私が好きなのはあなたじゃないですよ?

夜明シスカ

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迎えと決意

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その頃、キッシュ家ではようやく気絶したクラナが目を覚まして、少し落ち着いたところだった。

お父様、お母様、お兄様、使用人のみんな・・
心配と迷惑をかけてしまって申し訳ないと謝った。

誰もクラナを責める者なんて居ないのに。

「「「「「お嬢様がご無事で何よりです!!お気になさらず!」」」」」

みんなの声に励まされた。
本当に、みんなだいすき。

目が覚めた時、お母様が傍に居てくれてホッとした。
震えも収まっていたし、寝たからかな?少し気分も良くなったかも。

「お母様、ついててくれてありがとう。お母様が居てくれたから、私少し気分も良くなったのよ」
そう伝えて、笑顔を見せる。

他から見たら、とてもじゃないがまだ青い顔をしているとは気づかず・・

そうこうして1時間ほどベッドの上でゆっくり過ごしていると。

コンコンコン
とノックがされて、お母様が対応してくれる。
誰かしら??
そうして入ってきたのは、お兄様だった。
「クラナ、体調はどう??もう起きていて大丈夫なのか?」
と、いつもどおり優しく聞いてくれる。
お兄様は私には甘すぎると思う(笑)
「だいじょうぶよ?少し気分も良くなったの。どうかしたの?」
お兄様は少し顔をしかめて、でもしっかりと目を合わせる。
「言いにくいのだけど、アレの送り主はマトワ・ルティだったよ。
気づいていたかい?」
「・・なんとなく、あの濃い紫色はマトワの瞳の色にそっくりだったから・・だから怖いの。」
「そうか・・
クラナが部屋に戻されたあとに、僕達も呼ばれてね、アレを見たよ。
とてもじゃないけど、こちらだけでどうにか出来そうにないと判断して、トルディア家にも伝えて協力を仰いだんだ。」
「え・・」
リオル様のお家にまで迷惑をかけてしまうなんてっ
また少し顔色が悪くなった妹を見て、慌てながら焦って言い募る。
「まて、あちらは何も迷惑とは思っていない。
早まった考えはやめるんだ、大丈夫だから。」
そう言って、微笑んでトルディア家からの手紙の内容を教えてくれた。

そうなんだ・・
迷惑になんてなってない・・良かったっ(涙)

しかも、事の決着が着くまでは警備の頑丈な侯爵家のほうが安全・安心だということであちらに移るようにとのこと。
手厚くてありがたい・・

もうこの際、アレから逃げ切れるのならなりふり構っていられない。

聞くと、いま階下にリオル様が迎えに来てくれていて、
準備ができ次第トルディア家へ移動するから荷造りして欲しいとのこと。

一人では心細いだろうから心の許せる侍女を一緒に同行させることも可能だと。

そこで、誰を連れていこうかと思っていると、侍女の間で勝手に選抜が終わっていたらしい。

一人は、私が物心着く前から着いてくれてる侍女で、名前はカリナ。
歳は15歳で私のお姉様のような存在、ブルーベリー色の髪を肩下で三つ編みおさげにしていて、新緑のようなグリーンの瞳が可愛くて、性格は穏やかできっちりさん。
お嬢様の心の安寧のためにもカリナは絶対行きなさいと押されたらしい。
みんなありがとう・・
もう一人は17歳のミリー。
キッシュ家には10歳から仕えてくれてるベテラン、しっかり者だけどたまに抜けてる。
でもマナーは一流だしなんなら料理だって上手。
チョコレート色の髪の毛を背中のあたりで一纏めにしていて、薄い銀縁眼鏡が知的なの。瞳はレイクブルー。

お母様も、時々は訪問するからね。
と念押ししてくれた。

侍女2人の準備と私の荷造りも早々に終えて、リオル様の待つ階下へと向かった。

最後に会った時よりとっても背が伸びていて、私はもう見上げないと視線を合わせられない。
でも、笑顔はあの時のまま。
やっぱりだいすき。

「久しぶりだね、クラナ嬢。
遅くなったけれど、これからはペアとしてその先もよろしくって思っているよ。」
え・・その先も??
いいのかな・・そんな期待させるようなことっ
それでも精一杯返事をする。
「は、はいっおひさしぶりですっ私のほうこそ、これからよろしくお願いします!」
そう返しながらペコリとお辞儀をする。
「うん、早速だけど我が家へ行こう、荷物はこちらの御者が積むから侍女の二人も先に馬車へ」

こういうことだ
出来る男違う。

カリナとミリーも一瞬ポカンとしながら、慌てて頭を下げている。
「お心遣いありがとうございますっ
ですが・・」
「カリナ、ミリー、お言葉に甘えて先に乗りなさいな、二人とも・・クラナのことくれぐれも頼んだわよ」
「クラナ・・いつでも連絡してね、僕は兄としてお前のことをいつでも思っているよ、父上はいま忙しくて見送りには来られないらしい・・あとで手紙が行くと思うよ」

「お母様、お兄様、早く事が落ち着くことを祈っていてください。
私はどこにいても、娘で妹です。
私も・・・いつもみんなのこと思っていますっっ
行ってまいります!」
涙が流れるのも構わず、2人に行ってきますと伝える。
今生の別れではない・・でも、まだ10歳・・
親元を離れるのは不安しかないだろう。
それを見ていたリオルは、サリエルと目を合わせて頷き合ってから礼をして馬車へ乗り込んだ。

「必ず、クラナのことを守ります!!信頼して下さったこと、裏切りはしません!」
そうして、娘の・・妹の乗った馬車は見えなくなった。
見送りに揃ったキッシュ家、使用人一同、心は1つ。

”絶対乗り切る”
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