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死神出現
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「意外だな……」
先日のアーバンの事もあり、ルスも一方的に潰せばヒュドールは批判拡大はあれど更に力を見せつける事ができると考え、ルスにも同じ方法で迫ってくるのではないかと思っていただけにヒュドールの兵がルスの周辺に配備されていなかった事はラビにとって驚きにも近かった。
死神はヒュドールを見放し、ルスについた。そのせいだと自惚れるつもりはないが、自負できるほどには貢献してきたつもりだ。戦力が減ってしまった事から慎重になっているのかもしれない。
「ここで馬を降ります」
「ここで!? ヒュドールは目の前ですよ!?」
「馬は弓に弱いんです。大砲や弓兵を多く配備するヒュドール相手に乗馬したまま戦うのは不利になります」
馬がなければ勢いが死ぬ。そう考える兵士達だが、ヒュドールの戦い方を最もよく知るラビに反論する者はいなかった。
まだ少し距離がある中でも視界に映るヒュドールの大群。こちらの兵はそれの半分以下だろう。万全の準備をしてある敵陣に馬なしで乗り込む恐怖もある。それでも、不安の色を顔に出す兵士はいても誰も弱音を吐く事はしなかった。
「戦場から逃げ帰る事は負けではありません」
ラビの言葉に兵士がザワつく。
「アステルにはあなた方の帰りを待つ人がいるのです。怯えは死を招きます。足が震え、手が震え、最終的には剣を握る事すら出来なくなってしまうのが恐怖です。相手は殺すつもりで剣を振り上げる中、恐怖で立ち尽くしていれば死ぬしかない。でも人は不思議な事にそんな状況でも逃げる事だけはできるんです。逃げて生き延びる事は悪でもなければ弱虫でもない。名誉の戦死なんて言葉は存在しません。ですから、怖くなったら、迷ったら、どうか逃げてください」
ルスの王もアステルの王も今回の戦争を拒絶しなかった。集められるだけ集めた兵士に強制もしなかった。自主的に名乗り出て戦いに参加する強者達の集まりに対して言う言葉ではないかもしれないと思いながらもラビは伝えておきたかった。逃げてもいい、と。
思わず顔を見合わせる兵士達が困惑する。そんな中で一人の兵士が手を上げた。
「あなたも同じでしょう。アーデル王女が帰りを待っている」
ラビが静かに頷く。
「必ず帰ると約束しました。だから死ぬつもりはありません。この手でルーカス・ワーナーとジュベール・ワーナーを仕留めます」
「家族ですよ。本当にやれるのですか?」
ラビの頷きに迷いはなかった。
「僕の家族はアーデルです。彼らではありません」
迷いがないのは瞳も声色もそう。兵士達はその顔を見てもう一度仲間と顔を見合わせて頷いた。
「我らも死ぬつもりはありません。勝利を手に帰るつもりです」
「万が一の時は──」
「最強の死神が味方なのです。恐怖する理由がどこにあるのか」
「心強さしかねぇよな?」
「負ける未来なんざ見えやしねぇよ」
「我ら皆、あなたの背中に続きます。雑魚は我らに任せて、あなたは総大将まで駆けてください」
涙が出そうだった。
アーデルの言葉は正しかった。
『あなたが味方でよかったと心強く思った人も必ずいます』
深く頭を下げるラビに「行きましょう」と声がかかる。
大きく息を吐き出して顔を上げたラビの表情に誰もがゴクリと喉を鳴らした。恐ろしいほど顔つきが変わった様子に兵士達も気合を入れ直し、剣を抜く。
「行きます」
静かな号令。駆け出したラビの後を兵士達が追いかける。配置した弓兵達がラビ達よりも先に外で待機しているヒュドール兵に攻撃を仕掛けた。
「死神が来たぞ!! 構えろ!!」
弓が刺さって倒れる仲間を盾にヒュドールの兵も声を上げる。
飛び交う矢と雄叫びのような声、剣がぶつかり合う音と絶命する声。戦場だと感じる。ここが居場所だとすら感じる。アーデルに言えば怒るだろう。だが、これほど平常心でいられるのは戦場の中だけだ。
「ご武運を!!」
「必ずや勝利を!!」
背中で激励を受けながら勝手知ったるヒュドールへと入っていく。
「だと思った」
自分が利用していた抜け道は大岩によって塞がれている。予想の範疇だとラビは壁を蹴って木に移り、そこから軽々と中に入っていく。
門の前ではアステルの兵士が必死に戦っている。死神の勝利を信じて命をかけ、圧倒的不利な状況でも怯え一つ見せずに剣を振り続ける。だからラビは振り返らない。心配して様子を見に行くのは彼らの覚悟への侮辱だと一直線に駆けていく。
「何故です! 何故裏切ったのですか! あなたはヒュドールの死神のはず! 皇帝陛下と戦われるおつもりか!?」
「どいてください。死にますよ」
部下として共に戦場を駆け回った男が立ちはだかる。それでもラビは足を止めずに剣を振った。一度目の剣は警告。相手もそれはわかっている。ラビ・ワーナーの剣がこんなに緩く軽いはずがない。
「あなたと共に戦えた事が私の誇りでした! これから先もと信じていたのにどうして!!」
「これが僕の死神として最後の戦いです」
「あなたは戦場でこそ輝かれるお方! 自らその機会を捨てるなど──ガハッ!」
血飛沫が舞い、男が地面に倒れた。その遺体を横目ですら見ずに坂を駆け上がっていく。握った剣が血に染まるまで三分とかからない。一人、二人……十人と地面に倒れる兵の数はあっという間に増えていき、止まらないラビの勢いにヒュドールの兵の表情が変わり始めた。
「し、死神……!」
味方であれば心強かった相手が敵になった。込み上げる恐怖に逃げ出す兵も出始めた。
ラビの剣は一瞬で見えなくなってしまう。上からか横からか下からか。どこから切ったのかすらわからないほど一瞬で血飛沫が上がる。
足が速く、動体視力の良さと高い身体能力を持つ彼は戦場で戦うのに向いていた。どこを斬れば致命傷になるか熟知している。長年の戦場での戦いで得たのは返り血を浴びないように避けながら人を斬る事。剣が纏った血が残像のように見える。見えたところでそれを避けるまでの時間は与えられない。あ……と思った時にはもう斬られている。
一人が逃げれば二人逃げ、一瞬で倒れていく仲間を見てその数はどんどん増えていく。
ラビはその弱い背中を見ながら剣を振った。彼らも被害者だ。ルーカス・ワーナーの命に背向く選択肢は与えられず、生か死かを選ぶしかない。戦場に立たないのなら死ね。それがヒュドールの皇帝のやり方だから。
それでも目の前に遅いくる恐怖には勝てない。身体は勝手に逃げ出し、そして倒れる。
同情はする。だが、ここで逃せば未来のアステルに影響が及ぶかもしれないと考えると見逃すわけにはいかなかった。
「死神だ! 殺される! 逃げろ!!」
ヒュドールの民には手をかけるなというのがアステルとルスの王からの命令。ラビもそのつもりは毛頭ないため逃げ始めた民に手をかける事はしなかった。アーバンのような結末はヒュドールの民には迎えてほしくない。
死神と呼ばれるようになってからヒュドールの民でさえ歓迎してくれる事はなかったが、恨んではいない。自分が一般市民でもきっとそうしたから。
壊滅が目的ではない。目的はヒュドール皇帝陛下の魂を刈る事だ。
城の前には兵が五人、剣を構えて立っている。上級兵の顔ぶれを前にラビは剣を振って血を払い、入り口へと続く道の脇に立ててある柵を蹴って宙へと飛んだ。
予想外の行動に一瞬戸惑いを見せた上級兵の動きが遅れ、その一瞬で兵の首が地面に落ちた。飛んだ瞬間に二人を斬り、地面に着地すると同時にもう二人斬った。残るは一人。緊張が走っている表情はしていたが、行動に遅れはない。ラビが地面に着地すると同時に剣を振り上げていた。
「ガッ……!」
見てわかるほどの緊張に襲われながらも行動が遅れなかったのはさすがだと感心しながらもその筋肉の強張りが命取りとなった。兵士はラビと剣を交える事なく、血を吹き出して地面に倒れた。
「ラビ!」
玄関ホールに踏み込むと同時に聞こえた声にラビの足が止まる。二階へと続く階段を上がった先の廊下から男が二人、顔を出していた。
「兄さん……」
イルヴェとエヴェルだ。
先日のアーバンの事もあり、ルスも一方的に潰せばヒュドールは批判拡大はあれど更に力を見せつける事ができると考え、ルスにも同じ方法で迫ってくるのではないかと思っていただけにヒュドールの兵がルスの周辺に配備されていなかった事はラビにとって驚きにも近かった。
死神はヒュドールを見放し、ルスについた。そのせいだと自惚れるつもりはないが、自負できるほどには貢献してきたつもりだ。戦力が減ってしまった事から慎重になっているのかもしれない。
「ここで馬を降ります」
「ここで!? ヒュドールは目の前ですよ!?」
「馬は弓に弱いんです。大砲や弓兵を多く配備するヒュドール相手に乗馬したまま戦うのは不利になります」
馬がなければ勢いが死ぬ。そう考える兵士達だが、ヒュドールの戦い方を最もよく知るラビに反論する者はいなかった。
まだ少し距離がある中でも視界に映るヒュドールの大群。こちらの兵はそれの半分以下だろう。万全の準備をしてある敵陣に馬なしで乗り込む恐怖もある。それでも、不安の色を顔に出す兵士はいても誰も弱音を吐く事はしなかった。
「戦場から逃げ帰る事は負けではありません」
ラビの言葉に兵士がザワつく。
「アステルにはあなた方の帰りを待つ人がいるのです。怯えは死を招きます。足が震え、手が震え、最終的には剣を握る事すら出来なくなってしまうのが恐怖です。相手は殺すつもりで剣を振り上げる中、恐怖で立ち尽くしていれば死ぬしかない。でも人は不思議な事にそんな状況でも逃げる事だけはできるんです。逃げて生き延びる事は悪でもなければ弱虫でもない。名誉の戦死なんて言葉は存在しません。ですから、怖くなったら、迷ったら、どうか逃げてください」
ルスの王もアステルの王も今回の戦争を拒絶しなかった。集められるだけ集めた兵士に強制もしなかった。自主的に名乗り出て戦いに参加する強者達の集まりに対して言う言葉ではないかもしれないと思いながらもラビは伝えておきたかった。逃げてもいい、と。
思わず顔を見合わせる兵士達が困惑する。そんな中で一人の兵士が手を上げた。
「あなたも同じでしょう。アーデル王女が帰りを待っている」
ラビが静かに頷く。
「必ず帰ると約束しました。だから死ぬつもりはありません。この手でルーカス・ワーナーとジュベール・ワーナーを仕留めます」
「家族ですよ。本当にやれるのですか?」
ラビの頷きに迷いはなかった。
「僕の家族はアーデルです。彼らではありません」
迷いがないのは瞳も声色もそう。兵士達はその顔を見てもう一度仲間と顔を見合わせて頷いた。
「我らも死ぬつもりはありません。勝利を手に帰るつもりです」
「万が一の時は──」
「最強の死神が味方なのです。恐怖する理由がどこにあるのか」
「心強さしかねぇよな?」
「負ける未来なんざ見えやしねぇよ」
「我ら皆、あなたの背中に続きます。雑魚は我らに任せて、あなたは総大将まで駆けてください」
涙が出そうだった。
アーデルの言葉は正しかった。
『あなたが味方でよかったと心強く思った人も必ずいます』
深く頭を下げるラビに「行きましょう」と声がかかる。
大きく息を吐き出して顔を上げたラビの表情に誰もがゴクリと喉を鳴らした。恐ろしいほど顔つきが変わった様子に兵士達も気合を入れ直し、剣を抜く。
「行きます」
静かな号令。駆け出したラビの後を兵士達が追いかける。配置した弓兵達がラビ達よりも先に外で待機しているヒュドール兵に攻撃を仕掛けた。
「死神が来たぞ!! 構えろ!!」
弓が刺さって倒れる仲間を盾にヒュドールの兵も声を上げる。
飛び交う矢と雄叫びのような声、剣がぶつかり合う音と絶命する声。戦場だと感じる。ここが居場所だとすら感じる。アーデルに言えば怒るだろう。だが、これほど平常心でいられるのは戦場の中だけだ。
「ご武運を!!」
「必ずや勝利を!!」
背中で激励を受けながら勝手知ったるヒュドールへと入っていく。
「だと思った」
自分が利用していた抜け道は大岩によって塞がれている。予想の範疇だとラビは壁を蹴って木に移り、そこから軽々と中に入っていく。
門の前ではアステルの兵士が必死に戦っている。死神の勝利を信じて命をかけ、圧倒的不利な状況でも怯え一つ見せずに剣を振り続ける。だからラビは振り返らない。心配して様子を見に行くのは彼らの覚悟への侮辱だと一直線に駆けていく。
「何故です! 何故裏切ったのですか! あなたはヒュドールの死神のはず! 皇帝陛下と戦われるおつもりか!?」
「どいてください。死にますよ」
部下として共に戦場を駆け回った男が立ちはだかる。それでもラビは足を止めずに剣を振った。一度目の剣は警告。相手もそれはわかっている。ラビ・ワーナーの剣がこんなに緩く軽いはずがない。
「あなたと共に戦えた事が私の誇りでした! これから先もと信じていたのにどうして!!」
「これが僕の死神として最後の戦いです」
「あなたは戦場でこそ輝かれるお方! 自らその機会を捨てるなど──ガハッ!」
血飛沫が舞い、男が地面に倒れた。その遺体を横目ですら見ずに坂を駆け上がっていく。握った剣が血に染まるまで三分とかからない。一人、二人……十人と地面に倒れる兵の数はあっという間に増えていき、止まらないラビの勢いにヒュドールの兵の表情が変わり始めた。
「し、死神……!」
味方であれば心強かった相手が敵になった。込み上げる恐怖に逃げ出す兵も出始めた。
ラビの剣は一瞬で見えなくなってしまう。上からか横からか下からか。どこから切ったのかすらわからないほど一瞬で血飛沫が上がる。
足が速く、動体視力の良さと高い身体能力を持つ彼は戦場で戦うのに向いていた。どこを斬れば致命傷になるか熟知している。長年の戦場での戦いで得たのは返り血を浴びないように避けながら人を斬る事。剣が纏った血が残像のように見える。見えたところでそれを避けるまでの時間は与えられない。あ……と思った時にはもう斬られている。
一人が逃げれば二人逃げ、一瞬で倒れていく仲間を見てその数はどんどん増えていく。
ラビはその弱い背中を見ながら剣を振った。彼らも被害者だ。ルーカス・ワーナーの命に背向く選択肢は与えられず、生か死かを選ぶしかない。戦場に立たないのなら死ね。それがヒュドールの皇帝のやり方だから。
それでも目の前に遅いくる恐怖には勝てない。身体は勝手に逃げ出し、そして倒れる。
同情はする。だが、ここで逃せば未来のアステルに影響が及ぶかもしれないと考えると見逃すわけにはいかなかった。
「死神だ! 殺される! 逃げろ!!」
ヒュドールの民には手をかけるなというのがアステルとルスの王からの命令。ラビもそのつもりは毛頭ないため逃げ始めた民に手をかける事はしなかった。アーバンのような結末はヒュドールの民には迎えてほしくない。
死神と呼ばれるようになってからヒュドールの民でさえ歓迎してくれる事はなかったが、恨んではいない。自分が一般市民でもきっとそうしたから。
壊滅が目的ではない。目的はヒュドール皇帝陛下の魂を刈る事だ。
城の前には兵が五人、剣を構えて立っている。上級兵の顔ぶれを前にラビは剣を振って血を払い、入り口へと続く道の脇に立ててある柵を蹴って宙へと飛んだ。
予想外の行動に一瞬戸惑いを見せた上級兵の動きが遅れ、その一瞬で兵の首が地面に落ちた。飛んだ瞬間に二人を斬り、地面に着地すると同時にもう二人斬った。残るは一人。緊張が走っている表情はしていたが、行動に遅れはない。ラビが地面に着地すると同時に剣を振り上げていた。
「ガッ……!」
見てわかるほどの緊張に襲われながらも行動が遅れなかったのはさすがだと感心しながらもその筋肉の強張りが命取りとなった。兵士はラビと剣を交える事なく、血を吹き出して地面に倒れた。
「ラビ!」
玄関ホールに踏み込むと同時に聞こえた声にラビの足が止まる。二階へと続く階段を上がった先の廊下から男が二人、顔を出していた。
「兄さん……」
イルヴェとエヴェルだ。
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