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素晴らしい朝
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アーサーはいつも執事に起こされて目を覚ます。
夜遅くまで公務にかかり、屋敷に戻ってからも書類に目を通しているせいでベッドに潜るのはいつも明け方近くが多かった。だから朝が苦手で、一人で起きられず、ベッドの中でもぞついている主人に対して「四十二歳にもなって一人で起きられない男のもとに嫁に行こうなどと誰も思いませんぞ」と口うるさく言い続ける。
夜遅くまで仕事をしているのだから仕方ないと言い訳するが、アーサーは昔から朝が苦手で一人では起きられない子供だった。大人になってもそれは変わらず、元々アーチボルト家に仕えていた執事はアーサーが家を出る際に心配だからと一緒についてきた。
やれやれと毎朝かぶりを振って呆れ顔を見せるのだが、今日は違った。
「……イイ匂いだ」
執事の声はなく、食欲をそそる匂いに腹の虫が目覚まし代わりに反応し、ゆっくり目を覚ました。いつもなら執事に揺さぶられようと毛布を剥がれようと幼虫のようにもぞもぞと動いて起きるのを渋るのだが、今日の身体は不思議なほど軽く、まぶたも重くない。
「そういえば……泊まったんだったな」
視界に映るのは見慣れた自分の殺風景な寝室ではなく、手縫いのカバーがつけられた飾り枕や風景画が飾られてある暖かみある部屋。
ベッドから下りて改めて部屋を見回すと、一人掛けのゆったりと座れる大きめのソファーが二つ並び、ソファーの間に小さめの円状のガラステーブルが置いてある。すぐ傍にはバルコニーに続く両開きのガラス戸があり、そこを開ければカサンドラが手入れしているのであろう色とりどりの花が咲き誇る花壇と三人掛けのソファーが見えた。
男爵であろうと貴族は貴族。しかし、アーネット邸には使用人が一人もいない。美しい花壇を造り上げる庭師も、客にワインや紅茶を用意するためのメイドも、食事を用意するシェフもいなかった。昨夜は全てカサンドラがもてなしてくれた。
「貴族らしくない生活だ」
屋敷こそ男爵家らしい構えだが、暮らしぶりはそうじゃない。贅沢は望まず、三人で必要最低限の暮らしをしているのがわかる。
「呼びに来てくれるまで待っているのがマナーかもしれないが、我慢できない」
胃を少し刺激するだけだった匂いは次第に大きく刺激するものへと変わり、何を作っているのか確認せずにいられないとアーサーはドアノブを握って廊下に出ようとして固まった。
まだ朝なのだからガウンのまま出るのは何もおかしなことではない。だがそれは自宅だから許されることなのであって、他人の家でガウンのまま出るのは失礼にあたるだろうか?と考えると部屋から出るのを躊躇ってしまう。
求婚した男が彼女の実家で礼儀を欠くわけにはいかない。孫を預けて大丈夫だろうかと不安にさせるなどあってはならないことだ。
だが、昨日話をしてなんとなく理解したベンジャミンの性格を考えると、ガウンのまま出ていくのが正解な気もしていて、アーサーは迷っていた。
「ええい、ままよ!」
呪文を唱えるように口にしながら廊下へ出ると、イイ匂いは屋敷中に広がっていた。それを胸いっぱいに鼻から吸い込んで口から吐きだす。
廊下には窓拭きをしている使用人の姿もなく、階段か覗き込んだ一階にもやはり使用人の姿はない。三人が談笑している声と食器を用意している音が聞こえてくる。
「おおっ、アーサー様! お目覚めですか」
「のんきに遅くまで寝てしまってすまない。何か手伝うことはあるだろうか?」
階段を下りる音に気付いたベンジャミンがアーサーの姿を見て笑顔で声をかける。この笑顔だけで朝が素晴らしいものになった気分になる。
「何をおっしゃいます。賓客に手伝いをさせるなど罰が当たります。そんなことよりマリー、アーサー様がお目覚めだよ。ご挨拶なさい」
「カサンドラを手伝っているのならわざわざ呼ばずともだいじょ──」
すぐに顔を合わすのだから呼ばなくていいと言おうとするアーサーの耳にパタパタと小さな足音が聞こえてくる。それだけなのに一瞬で緊張が走るのは、昨日のキス未遂事件のせい。
「おはようございます、アーサー様。昨日は送っていただいたのになんのおもてなしもしないまま眠ってしまって、申し訳ございませんでした」
「おはよう、マリー。昨日は辛い日だったんだ。私が送らせてくれと頼んだのだから、もてなすことなど考えなくていい。君がすべきことは休むことだったんだよ」
白いフリルのエプロン姿で現れ、塗れた手をエプロンで拭いてから頭を下げて謝るマリーの真面目さにアーサーは微笑んだあと、かぶりを振る。
「昨夜は情けないところをたくさんお見せしてお恥ずかしい限りです」
「情けないところなどなかったよ。君の優しい心に感動したぐらいだ」
アーサーはマリーが泣き疲れて眠ってくれたことに少し安堵していた。
「もし、マリーさえ良ければ、朝食を終えたら買い物に出かけないかい?」
「え、あ、えっと……ア、アーサー様と、二人で、ですか?」
きっとマリーは祖父母の前で空元気を見せるだろう。そして、それを見抜いている祖父母はきっと更に心配してしまう。そうなれば互いにいらぬ気を遣い続けて疲れてしまうような気がして、少しでも自分が力になれるのであればと思って誘ったのだが、マリーが緊張からか赤い顔をされるとアーサーは妙に恥ずかしくなってしまった。
馬車の中でキスはしていない。あくまでも未遂。マリーの声で意識を戻したときに見たマリーの顔と唇が今も鮮明に残っていて、それを意識しすぎることで赤くなってしまう。マリーも同じだ。馬車の中で二人きりになることで今よりも強く思い出してしまうだろうことが恥ずかしい。
アーサー・アーチボルト、四十二歳独身。彼は色々とこじらせている。
自分の立場を考えれば断れないのはわかっている。対等にはなれない身分。アーサー・アーチボルトに誘いを受けて断る人間などいない。それはアーサーもわかっている。だから、答えを聞く前に一つお願いをした。
「も、もちろんマリーが気分じゃないなら無理にとは言わない。私に気を遣っての返事はやめておくれ」
自分の気遣いを押し付けにして独りよがりにはしたくない。もし、マリーが部屋で一人で過ごしたいのならそれでいい。
「ア、アーサー様とお出かけして、許されるのでしょうか……」
どちらの意味だろうかとアーサーは少し考える。
それは『婚約破棄を受けたのは昨夜。一日も立たずに他の男と出歩いていいのだろうか』ということなのか、それとも『男爵令嬢である自分がアーサー・アーチボルトと出かけるなど身分違いではないだろうか?』ということなのか。
どっちにしろ許される許されないの話ではない。結婚どころか婚約者さえいなくなったマリーがどこで誰と出歩こうと自由。マリーを縛るものは何もないのだから。
「マリーはどうしたい? マリーの気持ちを聞かせて?」
大事なのはマリーの気持ちだ。アーサーはマリーの気持ちに従うと決めている。
膝に手をついて目線を合わせたアーサーと視線を合わせてから後ろを振り返ってベンジャミンとカサンドラを見る。二人は頷きも首振りもしなかった。自分たちが頷けば『行っておいで』と言っていることになり、マリーがそれに従うのはわかっているから二人はマリーが振り返ると同時にそそくさとキッチンへと逃げるように入っていった。
助け船がなくなった今、マリーが見るのはアーサーの瞳だけ。吸い込まれそうなほど美しい紫の瞳を見てから右に視線を移し、もう一度その紫を見ては今度は左に視線を移動させる。
嘘はきっと見抜かれる。だからマリーは自分の心に従うことにした。
夜遅くまで公務にかかり、屋敷に戻ってからも書類に目を通しているせいでベッドに潜るのはいつも明け方近くが多かった。だから朝が苦手で、一人で起きられず、ベッドの中でもぞついている主人に対して「四十二歳にもなって一人で起きられない男のもとに嫁に行こうなどと誰も思いませんぞ」と口うるさく言い続ける。
夜遅くまで仕事をしているのだから仕方ないと言い訳するが、アーサーは昔から朝が苦手で一人では起きられない子供だった。大人になってもそれは変わらず、元々アーチボルト家に仕えていた執事はアーサーが家を出る際に心配だからと一緒についてきた。
やれやれと毎朝かぶりを振って呆れ顔を見せるのだが、今日は違った。
「……イイ匂いだ」
執事の声はなく、食欲をそそる匂いに腹の虫が目覚まし代わりに反応し、ゆっくり目を覚ました。いつもなら執事に揺さぶられようと毛布を剥がれようと幼虫のようにもぞもぞと動いて起きるのを渋るのだが、今日の身体は不思議なほど軽く、まぶたも重くない。
「そういえば……泊まったんだったな」
視界に映るのは見慣れた自分の殺風景な寝室ではなく、手縫いのカバーがつけられた飾り枕や風景画が飾られてある暖かみある部屋。
ベッドから下りて改めて部屋を見回すと、一人掛けのゆったりと座れる大きめのソファーが二つ並び、ソファーの間に小さめの円状のガラステーブルが置いてある。すぐ傍にはバルコニーに続く両開きのガラス戸があり、そこを開ければカサンドラが手入れしているのであろう色とりどりの花が咲き誇る花壇と三人掛けのソファーが見えた。
男爵であろうと貴族は貴族。しかし、アーネット邸には使用人が一人もいない。美しい花壇を造り上げる庭師も、客にワインや紅茶を用意するためのメイドも、食事を用意するシェフもいなかった。昨夜は全てカサンドラがもてなしてくれた。
「貴族らしくない生活だ」
屋敷こそ男爵家らしい構えだが、暮らしぶりはそうじゃない。贅沢は望まず、三人で必要最低限の暮らしをしているのがわかる。
「呼びに来てくれるまで待っているのがマナーかもしれないが、我慢できない」
胃を少し刺激するだけだった匂いは次第に大きく刺激するものへと変わり、何を作っているのか確認せずにいられないとアーサーはドアノブを握って廊下に出ようとして固まった。
まだ朝なのだからガウンのまま出るのは何もおかしなことではない。だがそれは自宅だから許されることなのであって、他人の家でガウンのまま出るのは失礼にあたるだろうか?と考えると部屋から出るのを躊躇ってしまう。
求婚した男が彼女の実家で礼儀を欠くわけにはいかない。孫を預けて大丈夫だろうかと不安にさせるなどあってはならないことだ。
だが、昨日話をしてなんとなく理解したベンジャミンの性格を考えると、ガウンのまま出ていくのが正解な気もしていて、アーサーは迷っていた。
「ええい、ままよ!」
呪文を唱えるように口にしながら廊下へ出ると、イイ匂いは屋敷中に広がっていた。それを胸いっぱいに鼻から吸い込んで口から吐きだす。
廊下には窓拭きをしている使用人の姿もなく、階段か覗き込んだ一階にもやはり使用人の姿はない。三人が談笑している声と食器を用意している音が聞こえてくる。
「おおっ、アーサー様! お目覚めですか」
「のんきに遅くまで寝てしまってすまない。何か手伝うことはあるだろうか?」
階段を下りる音に気付いたベンジャミンがアーサーの姿を見て笑顔で声をかける。この笑顔だけで朝が素晴らしいものになった気分になる。
「何をおっしゃいます。賓客に手伝いをさせるなど罰が当たります。そんなことよりマリー、アーサー様がお目覚めだよ。ご挨拶なさい」
「カサンドラを手伝っているのならわざわざ呼ばずともだいじょ──」
すぐに顔を合わすのだから呼ばなくていいと言おうとするアーサーの耳にパタパタと小さな足音が聞こえてくる。それだけなのに一瞬で緊張が走るのは、昨日のキス未遂事件のせい。
「おはようございます、アーサー様。昨日は送っていただいたのになんのおもてなしもしないまま眠ってしまって、申し訳ございませんでした」
「おはよう、マリー。昨日は辛い日だったんだ。私が送らせてくれと頼んだのだから、もてなすことなど考えなくていい。君がすべきことは休むことだったんだよ」
白いフリルのエプロン姿で現れ、塗れた手をエプロンで拭いてから頭を下げて謝るマリーの真面目さにアーサーは微笑んだあと、かぶりを振る。
「昨夜は情けないところをたくさんお見せしてお恥ずかしい限りです」
「情けないところなどなかったよ。君の優しい心に感動したぐらいだ」
アーサーはマリーが泣き疲れて眠ってくれたことに少し安堵していた。
「もし、マリーさえ良ければ、朝食を終えたら買い物に出かけないかい?」
「え、あ、えっと……ア、アーサー様と、二人で、ですか?」
きっとマリーは祖父母の前で空元気を見せるだろう。そして、それを見抜いている祖父母はきっと更に心配してしまう。そうなれば互いにいらぬ気を遣い続けて疲れてしまうような気がして、少しでも自分が力になれるのであればと思って誘ったのだが、マリーが緊張からか赤い顔をされるとアーサーは妙に恥ずかしくなってしまった。
馬車の中でキスはしていない。あくまでも未遂。マリーの声で意識を戻したときに見たマリーの顔と唇が今も鮮明に残っていて、それを意識しすぎることで赤くなってしまう。マリーも同じだ。馬車の中で二人きりになることで今よりも強く思い出してしまうだろうことが恥ずかしい。
アーサー・アーチボルト、四十二歳独身。彼は色々とこじらせている。
自分の立場を考えれば断れないのはわかっている。対等にはなれない身分。アーサー・アーチボルトに誘いを受けて断る人間などいない。それはアーサーもわかっている。だから、答えを聞く前に一つお願いをした。
「も、もちろんマリーが気分じゃないなら無理にとは言わない。私に気を遣っての返事はやめておくれ」
自分の気遣いを押し付けにして独りよがりにはしたくない。もし、マリーが部屋で一人で過ごしたいのならそれでいい。
「ア、アーサー様とお出かけして、許されるのでしょうか……」
どちらの意味だろうかとアーサーは少し考える。
それは『婚約破棄を受けたのは昨夜。一日も立たずに他の男と出歩いていいのだろうか』ということなのか、それとも『男爵令嬢である自分がアーサー・アーチボルトと出かけるなど身分違いではないだろうか?』ということなのか。
どっちにしろ許される許されないの話ではない。結婚どころか婚約者さえいなくなったマリーがどこで誰と出歩こうと自由。マリーを縛るものは何もないのだから。
「マリーはどうしたい? マリーの気持ちを聞かせて?」
大事なのはマリーの気持ちだ。アーサーはマリーの気持ちに従うと決めている。
膝に手をついて目線を合わせたアーサーと視線を合わせてから後ろを振り返ってベンジャミンとカサンドラを見る。二人は頷きも首振りもしなかった。自分たちが頷けば『行っておいで』と言っていることになり、マリーがそれに従うのはわかっているから二人はマリーが振り返ると同時にそそくさとキッチンへと逃げるように入っていった。
助け船がなくなった今、マリーが見るのはアーサーの瞳だけ。吸い込まれそうなほど美しい紫の瞳を見てから右に視線を移し、もう一度その紫を見ては今度は左に視線を移動させる。
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