王道学園のコミュ障ニセチャラ男くん、憧れの会長と同室になったようで

伊月乃鏡

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激動! 体育祭!

41.終幕! 体育祭!

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さてそんな俺の頼み事といえば、まぁ当然自分一人では叶えられないものということで。

翌日の早朝。俺は旧校舎前の麓に、九鬼派の生徒たちを集めていた。その中には当然イブキもいる。
朝の作業ついでなので結構早起きなのだけれど、ちゃんと起きていて感心だ。

「よし、朝からちゃんと来れたみたいだな。すっぽかされたらどうしようかと思った」
「……約束は約束だからのう」
「道理だ」

眠そうに頭を揺らしているもの、不安げにこちらを見つめているもの。中にはぎゅっと胸元を握りしめている人もいて、かつてどんな目にあってきたのか想像に難くない。可愛らしい顔をしている生徒も多いのが悲壮さを誘う。

「よし! じゃあお前たち、登るぞ」
「……は?」
「な、何」「どういう?」

ざわざわするんじゃない。俺が指示を出しただけで登っていくので、生徒たちもおずおずとついてくる。負けたイブキを見捨ててしまっても良いのだろうが、あくまでイブキについていくということなのだろう。

ずいぶんと慕われている。こんな奴の何が良いのかわかんないけどさ。

「な、なんじゃこの坂道……!」
「ここって、旧校舎へ続く道なのです……? どうして急に?」
「う、うさぎ、流石の体力だ……イブキさん、大丈夫か?」
「よ、余裕じゃき!」

体力というか、うさぎくんに関しては悪い状態の道のりに慣れているのだろう。水瀬を負かしていた──確か那須と言ったかな──子が、イブキを心配する。強がるなぁこいつは。山歩きなんて慣れてないと難しいってのに。

「朝早いし、もう無理~……」「何しに行くん?」「足キツイ……」「てかなんか空気薄くない?」

わらわらとついてきている中にも文句を垂れる奴らが。俺を警戒して顔を出さなかった奴もいて、これで全員ではないとはいえまぁ賑やかだ。

しばらく歩けば、いつもの旧校舎が見えてきた。

「わぁ……!」
「こりゃ……」

木造の建築に、洋風の飾り窓。和から洋への変遷をその身で表した大正モダンな外見。そこに植えられみずみずしく咲いた花々に、香り立つハーブ。古い校舎だが設備は一級品で、いまだ水道も通っているし給水場だってある。

電気もあればトイレも大浴場もあるという、木々に囲まれた俺のお気に入り。

「さて、お前たちは学費を支払っている訳だ──概ね、ね。ということは、学を身につけさせる義務がある。何の心配もない場所で」

昨日イブキの言葉を聞いて、俺も考え直した。裏の人達を分野が違うからと跳ね除ける、イブキという一生徒に任せた結果がこれだ。
変えていかなければならない。革命とまでは行かずとも、彼らの魂は受け取るべきだ。

俺の庭を見て、呆然と見とれている彼らに笑いかけた。

「俺は生徒会役員で、イブキの主人。責任は充分にある」
「まさか──」

先についていたらしい獅童くんが、センパイ! と声をあげる。うさぎくんが嬉しそうにそちらを向いた。

「教科書も道具も、心配しなくて良い。生徒会長には許可を取ってる。に怖い相手がいるのなら、ここで寝泊まりしたって良い。旧校舎は園芸委員会の不可侵領域だから」

何しろ俺一人じゃ持て余すくらいなのだ。ここも旧校舎にしては抜群の設備を持っている。

「な、何でそんな……今更信じられるわけなかろ、のうみんな!」
「どうだろうな」

イブキが俺の手を跳ね除け、振り返る。けれど。

「……ほんとに?」「バカ! 嘘に決まってるだろ!」「でも、嘘つく意味ないじゃん」「それは……!」

「そりゃ、ここで過ごせるなら……理想だけどさ」「信じて良いんかな」「だって、俺たちに恨みあるなら、昨日のうちに……」「生徒会公認なら」

「……おんしら……?」
を作るのはさ、生徒会俺たちの方が専門だったりするからな」

ここは生徒会役員のお膝元だ。そこで眠れる安心感は、きっと俺よりずっと修羅場を耐えてきた彼らの方がよく知っている。
……まぁそりゃ、怖いよなと思った。イブキが叫んで、守っていなければいつでも瓦解する組織だ。

「よく頑張ったな」

ぽんぽんとイブキの頭を撫でる。
園芸委員長お墨付きの庭なんだ。手入れだって怠ってない。数十人や数百人、入り込んだところで構わない。
信じて良いのか、とこちらを見つめる何対もの目に、自信を持って頷いた。

「俺が保証する──ここが君たちの学舎だ。
大いに学び、傷を癒していってくれ」

ああもちろん、草木は大切にね──
付け加えた言葉を遮るように、歓声が上がった。
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