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密着! 夏休み旅行!
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太い黒縁眼鏡にかっちりと着こなした制服。髪型はすっきりとしたアップバングに理知的に輝くアザレアの瞳。腕には役員の腕章をつけている。
風紀委員長──真道一之進。
そのいかつい名前に見合う真っ当な実績、真面目かつ真剣に生徒と向き合う姿は誰からも評価され、不良からは煙たがれながらも一目置かれている。
誰がいつ、どんな助けを求めても必ず手を取ってくれる正義のヒーローだ。
「委員長? 風紀の? えーっイケメン!」
「こら花音!」
俺の両脇で花音さんと萌さんがにわかに騒ぎ出す。花音さんは面食いなのでイケメンであればすぐはしゃぐのだ。イブキに対しても普通に接してるし。まぁこの軽いテンション感が彼女の明るい所以だと思うけれど。
「……その女性達は、お前の何か……」
風紀委員長がメガネの端をきらりと光らせ、ぷるぷるとコチラを指さす。
……えっ、もしかしてて出してると思ってる!? 俺の噂のせいで!?!?
「いや、ただのお客さんだよ~。おれはここの店員……」
「ひどーーっっいそーちんウチらのことただの客とか!! そーちんにとってはただのビジネスな付き合いだったってわけ~!?」
「そうだそうだー。宗介ガチ女泣かせなんだけど。あーあたしら傷付いたなー」
慌てて否定しようとしたら今度は花音さんたちに絡まれた。俺の噂をよく知らないので何を疑われていたかも分かってないようだ。
女の子って、どれだけ可愛い子でも時々信じられないくらい理不尽になる。結局可愛いから許すんだけどね。
「あーもうやめ、やめてください揺らさないでください!! はいはいわかりましたよショートケーキでいいですか!」
「やったー!」「やった」
「提供するんでお席に戻ってください! おらシェフ起きろ!!」
ぎゅむぎゅむと楽しそうにひっついてくる二人を席に戻す。俺は姉しかいないのでわからないけど、なんとなく甥の小さい頃を思い出した。妹なんかいたらこんな感じなんだろう。
……いや、姉からは根暗できしょいとか言われていじめられてたので、ここまで素直に慕ってくれはしない気がする。凹んでしまうな……
戻し終えたら宿題にうつ伏せになって爆睡しているイブキをひっ叩いた。静かだと思ってたら寝てたのか。それ今日終わらせないとまずいやつじゃなかったか?
「あだだ……なんじゃあ敵襲か!?」
「ショートケーキ作れ、二つ」
「え? えいけんど、どういて?」
「疑問に思うな、何も」
「ディストピアの世界線?」
勉強の気分転換になるとでも思ったのか、いつもより素直に厨房に引っ込むイブキ。いつもは飲兵衛さんに酒のつまみを出すよう絡まれては突っぱねてるので。
それともショートケーキってのがカワイイ欲を刺激したのだろうか。
「……えーと、ごめんねぇ……すみません? 遅くなって。何名様ですか?」
「一人だが。いやそもそも、」
「こちらにどうぞ~!」
この喫茶アネラに来るということは、心底困っているということ。ひまりさん曰くここには困っている人しか来れないらしいので。
困ってここに来た人を追い返してはいけない。ゆるゆるなバイトだが、これが数少ないルールの一つだった。
空いている席に案内する。リラックスしやすいように奥の方の、周囲が見渡せる場所に案内した。分からんこれリラックスできるのかな。ここは全体的にゆったりとしているから、落ち着くと思うのだけれど。
「一応言っとくけど、ちゃんと許可取ってるからね~」
怪訝な顔をする委員長に顔を近づけ、ひそっと声をかける。少し驚いたように肩を跳ねさせていたが納得はしたのか、特に何も言われなかった。
「お客様、ご注文は?」
「……アイスカフェ・オ・レ」
「はーい」
注文票に書き込み、そわそわと注文待ち中のキッチンへ向かう。
しかしあの風紀委員長に困り事とは。一体何があったんだろうか……
風紀委員長──真道一之進。
そのいかつい名前に見合う真っ当な実績、真面目かつ真剣に生徒と向き合う姿は誰からも評価され、不良からは煙たがれながらも一目置かれている。
誰がいつ、どんな助けを求めても必ず手を取ってくれる正義のヒーローだ。
「委員長? 風紀の? えーっイケメン!」
「こら花音!」
俺の両脇で花音さんと萌さんがにわかに騒ぎ出す。花音さんは面食いなのでイケメンであればすぐはしゃぐのだ。イブキに対しても普通に接してるし。まぁこの軽いテンション感が彼女の明るい所以だと思うけれど。
「……その女性達は、お前の何か……」
風紀委員長がメガネの端をきらりと光らせ、ぷるぷるとコチラを指さす。
……えっ、もしかしてて出してると思ってる!? 俺の噂のせいで!?!?
「いや、ただのお客さんだよ~。おれはここの店員……」
「ひどーーっっいそーちんウチらのことただの客とか!! そーちんにとってはただのビジネスな付き合いだったってわけ~!?」
「そうだそうだー。宗介ガチ女泣かせなんだけど。あーあたしら傷付いたなー」
慌てて否定しようとしたら今度は花音さんたちに絡まれた。俺の噂をよく知らないので何を疑われていたかも分かってないようだ。
女の子って、どれだけ可愛い子でも時々信じられないくらい理不尽になる。結局可愛いから許すんだけどね。
「あーもうやめ、やめてください揺らさないでください!! はいはいわかりましたよショートケーキでいいですか!」
「やったー!」「やった」
「提供するんでお席に戻ってください! おらシェフ起きろ!!」
ぎゅむぎゅむと楽しそうにひっついてくる二人を席に戻す。俺は姉しかいないのでわからないけど、なんとなく甥の小さい頃を思い出した。妹なんかいたらこんな感じなんだろう。
……いや、姉からは根暗できしょいとか言われていじめられてたので、ここまで素直に慕ってくれはしない気がする。凹んでしまうな……
戻し終えたら宿題にうつ伏せになって爆睡しているイブキをひっ叩いた。静かだと思ってたら寝てたのか。それ今日終わらせないとまずいやつじゃなかったか?
「あだだ……なんじゃあ敵襲か!?」
「ショートケーキ作れ、二つ」
「え? えいけんど、どういて?」
「疑問に思うな、何も」
「ディストピアの世界線?」
勉強の気分転換になるとでも思ったのか、いつもより素直に厨房に引っ込むイブキ。いつもは飲兵衛さんに酒のつまみを出すよう絡まれては突っぱねてるので。
それともショートケーキってのがカワイイ欲を刺激したのだろうか。
「……えーと、ごめんねぇ……すみません? 遅くなって。何名様ですか?」
「一人だが。いやそもそも、」
「こちらにどうぞ~!」
この喫茶アネラに来るということは、心底困っているということ。ひまりさん曰くここには困っている人しか来れないらしいので。
困ってここに来た人を追い返してはいけない。ゆるゆるなバイトだが、これが数少ないルールの一つだった。
空いている席に案内する。リラックスしやすいように奥の方の、周囲が見渡せる場所に案内した。分からんこれリラックスできるのかな。ここは全体的にゆったりとしているから、落ち着くと思うのだけれど。
「一応言っとくけど、ちゃんと許可取ってるからね~」
怪訝な顔をする委員長に顔を近づけ、ひそっと声をかける。少し驚いたように肩を跳ねさせていたが納得はしたのか、特に何も言われなかった。
「お客様、ご注文は?」
「……アイスカフェ・オ・レ」
「はーい」
注文票に書き込み、そわそわと注文待ち中のキッチンへ向かう。
しかしあの風紀委員長に困り事とは。一体何があったんだろうか……
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