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婚約より大切なもの
しおりを挟む「ここでいいかな?」
「ええ、かまいませんわ」
教職員専用のテラスに入り、引かれた椅子に腰かけると給仕係が紅茶とスコーンを運んできたがティファニーはそれに目も向けなかった。
今はあの写真がどういう事なのか、目の前の男に説明してもらわなければ気が済まないほど怒りを感じていた。
「ここの紅茶は———」
「そんな事はどうでもよろしくてよ。わたくしがお聞きしたいのは紅茶の種類や産地ではなく、あの写真についてですわ。何故パトリシアお姉様とあなたの写真があのような形で存在しますの?」
まじまじと写真を見たわけではないが、それでも二人が想い合っていたのは写真からでもわかった。しかし、ティファニーは二人がそういう関係だったとは知らなかった。
パトリシアはもともと自分のことを語る方ではなかった。学校で何があったとか、人間関係がどうのとか、愚痴や憧れを口にする姿は見た事がない。文句を言ってもどうしようもない事に文句は言わないし、面倒な人間関係をどういう言ったところで自分が付くか離れるかの選択をするしかないのだと超がつくほどの現実主義者。
アビゲイルとは別の美しさを持つパトリシアの周りには男の影はなく、いつだって遠目から見つめられるだけの高嶺の花として存在していると聞いていたぐらいだ。そんなパトリシアがまさか教師とこんな関係にあったなどきっと両親でさえ知らない事だろう。
パトリシアはもう学校を卒業している。今更写真が出回ったところで登校できなくなるということもない。だが、これで貴族の間に噂は真実として広まってしまう。止める術はない。在校生の中には当然パトリシアと同い年の姉や兄を持つ者もいる。話を聞いて『やっぱり』と思う者もいるだろう。そうなればあっという間に伝言ゲームが始まり、とんでもない嘘が真実であるかのように広まっていく事は容易に想像がつく。
「教師でありながら生徒に手を出すという事がどういうことかわかっていての行動でしたの?」
「ああ……。でも僕はね、彼女を本気で———」
「ストップ。まさか本気で愛してたなどという戯言をわたくしが信じるとでも思ってますの?」
「ヘザリントン君、どうか聞いてほしい。僕は———」
「いいえ、あなたの気持ちなんてわたくしには関係ありませんし、興味もありませんわ。仮にもしあなたが血迷ってパトリシアお姉様を心から愛していたのだとしたら何故卒業と同時に恋人にならなかったのです? 昨日、先月、去年の卒業じゃありませんのよ。卒業して二年も経っているのにあなたはお姉様を迎えに来ていない。それで本気で愛していたと言われて誰が信じると? わたくしそこまで純粋な人間じゃありませんわ」
言い訳は聞きたくなかった。パトリシアがいくら社交界に出ない人間としても噂は風に乗って耳に入ってくる。パトリシアは感情を表に出すタイプではないが、だからといってけして冷たい人間ではない。
写真の中でパトリシアは見た事がない乙女の表情をしていた。愛していたのだ、この男を。二人は別れたのかもしれない。それでも一度愛した男との過去がこんな形でバレてしまうのは本人にとって本意ではないし、傷付くに決まっている。ティファニーはそれを心配している。目の前の男が過去に抱いていた感情などどうだってよかった。
「僕には彼女を迎えに行く資格がないんだ」
「だったら何故わたくしを探していたのです?」
「あの写真について話したくて……」
「ああ、自己保身のためですのね」
「違う!」
「違いませんわ!」
声をかぶせるように大声を出すティファニーは痛む左頬を右の手の甲で押さえながら睨み付ける。
迎えに行く資格がないとわかっているのであれば話すことなど何もないはず。迎えに行く気がないと言っているのも同じなのだから。それなのにわざわざ探してまでやってきた男が何を言いたいのかわからずティファニーは不愉快な気持ちに苛立っていた。
「もしお姉様からあなたに抱きついたのだとしてもあなたは教師ですのよ? それを拒むのがあなたのすべきことでしょう。あの写真を撮られたのは全てあなたの責任ですわ。生徒に手を出すような人間がわたくしのお姉様を迎えに行く資格がないとも当然ですわね」
姉はどんな気持ちで卒業したのか、どんな気持ちで卒業後を過ごしていたのか、何も知らず文句ばかり言っていた自分が恥ずかしくなった。一言でも「パティお姉様は?」と聞けばよかったのにと今更になって無駄な後悔に唇を噛む。
「パティは———パトリシアは元気かい?」
「あなたに教える義理があるとでも?」
「……そうだね……」
苦笑しながら俯く男に同情は湧かない。姉を弄んだ男として許せない気持ちでいっぱいだった。
「わたくしに話す事でお姉様の耳に入ればとでも考えていましたの?」
「それは……」
考えていたのだと反応でわかった。
「あなたが何を言おうとわたくしは伝えるつもりはありませんわ。謝罪だろうと言い訳だろうと」
ついには黙り込んでしまった事に眉を寄せながらゆっくり息を吐き出すと改めて男の顔を見た。
リーヌス・アシェル。担当は三年生。中年以上が多い学園の中で唯一若く美形な教師として女子生徒から人気を博している。左手に指輪はなく、痕もない。現在誰かと付き合っているという話もない。チャラいというイメージからはかけ離れている男だが、それでも生徒に手を出す男だという印象がティファニーの中で確定した。
何故パトリシアがこの男に惹かれたのか聞いてみたくはあったが、きっと素直に話してはくれないとわかっている。
「クラリッサ・マーシャル」
「ッ!?」
昨日の姉二人の反応を思い出してクラリッサの名前を出してみたが、ビンゴ。何かあったのだと直感した。
「クラリッサと関りがありますのね?」
急に顔面蒼白になって挙動不審になるリーヌスにティファニーは思いきり眉を寄せる。
———もし過去にクラリッサが関わっていて、今回の件もクラリッサが関わっているのだとしたら……。
(クラリッサがアンタを許さないって言ってたわよ)
マリエットの言葉が脳裏をよぎる。
「あのクソ女……ただじゃおきませんわ……」
「やめなさい。彼女は君の手に負える相手じゃない」
「たかが公爵令嬢相手にビビるほど弱虫がありませんの。真っ向からぶつかってやりますわ。再起不能なまでにね」
「本気で言ってるんだ」
「わたくしもですわ」
ティファニーの目力にリーヌスは黙り込む。強がりの目ではなく、心から憎悪を燃やしてやり返すつもりなのだと感じさせる目にリーヌスは両手でうなじを覆いながら俯く。
顔しか取り柄のない情けない男だと鼻で笑うティファニーは何故こんな男を選んだのかと心の中でパトリシアに問いかける。パトリシアの心はパトリシアにしかわからない。だが、そこにはけして〝恋は盲目〟というものだけで進んでいたわけではない事はわかっているし、信じたかった。
「この学校どころかこの世界にいられなくなるかもしれない」
「望むところですわ。貴族なんてクソくらえですのよ。たとえどこまで落ちようと姉を侮辱した罪は償ってもらう。何をしようとも。それがわたくしの覚悟ですわ」
無関係の姉達を巻き込んだ相手は絶対に許さないと立ち上がったティファニーはそのまま笑顔も見せず頭も下げず去っていく。
愛していると口にするのであれば大勢の前に立って叫ぶぐらい出来ただろう。教師の職を失ってまで守る事をしない相手が姉に相応しいとは思えず、この短時間でリーヌス・アシェルという男を見損なった。
———やっぱり断ろう。
やり返さないと決めた事は守れない。きっと姉達は言うだろう。「そんな幼稚な事にムキになってどうする。意味ない」と。それも笑顔で。だがティファニーは黙っていられない。黙っていればつけあがるかもしれない。してやったりとほくそ笑んでいる姿を想像するだけで反吐が出る。
クリストファーを愛している。それでも彼を失う事よりも姉への侮辱を償わせる事の方がティファニーにとっては大きな事だった。
こんな事を天秤にかけて王子を選べない女が相応しいわけがないと立ち止まって一度目を閉じ、心の中で謝罪する。
今日中に手紙を書いて断りを入れよう。
きっと後で酷い後悔に襲われて泣くことになったかもしれないと想像してもティファニーの考えは変わらなかった。
「どうだった?」
「あなたには関係ありませんわ」
当たり前のように話しかけてくる無神経な男、コンラッドに視線を向けることなく目の前を通り過ぎるとアーロンが後を追いかけてくる。
「犯人を知ってるぞ」
その言葉にティファニーは足を止めなかった。
ティファニーは犯人をクラリッサだと思っている。だが、クラリッサの単独行動ではないはず。あまり評判の良くないクラリッサもティファニー同様に後ろ盾が必要で、その後ろ盾となる相手はマリエットで間違いない。その二人が犯人ならコンラッドが知っていてもおかしくはないのだ。それこそコンラッドが共犯でもおかしくはない。今更味方を売るようなやり方をする人間と仲良くなど出来るはずがない。
もし、犯人が予想の二人と違った場合でもティファニーはコンラッドに頼る気はなかった。
「おいおい、無視はよくないぞ」
「あなたと関わる気はありませんの。話しかけないで」
「俺と君の仲じゃないか」
苛立っているティファニーにコンラッドの態度は逆効果で、苛立ちは積もるばかり。舌打ちが出そうになり、それを無視する早歩きのヒール音が優雅さをなくしている。カツカツという音は急ぎだけではなく苛立ちも表しており、アーロンが不安げに見つめていた。
「アイツらは本気でお前を潰すつもりだぞ」
「ええ、受けて立ちますわ」
「余裕あるフリはやめたのか?」
「いいえ、いつだって余裕はありますわ。でも彼女達が仕掛けてくるならわたくしはそれを迎え撃つまで。泣いて退く事はしませんわ」
絶対に。と低く呟いたティファニーを見てコンラッドは楽しげに笑う。
マリエットやクラリッサよりも小さい相手が一人で立ち向かうのは不可能だ。相手は公爵令嬢でティファニーは伯爵令嬢。婚約者が王子であろうと他国の人間。自国の問題に、それも個人間での小さないざこざに介入は出来ない。後ろ盾になれるのはアーロンただ一人。それもどこまで出来るかとこれから起こるであろう展開に目を細めた。
「それでこそティファニー・ヘザリントンだ」
おしとやかなフリで抗うのをやめてしまえばただの令嬢と化す。ティファニー・ヘザリントンという女はそういう人間ではないはずだとコンラッドは期待していた。媚びを見せず、一人だからと泣き寝入りもしない。怒りに任せた感情といえど、落ち着いたところでティファニーの感情は変わらないと予想する。
コンラッドが最も惹かれた部分だ。
化粧が濃く、令嬢らしさはなく、令嬢にしては珍しい一匹狼タイプで、悪目立ちする女。コンラッドが王子だとわかっても媚び一つ見せず、どんな状況下に陥ろうとも自分を見失わず、胸を張って対抗する覚悟を持つ女だからこそ興味を持って好意を抱いた。またその瞬間を傍で見られた事がコンラッドの胸をくすぐっていた。
「これを出してくれる?」
「かしこまりました」
帰宅したティファニーはすぐにクリストファーへ手紙を書いた。
婚約の話はなかったことにしてほしい。自分は約束一つ守れない人間で、あなたより優先すべきものがあることがわかった。と。詳しい話も書いておいた。書かないでおこうかと迷ったが、クリストファーの性格を考えれば書いておかないと『理由を説明してほしい』と家まで訪ねてきそうだと思ったから。
それでもきっと納得はしないような気がしていた。真っ直ぐな人間だから約束を一つ破ったぐらいで失望するような事はないと容易に想像はつく。それでもこれが最後だとは言いきれないティファニーはやはり自分は相応しくないと思ってしまった。
素敵な人だからこそ素敵な相手を幸せになってほしい。
好きだから、愛しているからこそ願う事。
言い返さないという簡単な約束も守れない人間がこれから何を守れるというのか。淑女が何かも知らない自分が王子の相手に相応しいわけがないのだと両手で顔を覆って深呼吸をする。
「初恋は実らないって本当ですわね」
ときめいただけではなく、心から好きだと思える相手に出会ったのに相手が王子とは神様も意地悪な事をするものだと苦笑しながらゆっくり息を吐き出せば明日の事を考えて溜息を吐く。
「ティファニー、少しいい?」
パトリシアの声に慌てて立ち上がりドアを開けると珍しく苦笑した姉がそこにいた。
中へ招き入れて椅子を指すと風が入るよう窓を開ける。
「いい風ね」
「今日は涼しいですわ」
感情を表に出さないパトリシアが苦笑を浮かべていたという事はきっともう既に耳には入っているのだろう。姉に笑顔ではなく苦い顔をさせたクラリッサ達に落ち着いていた怒りが再熱する。
「ごめんなさい、ティファニー」
「やめてください! パティお姉様が謝るような事は何もありませんわ!」
「でもあなたに迷惑をかけたでしょう」
「いいえ。迷惑など何も。何もなかったんですもの。謝られても困りますわ」
とっさについた嘘が苦しすぎるというのは腫れた顔を見ればわかる。何もないのに顔が腫れたりはしない。パトリシアはティファニーの気の強さを知っている。どれほど姉達を大切に思っているかも。何が起こったのか聞いてもいるかもしれない。だからこそ謝りに来たのかもしれないと思うも、姉の謝罪を受け入れるつもりはなかった。パトリシアは被害者であって加害者ではない。あれから二年以上の時が経っているのに今更こんな写真をバラまく犯人がイカれているのだと拳を握るもパトリシアの白く美しい手がティファニーの頬に触れたことで手の力が緩んだ。
「私のせいでこんなに腫れて……」
「お姉様のせいではありませんわ。これは自業自得なだけでお姉様は関係ありませんのよ」
パトリシアには黙って首を振る。わかっているのだ、何が起こったのか。
「……お姉様、一つ聞いてもよろしくて?」
「ええ」
「リーヌス・アシェル先生のどこが好きだったのですか?」
好きだったかとは聞かない。あの表情を見れば聞くだけ野暮だとわかっているから。
「あの方は情けない男ですわ。公爵に逆らえばこの界隈で生きていけなくなるとか、説明させてほしいとか、保身ばかり口にしますの。わたくしに言えばお姉様に伝わるものだと計算して話に来たんですのよ。今日、こんな事があって初めて彼はわたくしに声をかけましたの。わたくしの悪名は先生方に届いていたはず。ヘザリントンの姓を見れば姉がパティお姉様である事は想像がつくはずなのに今日まで声をかけられる事はありませんでした」
それもティファニーにとって不信の一つだった。入学当初にでも『お姉さんは元気かい?』と声をかけてくれていればまた少し違った感情を持てたかもしれないのに、こんな事件が起こって初めて声をかけてきたのは確実に計算があったからだと憤慨している。
そんなティファニーにパトリシアは小さな笑みを浮かべてテーブルに視線を落とした。
「あの少し情けない所が好きだったの。男の人はプライドの塊だからそういう部分を隠そうとするけど彼はそういうタイプじゃなくて、素直な人だった。大人なのに子供みたいでね。だから真っ直ぐ見つめてくれたの。上辺じゃない本当の私を」
「わたくしには情けないだけの男にしか見えませんでしたわ」
「言い換えればそうかもしれない。でもそれもあの人の一部なの」
ティファニーにはまだわからなかった。クリストファーには情けない部分がない。あるのかもしれないがティファニーはまだ見たことがない。だから情けない一面を見ても愛したパトリシアの気持ちがわからなかった。
「私は完璧な人間だと思われてる。成績も一番だったし、口数が少ないから余計な事は言わないしね。そのせいで高嶺の花なんて呼ばれ方をして、いつの間にか完璧だって言われるようになった。本当は完璧なんかじゃないのに」
「そんなことありませんわ。お姉様は完璧ですもの」
ティファニーの言葉にパトリシアは苦笑する。
「あの人は……あの人だけは私を完璧扱いしなかった。完璧に見られるのも辛いなって言ってくれたの。それがすごく嬉しかった。本当の私をちゃんと見てくれる人がいるんだって思えたの」
パトリシアにとって本当の自分を理解してくれているのは家族ではなくリアーヌ・アシェルだった。だからこそダメだとわかっていながらも学校で抑えきれない感情に従って抱きついてしまった。
「先生はダメだって言ったのに私が抱きついてしまったの。好きで好きでたまらなくなって、あの人と触れ合いたかった。生まれて初めての感情だったから抑え方を知らなかったのよね」
抑えきれないほどの感情を持つ恋が真実の愛だというのなら自分の感情はまだ愛にはなっていないのだと実感する。
「先生の立場を悪くしてしまったわ」
「二年も前の事で怯える方が間違っていますわ」
「二年も前の事だけど、先生は今も教師で、生徒に手を出す教師という烙印を押された。教師をしている以上はその悪評から逃げられなくなる」
「大事なものが何かも選べないような男に———」
蔑もうとした言葉が詰まったのはパトリシアが今にも泣き出しそうになっていたから。
パトリシアはリアーヌを愛していたのではなく、今もまだ愛しているのだと気付いた。だから婚約者も作らず一人なのだと。
それでもティファニーはリーヌスを許せない感情が消せない。自分に話をしに来たということはまだ心のどこかにパトリシアへの気持ちがあるということだ。それなのに何の行動もしないのは何故か、それがわからない事には許せないのだ。
「先生は何か言ってた?」
「お姉様は元気かと聞いてきましたわ」
「そう」
たったそれだけなのに嬉しそうな顔をするパトリシアを見ていると胸が締め付けられた。
「アシェル先生は婚約者も恋人の噂もありませんのよ」
何故そんな事を言ったのかティファニーにもわからない。ただ、この笑顔を消したくなかった。笑うとこんなにも美しいのに感情を出さないばかりに〝冷たい〟と言われてしまう。本当は冷たくなんてないのに。
「……この便せん、借りてもいい?」
「ええ、もちろん。届けますわ」
笑顔のティファニーにパトリシアは小さく頷いて恋する少女の顔を見せた。
「クリストファー王子に手紙を書いたの?」
「ええ、先日のお礼状を」
「そう。いい子ね」
お礼状どころか反対のものを送りつけるつもりだが、そんな話をすれば自分のせいだと思ってしまうだろうから言わなかった。初めて見る姉の乙女の表情の方が大事だったから。
「明日の朝、受け取りに来ますわ」
「ありがとう、ティファニー」
これから想いを綴るのだろう便せんを胸に抱えた姉を見送ったティファニーは大きな溜息を吐き出した。
クリストファーに出した手紙もそうだが、姉が書いた手紙をリーヌスに届けなければならない。盗み見る真似などするつもりはない。だが、内容は間違いなく好意的な内容が書かれているだろう。それはいい。パトリシアはもう生徒ではないのだから教師であるリーヌスに恋文を送ったとして何の問題もない。
問題なのはリアーヌが返事を出すか、だ。返事がなければパトリシアは傷付くだろう。もし返事があったとしても保身に走ったリーヌスが冷たい内容を送ってもパトリシアは傷付く。
あの様子を見る限り、リーヌスが好意的な返事をするとは思えないだけに、安請け合いしてしまったかもしれないと少し後悔していた。
明日はクラリッサに会うだけではなく、リーヌスに手紙を渡さなければならない。苛立ちは消え、不安の方が強くなってきたティファニーはそのままベッドに寝転んだ。
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