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第23話
しおりを挟むエリシアの新しい部屋は、
朝の光に包まれていた。
窓から差し込む柔らかな陽光が、
机の上の魔道具や書類を優しく照らしている。
精霊たちが、
ふわりと舞いながら光を散らした。
――エリシア。
――今日から、あなたは“殿下の側近”。
――わたしたちも手伝う。
エリシアは胸に手を当て、
深く息を吸い込んだ。
(……わたし……
本当に……殿下の側近に……)
胸が熱くなる。
「エリシア。
入ってもいいかな?」
アルベルトの声だ。
エリシアは慌てて立ち上がり、
扉を開けた。
「で、殿下……!」
アルベルトは微笑んだ。
「そんなに緊張しなくていいよ。
今日は……君に頼みたいことがあるんだ」
エリシアは胸が高鳴った。
「……わたしに……?」
アルベルトは頷き、
机の上に数枚の書類を置いた。
「魔力循環装置の調整計画だ。
王城の魔道具が不安定になっているだろう?
「魔力循環装置の調整計画だ。
王城の魔道具が不安定になっているだろう?
本来なら僕がやるべきなんだけど……
今はまだ体が万全じゃなくてね」
エリシアは書類を手に取った。
魔力の流れ、
供給量、
調整ポイント――
すべてが、
彼女の頭の中にすっと入ってくる。
(……わかる……
どうしてかわからないけれど……
魔力の流れが“見える”……)
精霊たちが、
彼女の肩にそっと触れた。
――エリシア。
――あなたの力。
――“調律”の魔力。
――魔道具も、魔力も、整えられる。
エリシアは、
自然と微笑んでいた。
「殿下。
わたし……できます。
この調整……わたしに任せてください」
アルベルトの瞳が、
驚きと喜びで揺れた。
「……ありがとう、エリシア。
本当に……君がいてくれてよかった」
エリシアの胸が熱くなる。
(……殿下の役に立てる……
それだけで……こんなに嬉しい……)
エリシアは、
魔力循環装置の魔道具を前に座った。
魔道具は、
不安定な光を放って震えている。
ぱちっ……ぱちっ……!
「……大丈夫。
怖くないよ……」
エリシアがそっと手をかざすと、
精霊たちが一斉に集まってきた。
――エリシア。
――わたしたちが手伝う。
――あなたの魔力を通すよ。
エリシアの手から、
淡い光がふわりと広がった。
その光は、
魔道具の内部へと静かに染み込んでいく。
すると――
ぱぁっ……!
魔道具の光が安定し、
震えが止まった。
エリシアは驚いて目を見開いた。
(……わたし……
本当に……できた……?)
精霊たちが嬉しそうに舞う。
――できたよ。
――あなたの力。
――あなたは、殿下を救う人。
エリシアが部屋に戻ると、
アルベルトが待っていた。
「エリシア。
どうだった?」
エリシアは、
少し照れながら答えた。
「……調整、できました。
魔道具は安定しています」
アルベルトの瞳が大きく開いた。
「本当に……?
あれは熟練の魔術師でも難しいのに……」
エリシアは、
胸に手を当てて言った。
「精霊たちが……
わたしを助けてくれました」
アルベルトは、
ゆっくりとエリシアの手を取った。
「エリシア。
君は……
本当に特別な人だ」
エリシアの胸が震えた。
(……殿下……)
精霊たちが、
祝福するように光を降らせた。
――エリシア。
――あなたは、殿下の光。
――そして殿下は、あなたの光。
二人の距離は、
また一歩近づいた。
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