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結婚指輪・1
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やがて、車は王都の中でも、賑やかな通りへとやって来たのだった。
「ここは……?」
「王都の店通りだ。主に平民と下級貴族向けのな」
言われてみれば、道の両脇には衣料品店や雑貨屋が並び、若者たちが出入りしていた。
若者たちは決して豪奢ではないが、身綺麗でオシャレな格好をしており、女性たちは化粧を施して、宝飾品を身につけていた。
食料品を扱っているお店もあるようで、遣いと思しき子供や使用人、メイドらしき人たちの姿も見えたのだった。
「わあ……」
感嘆の声を漏らすと、「まだ早いぞ」と運転席から声を掛けられる。
「これでもまだ序の口だ。祭りがあれば、もっと人が出てきて、賑わうからな」
「お祭りがあるんですか?」
「国の建国や王族の生誕、婚姻。最近は無いが、敵国との戦勝記念の祭りもあるな。
その時は郊外からも人がやってきて、車が進めないくらい道路には人が溢れる」
「凄いですね!」
「再来月、王族の誕生を祝う祭りがある。その時もこの辺りは人で溢れるな」
アリーシャはふと運転席を向くと、声を掛ける。
「あの、お祭りの時なんですが……」
「わかっている。金をやるから、セシリアと出掛けてこい」
どうやら、セシリアと出掛けると思われているらしい。
アリーシャは「そうじゃないんです」と説明する。
「お祭りはオルキデア様と一緒に行きたいんです」
「俺と? 楽しめないかもしれないぞ」
更には「それ以前に、警備の仕事が入るかもしれん」とまで言われて、肩を落としてしまう。
オルキデアが簡単に説明してくれたところによると、お祭りの際の治安維持は、王都を警護する警察だけでは手が余るそうで、軍部所属の兵も毎年交替で警備を担当するらしい。
ただ、誰が担当になるかは、もう少ししないとわからないそうだ。
「ここでの最初のお祭りは、オルキデア様と一緒に行きたいんです。駄目ですか?」
「駄目ではないが……。わかった。考えておく」
オルキデアは何度か右左折を繰り返すと、とある建物の前で車を停める。
「着いたぞ。ここがその宝飾品店だ」
駐車場に車を停めると、オルキデアの手を借りて車から降りる。
目の前には、ガラス張りのオシャレな外装をした店が建っていた。
コートを羽織りながらショーウィンドウを見ると、黄色のドレスを着て、ダイヤモンドらしきネックレスで着飾ったマネキン人形がポーズをとっていた。
(わぁ……!)
アリーシャがマネキン人形に見惚れていると、「中に入るぞ」と声を掛けられる。
「あっ、はい!」
オルキデアの半歩後ろを歩きながら、ガラス戸を潜るとカランと鐘のような音が聞こえた。
後ろを振り向くと、ガラス戸の内側に小さな鐘がついていた。これが鳴ったのだろう。
店内に所狭しと並べられたショーケースを眺めていると、「いらっしゃいませ」と、若い女性に付き添われた老齢の男性が腰に手を当てながら店の奥から現れる。
「メイソン・コーンウォール氏の紹介で来たオルキデア・アシャ・ラナンキュラスと申します。こっちは妻のアリーシャです」
「妻」という単語に未だ気恥ずかしさを覚えながらも、アリーシャは会釈する。
「ああ。さっきコーンウォールから電話がきたから、話しは聞いてるよ。結婚指輪だね」
若い女性の手を借りながら、店主と思しき男性は店内のショーウィンドウの一角に向かう。
「この辺りが指輪だよ。気になるものがあれば、孫に出させるからね」
付き添っていた若い女性が会釈した事から、どうやらこの女性が孫らしい。
女性の手を借りて、ショーウィンドウの側の椅子に店主が座ると、アリーシャはショーケースを眺めたのだった。
「ここは……?」
「王都の店通りだ。主に平民と下級貴族向けのな」
言われてみれば、道の両脇には衣料品店や雑貨屋が並び、若者たちが出入りしていた。
若者たちは決して豪奢ではないが、身綺麗でオシャレな格好をしており、女性たちは化粧を施して、宝飾品を身につけていた。
食料品を扱っているお店もあるようで、遣いと思しき子供や使用人、メイドらしき人たちの姿も見えたのだった。
「わあ……」
感嘆の声を漏らすと、「まだ早いぞ」と運転席から声を掛けられる。
「これでもまだ序の口だ。祭りがあれば、もっと人が出てきて、賑わうからな」
「お祭りがあるんですか?」
「国の建国や王族の生誕、婚姻。最近は無いが、敵国との戦勝記念の祭りもあるな。
その時は郊外からも人がやってきて、車が進めないくらい道路には人が溢れる」
「凄いですね!」
「再来月、王族の誕生を祝う祭りがある。その時もこの辺りは人で溢れるな」
アリーシャはふと運転席を向くと、声を掛ける。
「あの、お祭りの時なんですが……」
「わかっている。金をやるから、セシリアと出掛けてこい」
どうやら、セシリアと出掛けると思われているらしい。
アリーシャは「そうじゃないんです」と説明する。
「お祭りはオルキデア様と一緒に行きたいんです」
「俺と? 楽しめないかもしれないぞ」
更には「それ以前に、警備の仕事が入るかもしれん」とまで言われて、肩を落としてしまう。
オルキデアが簡単に説明してくれたところによると、お祭りの際の治安維持は、王都を警護する警察だけでは手が余るそうで、軍部所属の兵も毎年交替で警備を担当するらしい。
ただ、誰が担当になるかは、もう少ししないとわからないそうだ。
「ここでの最初のお祭りは、オルキデア様と一緒に行きたいんです。駄目ですか?」
「駄目ではないが……。わかった。考えておく」
オルキデアは何度か右左折を繰り返すと、とある建物の前で車を停める。
「着いたぞ。ここがその宝飾品店だ」
駐車場に車を停めると、オルキデアの手を借りて車から降りる。
目の前には、ガラス張りのオシャレな外装をした店が建っていた。
コートを羽織りながらショーウィンドウを見ると、黄色のドレスを着て、ダイヤモンドらしきネックレスで着飾ったマネキン人形がポーズをとっていた。
(わぁ……!)
アリーシャがマネキン人形に見惚れていると、「中に入るぞ」と声を掛けられる。
「あっ、はい!」
オルキデアの半歩後ろを歩きながら、ガラス戸を潜るとカランと鐘のような音が聞こえた。
後ろを振り向くと、ガラス戸の内側に小さな鐘がついていた。これが鳴ったのだろう。
店内に所狭しと並べられたショーケースを眺めていると、「いらっしゃいませ」と、若い女性に付き添われた老齢の男性が腰に手を当てながら店の奥から現れる。
「メイソン・コーンウォール氏の紹介で来たオルキデア・アシャ・ラナンキュラスと申します。こっちは妻のアリーシャです」
「妻」という単語に未だ気恥ずかしさを覚えながらも、アリーシャは会釈する。
「ああ。さっきコーンウォールから電話がきたから、話しは聞いてるよ。結婚指輪だね」
若い女性の手を借りながら、店主と思しき男性は店内のショーウィンドウの一角に向かう。
「この辺りが指輪だよ。気になるものがあれば、孫に出させるからね」
付き添っていた若い女性が会釈した事から、どうやらこの女性が孫らしい。
女性の手を借りて、ショーウィンドウの側の椅子に店主が座ると、アリーシャはショーケースを眺めたのだった。
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