王道学園のコミュ障ニセチャラ男くん、憧れの会長と同室になったようで

伊月乃鏡

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間話 新歓鬼ごっこ

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新入生歓迎会。基本的には四月半ばから下旬にかけて行われるこの行事だが、実は今年、いろいろあって長らく延期になっていたのだ。

「てかもう中止でいいのでは?」

とは俺の談。その色々~というのもまぁ仕方がないものが多く、経済界が軽く混乱してたり季節外れのインフルが流行ったり。今年はちょっと厄年なのだ。

「バカか、テメェは。行事が出来るようンなったんだから、こういうのもやるに決まってんだろ。学生に勉学だけさせてどうする」
「うぐ~、真面目! いいとこだと思う……」

俺はといえば、体育祭あとのオタバレから武藤様にはまぁ、オタク30%くらいで接することにした。というのも武藤様からのお言葉があってのものだが。

『同居人の腹ん中に隠し事があんのは気に食わねェ』とのことである。

かなり分かりづらいが、本心を隠す行為に心配が勝って勝手にしろと放任している状態。要するに彼の優しさ由来である。流石武藤様だ。

「って言ってもさ。あれ武藤様とか副会長様とか、なんか商品みたいじゃね? ああいうのどうかと思うんだよな……」
「今年は犬神も居るし?」
「こうちゃんもいるし! ダメだよ、人見知りなんだから。可哀想だろ」

さて、新入生歓迎会といえば何を想像するだろうか。BBQもいいな、旅行もいい。普通に集まって話すだけで楽しいし、ファミレスなんか貸し切れたら最高だろう。

しかしこの王道高校、新入生歓迎会といえば一味違う。旅行もあるしBBQもある、集まって話して料理店を貸切。最高の行事である。
しかし──

「鬼ごっこで旅行のペア決めるって、頭おかしいよ。沸いてる?」
「議案書コピペしちまったからこうするしかねーんだよ」
「ア出た伝家の宝刀前任の議案書!!」

そういうことである。新入生歓迎会は正確にいえば鬼ごっこであり、紅組と白組にそれぞれ生徒会役員が配置されている。
紅組同士、白組同士で触れ合っても何ともないが、紅白で触れ合うとセンサーが反応し夏休みに行われる大規模な旅行のペアとして登録される訳だ。

恋人同士は最初から触れ合っていたり、好きな相手と──大体は生徒会役員──べったりと濃密な旅行を送ろうと画策していたり、生徒たちの反応は多種多様。

王道高校はこれでも名門でありテストは厳しい。その分こういう行事で息をつかねばやってられる。理屈はわかる、わかるが。

「ほとんどずっと二人っきり、手錠で繋がれてトイレすら拘束されてるって……望まなかったらほぼ奴隷じゃん!?」
「いまだに劣化しない手錠も怖えーがな」
「やだ~! 俺人と生活送るなんて無理~!!」

ここ最近は旧校舎の生徒の世話や悩み相談、休日は喫茶店のバイトに好戦的なイブキと獅童くんの手綱を操らされている俺に同情したのか、武藤様がゲロ甘である。

洗濯は脱ぎ捨ててもやっててくれるし、どこもかしこも綺麗だ。共用エリアのシャンプーやらリンスやらも増えていって、共用エリアのお菓子も大量になった。食事はいつだって帰ってきたら温かいままで出迎えてくれる。

今だって、武藤様がダイニングテーブルに座って宿題するのを見据えつつ、少し離れた位置に設置してるソファでぐうたらして夜景などを見ていた。くっついているローテーブルには即興と思えないなんかおしゃれな夜食。もし寝落ちしたってふわりと毛布を羽織らされたり寝てる間にぬくぬくにされている。

考えても見てほしい。
そんな生活から急に、自分が何もかもしなければいけなくなると。

「無理ィ~……」
「は、情けねぇやつ、ょっとは自立してみろよ」

耳に痛い話である。
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