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嫌な記憶で終わらせないために
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家に着いた二人は暫く口を開かなかった。
終始身に纏っていた緊張感のせいで姿勢を正すこともできない。できれば横になりたいぐらいだった。だが、横になっても眠るなどできないため互いにソファーの上で目を閉じている。
まだ手が震えている。握り続けていたせいか、小さなしびれもある。父親だから偉い。長男だから偉い。人の心配よりも自分の保身。人を守ることを知らない哀れな人達。それが彼らと会ったアーデルの感想だった。
頭の中にあるのは互いの事。聞かなければならない事と話さなければならない事がグルグルと回り続けている。
「ラビ皇子」
「は、はい!」
疲れているのにアーデルの言葉で飛び跳ねたラビがソファーの上で正座する。
「お茶の時間にしませんか?」
「え……?」
「ほら、疲れた時には甘い物が一番だって言うじゃないですか。だから、紅茶を淹れて、秘蔵のクッキー缶を出して、一緒に買った高級チョコも出して、昨日焼いたシフォンケーキに生クリーム全部使って食べましょう」
「ぜ、全部、ですか?」
相当な量だと驚くラビにアーデルが笑顔で頷く。
「そしたら、ゆっくりでいいので、お話しませんか?」
黙って明日を迎えるほうがきっと辛い。言わなければと考えているだけで眠れないはず。なら、今日話してしまおう。でもその前に少しだけ休憩しよう。アーデルはそう考えた。
ラビは涙が出そうになった。アーデルと結婚してよかった。何百回そう思っただろう。愛人なんて冗談じゃない。そう言えなかった自分が情けなくて俯いて目を閉じる。
肩を震わせるラビを抱きしめてポンポンと背中を叩くアーデルにもたれかかりながらラビは暫く震える唇を噛んでいた。
「はい! じゃあ準備しましょう!」
「は、はい!」
ラビの震えが少し小さくなったのを見計らってパッと身体を離したアーデルに驚くも涙を拭って慌てて立ち上がるラビがキッチンへと向かう。
「生クリームの泡立ては任せてください!」
「お願いします」
もうすぐ雪が降るだろう。見渡す限りの銀世界。落ち葉を踏むのとはまた違う音がして、窓を開けると寒さに身を震わせる。二人で暖炉に手をかざしながらあったかいと笑い合う瞬間が好きだ。誰にも邪魔されたくない時間だ。間に入るのは愛人ではなく自分達の子供がいい。それ以外は必要ない。
生クリームを泡立てる人を手伝うのも子供がいい。その人に好意を持つ人間が間に入って上手くいくはずがない。
自分の利益だけを考えて全てを動かそうとする人間に自分の人生全て明け渡してたまるかとアーデルは心の中で呟いていた。
「すごい量ですけど……」
「全部食べますからね」
「ぜ、全部……」
「茶葉も一番良い物を使いましたし、今日は贅沢な日にしますから」
最悪な日は最悪のまま終わらせない。贅沢すぎる事をしてでも最高に変える。嫌な出来事を思い出した際に『でもあの日の──』と思い出せる良い事を一つは置いておきたいから。
嫌な記憶ほど残りやすい。思い出しては何度も後悔して腹も立てる。一度しかない人生を嫌な記憶に振り回されくないと泣くアーデルに父親が言った事だ。
『自分の機嫌は自分で取りなさい。誰かが取ってくれる事に期待してはいけないよ。期待どおりにならなかったら余計に最悪な記憶になってしまうからね。お前が持つ嫌な記憶が完全に消える事はないだろうが、薄れさせる事はできる』
『どうやって?』
『うんと好きな事をするんだ。何でもいい。大好きな事をしなさい』
『キッチンに入ってお菓子を食べてもいいの?』
『いいよ。でも自分で作って食べなさい。誰かの分まで食べるんじゃなくて、手伝ってもらって自分で作って食べるんだ。そしたら全部お前の物だからね』
『生クリームたくさんでもいい?』
『もちろんだ』
嫌な記憶を思い出して涙していた日の記憶は最高の物へと変わった。嫌な記憶は消えない。でもその記憶によって感情を乱されそうになった日はこうして好きな事を思いきりすると決めている。そうすれば少しだけマシにはなるから。
だから今日もこうする。二人の家で、二人だけで贅沢を極める。ちまちま食べていたチョコレートとクッキーを出して、昨日焼いたシフォンケーキも並べる。
「いただきます」
「いただきま──ええっ!? そ、そっちですか!?」
「もちろんですッ」
容器いっぱいに盛り上がった生クリームを掬ってシフォンケーキにかけるのではなく、シフォンケーキをフォークに刺して生クリームにつけて食べたアーデルに目を瞬かせるも幸せそうに笑うのを見てラビも真似する。
「甘ッ!」
「ふふふっ、甘いですね。ハイデンで食べたケーキよりも甘いです」
「あのケーキは果物とのバランスを考えてありましたから、これは果物がない分、甘さ重視ですよね」
「とんだパティシエですね」
「すみません」
いつも少しのクリームと一緒に食べるためべっとりとまとわせているのを食べるのは久しぶり。ハイデン以来。だが、おかげでその時の事を思い出して二人は笑顔になる。
「あ、クッキーにも意外と合いますよ」
「あ、ホントだ」
クッキーにもクリームをつけて食べる。意外と合うと顔を見合わせる二人は同時に笑い、味覚が狂ってきていると言い合う。
シフォンケーキ、クッキー、チョコレートを順番に食べては大量に紅茶を飲む。その繰り返しを二時間ほど続けた。
「お腹いっぱいです」
「僕もです」
食べ終えた頃には明るかった空もすっかりと暗くなった。
カーテンを閉める事さえ億劫に思うほど満腹な二人はソファーの上で足を放り出しながら丸くなった腹を撫でては満足げに息を吐く。
「贅沢しすぎでしょうか?」
「クッキーにチョコレートにシフォンケーキに生クリーム。お砂糖だらけ。でも、こんな日があってもいいと思うんです。今日の事を思い出した時は絶対にこの瞬間の事も思い出すんですから」
自分一人では絶対に浮かばない考え方。嫌な記憶だけで終わらせないようにしてくれたアーデルには感謝してもしきれないとラビはソファーの上で手を繋ぐ。それをアーデルはちゃんと繋ぎ返してくれる。
「手を繋ぎ始めた頃、これだけで恥ずかしくて仕方なかったです。父以外と繋ぐ事なんてなかったものですから、手の大きさに驚いて、恥ずかしくて……」
「僕もです。アーデルの手は小さくて、柔らかくて、強く握ったら折れてしまいそうで怖くて……。でも、繋ぎたくて……」
繋げないか。繋ぐタイミングは今かと一緒に歩きながら何十回と考えていた日が懐かしく思えるほど今では互いに自然に手を繋ぐことができる。少し触れ合うだけで真っ赤になって、緊張していたのが懐かしさと寂しさを誘う。
当たり前に慣れてしまう寂しさと当たり前になっている喜びとが混ざり合う複雑さを感じながらも隣を見れば愛する人がいる幸せを噛み締める。
だが、二人はまだキスのタイミングがわかっていない。見つめ合い、黙る時間はあれど、なかなか顔を寄せられないでいた。
キスは何度かしている。片手で足りるだけの回数だが、それでも未経験ではない。自分達は夫婦なのだからおかしくない行為なのにどうにも当たり前にならない。タイミングはいつが正しいのかとアーデルもラビも考えてしまい、一歩が踏み出せない。
「……ふふっ」
結局、長い沈黙に負けてアーデルが笑い、それにつられて眉を下げながらラビが笑う。
「僕は、アーデルといられて幸せです」
「私もです」
「結婚できてよかったと思っています」
「私もです」
「僕の人生にはアーデルがいないとダメなんです」
「私もです」
だからと姿勢を正したラビに合わせてアーデルも身体を起こして姿勢を正すも太ももを叩いた。
「え?」
「膝枕、しませんか?」
突然の提案に数秒間、脳が思考を停止したラビがアーデルの太ももを凝視する。服で覆われているため生肌が見えるわけではないが、透視できそうなほど見つめる。
「憧れなんです。穏やかな時間の中で夫に膝枕をする妻を演じるの」
「あ、そ、そうなんですね。じ、じゃあ……お、お邪魔し、ます……」
暖炉のほうを向きながらゆっくり頭を乗せると心臓が速く動き始める。それは膝枕をしてもらったからだけでなく、アーデルの手が優しく髪を撫でるから。
抱きしめている時とは違ったアーデルの香りを強く感じる事に緊張するラビだが、目を閉じた際に浮かんできた今日の記憶に目を開け、暖炉の火をぼんやりと見つめた。
「……聞いてくれますか? 僕が何故……ラビッシュ……と呼ばれ、あの家であんな扱いを受けているのかを……」
「聞かせてください。あなたの全てを」
パチパチと薪が燃える穏やかな音を聞きながらラビは思い出したくもない消せない過去の記憶の蓋を開ける事にした。
終始身に纏っていた緊張感のせいで姿勢を正すこともできない。できれば横になりたいぐらいだった。だが、横になっても眠るなどできないため互いにソファーの上で目を閉じている。
まだ手が震えている。握り続けていたせいか、小さなしびれもある。父親だから偉い。長男だから偉い。人の心配よりも自分の保身。人を守ることを知らない哀れな人達。それが彼らと会ったアーデルの感想だった。
頭の中にあるのは互いの事。聞かなければならない事と話さなければならない事がグルグルと回り続けている。
「ラビ皇子」
「は、はい!」
疲れているのにアーデルの言葉で飛び跳ねたラビがソファーの上で正座する。
「お茶の時間にしませんか?」
「え……?」
「ほら、疲れた時には甘い物が一番だって言うじゃないですか。だから、紅茶を淹れて、秘蔵のクッキー缶を出して、一緒に買った高級チョコも出して、昨日焼いたシフォンケーキに生クリーム全部使って食べましょう」
「ぜ、全部、ですか?」
相当な量だと驚くラビにアーデルが笑顔で頷く。
「そしたら、ゆっくりでいいので、お話しませんか?」
黙って明日を迎えるほうがきっと辛い。言わなければと考えているだけで眠れないはず。なら、今日話してしまおう。でもその前に少しだけ休憩しよう。アーデルはそう考えた。
ラビは涙が出そうになった。アーデルと結婚してよかった。何百回そう思っただろう。愛人なんて冗談じゃない。そう言えなかった自分が情けなくて俯いて目を閉じる。
肩を震わせるラビを抱きしめてポンポンと背中を叩くアーデルにもたれかかりながらラビは暫く震える唇を噛んでいた。
「はい! じゃあ準備しましょう!」
「は、はい!」
ラビの震えが少し小さくなったのを見計らってパッと身体を離したアーデルに驚くも涙を拭って慌てて立ち上がるラビがキッチンへと向かう。
「生クリームの泡立ては任せてください!」
「お願いします」
もうすぐ雪が降るだろう。見渡す限りの銀世界。落ち葉を踏むのとはまた違う音がして、窓を開けると寒さに身を震わせる。二人で暖炉に手をかざしながらあったかいと笑い合う瞬間が好きだ。誰にも邪魔されたくない時間だ。間に入るのは愛人ではなく自分達の子供がいい。それ以外は必要ない。
生クリームを泡立てる人を手伝うのも子供がいい。その人に好意を持つ人間が間に入って上手くいくはずがない。
自分の利益だけを考えて全てを動かそうとする人間に自分の人生全て明け渡してたまるかとアーデルは心の中で呟いていた。
「すごい量ですけど……」
「全部食べますからね」
「ぜ、全部……」
「茶葉も一番良い物を使いましたし、今日は贅沢な日にしますから」
最悪な日は最悪のまま終わらせない。贅沢すぎる事をしてでも最高に変える。嫌な出来事を思い出した際に『でもあの日の──』と思い出せる良い事を一つは置いておきたいから。
嫌な記憶ほど残りやすい。思い出しては何度も後悔して腹も立てる。一度しかない人生を嫌な記憶に振り回されくないと泣くアーデルに父親が言った事だ。
『自分の機嫌は自分で取りなさい。誰かが取ってくれる事に期待してはいけないよ。期待どおりにならなかったら余計に最悪な記憶になってしまうからね。お前が持つ嫌な記憶が完全に消える事はないだろうが、薄れさせる事はできる』
『どうやって?』
『うんと好きな事をするんだ。何でもいい。大好きな事をしなさい』
『キッチンに入ってお菓子を食べてもいいの?』
『いいよ。でも自分で作って食べなさい。誰かの分まで食べるんじゃなくて、手伝ってもらって自分で作って食べるんだ。そしたら全部お前の物だからね』
『生クリームたくさんでもいい?』
『もちろんだ』
嫌な記憶を思い出して涙していた日の記憶は最高の物へと変わった。嫌な記憶は消えない。でもその記憶によって感情を乱されそうになった日はこうして好きな事を思いきりすると決めている。そうすれば少しだけマシにはなるから。
だから今日もこうする。二人の家で、二人だけで贅沢を極める。ちまちま食べていたチョコレートとクッキーを出して、昨日焼いたシフォンケーキも並べる。
「いただきます」
「いただきま──ええっ!? そ、そっちですか!?」
「もちろんですッ」
容器いっぱいに盛り上がった生クリームを掬ってシフォンケーキにかけるのではなく、シフォンケーキをフォークに刺して生クリームにつけて食べたアーデルに目を瞬かせるも幸せそうに笑うのを見てラビも真似する。
「甘ッ!」
「ふふふっ、甘いですね。ハイデンで食べたケーキよりも甘いです」
「あのケーキは果物とのバランスを考えてありましたから、これは果物がない分、甘さ重視ですよね」
「とんだパティシエですね」
「すみません」
いつも少しのクリームと一緒に食べるためべっとりとまとわせているのを食べるのは久しぶり。ハイデン以来。だが、おかげでその時の事を思い出して二人は笑顔になる。
「あ、クッキーにも意外と合いますよ」
「あ、ホントだ」
クッキーにもクリームをつけて食べる。意外と合うと顔を見合わせる二人は同時に笑い、味覚が狂ってきていると言い合う。
シフォンケーキ、クッキー、チョコレートを順番に食べては大量に紅茶を飲む。その繰り返しを二時間ほど続けた。
「お腹いっぱいです」
「僕もです」
食べ終えた頃には明るかった空もすっかりと暗くなった。
カーテンを閉める事さえ億劫に思うほど満腹な二人はソファーの上で足を放り出しながら丸くなった腹を撫でては満足げに息を吐く。
「贅沢しすぎでしょうか?」
「クッキーにチョコレートにシフォンケーキに生クリーム。お砂糖だらけ。でも、こんな日があってもいいと思うんです。今日の事を思い出した時は絶対にこの瞬間の事も思い出すんですから」
自分一人では絶対に浮かばない考え方。嫌な記憶だけで終わらせないようにしてくれたアーデルには感謝してもしきれないとラビはソファーの上で手を繋ぐ。それをアーデルはちゃんと繋ぎ返してくれる。
「手を繋ぎ始めた頃、これだけで恥ずかしくて仕方なかったです。父以外と繋ぐ事なんてなかったものですから、手の大きさに驚いて、恥ずかしくて……」
「僕もです。アーデルの手は小さくて、柔らかくて、強く握ったら折れてしまいそうで怖くて……。でも、繋ぎたくて……」
繋げないか。繋ぐタイミングは今かと一緒に歩きながら何十回と考えていた日が懐かしく思えるほど今では互いに自然に手を繋ぐことができる。少し触れ合うだけで真っ赤になって、緊張していたのが懐かしさと寂しさを誘う。
当たり前に慣れてしまう寂しさと当たり前になっている喜びとが混ざり合う複雑さを感じながらも隣を見れば愛する人がいる幸せを噛み締める。
だが、二人はまだキスのタイミングがわかっていない。見つめ合い、黙る時間はあれど、なかなか顔を寄せられないでいた。
キスは何度かしている。片手で足りるだけの回数だが、それでも未経験ではない。自分達は夫婦なのだからおかしくない行為なのにどうにも当たり前にならない。タイミングはいつが正しいのかとアーデルもラビも考えてしまい、一歩が踏み出せない。
「……ふふっ」
結局、長い沈黙に負けてアーデルが笑い、それにつられて眉を下げながらラビが笑う。
「僕は、アーデルといられて幸せです」
「私もです」
「結婚できてよかったと思っています」
「私もです」
「僕の人生にはアーデルがいないとダメなんです」
「私もです」
だからと姿勢を正したラビに合わせてアーデルも身体を起こして姿勢を正すも太ももを叩いた。
「え?」
「膝枕、しませんか?」
突然の提案に数秒間、脳が思考を停止したラビがアーデルの太ももを凝視する。服で覆われているため生肌が見えるわけではないが、透視できそうなほど見つめる。
「憧れなんです。穏やかな時間の中で夫に膝枕をする妻を演じるの」
「あ、そ、そうなんですね。じ、じゃあ……お、お邪魔し、ます……」
暖炉のほうを向きながらゆっくり頭を乗せると心臓が速く動き始める。それは膝枕をしてもらったからだけでなく、アーデルの手が優しく髪を撫でるから。
抱きしめている時とは違ったアーデルの香りを強く感じる事に緊張するラビだが、目を閉じた際に浮かんできた今日の記憶に目を開け、暖炉の火をぼんやりと見つめた。
「……聞いてくれますか? 僕が何故……ラビッシュ……と呼ばれ、あの家であんな扱いを受けているのかを……」
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※校正にAIを使用していますが、自身で考案したオリジナル小説です。
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