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どうして・4
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どれくらい眠っていたのだろうか。アリーシャは遠くから聞こえてくる呼び鈴の音で目を覚ました。
(オルキデア様……?)
もしかしたらラカイユから話を聞いたオルキデアが帰ってきてくれたのかもしれないと考え、アリーシャの意識は一気に覚醒する。
アリーシャは体調不良なのも忘れて毛布代わりのコートを跳ね除けると、靴を履いて、応接間を飛び出したのであった。
「オルキデアさ……」
「どうも」
扉を開け放った先に居たのは、会いたくて渇望していた愛しの夫ではなく、見知らぬ女性であった。
茶色の髪を短くしたオルキデアよりも年上と思しき女性は、どこか勝気そうな目でアリーシャをじっと見つめて来る。
「貴女がアリーシャ・ラナンキュラスさん?」
「そうですが……。貴女は一体……?」
隙の無い射貫く様な茶色の瞳にアリーシャは及び腰になってしまう。どこか冷たささえ感じさせる女丈夫ではあったが、アリーシャが怖がっていると気付くと、やがて小さく笑ったのであった。
「そんなに怯えないで。怪しい者じゃないから。主人に言われて、貴女の様子を見に来たのよ」
「ご主人ですか?」
「ええ。私の名前はザビーネ・プロキオン。貴女のご主人であるラナンキュラス少将の上官の妻よ」
「プロキオンさんの……?」
アリーシャが屋敷の中に案内すると、「お邪魔するわ」と言ってザビーネは中に入ってくる。案内してから気づいたが、ザビーネは紙袋を持っていた。
「あのプロキオン夫人。その紙袋は……?」
「食料よ。もしかしたら買い物にも行けていないのかと思って」
その言葉にアリーシャは飛び上がりそうになる。どうしてザビーネは知っているのだろか。
ここ最近体調が悪く、アリーシャは外出もままならなかった。オルキデアが居なくて不安になっているのか食欲もなかったが、もしかしたら今日そこは帰って来るかもしれないと、屋敷にあった保存食を使ってオルキデアの分の食事だけ用意していた。
「どうしてご存じなんですか……?」
「この屋敷の近くを軍人がうろついているでしょう。怖くて外に出られないんじゃないかと思って」
どうやらザビーネは別の理由からアリーシャが外出が出来ないと思ったらしい。アリーシャはほっとする。
「怖くて外出が出来ない訳じゃないんです。もしかしたら、今日こそは夫が帰って来るかもしれないと思っていたら、屋敷で待っていたくなって」
本当は先程の軍人の様に、ここ最近庭に出ていると頻繁に屋敷の近くを軍人が歩いていることを知っている。一人きりにするアリーシャを心配したオルキデアが手配してくれたのだと思っていた。いずれも知らない軍人だったが、もしかして違ったのだろうか。
アリーシャの言葉にザビーネは「そう」と端的に返事をすると、厨房まで案内して欲しいと頼んでくる。
ザビーネを厨房まで案内しながら、それとなくオルキデアの事を尋ねてみたが、ザビーネは「何も知らないわ」と答えただけであった。
食料を冷蔵庫や保管庫にしまうと、お茶を勧めるアリーシャを断って、ザビーネはすぐに帰ろうとする。帰り際に「何かあったらここに電話して」と、プロキオンの自宅の電話番号が書かれたメモを手渡して来たのであった。
「もし貴女の夫やうちの夫、オウェングス少将以外の軍人が来ても、絶対に扉を開けちゃ駄目よ。さっきの様によく相手も確認しないで扉を開けるのは不用心だわ」
「す、すみません……」
アリーシャが項垂れると、ザビーネは口角を緩めた。アリーシャの頭を優しく撫でながら「大丈夫よ」と声を掛けてくれたのであった。
(オルキデア様……?)
もしかしたらラカイユから話を聞いたオルキデアが帰ってきてくれたのかもしれないと考え、アリーシャの意識は一気に覚醒する。
アリーシャは体調不良なのも忘れて毛布代わりのコートを跳ね除けると、靴を履いて、応接間を飛び出したのであった。
「オルキデアさ……」
「どうも」
扉を開け放った先に居たのは、会いたくて渇望していた愛しの夫ではなく、見知らぬ女性であった。
茶色の髪を短くしたオルキデアよりも年上と思しき女性は、どこか勝気そうな目でアリーシャをじっと見つめて来る。
「貴女がアリーシャ・ラナンキュラスさん?」
「そうですが……。貴女は一体……?」
隙の無い射貫く様な茶色の瞳にアリーシャは及び腰になってしまう。どこか冷たささえ感じさせる女丈夫ではあったが、アリーシャが怖がっていると気付くと、やがて小さく笑ったのであった。
「そんなに怯えないで。怪しい者じゃないから。主人に言われて、貴女の様子を見に来たのよ」
「ご主人ですか?」
「ええ。私の名前はザビーネ・プロキオン。貴女のご主人であるラナンキュラス少将の上官の妻よ」
「プロキオンさんの……?」
アリーシャが屋敷の中に案内すると、「お邪魔するわ」と言ってザビーネは中に入ってくる。案内してから気づいたが、ザビーネは紙袋を持っていた。
「あのプロキオン夫人。その紙袋は……?」
「食料よ。もしかしたら買い物にも行けていないのかと思って」
その言葉にアリーシャは飛び上がりそうになる。どうしてザビーネは知っているのだろか。
ここ最近体調が悪く、アリーシャは外出もままならなかった。オルキデアが居なくて不安になっているのか食欲もなかったが、もしかしたら今日そこは帰って来るかもしれないと、屋敷にあった保存食を使ってオルキデアの分の食事だけ用意していた。
「どうしてご存じなんですか……?」
「この屋敷の近くを軍人がうろついているでしょう。怖くて外に出られないんじゃないかと思って」
どうやらザビーネは別の理由からアリーシャが外出が出来ないと思ったらしい。アリーシャはほっとする。
「怖くて外出が出来ない訳じゃないんです。もしかしたら、今日こそは夫が帰って来るかもしれないと思っていたら、屋敷で待っていたくなって」
本当は先程の軍人の様に、ここ最近庭に出ていると頻繁に屋敷の近くを軍人が歩いていることを知っている。一人きりにするアリーシャを心配したオルキデアが手配してくれたのだと思っていた。いずれも知らない軍人だったが、もしかして違ったのだろうか。
アリーシャの言葉にザビーネは「そう」と端的に返事をすると、厨房まで案内して欲しいと頼んでくる。
ザビーネを厨房まで案内しながら、それとなくオルキデアの事を尋ねてみたが、ザビーネは「何も知らないわ」と答えただけであった。
食料を冷蔵庫や保管庫にしまうと、お茶を勧めるアリーシャを断って、ザビーネはすぐに帰ろうとする。帰り際に「何かあったらここに電話して」と、プロキオンの自宅の電話番号が書かれたメモを手渡して来たのであった。
「もし貴女の夫やうちの夫、オウェングス少将以外の軍人が来ても、絶対に扉を開けちゃ駄目よ。さっきの様によく相手も確認しないで扉を開けるのは不用心だわ」
「す、すみません……」
アリーシャが項垂れると、ザビーネは口角を緩めた。アリーシャの頭を優しく撫でながら「大丈夫よ」と声を掛けてくれたのであった。
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