「脇役人生」の生活日記

わっしー

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1.始まりの村

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グランシュエル大陸は長年二つの大国が争っている。一つは緑豊かな王国アーガス王国。もう一つは機械化が進んでいるアンクート帝国だ。その国では新暦に入った今でも争いは絶えず、このグランシェル大陸で多くの血を流している。
グランシュエル大陸歴、新暦209年の秋。ミルト村。グランシュエル大陸のアーガス王国領の西に位置する小さな村だ。
その村の宿屋の夫婦は2回目の出産の真最中だった。
「しっかりするんだ。フローラ!あと少しだぞ!」
「う、うぅ~ん!!」
そう言って手を握っているのはこの村の宿屋の亭主グランだった。グランは妻のフローラの手をしっかりと握っている。
「もう少しよ!頑張って。フローラ!」
「頑張れ!」
そういうのは先月出産を終えたこの村の酒場の夫婦、カトレアとベンだった。彼らは小さいころ方の幼馴染で今でも仲が良い。
「うう~ん!!!」
その瞬間だった。フローラから出てきたのは黒髪の玉のような赤ん坊が出てきた。その瞬間、大きな鳴き声を上げる。
「奥さん。よく頑張ったのう・・・。赤ん坊も元気そうじゃ・・・。」
そう言った村の産婆が赤ん坊をお湯の張ったタライに入れて血などを落としていく。
「よく頑張ったな。フローラ!」
そう言ってグランは妻のフローラを抱きしめる。そんな夫にフローラは微笑むのだった。
「奥さんや。この赤子は男の子ですよ。さあ、その胸に抱いてあげなさい。」
そう言って産婆はフローラに赤子を渡す。黒い髪の小さな男の子。どこか、夫のグランに似た優しい顔つき・・・。
「ねぇ、あなた・・・。この子の名前は何がいいかしら?」
「そうだな・・・。イーグルというのはどうだ?」
「イーグル?あのグランシェル聖戦に出てくる英雄の?」
「そうだ。物語に出てくる人も魔物も愛したという優しい人になるように・・・。と思ったのだがどうかな?」
「イーグル・・・。いいわね。そうなってくれたら私はうれしいわ。」
「よし、お前は今日からイーグルだ。よく俺たちの元に来てくれた。」
そう言ってグランは優しくイーグルの頭を撫でるのだった。
それから、6年、新暦215年・・・。
「おーい。イーグル遊ぼうぜ!」
そう言って宿屋の扉を開けて入ってきたのは銀色の髪の少年だった。
「あら、アルス君。いらっしゃい。イーグルなら二階で本を読んでいるわよ。」
「そうなんだ。ありがとうおばさん!おーい。イーグル!!」
そう言ってアルスは階段を上ってイーグルの部屋のドアを開ける。
「うわ!?・・・もう、びっくりさせないでよ。アルス。」
そう言ったのは気が弱そうな黒髪の少年だった。
「悪い、悪い・・・。それよりも、お前また魔法書なんて読んでいるのか?」
「うん。結構面白いよ?アルスも読む?」
「俺はいいや。そういう難しいものは苦手だ。」
「そう?結構簡単だと思うけどな・・・。」
「お前は頭がいいからな・・・。全く、お前と言い、メルスさんと言いお前達兄弟は頭がいいやつばっかりだな・・・。」
「そうかな?でも、それを言ったらアルスなんて剣がすごいじゃん。もう、アルスに勝てる子なんていないんじゃない?」
「そうか?まあいいや。それよりもイーグル。西の森へ行こうぜ!」
「えっ!?西の森ってあの?」
「そう!あの西の森だ!」
そう言ってアルスは大きく頷く。イーグルは少し考えてから答える。
「でも、西の森ってモンスターが出るから危険だってお父さんが・・・。」
「大丈夫だ。俺が守ってやるから!」
そう言ってアルスは胸を張る。
「う~ん・・・。でも・・・。」
「どうせ、大人の儀ではみんなあの森に入るんだ!少しくらい早くたっていいだろ?」
「それは、15歳になってからでしょ?僕達まだ6歳になったばかりだよ?」
「それがどうした。お前だって興味あるだろ?」
「う・・・。まあ、確かに興味があるけど・・・。」
「なら行こうぜ!」
そう言うアルスの言葉に抗えず結局、イーグルは西の森に行くことになった。
                  ♦
僕はあまり目立ったことをしたくない。理由は特になかった。でも、僕の根底にその考えが定着している。なので、幼馴染のアルスのこういった強引さには正直、ついていけないところがある。
(と言いながら結局はこんなところまで来ちゃったんだけど・・・。)
僕はアルスに気が付かれないようにため息を吐いた。僕たちが今いるのは西の森の入り口。アルスはとても興奮していた。
「なあ、イーグル!この先にはどんな冒険が待っているんだろうな!!」
「さあ?でも、危険なことには変わらないから他の大人たちに見つかる前にこの場から・・・。」
「じゃあ、しゅっぱーつ!!」
「ええ!?」
そう言ってアルスはどんどん進んでいった。僕もその後に続く。僕たちは西の森に行く際に装備を整えていった。
アルスは先月の誕生日に両親からもらった青銅の剣を。僕は木の杖を持っていた。それから歩くこと数十分・・・。
「モンスター出ないなー。」
「ねぇ・・・。アルス。もう帰ろうよ・・・。」
「何言ってるんだよ!俺達まだモンスターと戦ってないんだぞ。」
「戦わなくてもいいよ・・・。お父さんたちに見つかる前に戻ろうよ・・・。」
そう言いながらも僕はアルスについていく。そうしていると・・・。
(たすけて・・・。)
どこからかそんな声がした。
「ねえ、アルス。今声しなかった?」
「声?」
(たすけて・・・。)
「助けて・・・て。あっちから・・・。」
僕はそう言って声のする方向に走り出していた。
「お、おい!イーグル!!」
そう言ってアルスも続く。僕は夢中になって声の下方向に向かった。すると、そこにはゴブリンがいた。
「おい!待てってば・・・と、モンスターか!!」
「うん・・・。なんか様子がおかしいけど・・・。」
「こいつ。かわ。はぎとる。いいふく。つくれる。」
「おれ。みつけた。おれのえもの。」
そう言ってゴブリンたちは言い争っているようだった。
「何、やってるんだ?あいつら・・・。」
「わかんない・・・。でも、あそこに居るのって・・・。」
ゴブリンたちに挟まれるようにそこには銀の毛皮の狼の子供がいた。その狼の子供はどうやらゴブリンが仕掛けた罠に引っかかったようだ。その時だった。
(たすけて・・・!)
その狼が僕の方を向く。僕の目を見て助けを求めた。僕は居ても立っても居られなかった。
「四代元素の一つ。火の精霊よ、我が魔力を糧として我にその力を貸したまえ・・・。」
そして、僕は言い争っているゴブリンの間を狙う。
「ファイアーボール!」
すると言い争っていたゴブリンの鼻先を火の玉が通り抜けていく。ゴブリンたちは慌ててその場から立ち去った。
僕は急いで、その狼の所に行った。すると、狼は警戒するように僕を見ている。
「大丈夫だよ。今助けてあげるから・・・。」
そう言って僕が手を伸ばすと狼が吠えた。僕はびっくりしてその手を引っ込めてしまう。
「イーグル?何やってるんだよ?」
そう言ってアルスは呆れたようにため息を吐く。
「だ・・・だって・・・。この子が吠えるから・・・。」
「それってシルバーウルフだろ?退治しないといけない危険なモンスターだぞ?」
そう言ってアルスは剣を引き抜く。
「何するの?」
「何って・・・。こいつを倒すんだよ。危険だから。」
「でも、この子、まだ子供だよ?それに怪我もしてる・・・。」
「チャンスじゃないか。今のうちに倒しておこうぜ。」
そう言ってアルスはシルバーウルフの子供に剣を振り下ろした。僕はそれを木の杖で防ぐ。
「何のつもりだ。イーグル?」
「止めて、アルス。大丈夫だよ。この子はきっといい子だから・・・。」
「何言って・・・。」
「もう大丈夫だよ・・・。」
そう言って僕はシルバーウルフの子供に近づく。シルバーウルフの子供はそんな僕に向かって噛みついてきた。僕は右腕をシルバーウルフに噛みつかれた。
「イーグル!!」 
そう言ってアルスは剣を構えるが僕は止める。僕は痛みを我慢してそのシルバーウルフの子供の頭を撫でる。
「大丈夫・・・。大丈夫だから・・・。」
そうして僕は安心させるようにその頭を抱きかかえる。するとシルバーウルフの子供は噛みついた腕から口を離した。僕の右腕からは血が出ていた。でも、僕は気にしない。
「今、罠外してあげるからね?」
そう言ってシルバーウルフの子供の後ろ脚に引っかかっていた罠を壊して解放した。
「怪我してる・・・。治療するね。」
そう言って僕は魔法を唱える。
「癒しの女神よ。どうかこの慈悲を彼の者に・・・。」
そうしてシルバーウルフの後ろ脚に魔法を掛ける。
「ヒール。」
すると、シルバーウルフの子供の後ろ脚の怪我が治った。
「ほら、これでもう大丈夫だよ。」
そう言ってシルバーウルフの子供を離してあげる。すると、シルバーウルフの子供が草むらの方に向かう。そこには大人のシルバーウルフがいた。どうやらその子のお母さんのようだった。しかし・・・。
「この、シルバーウルフ。死んでる。」
どうやら、さっきのゴブリンに殺されてしまったらしい。シルバーウルフの子はそのシルバーウルフから離れようとはしなかった。
(お母さん・・・。お母さん・・・。)
シルバーウルフの子が悲しそうにそのシルバーウルフに身をこする。しかし、反応がなかった。
「イーグル。このシルバーウルフの子をどうするんだ・・・?」
「そうだね・・・。」
僕は自分の右腕を治しながらその様子を見ていた。そして決意する。
「ねぇ、アルス。この子、僕達で育てない?」
「な・・・。何言ってるんだ。こいつはモンスターだぞ!?」
「うん・・・。でも、こんな姿を見たらほっとけないよ。」
僕はそう言ってシルバーウルフの子を見た。アルスは頭を掻いて言う。
「はぁ・・・。お前って普段は気弱なのに一回こうと決めると、絶対曲げないよな。」
「あはは・・・。」
そう言って僕はシルバーウルフの子を抱きかかえる。
「でも、本当にどうするんだよ?おじさんとおばさん、絶対に反対するぞ?」
「大丈夫。僕が絶対に何とかする。」
そういうと、不安そうにシルバーウルフの子は僕の方を見たのだった。
僕たちはシルバーウルフのお母さんのお墓を作った後に家に戻った。僕はさっそく、シルバーウルフの子を飼いたいとお父さんとお母さんに言うとものすごく怒られた。でも、僕はあきらめなかった。
「駄目だ!今すぐ、西の森に帰してきなさい!!」
「でも、この子、独りぼっちだよ・・・。またゴブリンに襲われるかもしれない・・・。」
「モンスターが人の言うことを聞くわけがないだろう!大きくなったら絶対に村の人間を襲うぞ!そうなったらだれが責任取るんだ!」
「そうならないようにしっかり育てるから!!」
「駄目だ!!」
そういうやり取りを僕はお父さんとどのぐらいしただろう。
「でも!!」
(ごめんなさい!)
そう言ってシルバーウルフの子は僕の腕から抜けて西の森に向かって行ってしまう。
「待って!!」
「イーグル!待ちなさい!!」
僕はシルバーウルフの子を追って西の森に向かうのだった。辺りはすっかり夜だ・・・。
                  ♦

私はお母さんと西の森の中でいつものように森を散策していた。
「お母さん、見て見て、お花が綺麗!」
「はいはい。全くあなたは落ち着きがないわね・・・。」
そうして歩いているとそこにはおいしそうなお肉が置いてあった。
「おいしそうな、お肉・・・。」
そう言って私はそこに近づく。
「駄目!!」
お母さんが私に呼びかけるがもう遅かった。私の後ろ脚に痛みがあった。
「痛っ!?」
「待ってなさい!すぐに助けるから!!」
そう言ってお母さんは私の元に駆け寄る。しかしそこにゴブリンが現れる。
「シルバーウルフ。つかまえた。こいつ。かわはぎとる。」
「そうはさせないわ!」
そう言ってお母さんがゴブリンたちに吠えかける。しかし、ゴブリンは私ののど元に刃物を突き付ける。
「うごくな。こいつ。いのち。ない。」
「くっ!」
そうしてお母さんは私の目の前でゴブリンたちに嬲り殺された。ゴブリンはお母さんを簡単には殺さなかった。まずは自由を奪うために足を、そして、目を鼻を胴体をそうして最後に喉を切り裂く。
「助けて・・・。」
私はその光景を見ることしか出来なかった。
「助けて・・・。」
お母さんが倒れる。ゴブリンが嘲笑う。
そして、ゴブリンが私の方を向く。
「こいつ。かわ。はぎとる。いいふく。つくれる。」
「おれ。みつけた。おれのえもの。」
そう言ってゴブリンたちは言い争っている。でも、私はどうすることも出来なかった。その時だった。
(ファイアーボール!)
次の瞬間、ゴブリンたちの鼻先を炎の球がかすめる。ゴブリンは突然のことに慌てて逃げだした。
私は突然の事態に混乱した。すると現れたのは二人の人間の子供だった。お母さんから人間は危険だと聞いていた。なので警戒した。
(大丈夫だよ。今助けてあげるから・・・。)
そう言って髪の色の黒い人間が手を伸ばす。私は身の危険を感じて吠えた。その人間はびっくりしてその手を引っ込めてしまう。
(イーグル?何やってるんだよ?)
もう一人の銀髪の人間が何か言っていた。
(だ・・・だって・・・。この子が吠えるから・・・。)
(それってシルバーウルフだろ?退治しないといけない危険なモンスターだぞ?)
そう言って銀髪の人間が剣を引き抜く。その様子に黒髪の人間が驚いたような顔をする。
(何するの?)
(何って・・・。こいつを倒すんだよ。危険だから。)
(でも、この子、まだ子供だよ?それに怪我もしてる・・・。)
(チャンスじゃないか。今のうちに倒しておこうぜ。)
黒髪の人間と銀髪の人間は言い争う。そして、銀の髪の人間が私に剣を振り下ろした。私は目を瞑る。しかし、予想された痛みはいつまで経っても来なかった。恐る恐る目を開けると黒髪の人間が私の前に居た。
(何のつもりだ。イーグル?)
(止めて、アルス。大丈夫だよ。この子はきっといい子だから・・・。)
(何言って・・・。)
そう言う銀髪の人間を黒髪の人間は私の前に来る。
(もう大丈夫だよ・・・。)
そう言って私に手を差し伸べてきた。私は咄嗟に黒髪の少年に向かって噛みついた。
(イーグル!!) 
そう言って銀髪の人間は剣を構えるがそれを黒髪の人間が止める。その人間は痛みを我慢したような顔をしていたそして私の頭に手を乗せる。
(大丈夫・・・。大丈夫だから・・・。)
そうして黒髪の人間が安心させるように私の頭を抱きかかえる。私はその態度に何が何だか分からず噛みついていた腕から口を離した。
(今、罠外してあげるからね?)
そう言って黒髪の人間は罠を壊して私を解放した。
(怪我してる・・・。治療するね。)
そう言って黒髪の人間が何かをぶつぶつと呟く。
「ヒール。」
すると、私の後ろ脚の怪我が治った。
(ほら、これでもう大丈夫だよ。)
そう言って黒髪の人間は私を離してくれる。私は急いで草むらの方に向かう。そこにはもう動かなくなったお母さんがいた。
「お母さん・・・。お母さん・・・。」
私はお母さんに語り掛ける。しかし、反応がなかった。私は悲しみに暮れていた。
黒髪の人間と銀髪の人間何かを話していた。そんな私を黒髪の人間は私を持ち上げる。
(はぁ・・・。お前って普段は気弱なのに一回こうと決めると、絶対曲げないよな。)
(あはは・・・。)
その黒髪の人間は気弱そうに笑う。
(でも、本当にどうするんだよ?おじさんとおばさん、絶対に反対するぞ?)
そう言って銀髪の人間は呆れたようにため息を吐く。
(大丈夫。僕が絶対に何とかする。)
不安に思い黒髪の人間の方を見たのだった。
人間たちはお母さんのお墓を作った後に私を連れて人間の村に向かう。黒髪の人間はさっそく、人間の大人に何かを言っていた。しかし、黒髪の人間はとても怒られていた。しかし、黒髪の人間はあきらめなかった。
(駄目だ!今すぐ、西の森に帰してきなさい!!)
(でも、この子、独りぼっちだよ・・・。またゴブリンに襲われるかもしれない・・・。)
(モンスターが人の言うことを聞くわけがないだろう!大きくなったら絶対に村の人間を襲うぞ!そうなったらだれが責任取るんだ!)
(そうならないようにしっかり育てるから!!)
(駄目だ!!)
そういうやり取りを人間たちはどのぐらいしただろう。それでも、黒髪の人間はあきらめることはなかった。
(でも!!)
「ごめんなさい!」
私は居たたまれなくなってその人間の腕から逃げた。そして今、西の森をさまよっていた。
「どうしよう・・・。」
私は黒髪の人間の元を離れて途方に暮れていた。お母さんも居ない。助けてくれた人間もいない。正直心細い。
その時だった。
「シルバーウルス。みつけた。」
ゴブリンが私の前に立ちはだかる。1匹じゃない。4匹は居た。
「こいつのけ。とてもいいふく。なる。」
私は恐怖で動けなかった。
次の瞬間、ゴブリンの1匹が私に向かってに短剣を持って向かってくる。私は目を瞑る。
次の瞬間、そのゴブリンは炎に包まれた。その先を見ると黒髪の人間がいた。
♦  
僕が見つけた時にはシルバーウルフの子がゴブリンに襲われるところだった。僕は魔法を唱える。
「四代元素の一つ。火の精霊よ、我が魔力を糧として我にその力を貸したまえ・・・。」
そして、シルバーウルフの子供に突っ込んでくるゴブリンに向けて杖を向ける。
「ファイアーボール!」
次の瞬間、ゴブリンは火に包まれて絶命する。それに怯んだのか、他のゴブリンが一歩後退する。僕はその隙に走り出し、シルバーウルフの子を抱き寄せて走り出す。
「あの。にんげん。おえ。」
そう言ってゴブリンは僕を追いかけてくる。一匹が矢をつがえて僕に放つ。その矢が僕の肩に刺さった。
「あぐっ!?」
僕はその痛みに足元をすくわれ転んでしまった。
(大丈夫ですか!?)
「大丈夫・・・。ちょっと矢が刺さっただけだから・・・。それよりも、君は早く逃げて・・・。」
(嫌です!私があいつらの元に行けばいいだけのことです。)
「いいから逃げて!早く!!」
そう言う僕にシルバーウルフの子は首を振るばかりだった。その間にもゴブリンは僕に近づいてくる。そして持っている短剣を僕に振り下ろした。その時だった。
「何、諦めてるんだよ。イーグル!」
そうして短剣を振り下ろしたゴブリンを切り伏せたのは・・・。
「アルス!!」
「まったく・・・。お前が西の森に向かったって言うから来てみれば・・・。」
「あはは・・・。」
「まあいい。お前は少し休んでろ。さて・・・。」
そう言ってアルスは残ったゴブリンを睨み付ける。
「俺の友達によくも怪我させたな・・・。覚悟は出来てるんだろうな?」
そう言ってアルスは剣を構える。その気迫にゴブリンは後ずさるがプライドがそれに勝った。
「くっ。こどもが。ちょうしに。のるな!」
そう言って弓を構えるゴブリン。しかし、そのゴブリンの頭は切り飛んでいた。
「お前らこそ調子に乗るなよ。このクソが!」
そう言ってアルスは剣を構えてもう一体のゴブリンに肉薄する。
「ひぃ!」
「これで終わりだ!」
そうしてゴブリンの胴を切り裂く。大量の血を出しながらゴブリンは死んだ。
「あ、ありがとう・・・。アルス。」
僕がお礼を言うとアルスは僕をグーで殴った。僕はびっくりしてアルスを見るとその顔は今にも泣きそうだった。
「お前な!俺がどれだけ心配したと思ってるんだ!この馬鹿!!」
「アルス・・・。」
そうしてアルスは僕を抱きしめる。
「お前は俺の親友だ。こんな無茶はもう二度とするな!」
「・・・うん。ゴメンね。アルス・・・。」
そうしていると、村の方から大人たちがやってくる。
そして今、僕は傷の手当てを受けながらお父さんに怒られている。そんな様子をシルバーウルフの子は心配そうに見ている。
そして、シルバーウルフの子は僕が責任を持って育てるということで家で飼うのを許されたのだった。
翌日。
「そう言えば、君に名前を付けてないね。君は何て名前なの?」
(私、名前ないんです。だから、名前を付けてください。)
「そうなんだ・・・。じゃあ、君は今日からポチで。」
(はい。マスター。)
「マスターか・・・。ちょっと照れるな・・・。イーグルでいいよ。」
(わかりました。イーグル。)
そうして、ポチと僕は家族になった。
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