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三章
異国の少女
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縁樹が月夜の手を引いてまっすぐ向かったのは異国人の集団がいる場所だった。彼らはグラスを手にして談笑している。
そのうちのひとりの少女が縁樹に気づくと明るい笑顔を向けて手を振った。
「カラスサン!」
縁樹が軽く会釈をすると、彼女はまっすぐこちらへ走り寄った。
「久しぶり。今日は君の遠い親戚の子を連れてきた」
月夜は少女を見て目を瞠り、彼女のあまりの美しさにため息をついた。
きらめく金の髪に紅い瞳を持ち、色白の肌にすらりとした体型の彼女は月夜よりも背が高く、顔立ちは異国の人そのものだった。
月夜は祖母の書物で異国の言葉を少し学んだが、話せるわけではない。挨拶がしたいと思ったけれど、とっさに言葉が出てこなかったので西洋式挨拶をおこなった。
すると少女は明るい笑顔で同じ挨拶を返した。
「アタシ、メアリー。よろしく!」
少女が右手を差しだしたので、月夜はおずおずとその手を握った。
少し、緊張がほぐれた。
「月夜です」
「ツキヨ、ハウキュート」
月夜がきょとんとしていると、縁樹はとなりでぼそりと言った。
「可愛いと言ってる」
「えっ……」
月夜は赤面し、もじもじしながら小声で話す。
「あなたも、とっても綺麗です」
メアリーはきゃあっと声を上げながら両手を広げて月夜を抱きしめた。
驚いて硬直する月夜に縁樹が冷静に説明する。
「西の国の挨拶だ」
「え? えっ……」
混乱する月夜をよそに、メアリーは縁樹と異国の言葉で会話を始めた。月夜はまったく理解できず、ただ黙って見ているだけだった。
彼らは時折、月夜のほうへ目を向けて話している。
いったい何を話しているのか、月夜は不安に思った。
「オッケー、だいじょーぶ!」
メアリーは急に明るい声で月夜に笑いかけると、なぜか立ち去ってしまった。何事かわからずぼんやりしている月夜に、縁樹が先ほどの会話の内容を説明した。
「彼女は君と同じ血を継いでいる。だが、日光を浴びても平気なんだ」
「彼女が?」
以前に縁樹が言っていた月夜に会わせたい人というのはメアリーのことだろう。
「これから俺と暮らすと、少なからず君に影響が出る。なるべく妖力を抑えるようにするが、できるだけ君に負担をかけたくない」
月夜は縁樹と暮らすことを具体的に想像していなかった。このところ、めまぐるしく状況が変わってなかなか順応できないのだ。
今だってこの場にいるのが信じられないくらいなのだから。
それでも縁樹はきちんと月夜を受け入れてくれる準備をしてくれている。
「ありがとう、縁樹さん」
「当然のことをしているだけだ」
相変わらずそっけない感じで返答する縁樹にも、月夜はだんだん慣れていった。
「そういえば、ずっと疑問だったんだけど、おばあちゃんは外出しても大丈夫だったの?」
「それは香月さんの妖力がそれほど強くなかったからだ。日陰にいれば影響をそんなに受けない。しかし君は違う。君の妖力は相当強い」
縁樹は説明をしただけだったのだろうが、月夜にはその言葉がとても重く感じられた。あまりに妖力が強いために、両親からあんな扱いをされてしまったのだから。
なぜ自分だけ、という思いは幾度となく頭をよぎった。
そのうちのひとりの少女が縁樹に気づくと明るい笑顔を向けて手を振った。
「カラスサン!」
縁樹が軽く会釈をすると、彼女はまっすぐこちらへ走り寄った。
「久しぶり。今日は君の遠い親戚の子を連れてきた」
月夜は少女を見て目を瞠り、彼女のあまりの美しさにため息をついた。
きらめく金の髪に紅い瞳を持ち、色白の肌にすらりとした体型の彼女は月夜よりも背が高く、顔立ちは異国の人そのものだった。
月夜は祖母の書物で異国の言葉を少し学んだが、話せるわけではない。挨拶がしたいと思ったけれど、とっさに言葉が出てこなかったので西洋式挨拶をおこなった。
すると少女は明るい笑顔で同じ挨拶を返した。
「アタシ、メアリー。よろしく!」
少女が右手を差しだしたので、月夜はおずおずとその手を握った。
少し、緊張がほぐれた。
「月夜です」
「ツキヨ、ハウキュート」
月夜がきょとんとしていると、縁樹はとなりでぼそりと言った。
「可愛いと言ってる」
「えっ……」
月夜は赤面し、もじもじしながら小声で話す。
「あなたも、とっても綺麗です」
メアリーはきゃあっと声を上げながら両手を広げて月夜を抱きしめた。
驚いて硬直する月夜に縁樹が冷静に説明する。
「西の国の挨拶だ」
「え? えっ……」
混乱する月夜をよそに、メアリーは縁樹と異国の言葉で会話を始めた。月夜はまったく理解できず、ただ黙って見ているだけだった。
彼らは時折、月夜のほうへ目を向けて話している。
いったい何を話しているのか、月夜は不安に思った。
「オッケー、だいじょーぶ!」
メアリーは急に明るい声で月夜に笑いかけると、なぜか立ち去ってしまった。何事かわからずぼんやりしている月夜に、縁樹が先ほどの会話の内容を説明した。
「彼女は君と同じ血を継いでいる。だが、日光を浴びても平気なんだ」
「彼女が?」
以前に縁樹が言っていた月夜に会わせたい人というのはメアリーのことだろう。
「これから俺と暮らすと、少なからず君に影響が出る。なるべく妖力を抑えるようにするが、できるだけ君に負担をかけたくない」
月夜は縁樹と暮らすことを具体的に想像していなかった。このところ、めまぐるしく状況が変わってなかなか順応できないのだ。
今だってこの場にいるのが信じられないくらいなのだから。
それでも縁樹はきちんと月夜を受け入れてくれる準備をしてくれている。
「ありがとう、縁樹さん」
「当然のことをしているだけだ」
相変わらずそっけない感じで返答する縁樹にも、月夜はだんだん慣れていった。
「そういえば、ずっと疑問だったんだけど、おばあちゃんは外出しても大丈夫だったの?」
「それは香月さんの妖力がそれほど強くなかったからだ。日陰にいれば影響をそんなに受けない。しかし君は違う。君の妖力は相当強い」
縁樹は説明をしただけだったのだろうが、月夜にはその言葉がとても重く感じられた。あまりに妖力が強いために、両親からあんな扱いをされてしまったのだから。
なぜ自分だけ、という思いは幾度となく頭をよぎった。
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