22 / 55
トルディアの心意気
しおりを挟む
キッシュ家での騒動の1時間後、トルディア家に手紙が届いた。
早急にという言伝を受け、メンデルが急ぎ侯爵へと手渡した。
執務室で仕事をこなしていた侯爵も、慌てた様子の執事に何事かと問い、急ぎ渡された手紙を確認する。
差出人はキッシュ家当主、ローデル・キッシュ。
晩餐会のことかと思い読み進めると、とんでもない・・
「なんだと・・話は聞いていたが・・うちの嫁になるであろう娘になんということを」
ワナワナとしだしてブツブツと呟く様子を見て、執事も何かを感じとったかのように身構えた。
「メンデル!!急ぎリオルをここへ」
「っ!!すぐに」
主人のあの様子はただ事じゃないと感じつつ、いまはただ坊ちゃまの部屋へと急ぐ。
ドンドンドン!!
「坊ちゃま!メンデルにございます!大至急旦那様が執務室へ来るようにとのことですっ」
「なんだっ?まだ夕食前っ、すぐに向かう」
「はい、そのように願います」
いつものメンデルらしからぬ様子に最初は嫌々顔を出したが、予想以上に取り乱した姿に危機感を抱き、父の元へ急いだ。
なんだ、一体何があったんだ・・
妙な胸騒ぎがしながらも足を動かす。
コンコン
「父上、参りました。」
すぐさま部屋へと入る。
「早かったな。いや、急に呼び出してすまん。
まぁ、話すよりもコレを読んでみてくれ。」
「??なんでしょう?キッシュ家ご当主から?」
カサリと音を立て、手紙の内容に目を通す。
読み終わる頃にはリオルの顔は鬼の形相に変わっていた。
「なんなんですか、コレは・・僕のクラナにこんなことををする奴がいるなんて・・許せない」
ギリィと奥歯を噛み締める音が聴こえる。
「本当にな、それでなこういうことは早いほうが良いからな。
うちの正式な嫁候補にこのようなことをしておいて、ただで済むと思うなよと抗議文と共に制裁を与えようと思う」
「父上、どのような制裁をお考えで??あまり甘いものだと許しませんよ?・・」
息子の顔は青筋が立って口元も引き攣っている。
「まぁ、落ち着け。
私だってクラナ嬢のことは気に入っているし、ミラだって彼女のことは娘のように思っているんだ。
生半可な制裁では俺がミラから三行半を突きつかれかねんからな。
ルティ家は代々、そこまで功績をあげたわけでもなく、最近では落ちぶれた伯爵家だ。
財政関係も危ぶまれているらしいと耳にした。
過去にもルティ家の男性連中の性質に泣き寝入りしてきた女性が多くいるらしくてな、ここらへんで貴族界から消えてもらおうと思う」
「そうですか、ですがうちとキッシュ家だけの抗議では彼等を没落させるには無理があるのでは?」
「いや、うちだけじゃないさ。
代々彼等の家に嫁に行かないといけなくなった女性の実家はさぞ恨み続け、代々語り継いでいるであろう。
奴らには近づくな、気をつけろ、目をつけられたら最期だと。
その家々を回って署名を貰い、これ以上の実害を出さないためにも陛下へ進言しようと思う。
あとは、陛下から影をお借りして結婚式以来姿を見せない現伯爵夫人を探して証言してもらう。」
「なるほど・・
署名の数や当時の様子を聞くのも手ですが、なにより現在の被害者の証言があれば1番強いですからね。
わかりました。
父上、僕にも出来ることがあれば是非協力させてください」
その言葉に侯爵はポンと息子の肩へ優しく手を置いて告げる。
「お前のいまやるべき最優先事項を告げる。
いますぐキッシュ家へ行き、クラナ嬢をこちらへ連れてこい。
そしてトルディア家で彼女を守り、事が片付くまではお前が彼女の傍にいるんだ。
将来を共にしたい相手なら、しっかり守れ。
よいな?」
「・・ありがとうございますっ
いまからクラナを迎えに行ってきます!」
「まてまて、この先の動き方とこちらで預かりたいことを手紙にするから、それも持っていきなさい」
「わかりました!では、僕は一旦部屋で着替えてきます!」
「あぁ、こちらも準備が出来たら出発を知らせるよ」
「お願いしますっ」
パタンと扉を閉めて部屋へと戻っていった。
息子を見送るその目には思いが込められていた。
”守れよ大事な人を”
こうして、一足先にトルディア家では情報が回り、使用人一同も含めてみんながクラナを迎え・守るための準備を始めるのだった。
早急にという言伝を受け、メンデルが急ぎ侯爵へと手渡した。
執務室で仕事をこなしていた侯爵も、慌てた様子の執事に何事かと問い、急ぎ渡された手紙を確認する。
差出人はキッシュ家当主、ローデル・キッシュ。
晩餐会のことかと思い読み進めると、とんでもない・・
「なんだと・・話は聞いていたが・・うちの嫁になるであろう娘になんということを」
ワナワナとしだしてブツブツと呟く様子を見て、執事も何かを感じとったかのように身構えた。
「メンデル!!急ぎリオルをここへ」
「っ!!すぐに」
主人のあの様子はただ事じゃないと感じつつ、いまはただ坊ちゃまの部屋へと急ぐ。
ドンドンドン!!
「坊ちゃま!メンデルにございます!大至急旦那様が執務室へ来るようにとのことですっ」
「なんだっ?まだ夕食前っ、すぐに向かう」
「はい、そのように願います」
いつものメンデルらしからぬ様子に最初は嫌々顔を出したが、予想以上に取り乱した姿に危機感を抱き、父の元へ急いだ。
なんだ、一体何があったんだ・・
妙な胸騒ぎがしながらも足を動かす。
コンコン
「父上、参りました。」
すぐさま部屋へと入る。
「早かったな。いや、急に呼び出してすまん。
まぁ、話すよりもコレを読んでみてくれ。」
「??なんでしょう?キッシュ家ご当主から?」
カサリと音を立て、手紙の内容に目を通す。
読み終わる頃にはリオルの顔は鬼の形相に変わっていた。
「なんなんですか、コレは・・僕のクラナにこんなことををする奴がいるなんて・・許せない」
ギリィと奥歯を噛み締める音が聴こえる。
「本当にな、それでなこういうことは早いほうが良いからな。
うちの正式な嫁候補にこのようなことをしておいて、ただで済むと思うなよと抗議文と共に制裁を与えようと思う」
「父上、どのような制裁をお考えで??あまり甘いものだと許しませんよ?・・」
息子の顔は青筋が立って口元も引き攣っている。
「まぁ、落ち着け。
私だってクラナ嬢のことは気に入っているし、ミラだって彼女のことは娘のように思っているんだ。
生半可な制裁では俺がミラから三行半を突きつかれかねんからな。
ルティ家は代々、そこまで功績をあげたわけでもなく、最近では落ちぶれた伯爵家だ。
財政関係も危ぶまれているらしいと耳にした。
過去にもルティ家の男性連中の性質に泣き寝入りしてきた女性が多くいるらしくてな、ここらへんで貴族界から消えてもらおうと思う」
「そうですか、ですがうちとキッシュ家だけの抗議では彼等を没落させるには無理があるのでは?」
「いや、うちだけじゃないさ。
代々彼等の家に嫁に行かないといけなくなった女性の実家はさぞ恨み続け、代々語り継いでいるであろう。
奴らには近づくな、気をつけろ、目をつけられたら最期だと。
その家々を回って署名を貰い、これ以上の実害を出さないためにも陛下へ進言しようと思う。
あとは、陛下から影をお借りして結婚式以来姿を見せない現伯爵夫人を探して証言してもらう。」
「なるほど・・
署名の数や当時の様子を聞くのも手ですが、なにより現在の被害者の証言があれば1番強いですからね。
わかりました。
父上、僕にも出来ることがあれば是非協力させてください」
その言葉に侯爵はポンと息子の肩へ優しく手を置いて告げる。
「お前のいまやるべき最優先事項を告げる。
いますぐキッシュ家へ行き、クラナ嬢をこちらへ連れてこい。
そしてトルディア家で彼女を守り、事が片付くまではお前が彼女の傍にいるんだ。
将来を共にしたい相手なら、しっかり守れ。
よいな?」
「・・ありがとうございますっ
いまからクラナを迎えに行ってきます!」
「まてまて、この先の動き方とこちらで預かりたいことを手紙にするから、それも持っていきなさい」
「わかりました!では、僕は一旦部屋で着替えてきます!」
「あぁ、こちらも準備が出来たら出発を知らせるよ」
「お願いしますっ」
パタンと扉を閉めて部屋へと戻っていった。
息子を見送るその目には思いが込められていた。
”守れよ大事な人を”
こうして、一足先にトルディア家では情報が回り、使用人一同も含めてみんながクラナを迎え・守るための準備を始めるのだった。
0
あなたにおすすめの小説
王様の恥かきっ娘
青の雀
恋愛
恥かきっ子とは、親が年老いてから子供ができること。
本当は、元気でおめでたいことだけど、照れ隠しで、その年齢まで夫婦の営みがあったことを物語り世間様に向けての恥をいう。
孫と同い年の王女殿下が生まれたことで巻き起こる騒動を書きます
物語は、卒業記念パーティで婚約者から婚約破棄されたところから始まります
これもショートショートで書く予定です。
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
妾の子だからといって、公爵家の令嬢を侮辱してただで済むと思っていたんですか?
木山楽斗
恋愛
公爵家の妾の子であるクラリアは、とある舞踏会にて二人の令嬢に詰められていた。
彼女達は、公爵家の汚点ともいえるクラリアのことを蔑み馬鹿にしていたのである。
公爵家の一員を侮辱するなど、本来であれば許されることではない。
しかし彼女達は、妾の子のことでムキになることはないと高を括っていた。
だが公爵家は彼女達に対して厳正なる抗議をしてきた。
二人が公爵家を侮辱したとして、糾弾したのである。
彼女達は何もわかっていなかったのだ。例え妾の子であろうとも、公爵家の一員であるクラリアを侮辱してただで済む訳がないということを。
※HOTランキング1位、小説、恋愛24hポイントランキング1位(2024/10/04) 皆さまの応援のおかげです。誠にありがとうございます。
お好きになさって下さい、私は一切気にしませんわ
Kouei
恋愛
婚約者のクレマンド様は、いつも私との約束を破ってばかり。
理由は決まって『従妹ライラ様との用事』
誕生日会にすら来なかった彼に、私はついに告げた。
「どうぞ、私以外のご令嬢をエスコートするなり、お出かけするなり、関係を持つなり、お好きになさって下さい。私は一切気にしませんわ」
二人の想いは、重なり合えるのだろうか ……
※他のサイトにも公開しています。
三年の想いは小瓶の中に
月山 歩
恋愛
結婚三周年の記念日だと、邸の者達がお膳立てしてくれた二人だけのお祝いなのに、その中心で一人夫が帰らない現実を受け入れる。もう彼を諦める潮時かもしれない。だったらこれからは自分の人生を大切にしよう。アレシアは離縁も覚悟し、邸を出る。
※こちらの作品は契約上、内容の変更は不可であることを、ご理解ください。
【完結】私を捨てた国のその後を見守ってみた。
satomi
恋愛
侯爵令嬢のレナは公然の場でというか、卒業パーティーで王太子殿下イズライールに婚約破棄をされた挙句、王太子殿下は男爵令嬢のラーラと婚約を宣言。
殿下は陛下や王妃様がいないときを狙ったんでしょうね。
レナの父はアルロジラ王国の宰相です。実家にはレナの兄が4名いますがみんなそろいもそろって優秀。
長男は領地経営、次男は貿易商、3男は情報屋、4男は…オカマバー経営。
レナは殿下に愛想をつかして、アルロジラ王国の行く末を見守ろうと決意するのです。
次男監修により、国交の断絶しているエミューダ帝国にて。
嫌われたと思って離れたのに
ラム猫
恋愛
私は、婚約者のカイルに嫌われたと思った。冷たくそっけなく、近づくたびに避けられる日々。
距離を置くことを選び、留学の準備も進めて心を落ち着かせようとするけれど——。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる