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鐘の音
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「ユズリハ以外の和人に会うのって初めてなの!」
港への迎えにはなぜかルーシィが同行していた。
和の国からの船を今か今かと待っている。
ルーシィが家に来たとき、手紙を見せたのが原因だ。
絶対に出迎えに行くと言い続けたルーシィは本当に港まで出迎えにやってきた。それも行くなと言う夫と無視して。
「和の国の男性ってガッシリしてるのよね?」
「兄上はそうでもない」
「そうなの? 残念ね」
「期待せぬが吉じゃぞ」
「でも楽しみだわ。あなたの家族に会えるんだもの」
ルーシィはハロルドの両親よりもずっと愛が強く、ユズリハを家族だと思っている。だからユズリハの家族に会えることをとても喜んでいた。
ユズリハもそれを喜んでいるし、ルーシィを本当の姉のように思っている。ハロルドもそうだ。ルーシィは想像とは違った性格だったが、想像よりずっと良い人だった。
しかし、今はそれを微笑ましく思えない状況にある。
「兄さんはいいのか? ここに来る前、結構怒ってたみたいだけど」
ここに来る前、屋敷に怒声が響いていた。
『なんでお前が迎えに行くんだ!!』
そう怒鳴る兄の声。ただでさえ和人を嘲る兄に和人を迎えに行くなどと言えば反対をくらうのは当然だ。それでもルーシィはその怒声を無視してやってきた。
きっと帰ったら兄はまたルーシィを怒鳴りつけるか無視をするだろう。
家で待っていれば会えたのにと思うハロルドの心配にルーシィが笑う。
「そうなの? 気付かなかった」
気付かなかったわけがない。怒鳴られていたのはルーシィだ。
「大丈夫?」
「大丈夫よ。ワインに睡眠薬混ぜて眠らせてる間に海に運んで沈めたりしないから」
随分と具体的に話すルーシィが最近恐ろしくて仕方ない。
「そうじゃなくて……」
「お風呂のほうが近いしね」
上機嫌に笑うルーシィの本心が読めないことが一番恐ろしい。
クリフォード・ヘインズが老衰以外で亡くなるとしたら死因は溺死だろうと確信した。
「ルーシィはガッシリした男が好きなのか?」
「誰だってそうじゃない? 痩せ細った男より腕一本で支えてくれる男性のほうが素敵じゃない。軽々とお姫様抱っこされたいと思うでしょ?」
ハロルドはどちらかと言えば痩せ細ったほう。良い風に言えばスタイルが良い。悪く言えばひょろっこい。背もそこまで高いわけではない。
そういう点ではクリフォードはモテる要素をあらかた持っていた。
「兄さんは結婚式で抱き上げてたね」
「そうね。ユズリハもしてもらうといいわ。とっても素敵な光景だから」
「いや、わらわは──」
「そうする」
断ろうとしたユズリハの言葉を遮って約束した。
なぜ困った顔をするんだと問うまでもない。自分たちは結婚式はしないことで合意した。正確にはユズリハの主張を尊重してのことだが、ハロルドの意見は変わりつつある。だから
困った顔をするユズリハと視線を合わせなかった。
ルーシィの前でそんなことを話すとややこしいことにしかならないとわかっているから。
「まだかしら?」
「もうすぐ着く頃じゃがのう」
ハロルドの腕を持って時計を確認するも船はまだ到着しない。
「そう焦らずともいずれ到着する」
ウォルターは港に置いてある木箱に腰掛けながら何度も懐中時計を確認している。そわそわしているのはルーシィと同じ。
それから三十分ほど経った頃、ルーシィが大きな声を上げた。
「あれじゃない!?」
まだ遠いが、遠くからでもわかる船の大きさ。あの大きさは間違いなくダイゴロウの船だとウォルターが立ち上がる。
「ユズリハ、来たぞ」
「着いたか?」
「見えただけだ」
「時間かかるのう」
待ち飽きたユズリハは一時間前に馬車に戻って仮眠を取っていた。揺さぶり起こすも到着まで時間がかかるのは二度の渡航でわかっているため慌てて馬車を飛び出すことはしない。
やれやれと馬車から降りると顎が外れそうなほど大口を開けて欠伸をする。浮かんだ涙を袖で拭って海を見た。
「まだあそこか。三十分はかかるぞ」
「そうだな」
「よくもまあ犬のように待てるな」
「初めて会えるってのは嬉しいもんだろ」
「あっちは?」
ウォルターを指差す意地悪さに横目で睨みつけて肩を竦める。
「親友が会いに来てくれたってのは嬉しいもんだろ」
「親友がおらぬのによくわかるのう」
「お前にだけは言われたくない」
「カカッ! 確かにそうじゃ」
まだかまだかと二人並んで到着を待ち侘びるルーシィとウォルターの後ろ姿は飼い主を待ち侘びる犬のようで二人はそれを写真に残したくなった。
ゆっくりと時間をかけて近付いてくる巨大な船。遠くで見ても巨大だった船は思っていた以上に巨大で、ルーシィのテンションが上がる。
「父上ー! 兄上ー!」
二人の姿が見えるとユズリハが嬉しそうに呼びながら手を振る。ダイゴロウもリンタロウも手を上げ返し、港にかけられたブリッジを渡って降りてきた。
「兄上! 手紙を読んで驚いたぞ! まさか兄上がこちらに来る日が来ようとは想像もできなんだ!」
「親父がお前も見とけってうるさくてな。自分が行きたいだけのくせに」
来るつもりはなかったと言いながらも手紙から読み取れるのは喜の感情だった。
「社会見学だ! お前もいずれ俺の後を継いで世界を股にかけるんだからな! 外の世界を知らずに商売が出来るわけないだろうが!」
「父上!」
相変わらずの大声に負けず劣らずの大声と共に父親に駆け寄って飛びつく。大きな胸、太い腕に抱きしめられるのはやはり嬉しいし安心する。
そう簡単に行ける距離ではないため気軽に「和の国に行きたい」と言えるはずもなく、次に行くとなるとハロルドが暇なときになるが、貴族の息子にそんなときが来るとは思えなかった。
クリフォードが何をしているのかは知らないが、ウォルターの仕事を一部引き継ぐのだとすれば間違いなく忙しくなる。ルーシィも『あの人あんまり家にいないから』と言っているため忙しいのだろうと推測する。
父親の葬式か、その前にもう一度かと思っていたユズリハにとってこうしてすぐに会えたことは喜び以外の何者でもない。兄が来るという予想外の手紙を今日まで何度読み返したことか。
「店はよいのか?」
「臨時休業だ。どっかの口やかましい娘が休め休めとうるせぇからな」
「上出来じゃ」
自分たちの都合で臨時休業にするのだからきっと従業員の給料は払われているのだろう。だからこそ後ろめたい気持ちもなく息子を引き連れて遠い異国の地にやってきた。
「あれから姉上には会ったか?」
「ああ、そうだ。お前に手紙を預かってきた」
「姉上から!?」
「会いたかったって言ってたぞ」
「わらわもじゃ! わらわも姉上に会いたかった!」
受け取った手紙を今すぐ開けて読みたいが、突風が吹きやすい港でもしも飛んでいって海に落ちたらと考えると大事に懐に挟んで家で読むことにした。
姉が手紙を書いてくれたことが嬉しい。姉も一緒に来てほしかった。そんなことできるはずがないとわかっていながらも来てほしいと願わずにはいられない。
でも手紙のやり取りさえなかった中での手紙はどんなプレゼントよりも嬉しい物だと、まるで手紙が熱を持っているように胸がじんわりと熱くなる。
「お久しぶりです、リンタロウさん」
「ユズリハが迷惑かけてないか?」
「そこそこに」
「これ、嘘をつくでない」
握手を交わす二人の会話に指をさして注意するユズリハを二人で笑う。
来て早々に人を笑い者にする兄に相変わらずだと呆れながらもルーシィを紹介しようと咳払いをした。
「兄上、彼女がルーシィじゃ」
「ああ、手紙に書いてた人か。お前に良くしてくれる優しい人」
「初めまして。ルーシィ・ヘインズと申しま……」
頭を下げて挨拶したルーシィが頭を上げた瞬間、二人の世界だけ時間が止まったように固まって見つめ合う。
「な、なんじゃ?」
知り合いなわけがない。ルーシィは和の国に行ったことがないし、リンタロウも国外へ出たことがない。だから二人は「なぜここに!?」という展開はありえないのにユズリハの目にはそう見える固まり方をしている。
「ま、待て。この音はどこから聞こえてくるのじゃ?」
「鐘の音? 教会は遠いぞ……」
リーン ゴーンとどこからともなく聞こえてくる音に辺りを見回すも鐘などない。ハロルドも一応見回してみるが見つけられない。
この周辺に教会はないはず。それなのにどこから鐘の音が聞こえるのか不思議だった。
「あわわわわわ! 待て待て待て待て! 何をしようとしておる! ならぬぞ! ルーシィは既婚者じゃ!」
リンタロウは手が早いほうでもなければ女タラシでもない。口は軽いが根は真面目。そんな兄がルーシィとキスをしようとした。まるで惹かれ合うようにルーシィもそれに応えようとしたのだ。
大勢が見ている前でキスなど絶対に許されない。ここにはリンタロウの父親であるダイゴロウもルーシィの義祖父であるウォルターもいるのだ。いるかいないかはわからないが、ルーシィを知る者もこの港にいるかもしれない。それなのに公衆の面前で堂々とキスをしようとする二人にユズリハが一番焦っていた。
「わ、悪い!」
無意識だったのか、リンタロウも慌てた様子でルーシィから離れた。
「っぶね……」
キスするところだったと手の甲で唇を押さえるリンタロウに呆れるもルーシィは構わずリンタロウに抱きついて自ら唇を重ねた。
「ルーシィ!?」
何をしているんだと目と口を同時にかっぴらいたユズリハのことなどお構いなしに唇を押し付けるルーシィにリンタロウも腕を伸ばして腰を抱き、キスを返した。
港への迎えにはなぜかルーシィが同行していた。
和の国からの船を今か今かと待っている。
ルーシィが家に来たとき、手紙を見せたのが原因だ。
絶対に出迎えに行くと言い続けたルーシィは本当に港まで出迎えにやってきた。それも行くなと言う夫と無視して。
「和の国の男性ってガッシリしてるのよね?」
「兄上はそうでもない」
「そうなの? 残念ね」
「期待せぬが吉じゃぞ」
「でも楽しみだわ。あなたの家族に会えるんだもの」
ルーシィはハロルドの両親よりもずっと愛が強く、ユズリハを家族だと思っている。だからユズリハの家族に会えることをとても喜んでいた。
ユズリハもそれを喜んでいるし、ルーシィを本当の姉のように思っている。ハロルドもそうだ。ルーシィは想像とは違った性格だったが、想像よりずっと良い人だった。
しかし、今はそれを微笑ましく思えない状況にある。
「兄さんはいいのか? ここに来る前、結構怒ってたみたいだけど」
ここに来る前、屋敷に怒声が響いていた。
『なんでお前が迎えに行くんだ!!』
そう怒鳴る兄の声。ただでさえ和人を嘲る兄に和人を迎えに行くなどと言えば反対をくらうのは当然だ。それでもルーシィはその怒声を無視してやってきた。
きっと帰ったら兄はまたルーシィを怒鳴りつけるか無視をするだろう。
家で待っていれば会えたのにと思うハロルドの心配にルーシィが笑う。
「そうなの? 気付かなかった」
気付かなかったわけがない。怒鳴られていたのはルーシィだ。
「大丈夫?」
「大丈夫よ。ワインに睡眠薬混ぜて眠らせてる間に海に運んで沈めたりしないから」
随分と具体的に話すルーシィが最近恐ろしくて仕方ない。
「そうじゃなくて……」
「お風呂のほうが近いしね」
上機嫌に笑うルーシィの本心が読めないことが一番恐ろしい。
クリフォード・ヘインズが老衰以外で亡くなるとしたら死因は溺死だろうと確信した。
「ルーシィはガッシリした男が好きなのか?」
「誰だってそうじゃない? 痩せ細った男より腕一本で支えてくれる男性のほうが素敵じゃない。軽々とお姫様抱っこされたいと思うでしょ?」
ハロルドはどちらかと言えば痩せ細ったほう。良い風に言えばスタイルが良い。悪く言えばひょろっこい。背もそこまで高いわけではない。
そういう点ではクリフォードはモテる要素をあらかた持っていた。
「兄さんは結婚式で抱き上げてたね」
「そうね。ユズリハもしてもらうといいわ。とっても素敵な光景だから」
「いや、わらわは──」
「そうする」
断ろうとしたユズリハの言葉を遮って約束した。
なぜ困った顔をするんだと問うまでもない。自分たちは結婚式はしないことで合意した。正確にはユズリハの主張を尊重してのことだが、ハロルドの意見は変わりつつある。だから
困った顔をするユズリハと視線を合わせなかった。
ルーシィの前でそんなことを話すとややこしいことにしかならないとわかっているから。
「まだかしら?」
「もうすぐ着く頃じゃがのう」
ハロルドの腕を持って時計を確認するも船はまだ到着しない。
「そう焦らずともいずれ到着する」
ウォルターは港に置いてある木箱に腰掛けながら何度も懐中時計を確認している。そわそわしているのはルーシィと同じ。
それから三十分ほど経った頃、ルーシィが大きな声を上げた。
「あれじゃない!?」
まだ遠いが、遠くからでもわかる船の大きさ。あの大きさは間違いなくダイゴロウの船だとウォルターが立ち上がる。
「ユズリハ、来たぞ」
「着いたか?」
「見えただけだ」
「時間かかるのう」
待ち飽きたユズリハは一時間前に馬車に戻って仮眠を取っていた。揺さぶり起こすも到着まで時間がかかるのは二度の渡航でわかっているため慌てて馬車を飛び出すことはしない。
やれやれと馬車から降りると顎が外れそうなほど大口を開けて欠伸をする。浮かんだ涙を袖で拭って海を見た。
「まだあそこか。三十分はかかるぞ」
「そうだな」
「よくもまあ犬のように待てるな」
「初めて会えるってのは嬉しいもんだろ」
「あっちは?」
ウォルターを指差す意地悪さに横目で睨みつけて肩を竦める。
「親友が会いに来てくれたってのは嬉しいもんだろ」
「親友がおらぬのによくわかるのう」
「お前にだけは言われたくない」
「カカッ! 確かにそうじゃ」
まだかまだかと二人並んで到着を待ち侘びるルーシィとウォルターの後ろ姿は飼い主を待ち侘びる犬のようで二人はそれを写真に残したくなった。
ゆっくりと時間をかけて近付いてくる巨大な船。遠くで見ても巨大だった船は思っていた以上に巨大で、ルーシィのテンションが上がる。
「父上ー! 兄上ー!」
二人の姿が見えるとユズリハが嬉しそうに呼びながら手を振る。ダイゴロウもリンタロウも手を上げ返し、港にかけられたブリッジを渡って降りてきた。
「兄上! 手紙を読んで驚いたぞ! まさか兄上がこちらに来る日が来ようとは想像もできなんだ!」
「親父がお前も見とけってうるさくてな。自分が行きたいだけのくせに」
来るつもりはなかったと言いながらも手紙から読み取れるのは喜の感情だった。
「社会見学だ! お前もいずれ俺の後を継いで世界を股にかけるんだからな! 外の世界を知らずに商売が出来るわけないだろうが!」
「父上!」
相変わらずの大声に負けず劣らずの大声と共に父親に駆け寄って飛びつく。大きな胸、太い腕に抱きしめられるのはやはり嬉しいし安心する。
そう簡単に行ける距離ではないため気軽に「和の国に行きたい」と言えるはずもなく、次に行くとなるとハロルドが暇なときになるが、貴族の息子にそんなときが来るとは思えなかった。
クリフォードが何をしているのかは知らないが、ウォルターの仕事を一部引き継ぐのだとすれば間違いなく忙しくなる。ルーシィも『あの人あんまり家にいないから』と言っているため忙しいのだろうと推測する。
父親の葬式か、その前にもう一度かと思っていたユズリハにとってこうしてすぐに会えたことは喜び以外の何者でもない。兄が来るという予想外の手紙を今日まで何度読み返したことか。
「店はよいのか?」
「臨時休業だ。どっかの口やかましい娘が休め休めとうるせぇからな」
「上出来じゃ」
自分たちの都合で臨時休業にするのだからきっと従業員の給料は払われているのだろう。だからこそ後ろめたい気持ちもなく息子を引き連れて遠い異国の地にやってきた。
「あれから姉上には会ったか?」
「ああ、そうだ。お前に手紙を預かってきた」
「姉上から!?」
「会いたかったって言ってたぞ」
「わらわもじゃ! わらわも姉上に会いたかった!」
受け取った手紙を今すぐ開けて読みたいが、突風が吹きやすい港でもしも飛んでいって海に落ちたらと考えると大事に懐に挟んで家で読むことにした。
姉が手紙を書いてくれたことが嬉しい。姉も一緒に来てほしかった。そんなことできるはずがないとわかっていながらも来てほしいと願わずにはいられない。
でも手紙のやり取りさえなかった中での手紙はどんなプレゼントよりも嬉しい物だと、まるで手紙が熱を持っているように胸がじんわりと熱くなる。
「お久しぶりです、リンタロウさん」
「ユズリハが迷惑かけてないか?」
「そこそこに」
「これ、嘘をつくでない」
握手を交わす二人の会話に指をさして注意するユズリハを二人で笑う。
来て早々に人を笑い者にする兄に相変わらずだと呆れながらもルーシィを紹介しようと咳払いをした。
「兄上、彼女がルーシィじゃ」
「ああ、手紙に書いてた人か。お前に良くしてくれる優しい人」
「初めまして。ルーシィ・ヘインズと申しま……」
頭を下げて挨拶したルーシィが頭を上げた瞬間、二人の世界だけ時間が止まったように固まって見つめ合う。
「な、なんじゃ?」
知り合いなわけがない。ルーシィは和の国に行ったことがないし、リンタロウも国外へ出たことがない。だから二人は「なぜここに!?」という展開はありえないのにユズリハの目にはそう見える固まり方をしている。
「ま、待て。この音はどこから聞こえてくるのじゃ?」
「鐘の音? 教会は遠いぞ……」
リーン ゴーンとどこからともなく聞こえてくる音に辺りを見回すも鐘などない。ハロルドも一応見回してみるが見つけられない。
この周辺に教会はないはず。それなのにどこから鐘の音が聞こえるのか不思議だった。
「あわわわわわ! 待て待て待て待て! 何をしようとしておる! ならぬぞ! ルーシィは既婚者じゃ!」
リンタロウは手が早いほうでもなければ女タラシでもない。口は軽いが根は真面目。そんな兄がルーシィとキスをしようとした。まるで惹かれ合うようにルーシィもそれに応えようとしたのだ。
大勢が見ている前でキスなど絶対に許されない。ここにはリンタロウの父親であるダイゴロウもルーシィの義祖父であるウォルターもいるのだ。いるかいないかはわからないが、ルーシィを知る者もこの港にいるかもしれない。それなのに公衆の面前で堂々とキスをしようとする二人にユズリハが一番焦っていた。
「わ、悪い!」
無意識だったのか、リンタロウも慌てた様子でルーシィから離れた。
「っぶね……」
キスするところだったと手の甲で唇を押さえるリンタロウに呆れるもルーシィは構わずリンタロウに抱きついて自ら唇を重ねた。
「ルーシィ!?」
何をしているんだと目と口を同時にかっぴらいたユズリハのことなどお構いなしに唇を押し付けるルーシィにリンタロウも腕を伸ばして腰を抱き、キスを返した。
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