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4話 兄妹会議
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「これは由々しき事態だ。」
正悟兄さんがあの後、呆然とする僕を引っ張っていき兄妹達を集めてテーブルを囲む。
「ええ・・・。まさか、正真がそんなに危険な立場になるなんて・・・。」
美香姉さんがため息を吐きながら僕の頭を撫でる。
僕はというとなぜかしら美香姉さんに抱きしめられる形で椅子に座っているのだが正直暑苦しくて離して欲しいところだ。
「でも、正真の力って具体的にどんなもんなんだ?話を聞いた限りじゃ魔法が効かないってだけで物理には弱いみたいだが・・・?」
正文兄さんが疑問を口にする。
「確かにグラン王の話を聞く限りではそのようだな・・・。だが、この世界の軍隊の編成について考えると正真の力は相手国にとってはかなり脅威だ。」
そう言って正悟兄さんが説明する。
この国の軍は魔法使いを中心に編成されている。
前衛も後衛も皆魔法使いだ。
もちろん剣や槍など物理的な武器もあるのだが中心は魔法である。
騎士や兵士たちも皆何かしらの魔法を用いておりその均衡を崩しかねない僕の魔法は脅威だということだ。
「例えるなら、正真がいる軍には魔法に対する絶対防御が施され魔法が効かない状態になる。反対に相手の方は正真がいる限り魔法をすべて無力化される。攻撃・防御・強化魔法や支援魔法も・・・。」
「それは、相手にとっては頭が痛い問題ね・・・。向こうは強化もされていて魔法に対しては無敵。魔法が中心の軍隊にとって正真は目の上のタンコブということね。」
「そういうことだ。」
美紀姉さんの言葉に正悟兄さんが頷く。
「それってかなり不味いんじゃない?この国って大国に囲まれている弱小国なんでしょ?」
美沙姉さんがかなり失礼なことを言う。
「ああ・・・。東西南北を大国に囲まれている小国だ。俺達6人の勇者で牽制しようというのがこの国の狙いだったがそれも正真がいるとなると話は変わるな・・・。」
「うん・・・。正真兄さんが居れば最悪私たちと戦うことになっても魔法に対する絶対耐性があるから軍の士気は高くなるね・・・。」
美玖が呟く。
「俺達だって熟練の兵士と比べるとまだまだ弱いんだ。軍事力を持って攻めこまれてしまえば数の力で押し切られてしまう。」
正悟兄さんがため息を吐いて言う。
「あの・・・僕はこの国を裏切ることはないし大丈夫なんじゃないかな?」
僕がそう返すが正真兄さんは首を振る。
「そう簡単な話ではない。正真がこの国に存在しているということがこの国の危機なんだ。」
「そっか・・・。」
僕は顔を俯かせる。
「兄さん!そんな言い方はあんまりよ!ああ・・・可哀そうな正真・・・。お姉ちゃんが必ず守ってみせるからね・・・。」
そう言って美香姉さんが抱きすくめる。
「・・・ねぇ、兄さん。この事実って私たちの他には誰が知っているのかしら?」
美沙姉さんが正悟兄さん聞く。
「俺達兄妹とあとはマードックさんにグラン王、後はその場にいた衛兵のみだな。」
「そう・・・。なら、こんな感じにしてはどうかしら?正真には魔法の力がない無能を演じてもらうの。」
「どうゆうことよ、美沙?」
「今回の件はバレたらこの国は終わるって話よね?つまり、私たちが目立つことで正真の存在を隠すの。そうすれば、残るのは勇者である私たちという抑止力のみということになるわ。」
「なるほど・・・。それなら、相手国が無理に攻め込む理由にはならないな・・・。」
「ええ・・・。ただ、これを実行すると正真の立場が悪いものになるわ。この国で正真の力を知らない人の中に正真を軽んじる人物が現れるかもしれない。そうなった時、正真が傷つくことになる。」
「・・・。」
「正真。貴方が決めなさい。国や私たちを危険に晒すのを覚悟のうえで自分の名誉を守るか国や私たちのために名誉を捨てて無能を演じるか・・・。」
「美沙姉さん・・・。」
「酷なことを聞いている自覚はあるわ。でも、これは大切なこと・・・。貴方が選んだ答えに私たちは従うわ。」
そう言う美沙姉さんの目はとても真剣だった。そして、他の兄妹達の目も・・・。
「僕が無能を演じれば兄さん達や国が危険に晒されることはないなら僕は無能を演じるよ。」
「本当に良いの?」
「うん。名誉なんかよりも僕は家族が大切だ。聞かれるまでもないよ。」
「ありがとう、正真。」
そう言って美沙姉さんは僕の頭を撫でるのだった。
正悟兄さんがあの後、呆然とする僕を引っ張っていき兄妹達を集めてテーブルを囲む。
「ええ・・・。まさか、正真がそんなに危険な立場になるなんて・・・。」
美香姉さんがため息を吐きながら僕の頭を撫でる。
僕はというとなぜかしら美香姉さんに抱きしめられる形で椅子に座っているのだが正直暑苦しくて離して欲しいところだ。
「でも、正真の力って具体的にどんなもんなんだ?話を聞いた限りじゃ魔法が効かないってだけで物理には弱いみたいだが・・・?」
正文兄さんが疑問を口にする。
「確かにグラン王の話を聞く限りではそのようだな・・・。だが、この世界の軍隊の編成について考えると正真の力は相手国にとってはかなり脅威だ。」
そう言って正悟兄さんが説明する。
この国の軍は魔法使いを中心に編成されている。
前衛も後衛も皆魔法使いだ。
もちろん剣や槍など物理的な武器もあるのだが中心は魔法である。
騎士や兵士たちも皆何かしらの魔法を用いておりその均衡を崩しかねない僕の魔法は脅威だということだ。
「例えるなら、正真がいる軍には魔法に対する絶対防御が施され魔法が効かない状態になる。反対に相手の方は正真がいる限り魔法をすべて無力化される。攻撃・防御・強化魔法や支援魔法も・・・。」
「それは、相手にとっては頭が痛い問題ね・・・。向こうは強化もされていて魔法に対しては無敵。魔法が中心の軍隊にとって正真は目の上のタンコブということね。」
「そういうことだ。」
美紀姉さんの言葉に正悟兄さんが頷く。
「それってかなり不味いんじゃない?この国って大国に囲まれている弱小国なんでしょ?」
美沙姉さんがかなり失礼なことを言う。
「ああ・・・。東西南北を大国に囲まれている小国だ。俺達6人の勇者で牽制しようというのがこの国の狙いだったがそれも正真がいるとなると話は変わるな・・・。」
「うん・・・。正真兄さんが居れば最悪私たちと戦うことになっても魔法に対する絶対耐性があるから軍の士気は高くなるね・・・。」
美玖が呟く。
「俺達だって熟練の兵士と比べるとまだまだ弱いんだ。軍事力を持って攻めこまれてしまえば数の力で押し切られてしまう。」
正悟兄さんがため息を吐いて言う。
「あの・・・僕はこの国を裏切ることはないし大丈夫なんじゃないかな?」
僕がそう返すが正真兄さんは首を振る。
「そう簡単な話ではない。正真がこの国に存在しているということがこの国の危機なんだ。」
「そっか・・・。」
僕は顔を俯かせる。
「兄さん!そんな言い方はあんまりよ!ああ・・・可哀そうな正真・・・。お姉ちゃんが必ず守ってみせるからね・・・。」
そう言って美香姉さんが抱きすくめる。
「・・・ねぇ、兄さん。この事実って私たちの他には誰が知っているのかしら?」
美沙姉さんが正悟兄さん聞く。
「俺達兄妹とあとはマードックさんにグラン王、後はその場にいた衛兵のみだな。」
「そう・・・。なら、こんな感じにしてはどうかしら?正真には魔法の力がない無能を演じてもらうの。」
「どうゆうことよ、美沙?」
「今回の件はバレたらこの国は終わるって話よね?つまり、私たちが目立つことで正真の存在を隠すの。そうすれば、残るのは勇者である私たちという抑止力のみということになるわ。」
「なるほど・・・。それなら、相手国が無理に攻め込む理由にはならないな・・・。」
「ええ・・・。ただ、これを実行すると正真の立場が悪いものになるわ。この国で正真の力を知らない人の中に正真を軽んじる人物が現れるかもしれない。そうなった時、正真が傷つくことになる。」
「・・・。」
「正真。貴方が決めなさい。国や私たちを危険に晒すのを覚悟のうえで自分の名誉を守るか国や私たちのために名誉を捨てて無能を演じるか・・・。」
「美沙姉さん・・・。」
「酷なことを聞いている自覚はあるわ。でも、これは大切なこと・・・。貴方が選んだ答えに私たちは従うわ。」
そう言う美沙姉さんの目はとても真剣だった。そして、他の兄妹達の目も・・・。
「僕が無能を演じれば兄さん達や国が危険に晒されることはないなら僕は無能を演じるよ。」
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「ありがとう、正真。」
そう言って美沙姉さんは僕の頭を撫でるのだった。
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