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ビバリーの思い出
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ビバリーに来て三日が経った。どこか別の場所へ行くという提案もあったが、アーデルがビバリーを気に入ってしまい、滞在を続けることにした。
そんなに大きな国ではないビバリーを端から端まで見て回るのに一週間もあれば充分。昨日は少し遠くまで出かけようと言って歩き回った一日だった。
今日は何をしようかと朝食を食べながら話し合った結果、今日は観光ではなく散歩に決まった。
「本当に美しいですね。ココが気にいるのもわかります」
「ココさんは職業柄あちこちに飛んでいるのですか?」
「そうみたいですね。自分の会社は今や自国だけの物ではなく世界で愛される物となっているからこそ現地まで足を運んで雰囲気を確かめたいと言っていました」
「雰囲気が合わなければ出店がない可能性もあるのでしょうか?」
「何度かそう言っているのは聞いたことがあります。街の雰囲気も治安も良くない場所に店を建てるわけにはいかないと」
「立派ですね」
「本人もそう言ってました」
自賛さえココらしいと笑いながら穏やかな街並みの中を手を繋いで歩く午前。美味しい店がたくさんあるからと朝はほどほどにして歩いて胃を動かす。さほど食に興味がなかったアーデルでさえビバリーの食事には貪欲になっている。特にスイーツ。名産品であるフルーツがたくさん乗ったタルトの絶品さに何度舌鼓を打ったことか。帰ったら間違いなく体重が増えていることだろうとわかりきったことを考えるのはやめてビバリーにいる間は全て楽しむことにした。
「ラビ皇子、少し立ち寄りませんか?」
「はい」
前方に男性が一人、木製の折りたたみ椅子に腰掛けてスケッチブックに絵を描いている。地面には短い絨毯が敷かれ、その上には画集らしき物が置かれている。
興味津々に手を軽く引いて誘うアーデルに頷き返し、ラビも一緒に男性のもとへと向かった。
「おはようございます」
「ああ、おはようございます。今日は良い天気ですね。お散歩ですか?」
挨拶すると優しい声で挨拶を返してくれた。それだけで良い人だとアーデルは思う。
五十代半ばぐらいだろうか。白髪混じりで眼鏡がよく似合っている。
「そうなんです。画家をご職業とされている方でしょうか?」
「画家なんて立派な者ではなく、しがない絵描きですよ。趣味程度に描いているのです」
「でも、これは画集ですよね?」
「ビバリーの景色を描き始めて三十五年。いつ何が起こっても後悔しないよう、出版することにしたんです。自己愛の塊ですよね」
「拝見してもよろしいですか?」
「ええ、是非」
置いてある画集を手に取って表紙を捲るとアーデルは目を見開いた。周囲を見回し、もう一度画集に目を落とす。
「ここ、ですよね?」
「三十五年前の現在地で描いた景色です」
「わあ……すごい」
「現在に至るまでの経過のような画集ですが、気に入ってるんです」
「わかります。だってこんなに素敵なんですから」
今見ている景色にも当然過去があって、三十五年前の景色など見ようと思っても見れるものではない。色鮮やかに残された記憶がこうして絵画として残っていることが素晴らしいと絶賛するアーデルはその画集を膝の上に置いた。
「おいくらでしょうか?」
「あ、お買い上げくださるのですか。ありがとうございます。1500ルッソです」
安いと口にしそうになった。これは5000の値が付いていてもアーデルは迷わず購入しただろう。初めての旅行で訪れた街を一目で気に入り、その街の三十五年前の姿から現在に至るまでが残されている画集は記念館に飾られるべきだとさえ思った。
「もしお二方がよろしければ、似顔絵を描かせていただけませんか?」
「似顔絵?」
「画集を買ってくださったお客様の顔を描かせてもらっているんです」
二人は顔を見合わせるもラビはすぐに全力で拒否にかかる。予想していたとおりの反応。
「思い出になると思いませんか?」
「そ、それはそうですが、でも似顔絵なんて……!」
「せっかくですから描いていただきたいです」
「ぼ、僕なんかとの絵を残したらあなたの人生の黒歴史になってしまいま──……あ……」
ニッコリ笑ってスッと手を差し出したアーデルにポケットの中から取り出した500と書かれた硬貨を渡す。
昨夜の食事時、少量の酒で酔っ払ってしまいアーデルに迷惑をかけた。女性に肩を貸されて帰る情けなさとベッドに寝かせようとしたアーデルを押し倒してしまったこと。一瞬で血の気が引いて酒が消化されたラビが土下座をして二十回も謝るものだからアーデルが言った。
『今この瞬間から適用する新制度を発表します。「僕みたいな人間」「僕なんか」と言ったら一度につき500ルッソ罰金に処します』
袋を取り出したアーデルにラビは驚きながら問いかけた。
『本気、ですか?』
『もちろん本気です』
『そ、それは僕の謝罪が鬱陶しいからですか?』
『そうではありません。確かに謝罪しすぎではありますが、私はラビ皇子に過剰な謝罪をやめていただきたいのです』
『はい……』
『私はラビ皇子がとても素敵な方であると知っています。あなたがご自分をどう思おうとそれは自由ですが、自分を卑下して過剰な謝罪を続ける姿を見ていると悲しくなるので罰金制度を導入します』
『ぼ、僕なんて素敵だと言ってもらえる人間ではなく……あ……』
さっそく言ってしまったラビにアーデルがニッコリ笑って手を差し出す。500と書かれた硬貨を取り出して渡すと袋の中に入れられた。
『あっという間にいっぱいになりそうです……』
『これがいっぱいになったらまた旅行に行きましょう』
『は、はい!』
『でもワザと言うのはダメですからね?』
『はい。がんばります』
ラビの返事に違和感を覚えながらも笑った夜だった。
そして今日も順調に貯金が溜まっていく。
「似顔絵欲しいです」
「わ、わかりました……」
アーデルからお願いされることが少ないため無碍に断れなくなってしまう。そんな様子を見ていた男性が背後に置いていた折り畳み椅子を向かいに二脚並べ、座るよう促した。
「ご夫婦ですか?」
「はい。ビバリーには新婚旅行で来たんです」
「ああ、それは大正解ですね。もうすぐ水車と風車の内部を後悔するツアーが開催されますから、お時間があるようでしたら是非参加してみてください」
目を輝かせるアーデルにラビが苦笑する。人混みは苦手だが、時計塔に行ったためそれを理由には断れない。断る選択肢があったとしてもアーデルが興味を持ったものを自分の感情一つで台無しにしたくはなかった。
「いつ頃でしょうか?」
「今日が……えーっと火曜日だから……ああ、明日だね」
心の準備をする暇もないと深まるラビの苦笑。風車と水車の建物の中に入って現地ガイドに説明を受けながら仕組みを見て回るだけのツアーだろう。説明ならラビもできるのだが、ツアーでなければ内部には入れない。歴史に興味を持っているアーデルをこのビバリーでより一層笑顔にするためには受けるしかなかった。
「あの、もし遠慮したいのであれば私だけでツアーに参加してきますので悩まないでください」
「僕も行きます。あなたを一人にはさせられない」
「ツアーだから大丈夫ですよ。ご心配なく」
「いえ、そうではなくて! せっかくの新婚旅行なのにあなたと共有できる思い出が一つ欠けているというのが嫌……な、ん……です……」
身体をアーデルに向けて誤解されないようにと声を張った結果、首から上が真っ赤に染まり、前を向いて俯く。どうして自分はこんなにもすぐに口走ってしまうのだろう。いつもは考えて言葉を発するのにアーデルが相手だとどうにも頭より口のほうが先に回ってしまう。アーデルはきっともっと男らしい人間が好きだろうに、自分はその理想に近づく事さえできていない。できるはずがない。弱虫な自分が嫌いで嫌になる。俯いたまま苦笑に戻るラビの手をアーデルが握った。
「顔を上げないと画家さんが困ってしまいます」
「す、すみません」
「笑顔でいてください。帰って額縁に入れて飾りたいんですから」
「ええっ!? ほ、本気ですか!?」
「物は置けないですけど、壁にはスペースがありますからね」
アーデルはいつもラビが予想だにしないことを言う。似顔絵を家に飾るなんて考えたこともない。自分の顔を鏡で見ることも苦痛なのに一生そこに飾られている絵を見るのかと思うと少しゾッとしていた。
「あ、無理にとは言いませんから安心してください。あなたが嫌なら飾りません。私が見て楽しむだけにします」
「……大丈夫です。初めての旅行での思い出ですからね」
自分に自信がないのを変えたい。今まで漠然と思っていたことがビバリーに来てから強くなった。手を繋いで散歩することも、似顔絵を描いてもらうことも、持参した本も読まずに眠くなるまで二人で話していたことも全部自分を変える一歩だと考えたラビは逃げないことにした。膝の上で拳を握って前を向くと画家の男性と目が合い、笑顔を向けられる。それに小さくではあるが笑顔を返すラビをアーデルは嬉しそうに見ていた。
そんなに大きな国ではないビバリーを端から端まで見て回るのに一週間もあれば充分。昨日は少し遠くまで出かけようと言って歩き回った一日だった。
今日は何をしようかと朝食を食べながら話し合った結果、今日は観光ではなく散歩に決まった。
「本当に美しいですね。ココが気にいるのもわかります」
「ココさんは職業柄あちこちに飛んでいるのですか?」
「そうみたいですね。自分の会社は今や自国だけの物ではなく世界で愛される物となっているからこそ現地まで足を運んで雰囲気を確かめたいと言っていました」
「雰囲気が合わなければ出店がない可能性もあるのでしょうか?」
「何度かそう言っているのは聞いたことがあります。街の雰囲気も治安も良くない場所に店を建てるわけにはいかないと」
「立派ですね」
「本人もそう言ってました」
自賛さえココらしいと笑いながら穏やかな街並みの中を手を繋いで歩く午前。美味しい店がたくさんあるからと朝はほどほどにして歩いて胃を動かす。さほど食に興味がなかったアーデルでさえビバリーの食事には貪欲になっている。特にスイーツ。名産品であるフルーツがたくさん乗ったタルトの絶品さに何度舌鼓を打ったことか。帰ったら間違いなく体重が増えていることだろうとわかりきったことを考えるのはやめてビバリーにいる間は全て楽しむことにした。
「ラビ皇子、少し立ち寄りませんか?」
「はい」
前方に男性が一人、木製の折りたたみ椅子に腰掛けてスケッチブックに絵を描いている。地面には短い絨毯が敷かれ、その上には画集らしき物が置かれている。
興味津々に手を軽く引いて誘うアーデルに頷き返し、ラビも一緒に男性のもとへと向かった。
「おはようございます」
「ああ、おはようございます。今日は良い天気ですね。お散歩ですか?」
挨拶すると優しい声で挨拶を返してくれた。それだけで良い人だとアーデルは思う。
五十代半ばぐらいだろうか。白髪混じりで眼鏡がよく似合っている。
「そうなんです。画家をご職業とされている方でしょうか?」
「画家なんて立派な者ではなく、しがない絵描きですよ。趣味程度に描いているのです」
「でも、これは画集ですよね?」
「ビバリーの景色を描き始めて三十五年。いつ何が起こっても後悔しないよう、出版することにしたんです。自己愛の塊ですよね」
「拝見してもよろしいですか?」
「ええ、是非」
置いてある画集を手に取って表紙を捲るとアーデルは目を見開いた。周囲を見回し、もう一度画集に目を落とす。
「ここ、ですよね?」
「三十五年前の現在地で描いた景色です」
「わあ……すごい」
「現在に至るまでの経過のような画集ですが、気に入ってるんです」
「わかります。だってこんなに素敵なんですから」
今見ている景色にも当然過去があって、三十五年前の景色など見ようと思っても見れるものではない。色鮮やかに残された記憶がこうして絵画として残っていることが素晴らしいと絶賛するアーデルはその画集を膝の上に置いた。
「おいくらでしょうか?」
「あ、お買い上げくださるのですか。ありがとうございます。1500ルッソです」
安いと口にしそうになった。これは5000の値が付いていてもアーデルは迷わず購入しただろう。初めての旅行で訪れた街を一目で気に入り、その街の三十五年前の姿から現在に至るまでが残されている画集は記念館に飾られるべきだとさえ思った。
「もしお二方がよろしければ、似顔絵を描かせていただけませんか?」
「似顔絵?」
「画集を買ってくださったお客様の顔を描かせてもらっているんです」
二人は顔を見合わせるもラビはすぐに全力で拒否にかかる。予想していたとおりの反応。
「思い出になると思いませんか?」
「そ、それはそうですが、でも似顔絵なんて……!」
「せっかくですから描いていただきたいです」
「ぼ、僕なんかとの絵を残したらあなたの人生の黒歴史になってしまいま──……あ……」
ニッコリ笑ってスッと手を差し出したアーデルにポケットの中から取り出した500と書かれた硬貨を渡す。
昨夜の食事時、少量の酒で酔っ払ってしまいアーデルに迷惑をかけた。女性に肩を貸されて帰る情けなさとベッドに寝かせようとしたアーデルを押し倒してしまったこと。一瞬で血の気が引いて酒が消化されたラビが土下座をして二十回も謝るものだからアーデルが言った。
『今この瞬間から適用する新制度を発表します。「僕みたいな人間」「僕なんか」と言ったら一度につき500ルッソ罰金に処します』
袋を取り出したアーデルにラビは驚きながら問いかけた。
『本気、ですか?』
『もちろん本気です』
『そ、それは僕の謝罪が鬱陶しいからですか?』
『そうではありません。確かに謝罪しすぎではありますが、私はラビ皇子に過剰な謝罪をやめていただきたいのです』
『はい……』
『私はラビ皇子がとても素敵な方であると知っています。あなたがご自分をどう思おうとそれは自由ですが、自分を卑下して過剰な謝罪を続ける姿を見ていると悲しくなるので罰金制度を導入します』
『ぼ、僕なんて素敵だと言ってもらえる人間ではなく……あ……』
さっそく言ってしまったラビにアーデルがニッコリ笑って手を差し出す。500と書かれた硬貨を取り出して渡すと袋の中に入れられた。
『あっという間にいっぱいになりそうです……』
『これがいっぱいになったらまた旅行に行きましょう』
『は、はい!』
『でもワザと言うのはダメですからね?』
『はい。がんばります』
ラビの返事に違和感を覚えながらも笑った夜だった。
そして今日も順調に貯金が溜まっていく。
「似顔絵欲しいです」
「わ、わかりました……」
アーデルからお願いされることが少ないため無碍に断れなくなってしまう。そんな様子を見ていた男性が背後に置いていた折り畳み椅子を向かいに二脚並べ、座るよう促した。
「ご夫婦ですか?」
「はい。ビバリーには新婚旅行で来たんです」
「ああ、それは大正解ですね。もうすぐ水車と風車の内部を後悔するツアーが開催されますから、お時間があるようでしたら是非参加してみてください」
目を輝かせるアーデルにラビが苦笑する。人混みは苦手だが、時計塔に行ったためそれを理由には断れない。断る選択肢があったとしてもアーデルが興味を持ったものを自分の感情一つで台無しにしたくはなかった。
「いつ頃でしょうか?」
「今日が……えーっと火曜日だから……ああ、明日だね」
心の準備をする暇もないと深まるラビの苦笑。風車と水車の建物の中に入って現地ガイドに説明を受けながら仕組みを見て回るだけのツアーだろう。説明ならラビもできるのだが、ツアーでなければ内部には入れない。歴史に興味を持っているアーデルをこのビバリーでより一層笑顔にするためには受けるしかなかった。
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「ツアーだから大丈夫ですよ。ご心配なく」
「いえ、そうではなくて! せっかくの新婚旅行なのにあなたと共有できる思い出が一つ欠けているというのが嫌……な、ん……です……」
身体をアーデルに向けて誤解されないようにと声を張った結果、首から上が真っ赤に染まり、前を向いて俯く。どうして自分はこんなにもすぐに口走ってしまうのだろう。いつもは考えて言葉を発するのにアーデルが相手だとどうにも頭より口のほうが先に回ってしまう。アーデルはきっともっと男らしい人間が好きだろうに、自分はその理想に近づく事さえできていない。できるはずがない。弱虫な自分が嫌いで嫌になる。俯いたまま苦笑に戻るラビの手をアーデルが握った。
「顔を上げないと画家さんが困ってしまいます」
「す、すみません」
「笑顔でいてください。帰って額縁に入れて飾りたいんですから」
「ええっ!? ほ、本気ですか!?」
「物は置けないですけど、壁にはスペースがありますからね」
アーデルはいつもラビが予想だにしないことを言う。似顔絵を家に飾るなんて考えたこともない。自分の顔を鏡で見ることも苦痛なのに一生そこに飾られている絵を見るのかと思うと少しゾッとしていた。
「あ、無理にとは言いませんから安心してください。あなたが嫌なら飾りません。私が見て楽しむだけにします」
「……大丈夫です。初めての旅行での思い出ですからね」
自分に自信がないのを変えたい。今まで漠然と思っていたことがビバリーに来てから強くなった。手を繋いで散歩することも、似顔絵を描いてもらうことも、持参した本も読まずに眠くなるまで二人で話していたことも全部自分を変える一歩だと考えたラビは逃げないことにした。膝の上で拳を握って前を向くと画家の男性と目が合い、笑顔を向けられる。それに小さくではあるが笑顔を返すラビをアーデルは嬉しそうに見ていた。
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