僕はどうやら神様の手違いにより飛ばされたみたいです。 旧バージョン

わっしー

文字の大きさ
12 / 57

11話 状況説明

しおりを挟む
11話 状況説明
王国を出てから数日が過ぎた。
僕達の旅路は特にトラブルもなく進んでいた。
「でも、魔物とかが襲ってこないね・・・。ゲームとかだとよくエンカウントするんだけど・・・。」
「げーむというのは分からないが魔物が襲ってこないのは私がいるからだと思うわ。」
「どういうこと?」
シルビアに聞いたところ胸を張りながら答える。
「私はシルバーウルフ。そこら辺の魔物とは格が違うのよ。魔物というのは本能で生きているから格上の相手を見ても襲ってくることはないわ。」
「そうなんだね・・・。」
まあ、確かに人間に変身できるほどの魔物となると上位の個体なんだろうなということが分かる。
「それよりも、獣人。あんたの国まであとどれくらいなのかしら?」
「そうだな・・・。あと、二日という所だな?」
アルスは前を見ながら答える。アルスとシルビアの関係はお世辞にも良いとは言えない。
まあ、シルビアがアルスを警戒しているだけなのでそんなに気にすることはないかなと思う。
気にしたところでどうすることも出来ないし・・・。
「ショウマ、疲れた?」
「大丈夫。早くアルスの妹さんの呪いを解いてあげないといけないから急ごう。」
「気遣いに感謝する。」
そして、僕たちは先を急ぐ。

その夜、僕たちは焚火を囲んだ。
「今のケルタイネン王国はどんな状況なのか一度整理するぞ。」
そう言ってアルスは説明する。
ケルタイネン王国は獣人の国だ。14年前、北の大国「ポライネン帝国」との戦で王が戦死したことで今は第一王女であるミーシャ・ケルタイネンが国を治めているとのことだ。
「当時、14歳のミーシャ王女はその類稀なカリスマ性で国をまとめ上げた。そのおかげでケルタイネンは帝国の属国になることなく今日まで大国としての地位を確立してきた。」
「そうなのか・・・。」
「ポライネン帝国は14年前から各国に侵略行為を繰り返している。西のエルフの国「ビヘレア王国」にも侵略している。南の国は反対側ということと中央のヴァルコイネン王国があることで侵略を受けていない。」
「帝国としては侵略するのにヴァルコイネン王国が邪魔だということなんだね。」
「ああ・・・。ヴァルコイネン王国を帝国に吸収されれば他の国も危機に陥る。そのため、14年前に帝国を除く四国で四国同盟が結ばれたのだがそれもほころびが出てきた。」
「どういうこと?」
「14年前の戦で各国が痛手を受けた。ケルタイネンは王を失い、ビヘレアは多くの将兵を失った。南の国は魔族の侵略を恐れて同盟を援助することが出来ない。みんな自分のことで精一杯なんだ。」
そして、アルスは言い難そうに言葉を紡ぐ。
「そこで各国は密かにヴァルコイネン王国を併合しようと考えている。」
「どうして?」
「まあ、理由としては帝国から自分の国を守るためだな。侵略を受けた際、ヴァルコイネンを盾にして少しでも時間を稼ぐつもりみたいだ。」
「そんな・・・。」
「まあ、併合とは聞こえはいいが簡単に言えば植民地化をして兵や労働力を搾取しようとも考えている。特に、ケルタイネンの獣人やビヘレアのエルフたちは人間を恨んでいるところがあるからな・・・。」
「それってアルスが奴隷にされたことにも関係があるの?」
「ああ・・・。帝国は獣人やエルフなどの亜人を同じ人間だと思っていない。南の国や中央のヴァルコイネンは差別はないがな・・・。」
「それって理由があるの?」
「帝国は「ブリスト教」を信仰しているからな。」
「ブリスト教?」
聞きなれない言葉に首をひねる。
「ブリスト教は人間至上主義の宗教だ。その教えの中には獣人などの亜人は人間になれなかった出来損ないたちでそれを排除して完璧な世界を目指すというものだ。」
「・・・。」
「まあ、そんな理由で俺たち獣人は人間のことをよく思っていない。」
「アルスもそうなのか?」
僕は素朴な疑問を問う。アルスは首を振る。
「俺は気にしていない。人間の中にもいい奴はいるし、獣人の中にも悪い奴はいる。だから、そんなことを論じてもしょうがないと思う。」
「そっか・・・。」
その言葉で僕は少し安心する。
「さて、そろそろ寝るといい。見張りは俺とシルビアが引き受ける。」
「ああ。いつも悪いね。」
「俺が頼んだことだ。気にすることはない。」
そう言ってアルスは笑う。
旅に出てから数日。アルスはいつも見張りをしてくれている。その横でシルビアが見張りをしているという形だ。
獣人は数日寝なくても大丈夫とのことだったが少し心配だ。
そう思いながらも僕は疲れから眠りに落ちるのだった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?

来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。 そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった! 亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。 「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」 「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」 おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。 現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。 お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、 美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

悪役令嬢の追放エンド………修道院が無いじゃない!(はっ!?ここを楽園にしましょう♪

naturalsoft
ファンタジー
シオン・アクエリアス公爵令嬢は転生者であった。そして、同じく転生者であるヒロインに負けて、北方にある辺境の国内で1番厳しいと呼ばれる修道院へ送られる事となった。 「きぃーーーー!!!!!私は負けておりませんわ!イベントの強制力に負けたのですわ!覚えてらっしゃいーーーー!!!!!」 そして、目的地まで運ばれて着いてみると……… 「はて?修道院がありませんわ?」 why!? えっ、領主が修道院や孤児院が無いのにあると言って、不正に補助金を着服しているって? どこの現代社会でもある不正をしてんのよーーーーー!!!!!! ※ジャンルをファンタジーに変更しました。

掃除婦に追いやられた私、城のゴミ山から古代兵器を次々と発掘して国中、世界中?がざわつく

タマ マコト
ファンタジー
王立工房の魔導測量師見習いリーナは、誰にも測れない“失われた魔力波長”を感じ取れるせいで奇人扱いされ、派閥争いのスケープゴートにされて掃除婦として城のゴミ置き場に追いやられる。 最底辺の仕事に落ちた彼女は、ゴミ山の中から自分にだけ見える微かな光を見つけ、それを磨き上げた結果、朽ちた金属片が古代兵器アークレールとして完全復活し、世界の均衡を揺るがす存在としての第一歩を踏み出す。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

【完結】モンスターに好かれるテイマーの僕は、チュトラリーになる!

すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
 15歳になった男子は、冒険者になる。それが当たり前の世界。だがクテュールは、冒険者になるつもりはなかった。男だけど裁縫が好きで、道具屋とかに勤めたいと思っていた。 クテュールは、15歳になる前日に、幼馴染のエジンに稽古すると連れ出され殺されかけた!いや、偶然魔物の上に落ち助かったのだ!それが『レッドアイの森』のボス、キュイだった!

処刑された王女、時間を巻き戻して復讐を誓う

yukataka
ファンタジー
断頭台で首を刎ねられた王女セリーヌは、女神の加護により処刑の一年前へと時間を巻き戻された。信じていた者たちに裏切られ、民衆に石を投げられた記憶を胸に、彼女は証拠を集め、法を武器に、陰謀の網を逆手に取る。復讐か、赦しか——その選択が、リオネール王国の未来を決める。 これは、王弟の陰謀で処刑された王女が、一年前へと時間を巻き戻され、証拠と同盟と知略で玉座と尊厳を奪還する復讐と再生の物語です。彼女は二度と誰も失わないために、正義を手続きとして示し、赦すか裁くかの決断を自らの手で下します。舞台は剣と魔法の王国リオネール。法と証拠、裁判と契約が逆転の核となり、感情と理性の葛藤を経て、王女は新たな国の夜明けへと歩を進めます。

処理中です...