な人間の一人に過ぎません。
それでは、お前と一緒に、もう少しこの世を整えることにしよう。
来訪者は約束した。
そして、視察官(オペ)が造られた。
再生された生命体の中で、精神が強いものは金のオーラを放っている。彼らを集めて武術医術を修めさせ、中央の秘密をある程度まで教えて、世界の様子を見に行かせるのだ。また、その中から次代のお前を選び出せばよい。
次に『銀の王族』が造られた。
特に種の記憶(デーヌエー)として見事な、整ったものを持っているものには、銀のオーラ、それも視察官(オペ)が探し求めた時だけ、視察官(オペ)に見えるようなオーラを持つように、特殊な形質を付与しよう。言わば認識票としてだが、それを持つ者に対しては攻撃しにくくなるように、他の者に条件づけをして、その一族が絶えないようにすればよい。
二百年毎のラズーンの種の記憶(デーヌエー)が崩れる時に『銀の王族』、つまり種の記憶(デーヌエー)を極めて良好な形で保存している生きた器を、視察官(オペ)に集めさせてラズーンへ連れてこさせ、その際に種の記憶(デーヌエー)を細胞から、世界の状況をその者の記憶から、それぞれ記録すればよいだろう。
そして、人間の崩れ、亜種としての『運命(リマイン)』は施政を一部分担させればよい。時に、あからさまに動かしては反発ばかりが大きくなる、施政の裏側の力として。闇の駆け引きを支配するものとして。
そうして、来訪者は去って行った。
残された人間は、死に絶えかけた世界を再生し始めた、その小部屋、『氷の双宮』のもとに。
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