乙女ゲームのモブキャラから離脱してみせます。

沖城沙音

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20話 イベント

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王宮で訓練するようになってから半年が過ぎようとしていた。
僕はそこそこの魔物なら倒せるようにまで成長していた。

そして、そろそろあのイベントが来る頃だ。
聖女の中間テストといったところだろうか。

ゲームが始まって1年後に魔王と対決するため、ちょうどゲームが始まってから半分辺りで聖女がきちんと成長できているか、少し強めの魔物が現れて今の実力を確認するイベントだ。

そして、ここはゲームの第一次躓きポイントでもある。
ほとんどのプレイヤーは恋愛ばかりに注視して、自身のレベルを上げないからだ。
僕の姉も同様で、ボス魔物に勝てず、僕にレベル上げをしろと押し付けてきていた。

またこのイベントで、攻略対象の誰のルートに進むかも決定される。
決まる瞬間としては、魔物との戦いで全員が怪我を負うことになり、進みたいルートの人を一番先に治することで、その人のルートに進むことが出来る。

お陰で僕がボスを倒した後、その選択肢が出てきた瞬間にゲームを取り上げられた。お礼も言われず……。

昨夜、お父さんにそのイベント事を話したら、今日もっと詳しく知りたいと言うことで、午前中からお父さんの仕事部屋に来ている。
ちなみに恋愛のルートに関しては言う必要はないので伏せてある。


”トントントン”

誰かがドアをノックした。おそらくシリルさんだろう。
「はい。」

お父さんが返事をすると、ドアが開いた。
「失礼します。」
やはりシリルさんだった。

「急に呼び出してごめんね。大丈夫だった?」
「はい。問題ありません。それでお話というのは。」

そう言うとシリルさんは椅子に座っている僕の方をちらりと見た。
お父さんもそれに気づいて口を開く。

「うん。その話のことで共有しておこうと思って。」
「はい。」

シリルさんが席についたところで、お父さんが昨日僕が伝えたことを説明する。

「なるほど。そんなことが近々起こると。それで、場所はどこですか?」
「それがよく思い出せないみたいなんだ。」

「すみません。何となく光景は覚えているんですけど、名前までは分からなくて。」

さすがに地名までは覚えていない。カタカナの横文字だったなーってことくらいしか。
そもそも覚えようとも思わなかったし。

「だから、今日は少しでも特定できればと思ってね。」
「そういうことでしたか。」

「とりあえず地図ね。」
お父さんは椅子の横においてあった地図をテーブルいっぱいに広げる。

その地図は、この国全体が入るくらいの縮尺で書かれている。

「フランツには説明したことなかったと思うから、一通り説明するね。」
「うん。ありがとう。」

「まずこれが、フランツが住んでいる国。」

お父さんは分かりやすいように、地図の国境をなぞっている。
大きな大陸に正方形みたいな線が引いてあり。これが国境ということらしい。

国境付近は基本的には山で囲まれているが、右側の下半分と下側の右半分は囲まれていない。

「でここが今いる王都。」
ちょうど国の真ん中辺りが王都か。

「で、ここがフランツの家があるところだ。」
僕の家があるのは右下の国境付近で、大きな山がないところだ。

「とりあえずこんな感じかな。次はフランツが覚えてること教えてくれる?」

「うん。確か場所としては、国境付近で、ざっくりだけど、この右側の山の下辺りだった気がする。」
「なるほどね。」

「それで、その場所の風景が、なんていうか、同じような家がたくさん建っていて、建物の壁が、茶色い木がバッテンになってるようなデザインの作りをしてたんだけど……。伝わってる?」

「うん。言いたいことはわかるよ。確か、この辺の地域でそういう造りの家をしているのは、ここの町くらいかな?」
お父さんはその町があるところを指差す。

「そうですね。この町は宿場町としても有名で国境付近にしては、家も多い印象ですし、可能性としてはあり得ますね。それに、この辺りは最近魔物の動きが活発という報告もあがってきています。」
「そうなると、ここで正解かもね。」

「あの、僕本当にそこであってるか行って確かめたいです。」
いまいち自信がないから、とりあえず直接見てみたいんだよね。見たらすぐ分かると思うし。
でも遠いからダメって言われるかな?

「うん。そうだね。行ってみようか。」
「え?いいの?」

「いいよ。お父さんと一緒に行って確かめてみようか。」

「うん。ありがとう。あっあと、僕伝え忘れてたことがあるんだけど、このイベントは町の人達が大勢犠牲になってから、それを聖女様達が救うってことになってるんだ。だけど、もっと早く行ってみんなを救えないかな?」

「うーん。そうだね。普通だと、魔物が出てきて、被害にあって、討伐連絡が来てから、出発するから、到着までの間はどうしても犠牲者が出てしまうね。どうにかできないか、こちらで検討してみるよ。」
「ありがとう。」

「とにかく、まずはその町に行ってから考えようか。シリルもそれでいいかな?」
「はい。問題ありません。」


この話をした2日後、僕とお父さんは町に向けて出発した。
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