アリサ・リリーベル・シュタルクヘルトは死んだ

夜霞

文字の大きさ
295 / 357

※爪の間・8

しおりを挟む
「気にかけるというよりは、お前が部屋を片付けてくれるというから、監視がてら傍に置いていただけだ。クシャースラたちがいないと部屋も片付けられないからな」
「それでも、部屋でじっとしているより良かったです。身体を動かしている方が、悪い想像をしなくていいですし」
「悪い想像か……」
「明日の自分はどうなるのか……あの頃の私はそればかり考えて不安だったんです。なので、片付けが気分転換になりました。それに片付けがきっかけで、オルキデア様や軍の皆さんも怖くないって分かりましたし!」
「今も怖がっていただろう」
「怖がってないです!」

声が上ずってしまったからか、オルキデアはまた笑うと、腰に回していた腕に力を入れて、後ろから強く抱きしめてくれる。

「怒ってないから安心しろ。ほら、もっと楽にしろ。俺に寄りかかるんだ」

言われた通りに、後ろにいるオルキデアに寄りかかると、広い胸板から落ちた雫が頬に当たる。
顔を上げると、得意げな笑みを浮かべたオルキデアに軽く口づけられたのだった。
すぐに唇が離れると、頭ごと強く抱きしめられる。
オルキデアの心臓の音を聞いている内に、自然と言葉が出てくる。

「さっきは、蹴ってしまって、ごめんなさい……」
「いい。気にするな。それよりも、嫌な時は何て言えばいいのか、前に『魔法の言葉』を教えたな」
「はい。覚えていますが……」

初めて、オルキデアと本当の夫婦としての夜を過ごした際に、「辛くなった時や、止めて欲しい時はこう言え」と、オルキデアから「魔法の言葉」を教えてもらったことがあった。

「あの言葉は、あの場限りじゃない。これから先も有効だからな」
「そうだったんですか……」
「今後もやめて欲しい時は、あの言葉を言うんだ。……いいな」
「はい」
「だが、さっきの蹴りの分は仕置きをするぞ。やられたままでいるのは悔しいからな」

どこか楽しそうに言うと、オルキデアは腰に回していた腕を離して、アリーシャの両胸の頂を弄り始めた。

「ひゃあ……!」

指先でしごかれる内に、だんだん気持ち良くなってくる。
更には耳朶を吸われ、耳を舐められた時、身体の内外から熱くなったのだった。

「あ、ああっ……イヤッ……!」

目の前で、自分の胸がオルキデアの指先によって形を変えられる。
何度も交わっている内に、どこを触ればアリーシャが気持ち良くなるのか、オルキデアも分かってきたらしい。
今も胸の頂をしごかれながら、耳朶を吸われたことで、早くも気持ち良くなってきたのだった。
すると、耳朶から口を離したマキウスが、頂を弄りながら尋ねてくる。

「最近、大きくなったか?」

その言葉と共に、アリーシャは豊満な胸を揉まれる。オルキデアの手つきが妙にくすぐったい。湯の中で音を立てながら、アリーシャの胸は揺れていたのだった。

「そう見えますか……? 私にはほぼ同じに見えますが……」

耳元で囁かれて、アリーシャは自分の胸を見下ろすが、少し張っているように見えるだけで、特に大きくなったようには見えなかった。

「前よりもしごきやすくなったと思ったんだが……俺に触れられる度に、成長していたのか?」
「そんな力を持っているんですか?」
「冗談だ」

オルキデアに触れられると胸が大きくなるのかと思ったのだが、冗談だとわかり落ち込んでしまう。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

エリート警察官の溺愛は甘く切ない

日下奈緒
恋愛
親が警察官の紗良は、30歳にもなって独身なんてと親に責められる。 両親の勧めで、警察官とお見合いする事になったのだが、それは跡継ぎを産んで欲しいという、政略結婚で⁉

俺様御曹司に飼われました

馬村 はくあ
恋愛
新入社員の心海が、与えられた社宅に行くと先住民が!? 「俺に飼われてみる?」 自分の家だと言い張る先住民に出された条件は、カノジョになること。 しぶしぶ受け入れてみるけど、俺様だけど優しいそんな彼にいつしか惹かれていって……

月の後宮~孤高の皇帝の寵姫~

真木
恋愛
新皇帝セルヴィウスが即位の日に閨に引きずり込んだのは、まだ十三歳の皇妹セシルだった。大好きだった兄皇帝の突然の行為に混乱し、心を閉ざすセシル。それから十年後、セシルの心が見えないまま、セルヴィウスはある決断をすることになるのだが……。

次期騎士団長の秘密を知ってしまったら、迫られ捕まってしまいました

Karamimi
恋愛
侯爵令嬢で貴族学院2年のルミナスは、元騎士団長だった父親を8歳の時に魔物討伐で亡くした。一家の大黒柱だった父を亡くしたことで、次期騎士団長と期待されていた兄は騎士団を辞め、12歳という若さで侯爵を継いだ。 そんな兄を支えていたルミナスは、ある日貴族学院3年、公爵令息カルロスの意外な姿を見てしまった。学院卒院後は騎士団長になる事も決まっているうえ、容姿端麗で勉学、武術も優れているまさに完璧公爵令息の彼とはあまりにも違う姿に、笑いが止まらない。 お兄様の夢だった騎士団長の座を奪ったと、一方的にカルロスを嫌っていたルミナスだが、さすがにこの秘密は墓場まで持って行こう。そう決めていたのだが、翌日カルロスに捕まり、鼻息荒く迫って来る姿にドン引きのルミナス。 挙句の果てに“ルミタン”だなんて呼ぶ始末。もうあの男に関わるのはやめよう、そう思っていたのに… 意地っ張りで素直になれない令嬢、ルミナスと、ちょっと気持ち悪いがルミナスを誰よりも愛している次期騎士団長、カルロスが幸せになるまでのお話しです。 よろしくお願いしますm(__)m

暴君幼なじみは逃がしてくれない~囚われ愛は深く濃く

なかな悠桃
恋愛
暴君な溺愛幼なじみに振り回される女の子のお話。 ※誤字脱字はご了承くださいm(__)m

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される

奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。 けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。 そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。 2人の出会いを描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630 2人の誓約の儀を描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

処理中です...