31 / 120
5話 アキバハラでお仕事
4
しおりを挟む
UFOキャッチャーで無双したい気持ちはあったが、たいして欲しいものがなかったので、皇がここに入った理由の場所へ向かった。
それは、ジャパニーズ・プリクラであった!
平成からジャパニーズ・ギャルたちが夢中になっている写真機! ジャパニーズ・女子は遊ぶ時は必ずこれで友人と一緒に撮るのだという。最近は補正機能が凄まじく、撮れば皆女神のように美しく映るのだとか。元々女神である私はどうなってしまうのか、少し楽しみである。
機械はたくさん並んでいたがどこも埋まっていた。ジャパニーズ・アキバ女子が実際にプリクラで遊んでいる姿を見られて、私は少し感動した。
ちょうど女子たちが出てきた機械の中に入った。
黄緑色の背景の小さな個室。皇はコインを入れて、操作画面に触れた。
皇は、『友達とカップル、どっち?』『何人でとる?』などの可愛い声に、画面を触って答えていた。
個室の外の女子が、「めっちゃ盛れたじゃん~」と笑い合いながら、手にある何か――おそらくプリクラの成果物を見合っているらしき手元が見えた。
そうだ。プリクラは写真。最後は、撮った写真を持ち帰ることができる。ならば……皇の顔を見える状態にすれば、家でも好きなタイミングで皇の顔を見られるのでは!?
私は、なにやらぴこぴこと音を鳴らしながら操作画面を触っている皇に、「メガネをはずして、前髪をあげてください」と命令した。
皇が「あ、はい」とメガネをはずしてしているうちに、『撮影するよ!』という可愛らしい声が聞こえてきた。
『一枚目! ギャルピして!』
「ギャルピ!?」
「多分、下の写真を真似て……」
カシャ!
容赦なくシャッター音が響いた。『こんな感じだよ!』という声がして、慌てふためく私の顔と、前髪を垂らしたまま画面に指をさす皇が画面に映し出された。背景は黄緑ではなく、紫色に変わっていた。
なるほど、指示に従い、表示された写真の通りのポーズをとっていけばいいということか。
ほとんど間なく、『2枚目行くよ!』と声がした。
「前髪!」
「あっ、はい」
『ルダハートして!』
ルダ? なんだかしらんが、ほおに片手でつくったハートの形の片割れをつけるのか!
カシャッ!
あ~~~~顔きれい~~~~! 顔、すきぃ~~~~!
『3枚目、行くよ!』
は、はやいっ!
息つく暇もないほど早く、4枚目、5枚目、6枚目と撮っていき、全部で10枚撮って終わった。
『撮影、終了~!』と言われ、私はぜいぜいと息を切らせていた。皇も同じだった。あんなに高速で指定されたポーズや表情を作るなんて、なんて大変な遊びだ……。ジャパニーズ・女子の強さを思い知った。
これで終わりかと思いきや、「落書き」をしなければならないらしかった。10枚のうち6枚を選んで、ペンやスタンプで装飾することになった。
「何を書けば……」
「僕もはじめてなのでよくわかりません。記念ですので、日付を入れておきましょう」
他に思いつかないので、皇が6枚全てに日付を書き込んで終わった。私は6枚の皇の顔をゆっくり眺めていて、それどころではなかった。
かなり補正されてしまい目鼻顎の比率がおかしいことになってはいるが、皇の顔だ。たどたどしい微笑とぎごちないポーズが、可愛くて萌える……。顎の下でハートを作ったやつと、指ハートが特にいい。ファンサ感がある。萌え……。
機械の外に出てしばらく待つと、直径20センチほどの細長い写真がことりと落ちてきた。細長い中に6枚が凝縮されているので、一つ一つの写真が小さい。引き延ばしてポスターにして壁に貼りたい……。
……って、何を考えているんだ私は!
ポスターを壁に貼る……それではまるで推し活ではないか!
私の部屋の壁は、推し――つまり、緋王様のためのもの。
萌えるからといって、大切な推しの聖域を侵すなど、断じてしてはならない……!
それは、ジャパニーズ・プリクラであった!
平成からジャパニーズ・ギャルたちが夢中になっている写真機! ジャパニーズ・女子は遊ぶ時は必ずこれで友人と一緒に撮るのだという。最近は補正機能が凄まじく、撮れば皆女神のように美しく映るのだとか。元々女神である私はどうなってしまうのか、少し楽しみである。
機械はたくさん並んでいたがどこも埋まっていた。ジャパニーズ・アキバ女子が実際にプリクラで遊んでいる姿を見られて、私は少し感動した。
ちょうど女子たちが出てきた機械の中に入った。
黄緑色の背景の小さな個室。皇はコインを入れて、操作画面に触れた。
皇は、『友達とカップル、どっち?』『何人でとる?』などの可愛い声に、画面を触って答えていた。
個室の外の女子が、「めっちゃ盛れたじゃん~」と笑い合いながら、手にある何か――おそらくプリクラの成果物を見合っているらしき手元が見えた。
そうだ。プリクラは写真。最後は、撮った写真を持ち帰ることができる。ならば……皇の顔を見える状態にすれば、家でも好きなタイミングで皇の顔を見られるのでは!?
私は、なにやらぴこぴこと音を鳴らしながら操作画面を触っている皇に、「メガネをはずして、前髪をあげてください」と命令した。
皇が「あ、はい」とメガネをはずしてしているうちに、『撮影するよ!』という可愛らしい声が聞こえてきた。
『一枚目! ギャルピして!』
「ギャルピ!?」
「多分、下の写真を真似て……」
カシャ!
容赦なくシャッター音が響いた。『こんな感じだよ!』という声がして、慌てふためく私の顔と、前髪を垂らしたまま画面に指をさす皇が画面に映し出された。背景は黄緑ではなく、紫色に変わっていた。
なるほど、指示に従い、表示された写真の通りのポーズをとっていけばいいということか。
ほとんど間なく、『2枚目行くよ!』と声がした。
「前髪!」
「あっ、はい」
『ルダハートして!』
ルダ? なんだかしらんが、ほおに片手でつくったハートの形の片割れをつけるのか!
カシャッ!
あ~~~~顔きれい~~~~! 顔、すきぃ~~~~!
『3枚目、行くよ!』
は、はやいっ!
息つく暇もないほど早く、4枚目、5枚目、6枚目と撮っていき、全部で10枚撮って終わった。
『撮影、終了~!』と言われ、私はぜいぜいと息を切らせていた。皇も同じだった。あんなに高速で指定されたポーズや表情を作るなんて、なんて大変な遊びだ……。ジャパニーズ・女子の強さを思い知った。
これで終わりかと思いきや、「落書き」をしなければならないらしかった。10枚のうち6枚を選んで、ペンやスタンプで装飾することになった。
「何を書けば……」
「僕もはじめてなのでよくわかりません。記念ですので、日付を入れておきましょう」
他に思いつかないので、皇が6枚全てに日付を書き込んで終わった。私は6枚の皇の顔をゆっくり眺めていて、それどころではなかった。
かなり補正されてしまい目鼻顎の比率がおかしいことになってはいるが、皇の顔だ。たどたどしい微笑とぎごちないポーズが、可愛くて萌える……。顎の下でハートを作ったやつと、指ハートが特にいい。ファンサ感がある。萌え……。
機械の外に出てしばらく待つと、直径20センチほどの細長い写真がことりと落ちてきた。細長い中に6枚が凝縮されているので、一つ一つの写真が小さい。引き延ばしてポスターにして壁に貼りたい……。
……って、何を考えているんだ私は!
ポスターを壁に貼る……それではまるで推し活ではないか!
私の部屋の壁は、推し――つまり、緋王様のためのもの。
萌えるからといって、大切な推しの聖域を侵すなど、断じてしてはならない……!
4
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
大丈夫のその先は…
水姫
恋愛
実来はシングルマザーの母が再婚すると聞いた。母が嬉しそうにしているのを見るとこれまで苦労かけた分幸せになって欲しいと思う。
新しくできた父はよりにもよって医者だった。新しくできた兄たちも同様で…。
バレないように、バレないように。
「大丈夫だよ」
すいません。ゆっくりお待ち下さい。m(_ _)m
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
夫が運命の番と出会いました
重田いの
恋愛
幼馴染のいいなづけとして育ってきた銀狼族の族長エーリヒと、妻ローゼマリー。
だがエーリヒに運命の番が現れたことにより、二人は離別する。
しかし二年後、修道院に暮らすローゼマリーの元へエーリヒが現れ――!?
短編【シークレットベビー】契約結婚の初夜の後でいきなり離縁されたのでお腹の子はひとりで立派に育てます 〜銀の仮面の侯爵と秘密の愛し子〜
美咲アリス
恋愛
レティシアは義母と妹からのいじめから逃げるために契約結婚をする。結婚相手は醜い傷跡を銀の仮面で隠した侯爵のクラウスだ。「どんなに恐ろしいお方かしら⋯⋯」震えながら初夜をむかえるがクラウスは想像以上に甘い初体験を与えてくれた。「私たち、うまくやっていけるかもしれないわ」小さな希望を持つレティシア。だけどなぜかいきなり離縁をされてしまって⋯⋯?
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる