【完結】捨てられた令嬢は、国一の美女で精霊の姫でした。

丸顔ちゃん。

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第10話

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アルベルトの言葉が、
エリシアの胸の奥深くに響いていた。

「君は……僕にとって“必要な人”なんだ」

その一言が、
心の奥にそっと触れてくる。

(……必要……?
 わたしが……?
 誰かに……?)

胸が熱くなり、
呼吸が浅くなる。

精霊たちが、
エリシアの周りをふわりと舞いながら光を揺らす。

――エリシア。

――この人は、本気で言っている。

――あなたを見ている。

――あなたを求めている。

エリシアは、
胸に手を当てた。

(……どうしよう……
 こんなに……苦しいのに……
 こんなに……嬉しい……)

アルベルトは、
エリシアの揺れる瞳をじっと見つめていた。

その視線は、
弱々しいのに、
どこか必死で――
まるで“縋るような”温度を帯びている。

「エリシア……」

名前を呼ばれるだけで、
胸が跳ねる。

アルベルトは、
ゆっくりと手を伸ばした。

今度はためらわずに、
エリシアの頬に触れた。

指先は少し冷たい。
けれど、その触れ方は驚くほど優しい。

エリシアは、
思わず目を閉じた。

(……こんなふうに触れられるの……
 初めて……)

アルベルトは、
震える声で言った。

「エリシア……
 お願いがあるんだ」

エリシアは、
驚いて目を開いた。

「……お願い……?」

アルベルトは、
彼女の手をそっと握り直した。

その手は、
先ほどよりも強く、
けれど優しく包み込むように。

「……僕のそばにいてほしい」

エリシアの心臓が跳ねた。

(……そばに……?
 わたしが……?)

アルベルトは続けた。

「君が触れてくれると……
 魔力が静まるんだ。
 呼吸が楽になる。
 立てるようになる。
 生きていられる気がする」

エリシアは息を呑んだ。

(……そんな……
 わたしが……殿下の……)

精霊たちが、
彼女の周りでくるくると回りながら光を散らす。

――エリシア。

――あなたは、この人を救える。

――あなたの力は、本物。

――あなたは、無能力なんかじゃない。

アルベルトは、
まっすぐに彼女を見つめて言った。

「エリシア。
 君がいてくれれば……
 僕は……生きられる」

その言葉は、
エリシアの心を深く揺さぶった。

胸が熱くなり、
視界がじんわりと滲む。

(……わたし……
 この人の……力になりたい……)

エリシアは、
震える声で答えた。

「……わたしで……よければ……
 殿下のおそばに……います……」

アルベルトは、
安堵したように微笑んだ。

「ありがとう……エリシア……
 本当に……ありがとう……」

精霊たちが、
祝福するように光を降らせた。

その光景は、
まるで“契約の前兆”のようだった。




そして――
二人の距離は、
もう後戻りできないほど近づいた。
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