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謀反の疑い・1
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長い様な短い様な、休暇が明けた朝。
「寒いですね~」
日を追うごとに着実に冬へと近づいていると、道行く人たちの厚着を見る度に実感する。
「まだ体調が戻っていないだろう。ここまで見送らなくていい。屋敷に戻った方がいいんじゃ……」
「大丈夫です。お見送りしたらすぐに戻るので。はい。お弁当です」
門前まで見送りに来てくれたのはいいが、アリーシャの顔色は未だ良いとは言えなかった。
寝込んだ次の日には熱は下がったが、食欲は戻っておらず、身体も辛そうであった。
何度か郊外の軍事病院に行くか聞いたが、本人は「大丈夫です」と繰り返すばかりで、オルキデア自身も無理強いが出来ないまま、休暇が明けてしまったのだった。
今朝も顔色が良くないまま、冬用の厚手のコートを羽織って見送りに出て来てくれると、いつものようにお弁当を包んだ布包みを渡してきたのだった。
「屋敷に戻ったら、すぐに身体を温めるんだ。それと、体調が悪化したら俺を呼んでくれ……」
「大丈夫です。ありがとうございます」
コートの襟元からはタートルネックのセーターが見えており、その上では、先日、オルキデアが渡したネックレスが、冬の朝日を受けて輝いていた。
気に入ったのか、肌身離さず身につけてくれているようで、一安心する。
「行ってくる。なるべく早めに帰宅する」
「行ってらっしゃいませ。お気をつけて」
まだまだ不安は残るが、いつもの様に見送りの口付けを交わすと、オルキデアは軍部に向かって歩き出したのだった。
一週間しか休んでいなかったが、軍部内は俄に騒がしかった。
主に、オルキデアの周辺だけかもしれないが。
一部の兵たちが、オルキデアを遠巻きに見ては、何やらコソコソ話していたのだった。
(何かあったか……?)
噂をされる様な事は、特段していないはずだった。
功績も立てていなければ、失態を犯したつもりもない。
強いて言えば、まとめて休暇を取った事に対して、反感を買ってしまったくらいだろうか。
ここ最近休暇を取っていなかったからと、上官から指示された日数分以上、休暇を取得してしまった。
仕事に復帰してからも、またすぐに休暇を取ってしまったので、それを僻まれたのかもしれない。
(全く……)
この様子だと、しばらくはまとまった休暇の取得は出来そうにない。
アリーシャと過ごす時間が減ってしまうのは心苦しいが、これも将官として、兵として軍規を乱さないためなら仕方がない。
内心で嘆息しつつ、自分の執務室の鍵を開けて中に入ったのだった。
オルキデアが休暇中に部屋を掃除してくれたのか、屋主が不在だった割には、執務室には目立った埃もなく、塵も積もっていなかった。
今はここに泊まり込む事も無くなったので、空の酒瓶は転がってなく、本や書類も散らばっていなかった。
整然とされた執務室に物足りなさを感じつつも、執務机に着いたのだった。
そのまま、昼までは特に何もなく、ただいつもと同じ日が過ぎると思っていた矢先に、事件は起こった。
「失礼します。ラナンキュラス少将」
朝から引き続き、アルフェラッツから不在中の報告と仕事の引き継ぎを受けていたオルキデアの元に、エンブレムを身につけた兵たちが押し入って来たのだった。
「お前たちは……」
「我々は、軍本部所属の治安部隊です。
軍事裁判所からの命令で、オルキデア・アシャ・ラナンキュラス少将の審問に来ました」
頭の中が真っ白になった。
自分が一体、何をしたというのだろうか。
なんとか、呼吸を繰り返すと、静かに問い質す。
「……罪状は何だ?」
「貴官に国家に対する謀叛の疑いがかかっています。我々にご同行願えますか」
予期せぬ言葉に、オルキデア は濃い紫色の瞳を大きく見開いたのだった。
「寒いですね~」
日を追うごとに着実に冬へと近づいていると、道行く人たちの厚着を見る度に実感する。
「まだ体調が戻っていないだろう。ここまで見送らなくていい。屋敷に戻った方がいいんじゃ……」
「大丈夫です。お見送りしたらすぐに戻るので。はい。お弁当です」
門前まで見送りに来てくれたのはいいが、アリーシャの顔色は未だ良いとは言えなかった。
寝込んだ次の日には熱は下がったが、食欲は戻っておらず、身体も辛そうであった。
何度か郊外の軍事病院に行くか聞いたが、本人は「大丈夫です」と繰り返すばかりで、オルキデア自身も無理強いが出来ないまま、休暇が明けてしまったのだった。
今朝も顔色が良くないまま、冬用の厚手のコートを羽織って見送りに出て来てくれると、いつものようにお弁当を包んだ布包みを渡してきたのだった。
「屋敷に戻ったら、すぐに身体を温めるんだ。それと、体調が悪化したら俺を呼んでくれ……」
「大丈夫です。ありがとうございます」
コートの襟元からはタートルネックのセーターが見えており、その上では、先日、オルキデアが渡したネックレスが、冬の朝日を受けて輝いていた。
気に入ったのか、肌身離さず身につけてくれているようで、一安心する。
「行ってくる。なるべく早めに帰宅する」
「行ってらっしゃいませ。お気をつけて」
まだまだ不安は残るが、いつもの様に見送りの口付けを交わすと、オルキデアは軍部に向かって歩き出したのだった。
一週間しか休んでいなかったが、軍部内は俄に騒がしかった。
主に、オルキデアの周辺だけかもしれないが。
一部の兵たちが、オルキデアを遠巻きに見ては、何やらコソコソ話していたのだった。
(何かあったか……?)
噂をされる様な事は、特段していないはずだった。
功績も立てていなければ、失態を犯したつもりもない。
強いて言えば、まとめて休暇を取った事に対して、反感を買ってしまったくらいだろうか。
ここ最近休暇を取っていなかったからと、上官から指示された日数分以上、休暇を取得してしまった。
仕事に復帰してからも、またすぐに休暇を取ってしまったので、それを僻まれたのかもしれない。
(全く……)
この様子だと、しばらくはまとまった休暇の取得は出来そうにない。
アリーシャと過ごす時間が減ってしまうのは心苦しいが、これも将官として、兵として軍規を乱さないためなら仕方がない。
内心で嘆息しつつ、自分の執務室の鍵を開けて中に入ったのだった。
オルキデアが休暇中に部屋を掃除してくれたのか、屋主が不在だった割には、執務室には目立った埃もなく、塵も積もっていなかった。
今はここに泊まり込む事も無くなったので、空の酒瓶は転がってなく、本や書類も散らばっていなかった。
整然とされた執務室に物足りなさを感じつつも、執務机に着いたのだった。
そのまま、昼までは特に何もなく、ただいつもと同じ日が過ぎると思っていた矢先に、事件は起こった。
「失礼します。ラナンキュラス少将」
朝から引き続き、アルフェラッツから不在中の報告と仕事の引き継ぎを受けていたオルキデアの元に、エンブレムを身につけた兵たちが押し入って来たのだった。
「お前たちは……」
「我々は、軍本部所属の治安部隊です。
軍事裁判所からの命令で、オルキデア・アシャ・ラナンキュラス少将の審問に来ました」
頭の中が真っ白になった。
自分が一体、何をしたというのだろうか。
なんとか、呼吸を繰り返すと、静かに問い質す。
「……罪状は何だ?」
「貴官に国家に対する謀叛の疑いがかかっています。我々にご同行願えますか」
予期せぬ言葉に、オルキデア は濃い紫色の瞳を大きく見開いたのだった。
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