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第六話
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玲奈と僕は、祖父の遺した地図と切符を手に、指定された場所へ向かうことになった。地図には山間の静かな村が示されており、切符の行き先はその近くの小さな駅だった。
「ねえ、この場所、本当にあるのかな?」
玲奈は切符を眺めながら興奮を隠せない様子だった。一方の僕は、不安と期待の入り混じった複雑な気持ちでいた。
「たぶんね。でも、何が待っているか分からないから、あまり期待しすぎないようにしよう。」
「期待しないなんて無理よ!」玲奈は笑いながら言った。「これだけのミステリーが解けそうなんだから!」
電車を乗り継ぎ、山奥の駅に到着した僕たちは、地図を頼りにさらに歩いて進んだ。地図に記されていたのは、静かな湖のほとりにある古びた建物だった。その建物は、かつて診療所として使われていたようだったが、今ではすっかり廃墟になっていた。
「ここが目的地?」
玲奈は周囲を見回しながら慎重に建物の中へ入っていった。僕もその後を追いかけ、内部を調べ始める。
廃墟の奥に進むと、僕たちは一つの部屋にたどり着いた。その部屋の壁には古い棚があり、その中には手書きの帳簿や古い薬瓶が並んでいた。そして、その中央には、大きな机と一冊のノートが置かれていた。
玲奈が机の上のノートを開くと、中には祖父の手書きの文字がびっしりと記されていた。
「…これは?」
僕たちはそのノートを読み始めた。それは、祖父がかつて診療所の医師としてここで働いていた頃の記録だった。祖父は戦後、多くの患者を診る傍ら、国外から逃れてきた難民や孤児たちを密かに保護していたのだ。
「おじいちゃん…こんなことをしてたんだ。」
さらに読み進めると、祖父が保護した人々を安全な場所へ送り出すために、密かに資金を集めたり、地元の人々と協力したりしていたことが分かった。そして、祖父がその活動を隠すために、すべての記録をこの診療所に残し、鍵を後世に託したという内容が記されていた。
「だから、あの鍵と手紙があったんだ。」
玲奈は目を輝かせながら言った。「これ、おじいちゃんが私たちに伝えたかったんだよ!」
ノートの最後のページには、祖父の直筆でこう書かれていた。
「もしこのノートを見つけたのが家族なら、これを世に出すべきかどうかをあなたたちに委ねます。私の活動が平和を守る一助となったことを願っています。」
玲奈はその言葉を読み上げると、僕の顔をじっと見つめた。
「どうする? おじいちゃんのことを公表する?」
「それは…簡単な話じゃないよね。」
祖父の活動は確かに尊いものだったが、それを公表することで過去の関係者に影響を与える可能性もあった。僕は悩みながらも、玲奈にこう言った。
「ひとまず、僕たちの中だけでこの事実を受け止めよう。公表するかどうかは、その後で考えればいい。」
玲奈は少し残念そうな顔をしたが、やがて微笑んでうなずいた。
診療所を後にした僕たちは、湖のほとりで少し休憩を取った。玲奈は静かに湖を眺めながら、「おじいちゃん、すごい人だったんだね」と言った。
「うん。でも、きっとこうやって僕たちが真実を知ることが、おじいちゃんにとって一番大切なことだったのかもね。」
玲奈は嬉しそうに笑い、「また新しい冒険が待ってるかも!」と、どこか期待を込めた声で言った。
新たな日常へ
祖父の秘密を知り、僕たちの日常は少しだけ変わった。玲奈は以前にも増して好奇心旺盛になり、僕たちはどんな些細な出来事でも「事件」として楽しむようになった。
祖父のノートと鍵は、僕たちの家の特別な場所に大切に保管されることになった。玲奈は「これが私たちの宝物だね」と誇らしげに言い、僕もそれに同意した。
これで一つの謎は解けたけれど、きっとまだまだ僕たちの生活には「事件」が起きるだろう。玲奈と一緒なら、そのすべてを楽しみながら解決していける気がしていた。
「ねえ、この場所、本当にあるのかな?」
玲奈は切符を眺めながら興奮を隠せない様子だった。一方の僕は、不安と期待の入り混じった複雑な気持ちでいた。
「たぶんね。でも、何が待っているか分からないから、あまり期待しすぎないようにしよう。」
「期待しないなんて無理よ!」玲奈は笑いながら言った。「これだけのミステリーが解けそうなんだから!」
電車を乗り継ぎ、山奥の駅に到着した僕たちは、地図を頼りにさらに歩いて進んだ。地図に記されていたのは、静かな湖のほとりにある古びた建物だった。その建物は、かつて診療所として使われていたようだったが、今ではすっかり廃墟になっていた。
「ここが目的地?」
玲奈は周囲を見回しながら慎重に建物の中へ入っていった。僕もその後を追いかけ、内部を調べ始める。
廃墟の奥に進むと、僕たちは一つの部屋にたどり着いた。その部屋の壁には古い棚があり、その中には手書きの帳簿や古い薬瓶が並んでいた。そして、その中央には、大きな机と一冊のノートが置かれていた。
玲奈が机の上のノートを開くと、中には祖父の手書きの文字がびっしりと記されていた。
「…これは?」
僕たちはそのノートを読み始めた。それは、祖父がかつて診療所の医師としてここで働いていた頃の記録だった。祖父は戦後、多くの患者を診る傍ら、国外から逃れてきた難民や孤児たちを密かに保護していたのだ。
「おじいちゃん…こんなことをしてたんだ。」
さらに読み進めると、祖父が保護した人々を安全な場所へ送り出すために、密かに資金を集めたり、地元の人々と協力したりしていたことが分かった。そして、祖父がその活動を隠すために、すべての記録をこの診療所に残し、鍵を後世に託したという内容が記されていた。
「だから、あの鍵と手紙があったんだ。」
玲奈は目を輝かせながら言った。「これ、おじいちゃんが私たちに伝えたかったんだよ!」
ノートの最後のページには、祖父の直筆でこう書かれていた。
「もしこのノートを見つけたのが家族なら、これを世に出すべきかどうかをあなたたちに委ねます。私の活動が平和を守る一助となったことを願っています。」
玲奈はその言葉を読み上げると、僕の顔をじっと見つめた。
「どうする? おじいちゃんのことを公表する?」
「それは…簡単な話じゃないよね。」
祖父の活動は確かに尊いものだったが、それを公表することで過去の関係者に影響を与える可能性もあった。僕は悩みながらも、玲奈にこう言った。
「ひとまず、僕たちの中だけでこの事実を受け止めよう。公表するかどうかは、その後で考えればいい。」
玲奈は少し残念そうな顔をしたが、やがて微笑んでうなずいた。
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「うん。でも、きっとこうやって僕たちが真実を知ることが、おじいちゃんにとって一番大切なことだったのかもね。」
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これで一つの謎は解けたけれど、きっとまだまだ僕たちの生活には「事件」が起きるだろう。玲奈と一緒なら、そのすべてを楽しみながら解決していける気がしていた。
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