96 / 103
目覚め
しおりを挟む
「ん……」
ラビが目を覚ました時、視界を覆ったのは見知った天井だった。
「……なん、で……」
声が掠れている。起き上がろうとすると腹部に激痛が走り、顔を歪ませた。
「ラビ!?」
目が覚めている事に気付き、開いたばかりのドアのすぐ側でガラスが割れるような音がした。視線をやると花瓶だった物とそれに入っていた花が床に散らばっている。
ベッドに駆け寄って顔を覗き込まれるとラビが目を細め、そのまま閉じた。
「シャン、ディ……」
「私がわかるのね!? よかった!」
まだ生きている。そう実感できる事はありがたいが、目覚めてすぐ見た顔がアーデルではなくシャンディである事に心底落ち込んだ。
腕で目を覆ってゆっくりと長い息を吐き出すラビの手をシャンディが握る。
「水飲む?」
喉がカラカラに渇いている。手伝ってもらいながら少しだけ起き上がり、グラスに入れられた水を飲む。少し咳き込んでしまうが、全部飲み干すとシャンディが少し涙ぐんだ。
「よかった……! もう、起きないかと思ったんだから……」
「ぼ、く……どう、やって……」
廊下で倒れたまでは覚えている。顔に劇薬を受けた日以来の激痛に朦朧としていたのも。なぜシャンディの家にいるのかまではわからない。
掠れた声で問いかけるラビにシャンディが再び手を握って答えた。
「あなたがここに入って行くのを見てから居ても立っても居られなくてお城に入ったの。そしたらほとんどの人が……」
死んでいた。口を押さえるシャンディにとってあの光景はトラウマでしかないだろう。それでもシャンディは前に進んだ。そして倒れている自分を見つけたという事か、と推測した。
「お城の中にはほとんど人はいなくて、廊下にあなたが倒れてた。出血がひどくて、何回呼びかけてもあなたは反応しなかった。急いであなたを家に運んで医者を呼んだわ」
「君が……?」
「使用人を数名連れて行っていたから運ばせたの」
「危ないよ……」
「わかってる。だけど……相手はあの皇帝よ。無事では済まないと思ったの。あなたが死んじゃったらって、心配で……」
大粒の涙を流すシャンディにラビは感謝を伝えた。
「あなたの身体は毒に侵されてた。あなたの家中探して解毒薬を見つけてすぐ治療にかかったの。だけど……」
「もういいよ。ありがとう、シャンディ」
その先は聞きたくなかった。ルーカスのナイフで刺されたのだ。ましてや毒というオマケ付き。念には念を。それがルーカスだ。アイリスの毒を使ったのだろう。ルーカスのナイフというだけでも大事。そこにプラスαでアイリスの毒となればタダでは済まない。
「こうして生きてるだけで感謝しないと」
掠れた声はか細く、静かでなければ聞き取れないだろうほど。それでもラビの表情は穏やかだった。
「丸一ヶ月、あなたは目覚めなかったのよ」
「一ヶ月!? いッ!!」
「ダメ! ジッとして!!」
耳を疑う言葉に声を張った瞬間、目が飛び出るのではないかと思うほどの痛みに襲われ、背中をクッションに押し付けた。
目を見開き、浅い呼吸を繰り返しながらラビは何度もその言葉を頭の中で繰り返す。
(一ヶ月……? 一ヶ月? 一ヶ月も……)
あれから一ヶ月も経っている。信じられない。
「状況、は……?」
「ヒュドールは混乱に陥ってるわ。ルーカス皇帝とその家族の死が確認された事は大きく報道されたから。誰が率いていくのかって貴族達が集まって、そこでも醜い争いが続いてるみたい」
「ルスとアステルは? 陥落したとか、燃えたとか、そういうの、ない?」
「特に何も」
それが本当ならいい。安堵の息を吐き出すラビの手をシャンディが軽く揺らす。
「あなたの身体は以前のようには動かないと思うって医者が言ってた」
「……どのぐらい回復する?」
「わからないけど、戦場で駆け回るのはもう無理だろうって」
そんな必要はもうないからいいとラビは静かに頷く。駆け回れなくてもいい。戦争はもうしない。ルスもアステルも戦争参加は表明していないのだから。
「リハビリをすれば歩けるようになるかもしれないけど、走れるようになるのはずっと先かもしれないって」
一ヶ月も寝たきりだったため身体が重たく感じる。でも、ラビは一刻も早く動きたかった。
「何してるの!?」
動こうとするラビをシャンディが肩を押して止める。
「アステルに行かないと……アーデルが待ってるんだ……」
「今は無理よ! 動かせない! 声を張るだけで痛いのにどうやって立つのよ!」
「アーデルが心配してる。帰るって約束したんだ」
「私が手紙を送ったから大丈夫!」
「返事は来た?」
「わかったって返事が来た」
「見せて」
シャンディが悔しげに唇を噛む。ラビの中にいるのは自分ではなくアーデル。自分の言葉などこれっぽっちも信用していないのだと俯いて表情を隠す。
助けたのは自分なのにどうして、と拳を握るシャンディがどんな顔をしているのか、見なくてもラビにはわかる。
「シャンディ、君には感謝してるんだ。君が来てくれなかったら僕はあのまま死んでたと思う。でも君が来てくれたから僕は助かった」
「今帰ってもあの子に迷惑かけるだけよ。あの子に付きっきりで看病してもらうの? 今のあなたの姿を見せたら彼女はあなたを行かせた事を後悔するし、あなたの現状を悲しむわよ。元気になった姿を見せてあげたほうが絶対に良い」
「シャンディ」
「手紙を書けばいいわ。ここでリハビリをして、元気になったら帰るって。生きてるって事をあなたの字で知らせればきっと安心して待っててくれるわ」
シャンディが手紙を書いていない事ぐらいわかっている。ここで手紙を書いて託したところでアーデルには届かないだろう。そんな事もラビには透けて見える。
彼女は結局変わっていない。自分がこのまま居座り続ければきっとまた依存が始まるだろうとラビはかぶりを振った。
「ラビ、よく聞いて。あなたの傷は深いの。ただ刺されただけじゃない。毒による後遺症がある。あの子じゃ支えきれない。きっと泣いてばかりいてあなたに罪悪感を抱かせるのよ。私は耐えられる。あなたを支えられるわ。だって、あなたが辛い時に支えたのは私だもの。あの子じゃない」
それでもかぶりを振るラビにシャンディが声を張る。
「きっと、泣くと思う。声を上げて泣くだろうね」
「ほらね! 一番辛いのはあなたなのに自分が一番辛いみたいに泣くなんてそんなの──」
「でも、それは僕の前じゃない」
言い切った事に眉を寄せるシャンディに向けるラビの笑顔は穏やかで優しいものだった。
「アーデルはそういう子なんだ。リハビリを受ける僕を彼女は励ましてくれる。申し訳なくなったら僕が、僕なんかのためにって言ったら彼女はすぐに袋を持ってきて言うんだ。罰金です、って。そのために僕はいつも硬貨をポケットに入れてる。そんな瞬間が僕にはとても幸せなんだ」
「そんなの、あなたの性格を罰金で矯正させようとしてるだけじゃない! あなたしか罰を受けないようになってる!」
「そんな事ない。彼女も罰金を入れる。一日一個って決めたケーキを二個食べたら罰金。いつもより多めに作ったから食べちゃわないとって状況に持って行くために多めに作ったら罰金。一日三回以上溜息をついたら罰金。ほとんど僕だけど、アーデルも少し入れるんだ」
シャンディにとってはあまりにもくだらない罰金制度。でも、それを語るラビの顔はそれを慈しむようなもので、涙が出そうになった。
どうして自分といる時はそんな笑顔を見せてくれなかったのか。どうして彼女なのか。たとえアーデルがラビの過去を聞いていたとしてもそれは過去の話であり、自分は当時のラビの様子を知っているし、支えてきた。それなのに選ばれたのは自分ではなくアーデル。
突き放されてから何十回、何百回と考えた。でも自分を納得させられるだけの答えは出ない。
「シャンディ、ごめんね。助けてくれてありがとう」
「お礼言うなら元気になるまでここにいてよ……」
苦笑を見せるラビを見るだけでシャンディは自分の気持ちが整っていくのがわかった。
「君が僕にこだわってる時間はすごくもったいないと思う」
「だって子供の頃からずっとラビ・ワーナーが好きだったんだもの」
「ありがとう。だけど、僕は──」
待って、とシャンディが言った。口を閉じたラビがシャンディを見る。
言おうとしている言葉がわかっているから聞きたくなかった。わかっている事だとしても、もう一度ラビから聞くのは耐えられないと強く手を握るシャンディが泣きじゃくる。
それでもラビはシャンディの手を握り返しはしなかった。
「ごめんね」
その一言に含まれた意味が多すぎてシャンディは何も答えなかった。
帰りたいと強い意思を持つラビをこれ以上引き留めておくことはできないとわかっていたから。
ラビが目を覚ました時、視界を覆ったのは見知った天井だった。
「……なん、で……」
声が掠れている。起き上がろうとすると腹部に激痛が走り、顔を歪ませた。
「ラビ!?」
目が覚めている事に気付き、開いたばかりのドアのすぐ側でガラスが割れるような音がした。視線をやると花瓶だった物とそれに入っていた花が床に散らばっている。
ベッドに駆け寄って顔を覗き込まれるとラビが目を細め、そのまま閉じた。
「シャン、ディ……」
「私がわかるのね!? よかった!」
まだ生きている。そう実感できる事はありがたいが、目覚めてすぐ見た顔がアーデルではなくシャンディである事に心底落ち込んだ。
腕で目を覆ってゆっくりと長い息を吐き出すラビの手をシャンディが握る。
「水飲む?」
喉がカラカラに渇いている。手伝ってもらいながら少しだけ起き上がり、グラスに入れられた水を飲む。少し咳き込んでしまうが、全部飲み干すとシャンディが少し涙ぐんだ。
「よかった……! もう、起きないかと思ったんだから……」
「ぼ、く……どう、やって……」
廊下で倒れたまでは覚えている。顔に劇薬を受けた日以来の激痛に朦朧としていたのも。なぜシャンディの家にいるのかまではわからない。
掠れた声で問いかけるラビにシャンディが再び手を握って答えた。
「あなたがここに入って行くのを見てから居ても立っても居られなくてお城に入ったの。そしたらほとんどの人が……」
死んでいた。口を押さえるシャンディにとってあの光景はトラウマでしかないだろう。それでもシャンディは前に進んだ。そして倒れている自分を見つけたという事か、と推測した。
「お城の中にはほとんど人はいなくて、廊下にあなたが倒れてた。出血がひどくて、何回呼びかけてもあなたは反応しなかった。急いであなたを家に運んで医者を呼んだわ」
「君が……?」
「使用人を数名連れて行っていたから運ばせたの」
「危ないよ……」
「わかってる。だけど……相手はあの皇帝よ。無事では済まないと思ったの。あなたが死んじゃったらって、心配で……」
大粒の涙を流すシャンディにラビは感謝を伝えた。
「あなたの身体は毒に侵されてた。あなたの家中探して解毒薬を見つけてすぐ治療にかかったの。だけど……」
「もういいよ。ありがとう、シャンディ」
その先は聞きたくなかった。ルーカスのナイフで刺されたのだ。ましてや毒というオマケ付き。念には念を。それがルーカスだ。アイリスの毒を使ったのだろう。ルーカスのナイフというだけでも大事。そこにプラスαでアイリスの毒となればタダでは済まない。
「こうして生きてるだけで感謝しないと」
掠れた声はか細く、静かでなければ聞き取れないだろうほど。それでもラビの表情は穏やかだった。
「丸一ヶ月、あなたは目覚めなかったのよ」
「一ヶ月!? いッ!!」
「ダメ! ジッとして!!」
耳を疑う言葉に声を張った瞬間、目が飛び出るのではないかと思うほどの痛みに襲われ、背中をクッションに押し付けた。
目を見開き、浅い呼吸を繰り返しながらラビは何度もその言葉を頭の中で繰り返す。
(一ヶ月……? 一ヶ月? 一ヶ月も……)
あれから一ヶ月も経っている。信じられない。
「状況、は……?」
「ヒュドールは混乱に陥ってるわ。ルーカス皇帝とその家族の死が確認された事は大きく報道されたから。誰が率いていくのかって貴族達が集まって、そこでも醜い争いが続いてるみたい」
「ルスとアステルは? 陥落したとか、燃えたとか、そういうの、ない?」
「特に何も」
それが本当ならいい。安堵の息を吐き出すラビの手をシャンディが軽く揺らす。
「あなたの身体は以前のようには動かないと思うって医者が言ってた」
「……どのぐらい回復する?」
「わからないけど、戦場で駆け回るのはもう無理だろうって」
そんな必要はもうないからいいとラビは静かに頷く。駆け回れなくてもいい。戦争はもうしない。ルスもアステルも戦争参加は表明していないのだから。
「リハビリをすれば歩けるようになるかもしれないけど、走れるようになるのはずっと先かもしれないって」
一ヶ月も寝たきりだったため身体が重たく感じる。でも、ラビは一刻も早く動きたかった。
「何してるの!?」
動こうとするラビをシャンディが肩を押して止める。
「アステルに行かないと……アーデルが待ってるんだ……」
「今は無理よ! 動かせない! 声を張るだけで痛いのにどうやって立つのよ!」
「アーデルが心配してる。帰るって約束したんだ」
「私が手紙を送ったから大丈夫!」
「返事は来た?」
「わかったって返事が来た」
「見せて」
シャンディが悔しげに唇を噛む。ラビの中にいるのは自分ではなくアーデル。自分の言葉などこれっぽっちも信用していないのだと俯いて表情を隠す。
助けたのは自分なのにどうして、と拳を握るシャンディがどんな顔をしているのか、見なくてもラビにはわかる。
「シャンディ、君には感謝してるんだ。君が来てくれなかったら僕はあのまま死んでたと思う。でも君が来てくれたから僕は助かった」
「今帰ってもあの子に迷惑かけるだけよ。あの子に付きっきりで看病してもらうの? 今のあなたの姿を見せたら彼女はあなたを行かせた事を後悔するし、あなたの現状を悲しむわよ。元気になった姿を見せてあげたほうが絶対に良い」
「シャンディ」
「手紙を書けばいいわ。ここでリハビリをして、元気になったら帰るって。生きてるって事をあなたの字で知らせればきっと安心して待っててくれるわ」
シャンディが手紙を書いていない事ぐらいわかっている。ここで手紙を書いて託したところでアーデルには届かないだろう。そんな事もラビには透けて見える。
彼女は結局変わっていない。自分がこのまま居座り続ければきっとまた依存が始まるだろうとラビはかぶりを振った。
「ラビ、よく聞いて。あなたの傷は深いの。ただ刺されただけじゃない。毒による後遺症がある。あの子じゃ支えきれない。きっと泣いてばかりいてあなたに罪悪感を抱かせるのよ。私は耐えられる。あなたを支えられるわ。だって、あなたが辛い時に支えたのは私だもの。あの子じゃない」
それでもかぶりを振るラビにシャンディが声を張る。
「きっと、泣くと思う。声を上げて泣くだろうね」
「ほらね! 一番辛いのはあなたなのに自分が一番辛いみたいに泣くなんてそんなの──」
「でも、それは僕の前じゃない」
言い切った事に眉を寄せるシャンディに向けるラビの笑顔は穏やかで優しいものだった。
「アーデルはそういう子なんだ。リハビリを受ける僕を彼女は励ましてくれる。申し訳なくなったら僕が、僕なんかのためにって言ったら彼女はすぐに袋を持ってきて言うんだ。罰金です、って。そのために僕はいつも硬貨をポケットに入れてる。そんな瞬間が僕にはとても幸せなんだ」
「そんなの、あなたの性格を罰金で矯正させようとしてるだけじゃない! あなたしか罰を受けないようになってる!」
「そんな事ない。彼女も罰金を入れる。一日一個って決めたケーキを二個食べたら罰金。いつもより多めに作ったから食べちゃわないとって状況に持って行くために多めに作ったら罰金。一日三回以上溜息をついたら罰金。ほとんど僕だけど、アーデルも少し入れるんだ」
シャンディにとってはあまりにもくだらない罰金制度。でも、それを語るラビの顔はそれを慈しむようなもので、涙が出そうになった。
どうして自分といる時はそんな笑顔を見せてくれなかったのか。どうして彼女なのか。たとえアーデルがラビの過去を聞いていたとしてもそれは過去の話であり、自分は当時のラビの様子を知っているし、支えてきた。それなのに選ばれたのは自分ではなくアーデル。
突き放されてから何十回、何百回と考えた。でも自分を納得させられるだけの答えは出ない。
「シャンディ、ごめんね。助けてくれてありがとう」
「お礼言うなら元気になるまでここにいてよ……」
苦笑を見せるラビを見るだけでシャンディは自分の気持ちが整っていくのがわかった。
「君が僕にこだわってる時間はすごくもったいないと思う」
「だって子供の頃からずっとラビ・ワーナーが好きだったんだもの」
「ありがとう。だけど、僕は──」
待って、とシャンディが言った。口を閉じたラビがシャンディを見る。
言おうとしている言葉がわかっているから聞きたくなかった。わかっている事だとしても、もう一度ラビから聞くのは耐えられないと強く手を握るシャンディが泣きじゃくる。
それでもラビはシャンディの手を握り返しはしなかった。
「ごめんね」
その一言に含まれた意味が多すぎてシャンディは何も答えなかった。
帰りたいと強い意思を持つラビをこれ以上引き留めておくことはできないとわかっていたから。
58
あなたにおすすめの小説
『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
私は、夫にも子供にも選ばれなかった。
その事実だけを抱え、離縁を突きつけ、家を出た。
そこで待っていたのは、最悪の出来事――
けれど同時に、人生の扉がひらく瞬間でもあった。
夫は愛人と共に好きに生きればいい。
今さら「本当に愛していたのは君だ」と言われても、裏切ったあなたを許すことはできない。
でも、子供たちの心だけは、必ず取り戻す。
妻にも母にもなれなかった伯爵夫人イネス。
過去を悔いながらも、愛を手に入れることを決めた彼女が辿り着いた先には――
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
愛人を選んだ夫を捨てたら、元婚約者の公爵に捕まりました
由香
恋愛
伯爵夫人リュシエンヌは、夫が公然と愛人を囲う結婚生活を送っていた。
尽くしても感謝されず、妻としての役割だけを求められる日々。
けれど彼女は、泣きわめくことも縋ることもなく、静かに離婚を選ぶ。
そうして“捨てられた妻”になったはずの彼女の前に現れたのは、かつて婚約していた元婚約者――冷静沈着で有能な公爵セドリックだった。
再会とともに始まるのは、彼女の価値を正しく理解し、決して手放さない男による溺愛の日々。
一方、彼女を失った元夫は、妻が担っていたすべてを失い、社会的にも転落していく。
“尽くすだけの妻”から、“選ばれ、守られる女性”へ。
静かに離婚しただけなのに、
なぜか元婚約者の公爵に捕まりました。
処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜
放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!?
「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」
不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。
で、お前が彼女に嫌がらせをしている理由を聞かせてもらおうか?
Debby
恋愛
ヴェルトが友人からの手紙を手に辺境伯令嬢であるレィディアンスの元を訪れたのは、その手紙に「詳細は彼女に聞け」と書いてあったからだ。
簡単にいうと、手紙の内容は「学園で問題を起こした平民──エボニーを妻として引き取ってくれ」というものだった。
一方その話を聞いてしまった伯爵令嬢のオリーブは動揺していた。
ヴェルトとは静かに愛を育んできた。そんな自分を差し置いて、言われるがまま平民を妻に迎えてしまうのだろうか。
そんなオリーブの気持ちを知るはずもないエボニーは、辺境伯邸で行儀見習いをすることになる。
オリーブは何とかしてヴェルトを取り戻そうと画策し、そのことを咎められてしまう。もう後は無い。
オリーブが最後の望みをかけてヴェルトに自分を選んで欲しいと懇願する中、レィディアンスが静かに口を開いた。
「で、そろそろお前が彼女に嫌がらせをしている理由を聞かせてもらおうか」
「はい?」
ヴェルトは自分が何を言われたのか全く理解が出来なかった。
*--*--*
覗いてくださりありがとうございます。(* ᴗ ᴗ)⁾⁾
★全31話7時19時更新で、全話予約投稿済みです。
★★「このお話だけ読んでいただいてもOKです!」という前提のもと↓↓↓
このお話は独立した一つのお話ですが、「で。」シリーズのサイドストーリーでもあり、第一弾「で、私がその方に嫌がらせをする理由をお聞かせいただいても?」の「エボニーその後」でもあります(あるいは「最終話」のその後)。
第一弾「で、私がその方に嫌がらせをする理由をお聞かせいただいても?」
第二弾「で、あなたが私に嫌がらせをする理由を伺っても?」
第三弾「で、あなたが彼に嫌がらせをする理由をお話しいただいても?」
どれも女性向けHOTランキングに入り、特に第二弾はHOT一位になることが出来ました!(*´▽`人)アリガトウ
もしよかったら宜しくお願いしますね!
私が行方不明の皇女です~生死を彷徨って帰国したら信じていた初恋の従者は婚約していました~
marumi
恋愛
「あら アルヴェイン公爵がドゥーカス令嬢をエスコートされていますわ」
「ご婚約されたと噂を聞きましたが、まさか本当だとは!」
私は五年前までこの国の皇女エリシアだった。
暗殺事件に巻き込まれ、幼なじみで初恋の相手だった従者――アルヴェイン公子と共に命からがら隣国、エルダールへ亡命した。
彼の「必ず迎えに来る」その言葉を信じて、隣国の地で彼を待ち続けた……。
それなのに……。
やっとの思いで帰国した帝国の華やかなパーティー会場で、一際目立っているのは、彼と、社交界の華と言われる令嬢だった――。
※校正にAIを使用していますが、自身で考案したオリジナル小説です。
※イメージが伝わればと思い、表紙画像をAI生成してみました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる