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新たな火災
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「呼び出し、ですか?」
「今回は僕だけでいいみたいです」
「私も一緒に行きます」
朝、郵便受けを覗くとルーカスからの呼び出し状が入っていた。日付と時間、今回はラビだけで来るよう書いてあった。
何を言うつもりだと疑心に満ちているアーデルの申し出をラビはかぶりを振って断った。
「今回は僕だけが呼び出されるようなので心配する必要はありません」
「ですが、一人でヒュドールへ向かうのは不安では?」
「戦場からの帰りはいつも一人ですし、平気ですよ」
彼だけが呼び出される理由とはなんなのか。利益だけを考えて生きている彼の話などどうせロクでもない内容に決まっていると思いながらも口にはせず、アーデルは昼食後に彼を見送った。
「ラビ皇子が到着されました」
「入れ」
ドアが開き、その場で一度頭を下げてから中へと入る。窓の傍に立って外の景色を眺めていたルーカスが振り返った。父親の顔を見て緊張しなかった事は一度もない。もう十五年以上もこの顔を見ているというのに。思わず拳を握ってしまう。
「何故呼ばれたかわかっているな?」
三秒だけ黙ってから頷いた。
「アーバンの件、ですか?」
「そうだ」
襲撃事件はルーカスの耳にも入っていたらしく、ラビは予想していただけに驚きはしなかった。ルーカスからの呼び出し状もすぐにその件についてだろうと気付いた。
「お前が行け」
拒否を許さない重たい言い方にラビはすぐに返事をしなかった。ルーカスは怒らない。こういう時に怒るのはルーカスではなくジュベール。ルーカスは急かす時もあるが、ラビがなんと答えるか待っている時もある。今日は後者だ。
「あ、あの……」
「なんだ?」
俯いていた顔を上げてルーカスと目を合わせるもすぐに下げてしまう。全てを見透かされているようなあの目がどうにも好きになれない。いつまでも十歳の頃のように俯いてしまう。
「し、襲撃犯は……ぼ、僕が……や、やっつけましたので……」
「やっつけた? 悪を成敗したということか?」
茶化すような物言いに素早くかぶりを振る。言わせたいのだ。曖昧な言い方は許さない。命令もなしにラビが行動したのであればそれはルーカスにとって予想外。面白いと言わんばかりの表情でラビを見ている。
「襲撃犯は三人か?」
「正確な人数はわかりません。ただ、主犯格は三人かと……」
「それで?」
「……こ、殺し、ました……」
二人だけの静かな部屋。窓は閉まり、風の音も入らない静寂の中で確かに聞こえた物騒な言葉。目を見開いたルーカスが次は口を開けて笑い出した。閉めている窓もドアも突き抜けて外まで響くほどの愉快そうな笑い声に使用人達は思わず固まる。あのルーカスがラビと二人の部屋でこんなにも笑うなどありえないと。
ラビの失言によるもので、すぐに止まって次は怒声かと心臓が縮こまらないように覚悟していた使用人達だが、笑い声は暫く続いた。
「何故殺した?」
ようやく笑い声が止まったと思えば今度は静かな声で問われる。
「衝動的か? それとも計画的か?」
「し、衝動的です……」
「理由は?」
椅子に腰掛けたルーカスが腕を組んでこちらを見つめる。彼の目力は子供全員が苦手とするもので、それは長男であろうと同じ意識を持っている。
隠しても無駄だと悟り、俯いたまま目を閉じたラビが言った。
「アーデルに危害を加える計画を立てていたのを耳にしたからです」
「妻に危害が加えられそうだと思ったらお前は片っ端から人を殺すのだな?」
「そうではありません!」
思わず飛び出した大声での否定に慌てて口を押さえてまた俯くも以前ほど心臓が速く動かないのはルーカスが怒ってはいないから。一瞬上げた際に見た彼の表情はむしろ喜びさえ感じているように見えた。
「アーバンを滅ぼせ」
ハッキリ言葉にされると上から重しが振ってきたように身体が重くなる。
「こ、今回の件は、ぼ、僕が勝手にあの地を離れたのが原因で──」
「どんな理由があろうとヒュドールの皇子を襲撃したんだ。殺意を持ってな。民の不始末は国が負うべきだ。違うか?」
「で、ですが、か、彼らは僕に怯えて──」
「怯えを理由に殺人が認められるのであれば法も秩序も必要ない」
「ぼ、僕は三人も殺してしまったんです!」
「正当防衛だろう。主犯格の三人は殺意を持って実行した。脅しではなくな。ナイフを持って襲い掛かれば逆に殺される可能性もあるのは当然の事だ」
「だ、だからそれで終わりじゃ──」
トントンと指先で机を叩く音がする。ルーカス・ワーナーだけが出す黙れの合図。
「これは提案ではなく命令だ。そしてお前個人の問題ではなく、国の問題だ。ヒュドールの皇子を殺害しようとした人間がいる国になんの責任も取らせぬわけにはいかん」
「な、何か交渉してみてはどうでしょう? し、主犯格は始末しましたけど、国としての誠意を、と──」
「アーバンに何がある? あの国が何を生み出していると言うのだ? ヒュドールの利益になる産物など何も持っていないだろう。ただ存在しているだけの無価値な国よ。滅びたところで世界になんら影響はない」
「で、ですが……」
「ラビ」
声が重くなった。これ以上の反論はマズい。緊張からごくりと喉が鳴る。
「お前を殺そうとしただけでなく、お前の、ヒュドールの第七皇子の妻をも殺そうとしたんだ。それを主犯格を殺したから国はお咎めなしで済むと本気で思っているのか?」
「いいえ……」
「だったら思い知らせろ。死神に喧嘩を売ったんだ。アーバンの人間の魂を全て刈ってこい」
「戦場は……」
アーバンはここ百年以上戦争経験がない。多少の武器はあるかもしれないが、兵はそんなに多くない。せいぜいがパトロール隊ぐらいだろう。小さな国だ。ヒュドールが攻めてきたと知れば彼らも武器を捨てて逃げ出すはずだ。石を投げた者も、罵声を浴びせた物も、火矢を放つのに協力した者でさえ戦おうとはしないだろう。裸足で逃げ出す彼らを追いかけて背後から斬り捨てろとルーカスは言っている。それは戦争とは言わない。
「アーバンだ」
ただの虐殺と呼ぶ。
「こ、皇帝陛下……」
「やれ」
懇願する言葉一つ発する事が許されなくなってしまった。項垂れて猫背になっていた背筋を正して頭を下げる。返事は必要ない。やるとわかっているから。
「ラビ」
ドアに向かっていた足を止めて振り返るとルーカスは指を三本立てていた。どういう意味かと問いかける事はしなかった。ただその場で頷いて歩みを再開させる。
黒い絨毯の上を歩き、開いたドアの向こうの赤い絨毯の上でもう一度振り向いて頭を下げたら早足で外へと向かった。
待たせていた愛馬に跨って急いで帰路を走る。
ラビは混乱していた。
(アーバンに戦争を仕掛ける? アーバンは戦う術を持っていないのに、これでは虐殺だ!)
火矢をアーバンの国民全員が持っているならわかるが、そうではないだろう。持っていたらあの場で何人かが弓を構えていたはず。騒ぎを聞きつけてアパートの窓から顔を出していた者もいたのに誰一人として弓を構えてはいなかった。
火矢を放った者達が持っていた弓は狩猟用だろう。持っていたのが剣ではなくナイフだったのがその証拠。反射的に、という事もなく呆気ない最後を迎えた彼らは本当に恨みを持っていただけの一般人でしかなかった。アーバン人のほとんどがそうだろう。
ルーカスは言った。『滅ぼせ』と。いつもは『わからせてやれ』と言うのだが、今回は違った。アーバンという国をこの世界から消滅させろ、という意味だ。一人残らず、老人女子供
含めてそう言っている。
ヒュドールは今までもそうした残虐性をそこいらの国で発揮してきた。ラビがそれに従わなかっただけ。ラビの仕事は戦場を駆け回る事であって国民にわからせる事ではなかった。だが今回は自分の手でそれを行えと命を受けた。それはラビが心のどこかで言い訳として使っていた「仕方ない」では済まない愚行。
「ラビ、おかえりなさい」
アーバンにもこうして夫の帰りを待つ女性がいて、そこには子供がいたりする。自分もいつかそんな未来を手に入れたいと思っていたのに、子供に手をかければそんな事さえ許されなくなりそうで、ラビはまだ笑顔を見せられなかった。
「ラビ?」
「オリヴァーを洗います」
「私も一緒に──」
「シフォンケーキ」
「え?」
「食べたいです」
突然のリクエストに戸惑うもこちらを向かないラビに静かに頷いて家の中へと戻っていく。
こんな顔でアーデルと話はできない。アーバンを滅ぼすのに時間はかからないだろう。呼び出し、三日以内と期限を設けたという事は兵は用意してあるという事。それなら明日にでも発たなければならない。なんと言う? どう説明する? 戦争? 虐殺? 報復? 見せしめ?
グルグルと回り続ける疑問に吐き気が込み上げ、慌てて森の中へと駆け込んで嘔吐する。
今まで散々、人を殺しておいて今更何を怖気付いているのか。何千では足りない数を殺しておいて今更人並みの幸せを手に入れようとしているのか。殺さないでくれと懇願する兵士を一体どれほど斬り捨ててきたか。
選択肢などあるはずがない。いつもどおりだ。死神として剣を振るだけ。
「ごめんな。お前にも嫌な思いをさせるよ」
優しい彼には酷だろうと共に戦場を駆け回り続けたオリヴァーに謝りながら身体を洗い始めた。
「今回は僕だけでいいみたいです」
「私も一緒に行きます」
朝、郵便受けを覗くとルーカスからの呼び出し状が入っていた。日付と時間、今回はラビだけで来るよう書いてあった。
何を言うつもりだと疑心に満ちているアーデルの申し出をラビはかぶりを振って断った。
「今回は僕だけが呼び出されるようなので心配する必要はありません」
「ですが、一人でヒュドールへ向かうのは不安では?」
「戦場からの帰りはいつも一人ですし、平気ですよ」
彼だけが呼び出される理由とはなんなのか。利益だけを考えて生きている彼の話などどうせロクでもない内容に決まっていると思いながらも口にはせず、アーデルは昼食後に彼を見送った。
「ラビ皇子が到着されました」
「入れ」
ドアが開き、その場で一度頭を下げてから中へと入る。窓の傍に立って外の景色を眺めていたルーカスが振り返った。父親の顔を見て緊張しなかった事は一度もない。もう十五年以上もこの顔を見ているというのに。思わず拳を握ってしまう。
「何故呼ばれたかわかっているな?」
三秒だけ黙ってから頷いた。
「アーバンの件、ですか?」
「そうだ」
襲撃事件はルーカスの耳にも入っていたらしく、ラビは予想していただけに驚きはしなかった。ルーカスからの呼び出し状もすぐにその件についてだろうと気付いた。
「お前が行け」
拒否を許さない重たい言い方にラビはすぐに返事をしなかった。ルーカスは怒らない。こういう時に怒るのはルーカスではなくジュベール。ルーカスは急かす時もあるが、ラビがなんと答えるか待っている時もある。今日は後者だ。
「あ、あの……」
「なんだ?」
俯いていた顔を上げてルーカスと目を合わせるもすぐに下げてしまう。全てを見透かされているようなあの目がどうにも好きになれない。いつまでも十歳の頃のように俯いてしまう。
「し、襲撃犯は……ぼ、僕が……や、やっつけましたので……」
「やっつけた? 悪を成敗したということか?」
茶化すような物言いに素早くかぶりを振る。言わせたいのだ。曖昧な言い方は許さない。命令もなしにラビが行動したのであればそれはルーカスにとって予想外。面白いと言わんばかりの表情でラビを見ている。
「襲撃犯は三人か?」
「正確な人数はわかりません。ただ、主犯格は三人かと……」
「それで?」
「……こ、殺し、ました……」
二人だけの静かな部屋。窓は閉まり、風の音も入らない静寂の中で確かに聞こえた物騒な言葉。目を見開いたルーカスが次は口を開けて笑い出した。閉めている窓もドアも突き抜けて外まで響くほどの愉快そうな笑い声に使用人達は思わず固まる。あのルーカスがラビと二人の部屋でこんなにも笑うなどありえないと。
ラビの失言によるもので、すぐに止まって次は怒声かと心臓が縮こまらないように覚悟していた使用人達だが、笑い声は暫く続いた。
「何故殺した?」
ようやく笑い声が止まったと思えば今度は静かな声で問われる。
「衝動的か? それとも計画的か?」
「し、衝動的です……」
「理由は?」
椅子に腰掛けたルーカスが腕を組んでこちらを見つめる。彼の目力は子供全員が苦手とするもので、それは長男であろうと同じ意識を持っている。
隠しても無駄だと悟り、俯いたまま目を閉じたラビが言った。
「アーデルに危害を加える計画を立てていたのを耳にしたからです」
「妻に危害が加えられそうだと思ったらお前は片っ端から人を殺すのだな?」
「そうではありません!」
思わず飛び出した大声での否定に慌てて口を押さえてまた俯くも以前ほど心臓が速く動かないのはルーカスが怒ってはいないから。一瞬上げた際に見た彼の表情はむしろ喜びさえ感じているように見えた。
「アーバンを滅ぼせ」
ハッキリ言葉にされると上から重しが振ってきたように身体が重くなる。
「こ、今回の件は、ぼ、僕が勝手にあの地を離れたのが原因で──」
「どんな理由があろうとヒュドールの皇子を襲撃したんだ。殺意を持ってな。民の不始末は国が負うべきだ。違うか?」
「で、ですが、か、彼らは僕に怯えて──」
「怯えを理由に殺人が認められるのであれば法も秩序も必要ない」
「ぼ、僕は三人も殺してしまったんです!」
「正当防衛だろう。主犯格の三人は殺意を持って実行した。脅しではなくな。ナイフを持って襲い掛かれば逆に殺される可能性もあるのは当然の事だ」
「だ、だからそれで終わりじゃ──」
トントンと指先で机を叩く音がする。ルーカス・ワーナーだけが出す黙れの合図。
「これは提案ではなく命令だ。そしてお前個人の問題ではなく、国の問題だ。ヒュドールの皇子を殺害しようとした人間がいる国になんの責任も取らせぬわけにはいかん」
「な、何か交渉してみてはどうでしょう? し、主犯格は始末しましたけど、国としての誠意を、と──」
「アーバンに何がある? あの国が何を生み出していると言うのだ? ヒュドールの利益になる産物など何も持っていないだろう。ただ存在しているだけの無価値な国よ。滅びたところで世界になんら影響はない」
「で、ですが……」
「ラビ」
声が重くなった。これ以上の反論はマズい。緊張からごくりと喉が鳴る。
「お前を殺そうとしただけでなく、お前の、ヒュドールの第七皇子の妻をも殺そうとしたんだ。それを主犯格を殺したから国はお咎めなしで済むと本気で思っているのか?」
「いいえ……」
「だったら思い知らせろ。死神に喧嘩を売ったんだ。アーバンの人間の魂を全て刈ってこい」
「戦場は……」
アーバンはここ百年以上戦争経験がない。多少の武器はあるかもしれないが、兵はそんなに多くない。せいぜいがパトロール隊ぐらいだろう。小さな国だ。ヒュドールが攻めてきたと知れば彼らも武器を捨てて逃げ出すはずだ。石を投げた者も、罵声を浴びせた物も、火矢を放つのに協力した者でさえ戦おうとはしないだろう。裸足で逃げ出す彼らを追いかけて背後から斬り捨てろとルーカスは言っている。それは戦争とは言わない。
「アーバンだ」
ただの虐殺と呼ぶ。
「こ、皇帝陛下……」
「やれ」
懇願する言葉一つ発する事が許されなくなってしまった。項垂れて猫背になっていた背筋を正して頭を下げる。返事は必要ない。やるとわかっているから。
「ラビ」
ドアに向かっていた足を止めて振り返るとルーカスは指を三本立てていた。どういう意味かと問いかける事はしなかった。ただその場で頷いて歩みを再開させる。
黒い絨毯の上を歩き、開いたドアの向こうの赤い絨毯の上でもう一度振り向いて頭を下げたら早足で外へと向かった。
待たせていた愛馬に跨って急いで帰路を走る。
ラビは混乱していた。
(アーバンに戦争を仕掛ける? アーバンは戦う術を持っていないのに、これでは虐殺だ!)
火矢をアーバンの国民全員が持っているならわかるが、そうではないだろう。持っていたらあの場で何人かが弓を構えていたはず。騒ぎを聞きつけてアパートの窓から顔を出していた者もいたのに誰一人として弓を構えてはいなかった。
火矢を放った者達が持っていた弓は狩猟用だろう。持っていたのが剣ではなくナイフだったのがその証拠。反射的に、という事もなく呆気ない最後を迎えた彼らは本当に恨みを持っていただけの一般人でしかなかった。アーバン人のほとんどがそうだろう。
ルーカスは言った。『滅ぼせ』と。いつもは『わからせてやれ』と言うのだが、今回は違った。アーバンという国をこの世界から消滅させろ、という意味だ。一人残らず、老人女子供
含めてそう言っている。
ヒュドールは今までもそうした残虐性をそこいらの国で発揮してきた。ラビがそれに従わなかっただけ。ラビの仕事は戦場を駆け回る事であって国民にわからせる事ではなかった。だが今回は自分の手でそれを行えと命を受けた。それはラビが心のどこかで言い訳として使っていた「仕方ない」では済まない愚行。
「ラビ、おかえりなさい」
アーバンにもこうして夫の帰りを待つ女性がいて、そこには子供がいたりする。自分もいつかそんな未来を手に入れたいと思っていたのに、子供に手をかければそんな事さえ許されなくなりそうで、ラビはまだ笑顔を見せられなかった。
「ラビ?」
「オリヴァーを洗います」
「私も一緒に──」
「シフォンケーキ」
「え?」
「食べたいです」
突然のリクエストに戸惑うもこちらを向かないラビに静かに頷いて家の中へと戻っていく。
こんな顔でアーデルと話はできない。アーバンを滅ぼすのに時間はかからないだろう。呼び出し、三日以内と期限を設けたという事は兵は用意してあるという事。それなら明日にでも発たなければならない。なんと言う? どう説明する? 戦争? 虐殺? 報復? 見せしめ?
グルグルと回り続ける疑問に吐き気が込み上げ、慌てて森の中へと駆け込んで嘔吐する。
今まで散々、人を殺しておいて今更何を怖気付いているのか。何千では足りない数を殺しておいて今更人並みの幸せを手に入れようとしているのか。殺さないでくれと懇願する兵士を一体どれほど斬り捨ててきたか。
選択肢などあるはずがない。いつもどおりだ。死神として剣を振るだけ。
「ごめんな。お前にも嫌な思いをさせるよ」
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