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ティシュトリア・ラナンキュラス・5
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「産まれたばかりのオーキッドをエラフに預けたのは悪かったわ。でもね。私にも私の都合があったのよ」
「都合ですか。その都合というのも、父上以外の男との約束でしょう? 父上がどれだけ苦労をしたのか、母上はご存知ですか?」
頭に血が上ってきたオルキデアは、膝の上で強く手を握り締めることでじっと堪える。
まだ乳飲み子であったオルキデアを抱えた父は、仕事と育児で相当の苦労をしただろう。
それでも、使用人やコーンウォール家の力を借りられたからまだ良かった。
もし借りられなかったら、今頃オルキデア共々、親子で破滅していただろう。
「それだけではありません。我が家の財産を使って、勝手に借金を肩代わりして、ラナンキュラスの財産を食い尽くそうとしました。
それだけでも父上と俺が、どれだけ苦労をしたことか……」
「私が全て肩代わりしただけじゃないのよ。相手が勝手に私の名前を使って、借金を増やしたのよ」
エラフの死後も、ティシュトリアは借金を増やし続けた。
その返済の為に、オルキデアはほぼ休みなく働かなければならず、戦勝での報奨金まで借金の返済に当てたのだった。
ーーその分、二十代後半にして少将にまで昇進出来たのは良かったが。
「どうせ、母上が自ら申し出たのでしょう? 自分の名前を使って、借金をすればいい、と」
今では、ティシュトリアの名義で借金が出来ないように、オルキデアは各所と手続きを交わしている。
手続きと言っても、ティシュトリアの名義で作ったカードや銀行口座の利用と、新しくカードや口座が開設出来ないように全て停止させただけだが。
それもあって、今ではすっかり借金は無くなり、ようやくオルキデアも借金の返済から解放されたのだった。
この手続きもコーンウォール家に手伝ってもらった。
ティシュトリアの生家である伯爵家にも相談したが、ティシュトリアの男遊びの噂は生家にも及んでいるようで、代替わりした伯爵家の当主ーーティシュトリアの兄にして、オルキデアの伯父、にはほとんど相手にされなかった。
代わりにと言えばいいのか、相当な金額が書かれた小切手という名の手切れ金を渡された。
実際にそれもティシュトリアが作った借金返済の役に立ったので、文句は言えなかった。
結局、実施的な手続きは、コーンウォール家が主体となってやってくれた。
オルキデアが戦場や北部基地に行ってる間に、ほぼ全ての手続きを済ませてくれたのだった。
それもあって、いつまでもセシリアとその両親には頭が上がらなかった。
「とにかく、俺は結婚する気はありません。これを持って帰って下さい」
テーブルに広げていた書類を集めると、母親に押しつける。
「どうしてオーキッド? 相手は伯爵よ。悪い話ではないと思うの」
「そうやって、ランタナ伯爵の孫娘と結婚させて、ラナンキュラス家を吸収したランタナ伯爵家を食い物にするんですね」
ティシュトリアの魂胆は見えている。
ティシュトリアが持参した書類によると、ランタナ伯爵家には孫娘のティファを除いて後継者がいなかった。
ティファと結婚した場合、オルキデアはランタナ伯爵家に入ることになるだろう。
兄がいたティシュトリアの生家や、名ばかり貴族であるラナンキュラス家と違って、ランタナ伯爵家にはティファしか後継者がいない。ランタナ伯爵家は、自分たちより身分の低いラナンキュラス家を吸収して、伯爵家の存続を優先させるはずだ。
オルキデアがランタナ伯爵家に入ってしまえば、ティシュトリアはティファの義母となる。更にオルキデアとティファの間に子供が出来れば祖母となる。
そうすれば孫を理由に、ティシュトリアもランタナ伯爵家の財産を使えるようになるだろう。孫の為にと言われれば、ランタナ伯爵家も下手に断れない。
それが、ティシュトリアの狙いだと考えられた。
「都合ですか。その都合というのも、父上以外の男との約束でしょう? 父上がどれだけ苦労をしたのか、母上はご存知ですか?」
頭に血が上ってきたオルキデアは、膝の上で強く手を握り締めることでじっと堪える。
まだ乳飲み子であったオルキデアを抱えた父は、仕事と育児で相当の苦労をしただろう。
それでも、使用人やコーンウォール家の力を借りられたからまだ良かった。
もし借りられなかったら、今頃オルキデア共々、親子で破滅していただろう。
「それだけではありません。我が家の財産を使って、勝手に借金を肩代わりして、ラナンキュラスの財産を食い尽くそうとしました。
それだけでも父上と俺が、どれだけ苦労をしたことか……」
「私が全て肩代わりしただけじゃないのよ。相手が勝手に私の名前を使って、借金を増やしたのよ」
エラフの死後も、ティシュトリアは借金を増やし続けた。
その返済の為に、オルキデアはほぼ休みなく働かなければならず、戦勝での報奨金まで借金の返済に当てたのだった。
ーーその分、二十代後半にして少将にまで昇進出来たのは良かったが。
「どうせ、母上が自ら申し出たのでしょう? 自分の名前を使って、借金をすればいい、と」
今では、ティシュトリアの名義で借金が出来ないように、オルキデアは各所と手続きを交わしている。
手続きと言っても、ティシュトリアの名義で作ったカードや銀行口座の利用と、新しくカードや口座が開設出来ないように全て停止させただけだが。
それもあって、今ではすっかり借金は無くなり、ようやくオルキデアも借金の返済から解放されたのだった。
この手続きもコーンウォール家に手伝ってもらった。
ティシュトリアの生家である伯爵家にも相談したが、ティシュトリアの男遊びの噂は生家にも及んでいるようで、代替わりした伯爵家の当主ーーティシュトリアの兄にして、オルキデアの伯父、にはほとんど相手にされなかった。
代わりにと言えばいいのか、相当な金額が書かれた小切手という名の手切れ金を渡された。
実際にそれもティシュトリアが作った借金返済の役に立ったので、文句は言えなかった。
結局、実施的な手続きは、コーンウォール家が主体となってやってくれた。
オルキデアが戦場や北部基地に行ってる間に、ほぼ全ての手続きを済ませてくれたのだった。
それもあって、いつまでもセシリアとその両親には頭が上がらなかった。
「とにかく、俺は結婚する気はありません。これを持って帰って下さい」
テーブルに広げていた書類を集めると、母親に押しつける。
「どうしてオーキッド? 相手は伯爵よ。悪い話ではないと思うの」
「そうやって、ランタナ伯爵の孫娘と結婚させて、ラナンキュラス家を吸収したランタナ伯爵家を食い物にするんですね」
ティシュトリアの魂胆は見えている。
ティシュトリアが持参した書類によると、ランタナ伯爵家には孫娘のティファを除いて後継者がいなかった。
ティファと結婚した場合、オルキデアはランタナ伯爵家に入ることになるだろう。
兄がいたティシュトリアの生家や、名ばかり貴族であるラナンキュラス家と違って、ランタナ伯爵家にはティファしか後継者がいない。ランタナ伯爵家は、自分たちより身分の低いラナンキュラス家を吸収して、伯爵家の存続を優先させるはずだ。
オルキデアがランタナ伯爵家に入ってしまえば、ティシュトリアはティファの義母となる。更にオルキデアとティファの間に子供が出来れば祖母となる。
そうすれば孫を理由に、ティシュトリアもランタナ伯爵家の財産を使えるようになるだろう。孫の為にと言われれば、ランタナ伯爵家も下手に断れない。
それが、ティシュトリアの狙いだと考えられた。
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