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移送作戦【終了】・2
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ロングスカートの裾に足を取られて転びそうになりながらも、オルキデアの元にやってきたアリーシャは、「お出迎え出来ず、すみません」と謝ってくる。
「気にするな。たった今、戻って来たところだからな」
「ただいま戻りました。アリーシャさん」
「セシリアさんもお帰りなさい。二人とも無事で良かったです」
微笑むアリーシャとオルキデアたちに、「では、私たちはそろそろ」とコーンウォール夫妻が暇を告げたのだった。
「一通りは揃えましたが、何か足りないものがあれば遠慮なく言って下さいね」
「ああ。そうだ。忘れずにこれを渡さなくては」
オルキデアが懐から現金が入った封筒を取り出し、「これは今日の分の報酬で……」と言いかけるが、夫婦は「いいから」と固辞したのだった。
「だが……」
「いいんですよ。あのオーキッド坊ちゃんのお嫁さんに会えたんですもの。それも素敵なお嫁さんに。ねぇ、アンタ?」
マルテに同意を求められて、メイソンも感慨深げに頷く。
「まさか生きている内にセシリアの花婿だけじゃなくて、オーキッド坊っちゃんの花嫁にも会えるとは思わなかった」
「メイソン氏……」
「いい娘じゃないか。……大切にするんだぞ。いいな」
念を押すメイソンにオルキデアは頷く。
次いでメイソンが視線をオルキデアの隣に移すと、恥ずかしそうにアリーシャがそっと寄り添ったのだった。
「アリーシャさん、植えて欲しい花があれば言ってくれ」
「ありがとうございました。メイソン氏、マルテ」
「ありがとうございました」
そうして手を振るアリーシャとセシリアに見送られながら、コーンウォール夫婦は車に乗り込むと、メイソンの運転で屋敷から去って行ったのだった。
車が見えなくなった後、手を下ろしたセシリアが「クシャ様、私たちもそろそろ」とクシャースラを促す。
「そうだな。オルキデア、おれたちも帰るよ」
「夕食は食べていかないのか?」
「ようやく夫婦水入らずの時間を過ごせるんだ。邪魔する訳にはいかないだろう」
クシャースラが自身の妻に尋ねると、セシリアからも「そうですね」と返される。
「オーキッド様。借りていたアリーシャさんのお洋服と、ご用意して頂いたウィッグをお返ししますね」
セシリアからカバンを受け取るオルキデアを見ていたアリーシャが、「あの!」と急に慌て出す。
「私、セシリアさんのドレスと帽子を部屋に置いているんです。お返しするので、今、持って来ます!」
「ああ。いいんです。アリーシャさん!」
屋敷に入ろうとするアリーシャをセシリアは止める。
「あの服と帽子はアリーシャさんに差し上げます」
「でも、いいんですか……?」
「ええ。最初に服を用意した時は時間がなくて、ああいうお出掛け用のおしゃれな服と帽子を用意出来なかったので……。後から、クシャ様に持って行ってもらえば良かったと、ずっと後悔していたんです」
最初にオルキデアがクシャースラを通して、アリーシャの服を用意するようにセシリアにお願いした時、セシリアは下着や普段着の用意だけで頭がいっぱいになっていたらしい。ーーそもそもオルキデアが大雑把にしか伝えなかったのと、アリーシャの洋服のサイズを誰も知らなかったというのもあるが。
化粧品や女性用品までは頭が回ったが、それ以外は気が回らなかったらしい。
「気にするな。たった今、戻って来たところだからな」
「ただいま戻りました。アリーシャさん」
「セシリアさんもお帰りなさい。二人とも無事で良かったです」
微笑むアリーシャとオルキデアたちに、「では、私たちはそろそろ」とコーンウォール夫妻が暇を告げたのだった。
「一通りは揃えましたが、何か足りないものがあれば遠慮なく言って下さいね」
「ああ。そうだ。忘れずにこれを渡さなくては」
オルキデアが懐から現金が入った封筒を取り出し、「これは今日の分の報酬で……」と言いかけるが、夫婦は「いいから」と固辞したのだった。
「だが……」
「いいんですよ。あのオーキッド坊ちゃんのお嫁さんに会えたんですもの。それも素敵なお嫁さんに。ねぇ、アンタ?」
マルテに同意を求められて、メイソンも感慨深げに頷く。
「まさか生きている内にセシリアの花婿だけじゃなくて、オーキッド坊っちゃんの花嫁にも会えるとは思わなかった」
「メイソン氏……」
「いい娘じゃないか。……大切にするんだぞ。いいな」
念を押すメイソンにオルキデアは頷く。
次いでメイソンが視線をオルキデアの隣に移すと、恥ずかしそうにアリーシャがそっと寄り添ったのだった。
「アリーシャさん、植えて欲しい花があれば言ってくれ」
「ありがとうございました。メイソン氏、マルテ」
「ありがとうございました」
そうして手を振るアリーシャとセシリアに見送られながら、コーンウォール夫婦は車に乗り込むと、メイソンの運転で屋敷から去って行ったのだった。
車が見えなくなった後、手を下ろしたセシリアが「クシャ様、私たちもそろそろ」とクシャースラを促す。
「そうだな。オルキデア、おれたちも帰るよ」
「夕食は食べていかないのか?」
「ようやく夫婦水入らずの時間を過ごせるんだ。邪魔する訳にはいかないだろう」
クシャースラが自身の妻に尋ねると、セシリアからも「そうですね」と返される。
「オーキッド様。借りていたアリーシャさんのお洋服と、ご用意して頂いたウィッグをお返ししますね」
セシリアからカバンを受け取るオルキデアを見ていたアリーシャが、「あの!」と急に慌て出す。
「私、セシリアさんのドレスと帽子を部屋に置いているんです。お返しするので、今、持って来ます!」
「ああ。いいんです。アリーシャさん!」
屋敷に入ろうとするアリーシャをセシリアは止める。
「あの服と帽子はアリーシャさんに差し上げます」
「でも、いいんですか……?」
「ええ。最初に服を用意した時は時間がなくて、ああいうお出掛け用のおしゃれな服と帽子を用意出来なかったので……。後から、クシャ様に持って行ってもらえば良かったと、ずっと後悔していたんです」
最初にオルキデアがクシャースラを通して、アリーシャの服を用意するようにセシリアにお願いした時、セシリアは下着や普段着の用意だけで頭がいっぱいになっていたらしい。ーーそもそもオルキデアが大雑把にしか伝えなかったのと、アリーシャの洋服のサイズを誰も知らなかったというのもあるが。
化粧品や女性用品までは頭が回ったが、それ以外は気が回らなかったらしい。
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