169 / 247
第一部
※流星群と明かされた過去・中【3】
しおりを挟む
「その時になって、ようやく気付きました。私は男子学生に利用されたんだって。私には身体以外、何も取り柄がないんだって」
これは後から知ったが、この時のモニカは学年でも胸が大きく、発育が良い方で、水泳の時間や体育などの薄着になる時に、男子学生たちはモニカの身体を舐める様に見ていたらしい。
御國の頃の話を聞いたマキウスは、爪が食い込むまで両手を強く握りしめて、歯を食いしばっていた。
「やはり、許せませんね。モニカに……女性にそのようなことをするなど。その時に私がいたら、相手が後悔するまで苦しめたというのに……」
「もう昔のことです。それに、その男子学生も怒られたはずです。その日の内に、私の異変に気付いた親に事情を聞かれて、白状させられたので……」
嗚咽を殺して、泣きながら何度もタオルで胸を擦っていると、異変に気付いた母が部屋にやって来た。
事情を聞かれたがら、安易に男子学生について行って、強姦されそうになったのが恥ずかしくて黙っていた。
「さすが母親と言えばいいのか……娘の顔に殴られた後があって、手足に擦り傷まで作って、自室にこもって泣きながら出血するまで胸を擦っていた様子から、異変を悟った母に説得されて、話さざるを得ませんでした」
その夜の内に、母親は学校に電話をすると、事の次第を話した。
次の日、男子学生は学校に登校するなり、すぐに担任に呼び出された。そうして、その日は授業が終わっても、教室に戻ってくることはなかったのだった。
「それから男子学生は口を聞かなくなりました。次の年にはクラスが別れたので、この日以降、一度も口を聞きませんでした。でも、問題はその後です」
「その後? それで、解決しなかったんですか?」
マキウスの問いかけに、モニカは小さく頷く。
「表向きは解決したことになりました。でも、男子学生がその話を広めたようで、しばらくは学年中で話題になりました。話はすぐに収まりましたが、そうしたら、今度は私が同じ学年の女子たちから虐めを受けるようになったんです」
「どうして、貴女が虐めを受けるんですか? 貴女は悪くありません。悪いのは、貴女を辱めようとした相手です」
「その男子学生、学年の女子たちの間で人気の高い男子だったんです。以前から、私と男子学生が親しくしているのが気に入らなかったみたいで……」
男子学生に優しくされていた頃から、なんとなく女子の中でも派手なグループから睨まれているような気はしていた。
ずっと気のせいだと思っていたが、強姦未遂の後から気の所為ではなくなった。
「この話がどこかで間違った形で広まったみたいで、それを信じたみたいです。この機会に私を懲らしめようと、様々な虐めをされました」
「間違った形で広まったんですか?」
「『私が男子学生を誘惑して、行為に及ぼうとした。けれども、それを誤解した私の母が、男子学生が娘を強姦したとして、男子学生を学校に言いつけた。だから男子学生は被害者で、悪いのは私だ』といった感じに広まったらしいです」
もしかしたら、間違った形で広まったのではなく、最初から男子学生が違う形で広めたのかもしれない。今のモニカには、もう確かめようが無いが……。
「理解出来ません。何故、そんな話が広まって、貴女が虐めを受けねばならないのですか。貴女は被害者だというのに……」
マキウスはまるで理解が出来ないというように、 頭を振っていた。
マキウスの気持ちもわからなくない。モニカも最初はそう思った。
これは後から知ったが、この時のモニカは学年でも胸が大きく、発育が良い方で、水泳の時間や体育などの薄着になる時に、男子学生たちはモニカの身体を舐める様に見ていたらしい。
御國の頃の話を聞いたマキウスは、爪が食い込むまで両手を強く握りしめて、歯を食いしばっていた。
「やはり、許せませんね。モニカに……女性にそのようなことをするなど。その時に私がいたら、相手が後悔するまで苦しめたというのに……」
「もう昔のことです。それに、その男子学生も怒られたはずです。その日の内に、私の異変に気付いた親に事情を聞かれて、白状させられたので……」
嗚咽を殺して、泣きながら何度もタオルで胸を擦っていると、異変に気付いた母が部屋にやって来た。
事情を聞かれたがら、安易に男子学生について行って、強姦されそうになったのが恥ずかしくて黙っていた。
「さすが母親と言えばいいのか……娘の顔に殴られた後があって、手足に擦り傷まで作って、自室にこもって泣きながら出血するまで胸を擦っていた様子から、異変を悟った母に説得されて、話さざるを得ませんでした」
その夜の内に、母親は学校に電話をすると、事の次第を話した。
次の日、男子学生は学校に登校するなり、すぐに担任に呼び出された。そうして、その日は授業が終わっても、教室に戻ってくることはなかったのだった。
「それから男子学生は口を聞かなくなりました。次の年にはクラスが別れたので、この日以降、一度も口を聞きませんでした。でも、問題はその後です」
「その後? それで、解決しなかったんですか?」
マキウスの問いかけに、モニカは小さく頷く。
「表向きは解決したことになりました。でも、男子学生がその話を広めたようで、しばらくは学年中で話題になりました。話はすぐに収まりましたが、そうしたら、今度は私が同じ学年の女子たちから虐めを受けるようになったんです」
「どうして、貴女が虐めを受けるんですか? 貴女は悪くありません。悪いのは、貴女を辱めようとした相手です」
「その男子学生、学年の女子たちの間で人気の高い男子だったんです。以前から、私と男子学生が親しくしているのが気に入らなかったみたいで……」
男子学生に優しくされていた頃から、なんとなく女子の中でも派手なグループから睨まれているような気はしていた。
ずっと気のせいだと思っていたが、強姦未遂の後から気の所為ではなくなった。
「この話がどこかで間違った形で広まったみたいで、それを信じたみたいです。この機会に私を懲らしめようと、様々な虐めをされました」
「間違った形で広まったんですか?」
「『私が男子学生を誘惑して、行為に及ぼうとした。けれども、それを誤解した私の母が、男子学生が娘を強姦したとして、男子学生を学校に言いつけた。だから男子学生は被害者で、悪いのは私だ』といった感じに広まったらしいです」
もしかしたら、間違った形で広まったのではなく、最初から男子学生が違う形で広めたのかもしれない。今のモニカには、もう確かめようが無いが……。
「理解出来ません。何故、そんな話が広まって、貴女が虐めを受けねばならないのですか。貴女は被害者だというのに……」
マキウスはまるで理解が出来ないというように、 頭を振っていた。
マキウスの気持ちもわからなくない。モニカも最初はそう思った。
2
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
次期国王様の寵愛を受けるいじめられっこの私と没落していくいじめっこの貴族令嬢
さら
恋愛
名門公爵家の娘・レティシアは、幼い頃から“地味で鈍くさい”と同級生たちに嘲られ、社交界では笑い者にされてきた。中でも、侯爵令嬢セリーヌによる陰湿ないじめは日常茶飯事。誰も彼女を助けず、婚約の話も破談となり、レティシアは「無能な令嬢」として居場所を失っていく。
しかし、そんな彼女に運命の転機が訪れた。
王立学園での舞踏会の夜、次期国王アレクシス殿下が突然、レティシアの手を取り――「君が、私の隣にふさわしい」と告げたのだ。
戸惑う彼女をよそに、殿下は一途な想いを示し続け、やがてレティシアは“王妃教育”を受けながら、自らの力で未来を切り開いていく。いじめられっこだった少女は、人々の声に耳を傾け、改革を導く“知恵ある王妃”へと成長していくのだった。
一方、他人を見下し続けてきたセリーヌは、過去の行いが明るみに出て家の地位を失い、婚約者にも見放されて没落していく――。
黒の神官と夜のお世話役
苺野 あん
恋愛
辺境の神殿で雑用係として慎ましく暮らしていたアンジェリアは、王都からやって来る上級神官の夜のお世話役に任命されてしまう。それも黒の神官という異名を持ち、様々な悪い噂に包まれた恐ろしい相手だ。ところが実際に現れたのは、アンジェリアの想像とは違っていて……。※完結しました
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
靴屋の娘と三人のお兄様
こじまき
恋愛
靴屋の看板娘だったデイジーは、母親の再婚によってホークボロー伯爵令嬢になった。ホークボロー伯爵家の三兄弟、長男でいかにも堅物な軍人のアレン、次男でほとんど喋らない魔法使いのイーライ、三男でチャラい画家のカラバスはいずれ劣らぬキラッキラのイケメン揃い。平民出身のにわか伯爵令嬢とお兄様たちとのひとつ屋根の下生活。何も起こらないはずがない!?
※小説家になろうにも投稿しています。
【12月末日公開終了】有能女官の赴任先は辺境伯領
たぬきち25番
恋愛
辺境伯領の当主が他界。代わりに領主になったのは元騎士団の隊長ギルベルト(26)
ずっと騎士団に在籍して領のことなど右も左もわからない。
そのため新しい辺境伯様は帳簿も書類も不備ばかり。しかも辺境伯領は王国の端なので修正も大変。
そこで仕事を終わらせるために、腕っぷしに定評のあるギリギリ貴族の男爵出身の女官ライラ(18)が辺境伯領に出向くことになった。
だがそこでライラを待っていたのは、元騎士とは思えないほどつかみどころのない辺境伯様と、前辺境伯夫妻の忘れ形見の3人のこどもたち(14歳男子、9歳男子、6歳女子)だった。
仕事のわからない辺境伯を助けながら、こどもたちの生活を助けたり、魔物を倒したり!?
そしていつしか、ライラと辺境伯やこどもたちとの関係が変わっていく……
※お待たせしました。
※他サイト様にも掲載中
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる