私が好きなのはあなたじゃないですよ?

夜明シスカ

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幸せと脅かすモノ

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トルディア家からのペア申込書を了承のサイン入れて返送した数日後。

無事にペアが整ったと、証明書と共に両家に報せが届いた。

正式にペアとなったことを祝して、両家で話し合い親睦会も兼ねての晩餐会をしようと案が上がり、
会場にはやはり侯爵家がいいと思うと、先にキッシュ家から提案した為にそれならばと、トルディア家でやることになった。

今日はその晩餐会へ着ていくドレスを仕立てるために、代々キッシュ家が贔屓にしているブティックからデザイナー、パタンナー、その他雑用担当が10人揃ってやってきた。

”アスターの手仕事” という街の小さなブティック。

オーナー兼デザイナーのカナリア・アスターは29歳の女性で、肩で切り揃えられた前下がりのボブは夜空のようなネイビーブルー、金縁の眼鏡がトレードマークの個性的な人。
元々は生地や糸を専門的に扱っているお店だったらしいけど、カナリアのお祖母様が趣味で描いていたデザイン画をキッシュ家の先々代が気に入って、仕立て屋もやってみたらどうだ?
と言ったことから始まったらしい。
進言したからにはお店の後ろ盾にもなると誓約書まで渡したらしい。
成功するのが見えていたのだろう。
もちろん、パタンナーの斡旋や従業員もきちんとした契約を結び雇ったり、店の経営を学ばせるためにキッシュ家から財政管理の出来る者を講師として派遣したりも。

なるほど・・
だからこそ、この成功をもたらしてくれた恩を忘れるべからず。
その信念の元、キッシュ家の依頼は最優先。
キッシュ家からの紹介がある人は、割引有りなど、配慮もしてくれている。

繋がりって大事。

今日も今日とて、気合を入れて来てくれた。

「さて、今日はお嬢様のドレスでしたね。
お色の指定やドレスのイメージはありますか?
夜会用でしょうか?」
慣れた様子で次々に聞いてくる。
「えっと、晩餐会用なのでウエストはきつくないものがいいかな。
色は・・どうしよう。
あの、ペアになった相手方とのお祝いをする晩餐会なのだけど、その場合は色はどのようにするのが相応しいのかな?」
クラナはわからないからこそ、プロにお任せしようと思った。
「なるほど、お嬢様。
まずはペアおめでとうございます!
”アスターの手仕事”一同、祝福させていただきますと共に、心を込めてお作りさせていただきます。
それで、お色ですが、ペアでしたらお相手のカラーを一部分にさりげなく入れておくのはどうでしょうか?
全てとなると、まだ重いと感じられる可能性もございますので。
使いたいお色はありますか?」

「なるほどぉ、そしたら今回は彼の髪の毛の色にしようかな。
晴れた日の空みたいなスカイブルーなんだけど。
出来るかしら?」

「まぁ、とても綺麗なお色ですね。もちろん、可能でございます。
それでは、お嬢様の髪色であるミルキーホワイト色を基調にします。
晩餐会とのことですので、スカートはふんわり系はやめて、ストンとなるワンピースにしましょう。
胸下でラズベリー色の細いリボンをつけて後ろで緩く結んで、半袖パフスリーブで袖口とスカート裾にスカイブルーのレースを使いましょう。
襟元は大きすぎないレース襟仕様にします。
胸上のほうで切り返して、生地の質感を変えましょう。
スカート部分は生地の上から透け感のある同色のレース素材を被せ縫いしたらシンプルになりすぎることはありません。
いかがでしょうか?」

思いつくデザインを説明しながらサラサラ~と描いていく。

見せられたデザイン画は、好き!!!の一言。
その返事にカナリアも大満足そうな顔を返してくれた。

その他に、同色の共布を使ったペタンコパンプスと、ミルキーホワイトの縁取りをスカイブルーのレース使いにした大きすぎないリボンを考えてくれた。
もうデザイン画を見ているだけでうっとりしちゃうくらい”好き・・”

リオル様、少しは私のこと見てくれるかなぁ。

キャーキャーしてる私を温かい目で見守ってくれるメイドたちとお母様。

冷静になった時に恥ずかしかったのは言うまでもない(笑)

幸せと嬉しさに包まれたキッシュ家・・

この時誰も思いもしなかった。

ドロドロの欲を纏った贈り物と呼べないようなモノが届いて、屋敷が騒然となるなんて。

誰が思っただろう??
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