209 / 247
第一部
★絡み合う手【7】
しおりを挟む
「汚くありません。貴女が汚いと思ったことは一度もありません」
ぴしゃりと言い切ったマキウスは、モニカの頬と額に口づけてくる。
額にも口づけてくるのは、夕方にヴィオーラが口づけたからだろうか。
衣摺れの音と共に身体をずらしたマキウスは、またモニカの胸元に顔をつけると、胸の頂に舌を這わせる。
「んっ……」
何度も舐められて、快感を覚える。
ようやく舌が離れたと思ったら、今度は反対側の頂を舐められて、ますます身体中が熱を帯びてくる。
何も考えられなくなってくると、今までどうやって息をしていたのか分からなくなってきて、だんだん息継ぎが難しくなってくる。
胸元がはだけただけの状態だったモニカのドレスは、マキウスの手によってどんどん脱がされていく。
脱がせながら、時々、マキウスが心配そうに顔を覗き込んでくるのは、モニカが抱えている過去の傷を気遣ってくれているのだろうか。
そんな気遣いが嬉しい反面、いつまでもマキウスに気を遣わせている罪悪感にも苛まれてしまう。
「気にしなくていいですよ」
顔に出ていたのだろうか。
モニカの身体から顔を上げたマキウスは、アメシストの様な紫色の瞳を細める。
「誰にだって、得手不得手があります。無理に慣れようとせずに、これから少しずつ慣れていけばいいんです。それを恥とも、悪いとも思わないで下さい」
「マキウス様……」
「今は慣れることだけを考えて、私を感じて下さい。……願わくは、私を受け入れて下さい。私だけの『天使』」
「はい……」
下腹部までドレスが下げられたその時、タイミング悪く、扉を叩く音が聞こえてきた。
その瞬間、これまでの熱は引いていき、マキウスは不快そうに舌打ちをした。
「誰ですか? こんな時に……」
マキウスがモニカから身体を離したタイミングで、とりあえずモニカは足元にあった掛布を肩から掛けた。
これなら、今まで何をしていたか、傍目にはわからないだろう。
マキウスが扉を開けると、そこにはティカの姿があったのだった。
「あ……。も、申し訳ありません! この様な時間に……」
マキウスの剣幕に恐れをなしたのか、それともベッドで身を起こしたモニカから何かを察したのか、及び腰になっていた。
「構いません。何かありましたか?」
「あ……モ、モニカ様の……奥様の、沐浴の用意が整っているのですが、なかなかお姿をお見せにならないので、様子を見てくるようにと、メイド長が……。夫婦だけの時間を過ごされている様なら、明日の朝でもいいとのことでしたが……」
「全く……ペルラにはお見通しということですか……」
掛布を肩からかけたまま、モニカはベッドから降りて扉に近いていく。
「ありがとうございます。すぐに行くと伝えて下さい」
一礼したティカが去って行くと、呆れたようにマキウスは息を吐いた。
「モニカ……」
「続きをしようにも、やっぱり、身体が汚れたままなのが気になるので……」
「気にしていないと言っているんですが……」
マキウスの呟きを聞きながら、モニカはベッドに戻って脱がされたコルセットを身につけると、ドレスを着直す。
ニコラに授乳をする都合上、一人でも着られるドレスを身につけていて良かった。
ドレスを整えると、モニカはマキウスを振り返ったのだった。
「それでは、マキウス様、また後ほど……」
「私も一緒に行きますよ」
同じく服を整えたマキウスが、当たり前の様について来る姿にモニカはギョッとした。
「え……屋敷内ですし、大丈夫ですよ。ここで待っていて下さい」
「待ちきれません。沐浴が終わるまで、部屋の前で待っています。……行きましょう」
マキウスに腕を引かれて、モニカは沐浴に向かったのだった。
ぴしゃりと言い切ったマキウスは、モニカの頬と額に口づけてくる。
額にも口づけてくるのは、夕方にヴィオーラが口づけたからだろうか。
衣摺れの音と共に身体をずらしたマキウスは、またモニカの胸元に顔をつけると、胸の頂に舌を這わせる。
「んっ……」
何度も舐められて、快感を覚える。
ようやく舌が離れたと思ったら、今度は反対側の頂を舐められて、ますます身体中が熱を帯びてくる。
何も考えられなくなってくると、今までどうやって息をしていたのか分からなくなってきて、だんだん息継ぎが難しくなってくる。
胸元がはだけただけの状態だったモニカのドレスは、マキウスの手によってどんどん脱がされていく。
脱がせながら、時々、マキウスが心配そうに顔を覗き込んでくるのは、モニカが抱えている過去の傷を気遣ってくれているのだろうか。
そんな気遣いが嬉しい反面、いつまでもマキウスに気を遣わせている罪悪感にも苛まれてしまう。
「気にしなくていいですよ」
顔に出ていたのだろうか。
モニカの身体から顔を上げたマキウスは、アメシストの様な紫色の瞳を細める。
「誰にだって、得手不得手があります。無理に慣れようとせずに、これから少しずつ慣れていけばいいんです。それを恥とも、悪いとも思わないで下さい」
「マキウス様……」
「今は慣れることだけを考えて、私を感じて下さい。……願わくは、私を受け入れて下さい。私だけの『天使』」
「はい……」
下腹部までドレスが下げられたその時、タイミング悪く、扉を叩く音が聞こえてきた。
その瞬間、これまでの熱は引いていき、マキウスは不快そうに舌打ちをした。
「誰ですか? こんな時に……」
マキウスがモニカから身体を離したタイミングで、とりあえずモニカは足元にあった掛布を肩から掛けた。
これなら、今まで何をしていたか、傍目にはわからないだろう。
マキウスが扉を開けると、そこにはティカの姿があったのだった。
「あ……。も、申し訳ありません! この様な時間に……」
マキウスの剣幕に恐れをなしたのか、それともベッドで身を起こしたモニカから何かを察したのか、及び腰になっていた。
「構いません。何かありましたか?」
「あ……モ、モニカ様の……奥様の、沐浴の用意が整っているのですが、なかなかお姿をお見せにならないので、様子を見てくるようにと、メイド長が……。夫婦だけの時間を過ごされている様なら、明日の朝でもいいとのことでしたが……」
「全く……ペルラにはお見通しということですか……」
掛布を肩からかけたまま、モニカはベッドから降りて扉に近いていく。
「ありがとうございます。すぐに行くと伝えて下さい」
一礼したティカが去って行くと、呆れたようにマキウスは息を吐いた。
「モニカ……」
「続きをしようにも、やっぱり、身体が汚れたままなのが気になるので……」
「気にしていないと言っているんですが……」
マキウスの呟きを聞きながら、モニカはベッドに戻って脱がされたコルセットを身につけると、ドレスを着直す。
ニコラに授乳をする都合上、一人でも着られるドレスを身につけていて良かった。
ドレスを整えると、モニカはマキウスを振り返ったのだった。
「それでは、マキウス様、また後ほど……」
「私も一緒に行きますよ」
同じく服を整えたマキウスが、当たり前の様について来る姿にモニカはギョッとした。
「え……屋敷内ですし、大丈夫ですよ。ここで待っていて下さい」
「待ちきれません。沐浴が終わるまで、部屋の前で待っています。……行きましょう」
マキウスに腕を引かれて、モニカは沐浴に向かったのだった。
2
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
次期国王様の寵愛を受けるいじめられっこの私と没落していくいじめっこの貴族令嬢
さら
恋愛
名門公爵家の娘・レティシアは、幼い頃から“地味で鈍くさい”と同級生たちに嘲られ、社交界では笑い者にされてきた。中でも、侯爵令嬢セリーヌによる陰湿ないじめは日常茶飯事。誰も彼女を助けず、婚約の話も破談となり、レティシアは「無能な令嬢」として居場所を失っていく。
しかし、そんな彼女に運命の転機が訪れた。
王立学園での舞踏会の夜、次期国王アレクシス殿下が突然、レティシアの手を取り――「君が、私の隣にふさわしい」と告げたのだ。
戸惑う彼女をよそに、殿下は一途な想いを示し続け、やがてレティシアは“王妃教育”を受けながら、自らの力で未来を切り開いていく。いじめられっこだった少女は、人々の声に耳を傾け、改革を導く“知恵ある王妃”へと成長していくのだった。
一方、他人を見下し続けてきたセリーヌは、過去の行いが明るみに出て家の地位を失い、婚約者にも見放されて没落していく――。
黒の神官と夜のお世話役
苺野 あん
恋愛
辺境の神殿で雑用係として慎ましく暮らしていたアンジェリアは、王都からやって来る上級神官の夜のお世話役に任命されてしまう。それも黒の神官という異名を持ち、様々な悪い噂に包まれた恐ろしい相手だ。ところが実際に現れたのは、アンジェリアの想像とは違っていて……。※完結しました
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
靴屋の娘と三人のお兄様
こじまき
恋愛
靴屋の看板娘だったデイジーは、母親の再婚によってホークボロー伯爵令嬢になった。ホークボロー伯爵家の三兄弟、長男でいかにも堅物な軍人のアレン、次男でほとんど喋らない魔法使いのイーライ、三男でチャラい画家のカラバスはいずれ劣らぬキラッキラのイケメン揃い。平民出身のにわか伯爵令嬢とお兄様たちとのひとつ屋根の下生活。何も起こらないはずがない!?
※小説家になろうにも投稿しています。
【12月末日公開終了】有能女官の赴任先は辺境伯領
たぬきち25番
恋愛
辺境伯領の当主が他界。代わりに領主になったのは元騎士団の隊長ギルベルト(26)
ずっと騎士団に在籍して領のことなど右も左もわからない。
そのため新しい辺境伯様は帳簿も書類も不備ばかり。しかも辺境伯領は王国の端なので修正も大変。
そこで仕事を終わらせるために、腕っぷしに定評のあるギリギリ貴族の男爵出身の女官ライラ(18)が辺境伯領に出向くことになった。
だがそこでライラを待っていたのは、元騎士とは思えないほどつかみどころのない辺境伯様と、前辺境伯夫妻の忘れ形見の3人のこどもたち(14歳男子、9歳男子、6歳女子)だった。
仕事のわからない辺境伯を助けながら、こどもたちの生活を助けたり、魔物を倒したり!?
そしていつしか、ライラと辺境伯やこどもたちとの関係が変わっていく……
※お待たせしました。
※他サイト様にも掲載中
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる