異世界冒険録~七柱の神と十の種族~

ネコノトリ

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魔人襲来編

闇魔法『シェイプシフト』

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 パペティアが去り、マルク王は糸が切れたように倒れ込み、ラビエ教皇が俺達のことを怒りの表情を浮かべ睨みつけていた。
「おいマルク、早く起きろ」

「……!ジョゼフ!パベティアは!街はどうなった!」

「パベティアはいなくなったが、まだ戦いは終わってねぇ。早く武器を構えろ!」

 ジョゼフさんがマルク王の頭を足で小突き、マルク王が目を覚ますとラビエ教皇は上機嫌な顔で話を始めた。
「おぉ、マルク王ご無事で何よりでございます。このまま目を覚まさなかったらどうしようと思っておりました」

「ラビエ教皇……貴様ここで何をしている!」

「何を、ですか……それはもちろん……お前たちに復讐をしに来たんだよ!お前たちのせいで、私は牢屋に閉じ込められ、汚い部屋で臭い飯を食う様な生活を今の今までしなくてはならなかったんだ!」

「少し灸を据えてやろうと思ってのことだったのだが、どうやら牢屋の中でも反省はできなかったようだな」

「黙れ!貴様らのせいで私は富も権力も失ったのだ!貴様らはここで絶対に殺してやる……」

「気をつけろマルク、タヌキのやつ素手で建物を破壊しやがった……間違っても迂闊には近づくなよ」

「見ればわかる、教皇の体から邪悪な魔力が漏れ出ている。一撃でもマトモに喰らえばタダではすまないだろうな」

 二人が言葉を交えるとラビエ教皇が二人との距離を目にも止まらぬ速度で詰め、攻撃を仕掛けてきた。
「まずは目障りな貴様からだ、ジョゼフ!」

 ラビエ教皇の攻撃はジョゼフさんの顔の横をかすめ、勢いを殺すことなくラビエ教皇は壁に衝突した。
「何やってんだ、あいつ?」

「恐らく力のコントロールがまだできていないのだろう。さしづめ今の教皇は優秀な装備に身を包んでいるだけの一般人だ。教皇が慣れる前に倒すぞ!」

「グランドフィスト!!」

 教皇が壁の中から姿を現しこちらに向き直すと、ジョゼフさんは地面に両手で魔力を送った。送られた魔力は教皇の足元で握りこぶしの形を作り教皇を空中へと打ち上げた。
「お前は昔から器用だな!」

 空中で逃げ場のなくなった教皇にすかさずマルク王は連続で斬撃をあびせた。二人の息のあった連携に俺とクロ、冒険者ギルドのマスターは攻撃を挟む余裕がなかった。
「やったか?」

 普通なら致命傷のはずの攻撃だったのだが、斬られた傷はみるみると塞がっていき教皇は起き上がった。
「よくも……よくもやってくれたな……!!なぜここまでの魔力を持っている私が一方的にやられるのだ!……そうか、わかったぞ。力をコントロールできないのであれば、あの人魚のように姿を変え適した体になればよいではないか!シェイプシフト!」

 教皇が魔法を使うと教皇の体はみるみると大きくなり、鱗や羽としっぽが生え、体のバランスがとれていないリザードマンのような姿へと変わった。
「フハハハハ、膨大な魔力に最強の肉体を手に入れたぞ!この力で再びこの国を我がものにしてやるぞ!」

 高笑いする教皇に怯むことなくマルク王は教皇へと向かっていった。
「な……なぜ近づいてくる!や……やめろ!こっちに来るな!」

 教皇の言葉を無視して進むマルク王の体からは闇の魔力が漏れ出ていた。
「近づくなと言っ……て、な……何故だ!体が動かん!」

 マルク王は、地面を一蹴りでラビエ教皇の前に立ち、鱗におおわれたラビエ教皇の体を殴りつけた。殴られたラビエ教皇はバランスをとることが出来ず建物へと倒れ込んだ。
「ま……待て!マルク王話せばわかる!私はもうこの国から出ていく!だから許してくれ……!」

 許しを乞う教皇の体に飛び乗り、マルク王は教皇の元の体の部分に剣を突き刺し閉じていた口を開いた。
「……話せばわかる?レティシア様の話を聞かず殺そうとした貴様が話せばわかるだと?」

「ち……違うのですマルク王!私はこの国のためを思って……」

「黙れ!貴様の話を聞くつもりはない!」

「待てマルク!」

 ジョゼフさんの静止をマルク王は聞かず、ラビエ教皇の頭に魔力のこもった剣を突き刺した。
「ま……マルク貴様!よくもこの私に剣を突き刺してくれたな!」

「ほぅ、頭を突き刺されても死なないのか。ならば死ぬまで突き刺すとしよう」

 それから数分間ラビエ教皇の悲鳴が聞こえなくなるまでマルク王は剣を教皇の体へと突き刺した。ラビエ教皇がマルク王により息の根を止められた頃には周囲の騒ぎは収まっていた。
「おい……おいマルク!しっかりしろ!」
 
 「……あぁすまない、早く街に住む人らを安心させてやらなくてはな……」

 マルク王はジョゼフさんの呼び掛けに答えその場を動こうとしたが膝から崩れ落ちてしまった。
「それは後にしろ、お前は少し休め……パベティアって野郎がいなくなってから少しお前おかしいぞ」

「そうか?そうかもな……怒りで我を失っていたかもしれん。ジョゼフ、城まで肩を貸してくれないか?気が抜けたのか、足に力がはいらないんだ」

「あぁ、わかった。コナー!クロエ!お前たち二人は冒険者ギルドのマスターの命令に従い街の救護をしてこい!俺もマルクを城に置いたらすぐに向かう」

「了解です!」

 ジョゼフさんと別れ俺とクロは冒険者ギルドのマスターの下住民の救護へと向かった。
「コナー?でっあってるか?どうしたそんな暗い顔して」

「……俺、戦いで何の役にも立てなかったのが悔しくて……」

「なんだそんなことで気にしてたのか……それなら安心しろ、あの戦いは介入しなくて正解だ。パベティアもだが教皇もお前たちが戦って勝てる相手じゃなかったからな。今回はいい勉強になったってことで納得しとけ」

「すみません、ありがとうございます!え~と……」

「クロード・ジャンメールだ。ジョゼフと比べると影が薄いかもしれんが、まぁ頑張って覚えてくれ。」

 俺とクロそしてクロードさんは街の救護活動を行った。
 
 
 
 
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