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第一部
「モニカ」になれない【5】
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「私、この世界に来て、モニカになった意味を知りたいです。いつの日か、ちゃんとーー」
「ええ。その為のお手伝いなら、私はいくらでも行います。でもその前に、貴女は『貴女だけのモニカ』になって下さい。モニカでもあり、貴女でもある。「貴女だけのモニカ」にーー」
縋りつくように見上げてきたモニカを、マキウスは「大丈夫です」と安心させるように抱きしめる。
「私、これからはモニカとして、生きていきたいです。『私だけのモニカ』として」
「ええ。貴女がこれからもモニカとして生きていけるように、私も助力を惜しみません」
しばらく抱き合っていた二人だったが、やがてマキウスは身体を離すと、モニカをベッドに寝かせた。
その隣に横になりながら、マキウスは「それで」と続けた。
「リュド殿はどうしますか? もし会うのが辛いようでしたら、明日以降は取り次がないように、使用人たちに申し伝えますが……?」
「いえ」と、モニカは首を振った。
「今度こそ、ちゃんと話したいんです。お兄ちゃんと。今の私として」
「そうですか……」
マキウスは目を細めると、モニカの顔に手を伸ばした。
頬にかかっていた金髪を払うと、固く目を閉じているモニカの眦を労るように、そっと触れたのだった。
「このまま寝たら、きっと明日の朝はもっと腫れていますね」
恐らく、ニコラをアマンテに預けて寝室にやって来てから、ずっと泣いていたのだろう。
既に赤く腫れてしまったモニカの目を痛々しい気持ちで見つめる。
「そうですね……」
「何か冷やせる物を持って来ますか?」
モニカは苦笑しながらも、「いいえ」と答えて、眦に触れているマキウスの手を握ってきた。
「今夜はこのまま居させて下さい。……少しも離れたくないんです」
マキウスは目を大きく見開いた。
やがて、「わかりました」と頷いたのだった。
もう片方の手で、モニカの魔法石に触れると、魔力を補充しながら続けた。
「今夜はこのまま寝ましょう。手を繋いだままで」
「……はい」
やがて、魔力の補充を終えると、マキウスは一度だけ手を離した。
ベッド脇の灯りを消すと、再び、二人は手を繋いだのだったーー。
控え目な月明かりが部屋を照らし、泣き疲れたモニカの寝息だけが聞こえてくる寝室。
(ようやく、眠りましたね)
モニカの手を離すと、マキウスは毛布を引っ張る。
愛娘によく似たあどけない表情で眠るモニカの華奢な肩に、毛布を掛け直したのだった。
モニカと一緒に寝始めた頃、毎夜マキウスは先に寝た振りをしていた。
本当は緊張して眠れなかったが、先に寝なければモニカの方が気を遣うか、緊張してしまい、なかなか眠れないのではないかと考えた。
案の定、モニカはマキウスに気を遣っているのか、緊張しているのか、なかなか寝なかった。
ニコラ用に買った絵本の読み聞かせをするようになってからは、互いにすぐ寝るようになったが、それまでは二人揃って寝付くまで時間が掛かったものだった。
マキウスはモニカの額に口付ける。
本当は起きている時もやりたいぐらいだが、どうもマキウスの愛妻は顔や頭に触れられるのが苦手らしい。今はこれで我慢しようと、自身に言い聞かせる。
そうして、またモニカの隣で横になると、そっと呟いたのだった。
「おやすみなさい。愛しい人」
そうして、マキウスはそのまま眠りについたのだった。
「ええ。その為のお手伝いなら、私はいくらでも行います。でもその前に、貴女は『貴女だけのモニカ』になって下さい。モニカでもあり、貴女でもある。「貴女だけのモニカ」にーー」
縋りつくように見上げてきたモニカを、マキウスは「大丈夫です」と安心させるように抱きしめる。
「私、これからはモニカとして、生きていきたいです。『私だけのモニカ』として」
「ええ。貴女がこれからもモニカとして生きていけるように、私も助力を惜しみません」
しばらく抱き合っていた二人だったが、やがてマキウスは身体を離すと、モニカをベッドに寝かせた。
その隣に横になりながら、マキウスは「それで」と続けた。
「リュド殿はどうしますか? もし会うのが辛いようでしたら、明日以降は取り次がないように、使用人たちに申し伝えますが……?」
「いえ」と、モニカは首を振った。
「今度こそ、ちゃんと話したいんです。お兄ちゃんと。今の私として」
「そうですか……」
マキウスは目を細めると、モニカの顔に手を伸ばした。
頬にかかっていた金髪を払うと、固く目を閉じているモニカの眦を労るように、そっと触れたのだった。
「このまま寝たら、きっと明日の朝はもっと腫れていますね」
恐らく、ニコラをアマンテに預けて寝室にやって来てから、ずっと泣いていたのだろう。
既に赤く腫れてしまったモニカの目を痛々しい気持ちで見つめる。
「そうですね……」
「何か冷やせる物を持って来ますか?」
モニカは苦笑しながらも、「いいえ」と答えて、眦に触れているマキウスの手を握ってきた。
「今夜はこのまま居させて下さい。……少しも離れたくないんです」
マキウスは目を大きく見開いた。
やがて、「わかりました」と頷いたのだった。
もう片方の手で、モニカの魔法石に触れると、魔力を補充しながら続けた。
「今夜はこのまま寝ましょう。手を繋いだままで」
「……はい」
やがて、魔力の補充を終えると、マキウスは一度だけ手を離した。
ベッド脇の灯りを消すと、再び、二人は手を繋いだのだったーー。
控え目な月明かりが部屋を照らし、泣き疲れたモニカの寝息だけが聞こえてくる寝室。
(ようやく、眠りましたね)
モニカの手を離すと、マキウスは毛布を引っ張る。
愛娘によく似たあどけない表情で眠るモニカの華奢な肩に、毛布を掛け直したのだった。
モニカと一緒に寝始めた頃、毎夜マキウスは先に寝た振りをしていた。
本当は緊張して眠れなかったが、先に寝なければモニカの方が気を遣うか、緊張してしまい、なかなか眠れないのではないかと考えた。
案の定、モニカはマキウスに気を遣っているのか、緊張しているのか、なかなか寝なかった。
ニコラ用に買った絵本の読み聞かせをするようになってからは、互いにすぐ寝るようになったが、それまでは二人揃って寝付くまで時間が掛かったものだった。
マキウスはモニカの額に口付ける。
本当は起きている時もやりたいぐらいだが、どうもマキウスの愛妻は顔や頭に触れられるのが苦手らしい。今はこれで我慢しようと、自身に言い聞かせる。
そうして、またモニカの隣で横になると、そっと呟いたのだった。
「おやすみなさい。愛しい人」
そうして、マキウスはそのまま眠りについたのだった。
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