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魔酔いの森
第四十三話
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今回の戦績は、五頭の猛獣猪のうち、三頭を仕留め、一頭に深手を負わせ、戦意喪失のもう一頭と共に撃退したそうだ。
今までだったら、一頭を仕留めるのが精一杯だったという。
猪の後ろ足を蔦で縛って木に吊り下げるケウナと、樹液を沸騰させて猪に掛ける準備をしてたケラニがそう教えてくれた。
「ノルは……大丈夫です……?」
「うん、大丈夫。でも、体が火照ったからシャワーを浴びてくるよ」
火照ってるのは、戦いの余韻じゃなくて、ケレンの効果が続いてるから。
ケラニの声や項にまで欲情するのは流石に不味いので、熱膨張してる部分を冷やす事にした。
「レ、レンも、レ、レベル上がったか?」
「ええ。姉弟子を軽く超えてしまったわ」
「ノルはどうして糧を得ないんです?」
「さあ。本人に聞きなさいよ」
「それよりもレン……、この匂いは何です!?」
「精液よ」
「せ、せ、せせ、せっ! せっ、せっ、せっ……」
「さっきヤッてたですね!?」
「五回もね」
「せっ、せっ、せっ……!」
鏡が三人の会話を翻訳してくれてるけど、これ以上読むのは気が引ける……。
姉妹喧嘩にならなければ良いんだけど……。
それはそうと、さっきのは凄かった……!
三人の会話の内容の方じゃなくて、ケレンから聞いた話の方だ。
満足したケレンが、繋がったまま聞かせてくれた。
レベルの高い魔女に「出来る事と、出来ない事」だ。
まず、夜の雫を浸透させて物質を操ることは出来るけど、空気自体を直接操ることは、今のところ出来ない。
例外が「血を代償とする呪い」で、夜の雫に願いを保持させ、それが伝播して対象者に届いた場合に、「魔が差す」状態に出来るらしい。
次に、僕の胸に手を当てて施したのが「活性化」、その反対に鼓動を抑えるのが「沈静化」。
レベルが上がって、この二つを地面を通じて施せるようになった為、戦闘時にも使えるのだとか。
加えて、劇的な変化があったのは、時間、範囲、深さ、媒体の四つだそうだ。
時間と範囲はともかく、深さと媒体の概念が分からなかったので質問してみた。
深さは、相対的な地表の影響圏となるため、高さに置き換えられる。
媒体は、直接間接を問わず、接する物を通じて浸透させられる。
そんな感じの答えだった。
意外にも、ケレンは、「範囲」が一番重要だと言った。
これまで届かなかった他の魔女の痕跡にアクセスできる様になり、索敵範囲と精度が格段に向上したからだとか。
時折、上の空になると思ったら、僕の注いだエネルギーを使って、そんな作業をしてたと打ち明けた。
「姉弟子の敵討ちを、私がする事になるなんてね……」と言ってたから、明日は寄り道が決まったらしい。
他にも隠してる事は沢山ありそうだけど、はぐらかされるので、僕も敢えて聞き出そうとはしなかった。
例えば、僕達を囲んでた砂岩を消した方法は、「エネルギーを回収して溜められる」と教えてくれたものの、やり方は、「ノルは魔女じゃないから」といった感じだ。
何れにせよ、僕には、頭の中まで活性化されたような衝撃だった。
宝石の加工や研磨に活用する方法は、今のところ思い付かないけど、鉱物採取には役立つはず。
「僕に出来る範囲でやってみよう」
あっ! アナさんの鏡だ! 内容は!? 「魔女術について」……?
ああ! これは重要な情報だ……! 後でメモしておこう。
――魔女術は、魔術の源流に当たる便利な技術でも、「聖」とは相容れないため要注意。
――この世界は、長らく「魔」が介在せず、「善」と「悪」とで戦い続けて来たから、特に免疫がない。
――それでも、「善」と「悪」の戦いを終わらせたい一部の神々が、「聖」と「魔」が程良く対立する世界から、アナさんやバアアル王たちを招き、「魔」も引き入れた。
――なので、それを良しとしない保守派のカリーナさんが、僕の魔女術で機嫌を損ねたら、僕の水晶に魔女術を施せば、「聖」のエネルギーを付与できるので、それを捧れば良い。
「アナさん、いつもありがとうございます!」
見守りと助言の他にも、知識まで与えてくれるアナさんが素敵すぎる!
その上、鏡の背景に、キシラ達と昼食してる小アナさんが映ってて美少女すぎる!
なるほど、アナさんは別の世界から来た女神だから、カリーナさんとは雰囲気が違ったのか。
すると、草原で見た赤系の髪色の女神達は、アナさんと同郷だったんだろうな。
「赤味掛かった髪といえば、アーヤ達やルカさん達もかな……?」
体の火照りが収まったので、バスルームを出て、猪の解体を見学することにした。
ケレンは先に寝たらしく、焚き火の前の毛皮に膨らみが見えた。
「二頭は凍らせたんだね」
「今までだったら、自分が村まで応援を呼びに行ってたです!」
ケレンのレベルが上がって、ケラニの負担が減ったのは良い傾向かな。
毛皮を処理してるケウナが、僕の方をチラチラ見てるのは悪い傾向だから、労いに行こう。
「ウナは毛皮の処理が上手だね!」
「う、う……、う……む……」
ガチガチに緊張してるのが分かって痛々しい。
ケレンの自慢で意識し過ぎてしまったんだろう……。
「猪の皮は、何に加工するの?」
「バ、バッグだ。ノ、ノ、ノル、ほ、欲しいか?」
野草用のバッグがあると良いかも。
そんな用途のバッグを作れるか聞いてみた。
「で、でできる! ノ、ノルの、た、ために作る!」
「ありがとうウナ! お礼に僕に出来ることはある?」
ケウナの要望は、「血が付いた背中を流して欲しい」だった。
非常に良い傾向だと思った。
辿々しくても、異性に具体的な要望を出せるなら、何の問題もない。
常識的な要望が出せずに、拗らせてから極端な行動に出てしまう人が、意外と多いように思うから。
その点でもケウナは、度胸というか芯が強い。
僕は喜んで応じることにした。
今までだったら、一頭を仕留めるのが精一杯だったという。
猪の後ろ足を蔦で縛って木に吊り下げるケウナと、樹液を沸騰させて猪に掛ける準備をしてたケラニがそう教えてくれた。
「ノルは……大丈夫です……?」
「うん、大丈夫。でも、体が火照ったからシャワーを浴びてくるよ」
火照ってるのは、戦いの余韻じゃなくて、ケレンの効果が続いてるから。
ケラニの声や項にまで欲情するのは流石に不味いので、熱膨張してる部分を冷やす事にした。
「レ、レンも、レ、レベル上がったか?」
「ええ。姉弟子を軽く超えてしまったわ」
「ノルはどうして糧を得ないんです?」
「さあ。本人に聞きなさいよ」
「それよりもレン……、この匂いは何です!?」
「精液よ」
「せ、せ、せせ、せっ! せっ、せっ、せっ……」
「さっきヤッてたですね!?」
「五回もね」
「せっ、せっ、せっ……!」
鏡が三人の会話を翻訳してくれてるけど、これ以上読むのは気が引ける……。
姉妹喧嘩にならなければ良いんだけど……。
それはそうと、さっきのは凄かった……!
三人の会話の内容の方じゃなくて、ケレンから聞いた話の方だ。
満足したケレンが、繋がったまま聞かせてくれた。
レベルの高い魔女に「出来る事と、出来ない事」だ。
まず、夜の雫を浸透させて物質を操ることは出来るけど、空気自体を直接操ることは、今のところ出来ない。
例外が「血を代償とする呪い」で、夜の雫に願いを保持させ、それが伝播して対象者に届いた場合に、「魔が差す」状態に出来るらしい。
次に、僕の胸に手を当てて施したのが「活性化」、その反対に鼓動を抑えるのが「沈静化」。
レベルが上がって、この二つを地面を通じて施せるようになった為、戦闘時にも使えるのだとか。
加えて、劇的な変化があったのは、時間、範囲、深さ、媒体の四つだそうだ。
時間と範囲はともかく、深さと媒体の概念が分からなかったので質問してみた。
深さは、相対的な地表の影響圏となるため、高さに置き換えられる。
媒体は、直接間接を問わず、接する物を通じて浸透させられる。
そんな感じの答えだった。
意外にも、ケレンは、「範囲」が一番重要だと言った。
これまで届かなかった他の魔女の痕跡にアクセスできる様になり、索敵範囲と精度が格段に向上したからだとか。
時折、上の空になると思ったら、僕の注いだエネルギーを使って、そんな作業をしてたと打ち明けた。
「姉弟子の敵討ちを、私がする事になるなんてね……」と言ってたから、明日は寄り道が決まったらしい。
他にも隠してる事は沢山ありそうだけど、はぐらかされるので、僕も敢えて聞き出そうとはしなかった。
例えば、僕達を囲んでた砂岩を消した方法は、「エネルギーを回収して溜められる」と教えてくれたものの、やり方は、「ノルは魔女じゃないから」といった感じだ。
何れにせよ、僕には、頭の中まで活性化されたような衝撃だった。
宝石の加工や研磨に活用する方法は、今のところ思い付かないけど、鉱物採取には役立つはず。
「僕に出来る範囲でやってみよう」
あっ! アナさんの鏡だ! 内容は!? 「魔女術について」……?
ああ! これは重要な情報だ……! 後でメモしておこう。
――魔女術は、魔術の源流に当たる便利な技術でも、「聖」とは相容れないため要注意。
――この世界は、長らく「魔」が介在せず、「善」と「悪」とで戦い続けて来たから、特に免疫がない。
――それでも、「善」と「悪」の戦いを終わらせたい一部の神々が、「聖」と「魔」が程良く対立する世界から、アナさんやバアアル王たちを招き、「魔」も引き入れた。
――なので、それを良しとしない保守派のカリーナさんが、僕の魔女術で機嫌を損ねたら、僕の水晶に魔女術を施せば、「聖」のエネルギーを付与できるので、それを捧れば良い。
「アナさん、いつもありがとうございます!」
見守りと助言の他にも、知識まで与えてくれるアナさんが素敵すぎる!
その上、鏡の背景に、キシラ達と昼食してる小アナさんが映ってて美少女すぎる!
なるほど、アナさんは別の世界から来た女神だから、カリーナさんとは雰囲気が違ったのか。
すると、草原で見た赤系の髪色の女神達は、アナさんと同郷だったんだろうな。
「赤味掛かった髪といえば、アーヤ達やルカさん達もかな……?」
体の火照りが収まったので、バスルームを出て、猪の解体を見学することにした。
ケレンは先に寝たらしく、焚き火の前の毛皮に膨らみが見えた。
「二頭は凍らせたんだね」
「今までだったら、自分が村まで応援を呼びに行ってたです!」
ケレンのレベルが上がって、ケラニの負担が減ったのは良い傾向かな。
毛皮を処理してるケウナが、僕の方をチラチラ見てるのは悪い傾向だから、労いに行こう。
「ウナは毛皮の処理が上手だね!」
「う、う……、う……む……」
ガチガチに緊張してるのが分かって痛々しい。
ケレンの自慢で意識し過ぎてしまったんだろう……。
「猪の皮は、何に加工するの?」
「バ、バッグだ。ノ、ノ、ノル、ほ、欲しいか?」
野草用のバッグがあると良いかも。
そんな用途のバッグを作れるか聞いてみた。
「で、でできる! ノ、ノルの、た、ために作る!」
「ありがとうウナ! お礼に僕に出来ることはある?」
ケウナの要望は、「血が付いた背中を流して欲しい」だった。
非常に良い傾向だと思った。
辿々しくても、異性に具体的な要望を出せるなら、何の問題もない。
常識的な要望が出せずに、拗らせてから極端な行動に出てしまう人が、意外と多いように思うから。
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僕は喜んで応じることにした。
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