異世界冒険録~七柱の神と十の種族~

ネコノトリ

文字の大きさ
22 / 42
魔人襲来編

旅の仲間

しおりを挟む


「現在わかっている神の所在は二つで、炎の神アハウ様がここから南西にあるドワーフが住む集落の近くにある火山で眠っています。火山にはアハウ様を守るリザードマンたちが大勢いて近づくのに苦労すると思われます。」
 
「そしてもう一つがここから南東にある、エルフや妖精の住む大森林の奥地、そこには大地の神カウイルが眠っています。リザードマンのように厳重に守られている訳ではありませんが、大森林は奥に進むほど生き物のサイズが大きくなっていくので肉食獣にはお気をつけください。」

「これが現在わかっている神の所在の全てです。私は一度ルミエル様の元に報告に帰ります。ではコナー様、マルク王後のことは頼みますよ。」

 そういうと天使は窓から飛び立ち応接間には俺とマルク様だけが残された。
「コナーくん。明日は君のご両親も城に招いて君のことについて話そうと思っている。客室を貸すから今日はもう休みなさい。」

 俺はお言葉に甘え城の客室で一夜を明かした。次の日の朝、城で普段食べないような豪華な食事を取り。城の執事に父と母が到着したことを伝えられ応接間へと向かった。応接間では父と母、それとマルク王とジョゼフさんが席に座り俺が来るのを待っていた。
「コナーくん、君はご両親の隣に座ってくれ。」

 マルク王の言葉通りに緊張した顔つきの父と母に挟まれるように席に着いた。
「コナーくんが席に着いたところで、先程までの話をもう一度させていただきます。コナーくんには雷の神チャク様の魔力を炎、大地、海、大空の神から回収してもらい。雷の魔力を使い魔物を一掃してもらいます。危険な旅になるのでお父様とお母様にお声がけさせていただきました。」

 父と母は少し考え、母が先に口を開いた。
「コナー……水族館を作るって夢はどうするの?そんなことしなくてもお父さんとお母さんと暮らすんじゃダメ?」

「ダメだよ母さん。水族館を作ったって、見に来てくれた人が笑顔になんなきゃ、作る意味がないんだ。みんなが笑顔になるには、俺が神様から魔力貰い、魔物を一掃して、闇の神の力を削ぐ必要があるんだよ。」

「でも……」

 俺の必死の説明でも母さんは納得しきってはくれないようだ。
「マルク王、雷の魔力をコナーが手に入れても、コナーの体に影響はないのですよね?」

「もちろんです。それは光の神の眷属エクレレ様に確認を取りました。」

「だったら、俺たちから言うことはありません。母さんコナーの覚悟を尊重してやらないか?」

 父さんが旅を許し、母さんを説得すると、母さんは大粒の涙を流し俺を抱きしめた。
「コナー……私だってコナーの邪魔をしたいわけじゃないの、それはわかってちょうだいね。」

「……わかってるよ、母さん。」

 母さんが俺を抱きしめ、ひとしきり泣くと、マルク王に向き直った。
「……それで……国が大変なようですが。コナーの旅の支援はどれくらいしていただけるのでしょうか?」

 母さんが旅を認めてくれたことにマルク王は安心した様子をみせ、父と母に支援の内容について説明をした。
「……お言葉の通り、先のパベティアと名乗る魔人の襲撃でこの国は大きな被害にあい、コナーくんに貸すことができる力はそれほど多くはありません。」

 マルク王が執事に合図をすると、執事が扉を開き四名の男女が応接間の中に入ってきた。
「冒険者ギルドのS級冒険者、海洋調査ギルド、そしてドラン王国の兵士二十名はそれぞれドワーフの集落、エルフの住む大森林、魚人の国に向かってもらっています。コナーくんが着いた時には円滑に話が進むと思われます。」

 そういうとマルク王は立ち上がり、見覚えのある三人と一人の横に並んだ。
「そして、それぞれの組織にコナーくんが旅をすることを伝えたところ、手助けをしたいとこの三人が志願をしてくれた。三人に関しては私より君の方が詳しいだろう。」

 そこに立っていたのはクロエと海に帰ったと思っていたシルヴィ、それと海ゴブリンの時に溺れていた彼だった。
「そしてもう一人、この子の名前はジル・ドラン私の息子だ。容姿は子供だが、私同様体の老化が緩やかになっているだけで、今年三十五になる。」

「父からご紹介に預かりましたジル・ドランと申します。この度は国のため世界のために立ち上がって頂いたことに感銘を受け父に頼みお供をさせていただくことになりました、よろしくお願いします。」

「ジルは剣術や魔法を俺以上に極めている。きっと旅の助けになってくれると思う。」

 ジル王子の説明が終わると父と母が膝をつきマルク王に頭を下げた。
「マルク王!私たち二人の子供の命、貴方様に預けます。どうかコナーのことをよろしくお願いします。」

「できる限りのお力添えはさせていただきます。コナーくん出発のタイミングは君に任せる。それまではご家族と一緒に過ごすといい。」

 俺は出発するまでの三日間、出発の準備をしながら家族との時間過ごした。

 
 
 

 

 
 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~

深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】 異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!

処理中です...