イケメン騎士の貞操を奪ったのは誰だ!ーイケメン嫌いな私と彼の密かな追いかけっこの行方

黎明まりあ

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第3章 ウワサの行方(ゆくえ)

38、強がりの果てに<後1>

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 いっ、いいっ、いまぁ、チュッと音がしたんだけどぉ?!
 なっ、なっ、なんで、こんなににおってて、ボロボロ女の皮膚に口付けられるのぉ?
 信じられないんだけれどぉ!

 マーガレットは驚いて、ひたいを両手で押さえながら、身体からだを丸めた。

 マーガレットの急な体勢変化にも関わらず、エドワード様の腕の力はるぎなく、歩く速度も落ちはしない。

 ふとマーガレットは、ダリアが用意してくれた特別な御者ぎょしゃを思い出した。

 やはり最後に筋肉は勝つ!

 一定速度にられながら、マーガレットは自分の持論じろんに確信を持ってひとりうなずいた。

 マーガレットがえて自分の好きな筋肉のコトを考えたのは、エドワード様のデコチュウ攻撃に、マーガレットの頭は沸騰ふっとうしてしまい……なんとか違う事を考えることで冷静になり、一度身体からだの熱を下げたいと思ったからだ。

 今、上着をかぶっているから人の目、特にエドワード様から見られることはないが、ほおは激しく熱をび、きっと真っ赤になっているに違いない。

 そう考えた作戦だったのに、好きな筋肉のコトを考えたら……あの日目にした、エドワード様のなまめかしい白いっぱいが浮かび上がってきて、ますますマーガレットの頬は灼熱しゃくねつかつ多湿たしつになってしまう。

 マーガレットは、両手をひたいからほおへと移動させ、もはや火傷やけど寸前すんぜんでなかなか冷めないほおを、ずっと押さえ続けなければならなかった。

 その後2人は言葉をわすこともなく、ただエドワード様が歩く足音だけがマーガレットの耳に届き、ほどなくして、マーガレットは目的地に着いたことをエドワード様から告げられる。

「足からゆっくり降ろすぞ」

 マーガレットは返事の代わりに、エドワード様の上着をかぶったまま、コクコクとうなずいた。

 言葉以上にそぉっと丁寧に足から降ろされたが、なかなかヨダレしたたっぱい残像ざんぞうが消えないマーガレットは、フラリとよろめいてしまう……決してワザとではない!

「きゃっ、す、すみません」

 すかさずエドワード様の右腕がマーガレットの腰に当然のように巻きつき、マーガレットはまたしても、エドワード様のお胸サマに飛び込んだ。

 私のおバカ!
 せっかく、エドワード様から自然に離れる機会だったのに!
 何やってるのよ!

 あわててエドワード様のお胸サマから離れようと、後ろに身体を引いたマーガレットだったが、エドワード様の腕はゆるむどころか、またしても両腕でギュムッと抱きしめられる。

 えっ、えっ、ええっ!
 どうなってるのよ?
 こんなところ誰かに見られたら、本当に命がヤバいってぇ!

 最悪の事態を想定し、半狂乱におちいったマーガレットがジタバタしだすが、もはや厳重げんじゅうおりとなったエドワード様の腕の中から、抜け出すことは不可能だ。

 マーガレットは声を上げて、エドワード様に抗議こうぎした。

「おぉおっ、お願いですから、はっ、離してください!
 こっ、ここ、こんなこと、だっ、誰かに、みっ、見られたら、わたじぃ、消されて、しっ、シマウマじゃなかった、しまいます……アタッ」

 マーガレットはエドワード様にファンクラブの恐ろしさを語ったつもりだったが、動揺どうようのあまり、言葉をみまくり、最後は本当に舌をんでしまう。

 そんなマーガレットに対し、エドワード様は驚くほど冷静に答えられた。

「ここは大きな木の下、周囲は緑に囲まれ、四方しほうから死角となる場所だ。
 しかもマリーは私の上着をかぶっているから顔を見られることはない……心配するな」

 なるほどね、さすが確信犯!

 かりないエドワード様に感心したマーガレットは、思わず動き止めて聞き入ってしまう。

 大人しくなったマーガレットの様子に、ホッと1つ息を吐いたエドワード様は、そのまま続けて話された。

「もし何かあっても、必ず私が守るから安心しろ。

 それより、ようやく2人きりになって、話ができるな。
 いつ、また邪魔が入るか分からないから、悪いがこのまま伝えさせてくれ。

 マリー、約束を果たしにきた。
 結婚しよう」

 なっ、なっ、なんなの、いきなり!
 今の状況で言うべきでも、聞くべきでもない、破壊力満点の言葉が突然キタ~ァン!!

 マーガレットの脳内活動は、ただちにピィーッと停止する。

 何の抵抗ていこうさわぎ立てることもなく、抱きしめられたままになっているマーガレットの態度が肯定こうていの返事だと思ったのか、エドワード様は少しだけ腕の力をゆるめた。

 上着をかぶったままのほおに、エドワード様は優しく手をえ顔を上げさせると、マーガレットのれる瞳を上からのぞき込み……さらに話を進める。

「もう、私の父にもマリーの父上にも話を通してある。
 次の休みに教会へ届けを出しに行く、いいな?」

 エドワード様のんだ青い瞳を見ているうちに、ようやくマーガレットの脳内がピコォーンと再起動し、マーガレットの思考がようやく回り始めた。

 良くないわ!
 聞いてないし!!

 脳内で大声を上げて、マーガレットは愕然がくぜんとする。

 まずはココから否定しなければ!と思い、マーガレットは急いで口を開く。

「私はマリーという名ではございません!
 だっ、だだっ、誰かと間違っておられます」

 ちょっと後ろめたい気持ちがあるせいか、マーガレットは視線を横へらし、相変わらずみながら話した。

 だがさすがのエドワード様に、華麗かれいに返りちされる。

「名前が違うのは知っている、本当はマーガレットだろう?
 調べはついている」

 知ってるんかい!
 しかも、この詰問きつもん口調、自分が犯罪者になったようだ
 でも、知っててなぜ間違った名前で呼んだの?

 マーガレットは首をかしげた。
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