39 / 103
ウェルザー家にて
しおりを挟む
シャンディの父親が亡くなって一ヶ月が過ぎた頃、ラビは家に戻っていた。
「ああ……そんな……」
一度家に帰ると言ったラビをシャンディが渋々ながら見送り、ラビは馬を走らせた。
慌てて家の中に入るも人の気配はなく、テーブルの上に置かれていた紙にヒュッと喉が鳴る。手に取るのが怖い。いつ戻るかわからないからと市場に行くだけで書いてくれていたならそれでいい。でも最悪の書き置きだったら?
ラビの頭の中に「離婚」の文字がよぎる。心臓の音で木々が揺れる音すら聞こえない。アーデルは何も言わずに書き置きで離婚を宣言するタイプではないはず。だからこれは離婚を宣言する書き置きではない。絶対に違う。
禁断症状が出ているように大袈裟なほど震える手で紙を取ると唇を噛み締めながら目を通した。
「パーティー……」
ハウザー家のパーティーに招待されたから行ってくると書いてあった。書かれている日付は五日前。ルスに到着してパーティーを終えた頃かと想像しながらソファーに腰掛け脱力する。
離婚宣言ではなかった事に安堵して紙をテーブルの上に戻すもラビは申し訳なさでいっぱいだった。
ココの事だ。きっと夫婦でと招待していたはず。ドレスアップしてアーデルをエスコートしながら出席しなければならなかった。上手くできるかどうかは別として、それは夫としての重要な務め。ヒュドールでそういったイベントに参加する事はこれからもないだろうからこそ、共に出席すべきだったのにアーデルを一人で向かわせてしまった事が申し訳なかった。
「ごめんなさい、アーデル……」
シャンディに寄り添うようになってからアーデルはあまり手紙を送ってはくれなかった。【手紙を書く時間は彼女のために使ってあげてください】と書いた手紙が届いてから本当にその時間を取らせまいとするように届かなくなった。
何度も帰ろうとした。だが、シャンディは日によって精神状態が変わる。落ち着いている日もあれば父親を求めて激しく泣き出す日もある。目が虚ろになって食事さえ取らない日もあって、そんな彼女を一人にしておくのが心配で一週間、二週間と延びてしまった。
今日、こうして家に帰れたのはシャンディの調子が良かったから。使用人は不安がっていたが、いつまでもシャンディの家に滞在してアーデルを一人にする事はできないと伝えて帰ってきた。結果的にアーデルは不在。この置き手紙はまだ愛想を尽かされていない証拠だろうかともう一度手に取って文章に目を通す。
【おかえりなさいと出迎える事ができなくてごめんなさい。ココから招待を受け、ルスで開かれるハウザー家のパーティーに顔を出してきます。一週間程で戻ると思いますので、ご心配なく。行ってきます】
戻ってくると信じてくれているという事かと自惚れてしまう。アーデルも戻ってくる。予定通りなら明後日には戻ってくる。待たせてばかりだから今度は自分が出迎えようと決め、手紙を書くより早いからともう一度シャンディの家に馬を走らせた。
「あなたまで私を一人にするの……?」
戻ってきた事を喜んだかと思えば、急にショックを受けたように震えだすシャンディにラビの眉が下がる。
「シャンディ、君の事は心配だ。でも、いつまでも君の傍にはいられない。君も立ち直って前に進まなきゃいけないんだよ。僕に出来る事があるなら何でもする。だから──」
「彼女と離婚して」
「え……」
唐突な要求に耳を疑ったラビが怪訝な顔を見せるもシャンディの表情は怒りへと変わっていく。
「出来る事は何でもしてくれるのよね? 離婚してよ」
「な、何言ってるんだ。そんな事出来るわけないだろ……?」
「じゃあ何が出来るって言うのよ!」
突然の金切り声が部屋中に響き、ラビの肩が大きく跳ねる。
「お父様が亡くなって私は一人なのよ!? 毎日悲しくて寂しくてたまらないのにあなたは帰ろうとする! 最近のあなたは上の空が多すぎる! 私の事なんて心配じゃないんでしょ!?」
「そんな事ないよ。君を心配してるから──」
「嘘つき! たった一人の家族を失った私より何も失ってない彼女の事を考えてる!」
「それは君の傍にいるために彼女を家で一人にしてるからで──」
「でも彼女は元気じゃない! 誰も失ってない! 国に帰れば出迎えてくれる家族がいる! 一人にさせてるのが心配なら国に戻っててもらえばいいじゃない!」
「彼女は王女で、嫁いだ身なんだ。気まぐれに帰る事はできな──」
「そんなの知らない! まだ傍にいてよ! 離婚できないならあなたに出来る事なんてそれぐらいでしょ!? 私を本気で心配してるって言うならまだ傍にいて! あなたまでいなくなったら私死ぬから!」
ラビの人生は幸福よりも絶望のほうが多かった。嬉しいと思う出来事は幾度かあったが、必ず絶望に突き落とされてきた。だけど、アーデルと結婚して怖いぐらい幸せが増えていった。朝起きてから夜眠るまで一日中幸せを噛み締めている日もあった。これは夢なのではないかと疑い、何度か自分の頬を拳で殴っては夢じゃないと確認し、アーデルに怒られる日もあったが、それさえも幸せと感じていた。アーデルと結婚できてよかったと心から思えていたのに、結婚して間もなく彼女を三ヶ月も待たせ、そしてまたこうして一ヶ月以上待たせてしまっている。
ビバリーに連れて行けた事など帳消しどころか連れて行ったからなんだと言えるほど自分がしてやれた事は少なくなっていく。
この叫びが嘘ならいい。自分を引き止めるための虚言であればそれでいいが、保証がない。だが、今回はアーデルを出迎えたい。出迎えなければならない。一ヶ月を区切りに家に帰ってアーデルの夫として日々を過ごすべきだ。自分の幸せはそこにしかないのだから。
「本気だから!」
「シャンディ……どうかわかってほしい……。僕はアーデルと結婚したんだ。もう独り身じゃないんだよ。妻を持つ身なんだ。君は大事な幼馴染だけど、優先すべきは──」
「私が死んだら私を殺したのはラビだから!」
どうして自分の人生はいつも上手くいかないのだろう。なぜこうして必ず絶望が訪れるのだろう。皇子としての役目から逃げ、人を殺す道へと走った事への罰なのか。数え切れないほどの人を殺しておきながら幸せなど求めるなとでも言われているのだろうか。人を幸せにする資格も、幸せになる資格もないと。
「……アーデルは、文句一つ言わずに一人に耐えてくれてるんだよ、シャンディ……」
「そんなの当然じゃない! 言ったでしょ、彼女は何も失ってないって!」
「だけど、僕が来た事で君が一人じゃなくなった代わりにアーデルが一人になってるんだ」
「だから何? 私は悲しんでるの! 寂しいの! 突然親を失った悲しみでどん底にいるの! 眠るのも明日が来るのも怖いの! お父様がいないのが当たり前になるのが怖いのよ!」
「でも慣れるしかないよ」
「慣れたくない! 一人は嫌なの! あなたがいてくれれば私は一人じゃない。あなたはいつだって私の傍にいてくれた。これからもそうでしょ? だって、私達の関係は変わらないって言ったのはあなただもの」
心に形があるのなら、自分のそれは黒に染まり、凍っている最中だろう。
何を言ってもシャンディは理解しない。理解する言葉があるとするなら「君の傍にいるよ」だけだろう。でもラビはその魔法の呪文を口にしようとは思っていない。
唯一の肉親を失って一ヶ月程度で立ち直れはしないだろう。病気や寿命ならある程度の覚悟はできていたが、ハワード・ウェルザーは突然死。受け入れられない、受け入れたくないシャンディの気持ちもラビは理解しているつもりだ。莫大な遺産を手に入れたところで整理しなければならない事は山のようにある。
彼女の父親が娘をどれほど愛し、甘やかしてきたかラビは知っている。シャンディはきっと何も出来ないだろう。心配か、嫌悪か、それが混ざり合ったような複雑な感情にラビが俯く。
「ラビ、お願い。私をひとりにしないで」
「……シャンディ……」
俯いたまま蚊の鳴くような声で名前を呼ぶラビに近付いて頬に手を添えたシャンディが顔を上げさせる。顔は上がったが、伏せ目がちでこちらを見ようとしないラビを抱きしめた。
「もう少しだけでいいの。立ち直れるように頑張るから、傍で私を支えて。ね?」
「……どのぐらい……?」
「二ヶ月……ううん、一ヶ月でいい。もう泣かないようにするから。一人でも耐えられるようにするから。お願いよ、ラビ」
来月はアーデルの誕生日がある。結婚して初めて祝う誕生日。家でご馳走を作るのもいいが、旅行に行って、少し良いレストランを予約してディナーをし、帰りにケーキ屋でホールケーキを買う。十七本のロウソクを立てて願い事をしながら火を吹き消すアーデルに祝いの言葉を捧げる。ずっと想像していた事だ。
「ラビ、お願い。私を一人にしないで。一人になったら私、きっと耐えられない……!」
アーデルはなんと言うだろう。
肩口がじわりと濡れるのを感じながら伏せ目がちだった目を閉じた。
「ああ……そんな……」
一度家に帰ると言ったラビをシャンディが渋々ながら見送り、ラビは馬を走らせた。
慌てて家の中に入るも人の気配はなく、テーブルの上に置かれていた紙にヒュッと喉が鳴る。手に取るのが怖い。いつ戻るかわからないからと市場に行くだけで書いてくれていたならそれでいい。でも最悪の書き置きだったら?
ラビの頭の中に「離婚」の文字がよぎる。心臓の音で木々が揺れる音すら聞こえない。アーデルは何も言わずに書き置きで離婚を宣言するタイプではないはず。だからこれは離婚を宣言する書き置きではない。絶対に違う。
禁断症状が出ているように大袈裟なほど震える手で紙を取ると唇を噛み締めながら目を通した。
「パーティー……」
ハウザー家のパーティーに招待されたから行ってくると書いてあった。書かれている日付は五日前。ルスに到着してパーティーを終えた頃かと想像しながらソファーに腰掛け脱力する。
離婚宣言ではなかった事に安堵して紙をテーブルの上に戻すもラビは申し訳なさでいっぱいだった。
ココの事だ。きっと夫婦でと招待していたはず。ドレスアップしてアーデルをエスコートしながら出席しなければならなかった。上手くできるかどうかは別として、それは夫としての重要な務め。ヒュドールでそういったイベントに参加する事はこれからもないだろうからこそ、共に出席すべきだったのにアーデルを一人で向かわせてしまった事が申し訳なかった。
「ごめんなさい、アーデル……」
シャンディに寄り添うようになってからアーデルはあまり手紙を送ってはくれなかった。【手紙を書く時間は彼女のために使ってあげてください】と書いた手紙が届いてから本当にその時間を取らせまいとするように届かなくなった。
何度も帰ろうとした。だが、シャンディは日によって精神状態が変わる。落ち着いている日もあれば父親を求めて激しく泣き出す日もある。目が虚ろになって食事さえ取らない日もあって、そんな彼女を一人にしておくのが心配で一週間、二週間と延びてしまった。
今日、こうして家に帰れたのはシャンディの調子が良かったから。使用人は不安がっていたが、いつまでもシャンディの家に滞在してアーデルを一人にする事はできないと伝えて帰ってきた。結果的にアーデルは不在。この置き手紙はまだ愛想を尽かされていない証拠だろうかともう一度手に取って文章に目を通す。
【おかえりなさいと出迎える事ができなくてごめんなさい。ココから招待を受け、ルスで開かれるハウザー家のパーティーに顔を出してきます。一週間程で戻ると思いますので、ご心配なく。行ってきます】
戻ってくると信じてくれているという事かと自惚れてしまう。アーデルも戻ってくる。予定通りなら明後日には戻ってくる。待たせてばかりだから今度は自分が出迎えようと決め、手紙を書くより早いからともう一度シャンディの家に馬を走らせた。
「あなたまで私を一人にするの……?」
戻ってきた事を喜んだかと思えば、急にショックを受けたように震えだすシャンディにラビの眉が下がる。
「シャンディ、君の事は心配だ。でも、いつまでも君の傍にはいられない。君も立ち直って前に進まなきゃいけないんだよ。僕に出来る事があるなら何でもする。だから──」
「彼女と離婚して」
「え……」
唐突な要求に耳を疑ったラビが怪訝な顔を見せるもシャンディの表情は怒りへと変わっていく。
「出来る事は何でもしてくれるのよね? 離婚してよ」
「な、何言ってるんだ。そんな事出来るわけないだろ……?」
「じゃあ何が出来るって言うのよ!」
突然の金切り声が部屋中に響き、ラビの肩が大きく跳ねる。
「お父様が亡くなって私は一人なのよ!? 毎日悲しくて寂しくてたまらないのにあなたは帰ろうとする! 最近のあなたは上の空が多すぎる! 私の事なんて心配じゃないんでしょ!?」
「そんな事ないよ。君を心配してるから──」
「嘘つき! たった一人の家族を失った私より何も失ってない彼女の事を考えてる!」
「それは君の傍にいるために彼女を家で一人にしてるからで──」
「でも彼女は元気じゃない! 誰も失ってない! 国に帰れば出迎えてくれる家族がいる! 一人にさせてるのが心配なら国に戻っててもらえばいいじゃない!」
「彼女は王女で、嫁いだ身なんだ。気まぐれに帰る事はできな──」
「そんなの知らない! まだ傍にいてよ! 離婚できないならあなたに出来る事なんてそれぐらいでしょ!? 私を本気で心配してるって言うならまだ傍にいて! あなたまでいなくなったら私死ぬから!」
ラビの人生は幸福よりも絶望のほうが多かった。嬉しいと思う出来事は幾度かあったが、必ず絶望に突き落とされてきた。だけど、アーデルと結婚して怖いぐらい幸せが増えていった。朝起きてから夜眠るまで一日中幸せを噛み締めている日もあった。これは夢なのではないかと疑い、何度か自分の頬を拳で殴っては夢じゃないと確認し、アーデルに怒られる日もあったが、それさえも幸せと感じていた。アーデルと結婚できてよかったと心から思えていたのに、結婚して間もなく彼女を三ヶ月も待たせ、そしてまたこうして一ヶ月以上待たせてしまっている。
ビバリーに連れて行けた事など帳消しどころか連れて行ったからなんだと言えるほど自分がしてやれた事は少なくなっていく。
この叫びが嘘ならいい。自分を引き止めるための虚言であればそれでいいが、保証がない。だが、今回はアーデルを出迎えたい。出迎えなければならない。一ヶ月を区切りに家に帰ってアーデルの夫として日々を過ごすべきだ。自分の幸せはそこにしかないのだから。
「本気だから!」
「シャンディ……どうかわかってほしい……。僕はアーデルと結婚したんだ。もう独り身じゃないんだよ。妻を持つ身なんだ。君は大事な幼馴染だけど、優先すべきは──」
「私が死んだら私を殺したのはラビだから!」
どうして自分の人生はいつも上手くいかないのだろう。なぜこうして必ず絶望が訪れるのだろう。皇子としての役目から逃げ、人を殺す道へと走った事への罰なのか。数え切れないほどの人を殺しておきながら幸せなど求めるなとでも言われているのだろうか。人を幸せにする資格も、幸せになる資格もないと。
「……アーデルは、文句一つ言わずに一人に耐えてくれてるんだよ、シャンディ……」
「そんなの当然じゃない! 言ったでしょ、彼女は何も失ってないって!」
「だけど、僕が来た事で君が一人じゃなくなった代わりにアーデルが一人になってるんだ」
「だから何? 私は悲しんでるの! 寂しいの! 突然親を失った悲しみでどん底にいるの! 眠るのも明日が来るのも怖いの! お父様がいないのが当たり前になるのが怖いのよ!」
「でも慣れるしかないよ」
「慣れたくない! 一人は嫌なの! あなたがいてくれれば私は一人じゃない。あなたはいつだって私の傍にいてくれた。これからもそうでしょ? だって、私達の関係は変わらないって言ったのはあなただもの」
心に形があるのなら、自分のそれは黒に染まり、凍っている最中だろう。
何を言ってもシャンディは理解しない。理解する言葉があるとするなら「君の傍にいるよ」だけだろう。でもラビはその魔法の呪文を口にしようとは思っていない。
唯一の肉親を失って一ヶ月程度で立ち直れはしないだろう。病気や寿命ならある程度の覚悟はできていたが、ハワード・ウェルザーは突然死。受け入れられない、受け入れたくないシャンディの気持ちもラビは理解しているつもりだ。莫大な遺産を手に入れたところで整理しなければならない事は山のようにある。
彼女の父親が娘をどれほど愛し、甘やかしてきたかラビは知っている。シャンディはきっと何も出来ないだろう。心配か、嫌悪か、それが混ざり合ったような複雑な感情にラビが俯く。
「ラビ、お願い。私をひとりにしないで」
「……シャンディ……」
俯いたまま蚊の鳴くような声で名前を呼ぶラビに近付いて頬に手を添えたシャンディが顔を上げさせる。顔は上がったが、伏せ目がちでこちらを見ようとしないラビを抱きしめた。
「もう少しだけでいいの。立ち直れるように頑張るから、傍で私を支えて。ね?」
「……どのぐらい……?」
「二ヶ月……ううん、一ヶ月でいい。もう泣かないようにするから。一人でも耐えられるようにするから。お願いよ、ラビ」
来月はアーデルの誕生日がある。結婚して初めて祝う誕生日。家でご馳走を作るのもいいが、旅行に行って、少し良いレストランを予約してディナーをし、帰りにケーキ屋でホールケーキを買う。十七本のロウソクを立てて願い事をしながら火を吹き消すアーデルに祝いの言葉を捧げる。ずっと想像していた事だ。
「ラビ、お願い。私を一人にしないで。一人になったら私、きっと耐えられない……!」
アーデルはなんと言うだろう。
肩口がじわりと濡れるのを感じながら伏せ目がちだった目を閉じた。
13
あなたにおすすめの小説
『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
私は、夫にも子供にも選ばれなかった。
その事実だけを抱え、離縁を突きつけ、家を出た。
そこで待っていたのは、最悪の出来事――
けれど同時に、人生の扉がひらく瞬間でもあった。
夫は愛人と共に好きに生きればいい。
今さら「本当に愛していたのは君だ」と言われても、裏切ったあなたを許すことはできない。
でも、子供たちの心だけは、必ず取り戻す。
妻にも母にもなれなかった伯爵夫人イネス。
過去を悔いながらも、愛を手に入れることを決めた彼女が辿り着いた先には――
私が行方不明の皇女です~生死を彷徨って帰国したら信じていた初恋の従者は婚約していました~
marumi
恋愛
「あら アルヴェイン公爵がドゥーカス令嬢をエスコートされていますわ」
「ご婚約されたと噂を聞きましたが、まさか本当だとは!」
私は五年前までこの国の皇女エリシアだった。
暗殺事件に巻き込まれ、幼なじみで初恋の相手だった従者――アルヴェイン公子と共に命からがら隣国、エルダールへ亡命した。
彼の「必ず迎えに来る」その言葉を信じて、隣国の地で彼を待ち続けた……。
それなのに……。
やっとの思いで帰国した帝国の華やかなパーティー会場で、一際目立っているのは、彼と、社交界の華と言われる令嬢だった――。
※校正にAIを使用していますが、自身で考案したオリジナル小説です。
※イメージが伝わればと思い、表紙画像をAI生成してみました。
愛人を選んだ夫を捨てたら、元婚約者の公爵に捕まりました
由香
恋愛
伯爵夫人リュシエンヌは、夫が公然と愛人を囲う結婚生活を送っていた。
尽くしても感謝されず、妻としての役割だけを求められる日々。
けれど彼女は、泣きわめくことも縋ることもなく、静かに離婚を選ぶ。
そうして“捨てられた妻”になったはずの彼女の前に現れたのは、かつて婚約していた元婚約者――冷静沈着で有能な公爵セドリックだった。
再会とともに始まるのは、彼女の価値を正しく理解し、決して手放さない男による溺愛の日々。
一方、彼女を失った元夫は、妻が担っていたすべてを失い、社会的にも転落していく。
“尽くすだけの妻”から、“選ばれ、守られる女性”へ。
静かに離婚しただけなのに、
なぜか元婚約者の公爵に捕まりました。
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜
放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!?
「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」
不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。
白い結婚を捨てた王妃は、もう二度と振り向かない ――愛さぬと言った王子が全てを失うまで』
鍛高譚
恋愛
「私は王妃を愛さない。彼女とは白い結婚を誓う」
華やかな王宮の大聖堂で交わされたのは、愛の誓いではなく、冷たい拒絶の言葉だった。
王子アルフォンスの婚姻相手として選ばれたレイチェル・ウィンザー。しかし彼女は、王妃としての立場を与えられながらも、夫からも宮廷からも冷遇され、孤独な日々を強いられる。王の寵愛はすべて聖女ミレイユに注がれ、王宮の権力は彼女の手に落ちていった。侮蔑と屈辱に耐える中、レイチェルは誇りを失わず、密かに反撃の機会をうかがう。
そんな折、隣国の公爵アレクサンダーが彼女の前に現れる。「君の目はまだ死んでいないな」――その言葉に、彼女の中で何かが目覚める。彼はレイチェルに自由と新たな未来を提示し、密かに王宮からの脱出を計画する。
レイチェルが去ったことで、王宮は急速に崩壊していく。聖女ミレイユの策略が暴かれ、アルフォンスは自らの過ちに気づくも、時すでに遅し。彼が頼るべき王妃は、もはや遠く、隣国で新たな人生を歩んでいた。
「お願いだ……戻ってきてくれ……」
王国を失い、誇りを失い、全てを失った王子の懇願に、レイチェルはただ冷たく微笑む。
「もう遅いわ」
愛のない結婚を捨て、誇り高き未来へと進む王妃のざまぁ劇。
裏切りと策略が渦巻く宮廷で、彼女は己の運命を切り開く。
これは、偽りの婚姻から真の誓いへと至る、誇り高き王妃の物語。
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる