【短編】先生

夜霞

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ひめとの再会・4

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「ですが、既に書類の提出期日は過ぎてしまったので、校長先生に確認を取らないと、なんとも……」
「じゃあ、そっちはよろしく。おいで、ひめちゃん。外まで送ってくよ」

 呆気にとられていたひめだったが、善弥が先に歩き出すと、女性職員に頭を下げてから後を追いかけて来た。
 職員用玄関で靴に履き替えていると、先に履き替えたひめが、深々と頭を下げてきたのだった。

「あ、ありがとうございました。同意書にサインをしていただいて」
「いいって。智恵……お母さんみたいな退魔師になりたいんでしょ」
「はい。ママと、おじさんみたいな退魔師になりたいので……」

 まさか自分の名前が出てくるとは思わず、善弥は顔を逸らすと「そろそろ行くよ」と声を掛けて、先に外に出る。
 善弥を追いかけて隣に並んだひめだったが、今度は謝罪の言葉を口にしてきたのだった。

「先程はすみません。顔を叩いてしまって……。でも、ずっと待っていたのは本当なんです。おじさんを嫌いなんて言ってないのも……」
「覚えてないの? お母さんの葬儀の時に、俺にそう言ったでしょう?」
「えっ!? そうだったんですか……。すみません。実はママの葬儀の時の記憶がほとんど残っていなくて……」

 ひめの話によると、葬儀の次の日、火葬場に行った時に、高熱を出して倒れてしまったらしい。
 それが原因なのか、葬儀の前後の記憶が曖昧で、善弥に言ったことを何も覚えていないそうだ。

 それを聞いた時、善弥は脱力したのだった。

「そっか……。気にしてたのは、俺だけだったんだ」
「すみません。おじさんにそんなことを言っていたなんて……」
「いや。いいんだよ。ひめちゃんは何も悪くない」

 話している内に、二人は校門に辿り着いた。
 校門の側に植えられた桜の木は、まだ蕾であった。

「じゃあ、俺はここで。仕事に戻らないと」
「ありがとうございました。見送りまでしていただいて……」
「いいって。それより、今はどこに住んでいるの? 親戚中をたらい回しにされているって聞いたけど……」
「おばあちゃんの遠縁の家です。でも、学校から遠いので、この近くで一人暮らしをしようかと……」
「一人暮らしのあてはあるの?」
「これから探します。貯金も僅かですが、ママとおばあちゃんが残してくれたので」

 善弥は肩を竦めた。
 こんな幼気いたいけな元バディの娘を一人暮らしさせるのは心配だった。
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