ともかの物語

みどり

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マツさん出番ですよ

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うちで喧嘩番長といえば

食堂のマツおばあちゃんです。


社長のことを、いつからか、平次と呼び捨てし

どっちが上役かわかりません。


ドライバーの強そうなお兄さんたちを

自分の子どものように愛しています。


おじさんたちとはたまに口喧嘩します

新人イビリやパワハラは許しません。

実際喧嘩しても勝つと思われます。

そんなオーラを纏っています。

妹のナミとはホントに姉妹?と

おじさんたちは思っています。

マツを嫌いなおじさんが数名います。



マツはスタッフの小さな変化に気づきます。

さりげなく声かけします。

声をかけられた方は「もしかしてエスパー⁇」

と思うくらいです。


誰よりも早く出社して掃除をしています。

皆に綺麗な職場で気持ちよく働いて欲しいと思っています。



いつも冗談を言いカラカラと笑っています。



マツは若かりし頃、妹のナミと仕立て屋を営んでいたので

食堂のカーテンなどもふたりのお手製です。

買うより安く済みました。

室内はどの時間も過ごしやすい雰囲気になっています。



今は夏に向けて

ともかの赤ちゃんの甚平を製作中です。

(ナイショでプレゼントするつもり)



食堂ではみちよとともかが時間を合わせて

ランチを食べています。


「今日も美味しいですね。」


「ホントにね。」


「あのおばあちゃんたちはいつも元気ですね。何歳ですか?」


「あら、女性に歳を聞くもんじゃないわ。まだお迎えが来てないから人間だと思うけど。」


「ひとりだけ妖怪みたいな人いますよね?」


ともかは厨房を見ながら笑うも、マツと目が合ったので直ぐそらす。


「コワッ」


「マツさんはね、あの隅っこの席でご飯粒がひとつ落ちてもわかるのよ。」


「だから、凄いでしょ!、なのか、気をつけてね!、どっちですか?」


「ふふ。お好きな方で。」


「なんか。ホントに死神来ても武器奪って殺りそうですよ。」


「やっつけてもらったら、ず~っと私たちここで暮らせるわよ。」


ふたりは笑った。




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