王道学園のコミュ障ニセチャラ男くん、憧れの会長と同室になったようで

伊月乃鏡

文字の大きさ
93 / 201
密着! 夏休み旅行!

17

しおりを挟む
太い黒縁眼鏡にかっちりと着こなした制服。髪型はすっきりとしたアップバングに理知的に輝くアザレアの瞳。腕には役員の腕章をつけている。

風紀委員長──真道一之進。

そのいかつい名前に見合う真っ当な実績、真面目かつ真剣に生徒と向き合う姿は誰からも評価され、不良からは煙たがれながらも一目置かれている。
誰がいつ、どんな助けを求めても必ず手を取ってくれる正義のヒーローだ。

「委員長? 風紀の? えーっイケメン!」
「こら花音!」

俺の両脇で花音さんと萌さんがにわかに騒ぎ出す。花音さんは面食いなのでイケメンであればすぐはしゃぐのだ。イブキに対しても普通に接してるし。まぁこの軽いテンション感が彼女の明るい所以だと思うけれど。

「……その女性達は、お前の何か……」

風紀委員長がメガネの端をきらりと光らせ、ぷるぷるとコチラを指さす。
……えっ、もしかしてて出してると思ってる!? 俺の噂のせいで!?!?

「いや、ただのお客さんだよ~。おれはここの店員……」
「ひどーーっっいそーちんウチらのことただの客とか!! そーちんにとってはただのビジネスな付き合いだったってわけ~!?」
「そうだそうだー。宗介ガチ女泣かせなんだけど。あーあたしら傷付いたなー」

慌てて否定しようとしたら今度は花音さんたちに絡まれた。俺の噂をよく知らないので何を疑われていたかも分かってないようだ。
女の子って、どれだけ可愛い子でも時々信じられないくらい理不尽になる。結局可愛いから許すんだけどね。

「あーもうやめ、やめてください揺らさないでください!! はいはいわかりましたよショートケーキでいいですか!」
「やったー!」「やった」
「提供するんでお席に戻ってください! おらシェフ起きろ!!」

ぎゅむぎゅむと楽しそうにひっついてくる二人を席に戻す。俺は姉しかいないのでわからないけど、なんとなく甥の小さい頃を思い出した。妹なんかいたらこんな感じなんだろう。

……いや、姉からは根暗できしょいとか言われていじめられてたので、ここまで素直に慕ってくれはしない気がする。凹んでしまうな……

戻し終えたら宿題にうつ伏せになって爆睡しているイブキをひっ叩いた。静かだと思ってたら寝てたのか。それ今日終わらせないとまずいやつじゃなかったか?

「あだだ……なんじゃあ敵襲か!?」
「ショートケーキ作れ、二つ」
「え? えいけんど、どういて?」
「疑問に思うな、何も」
「ディストピアの世界線?」

勉強の気分転換になるとでも思ったのか、いつもより素直に厨房に引っ込むイブキ。いつもは飲兵衛さんに酒のつまみを出すよう絡まれては突っぱねてるので。
それともショートケーキってのがカワイイ欲を刺激したのだろうか。

「……えーと、ごめんねぇ……すみません? 遅くなって。何名様ですか?」
「一人だが。いやそもそも、」
「こちらにどうぞ~!」

この喫茶アネラに来るということは、心底困っているということ。ひまりさん曰くここには困っている人しか来れないらしいので。

困ってここに来た人を追い返してはいけない。ゆるゆるなバイトだが、これが数少ないルールの一つだった。

空いている席に案内する。リラックスしやすいように奥の方の、周囲が見渡せる場所に案内した。分からんこれリラックスできるのかな。ここは全体的にゆったりとしているから、落ち着くと思うのだけれど。

「一応言っとくけど、ちゃんと許可取ってるからね~」

怪訝な顔をする委員長に顔を近づけ、ひそっと声をかける。少し驚いたように肩を跳ねさせていたが納得はしたのか、特に何も言われなかった。

「お客様、ご注文は?」
「……アイスカフェ・オ・レ」
「はーい」

注文票に書き込み、そわそわと注文待ち中のキッチンへ向かう。
しかしあの風紀委員長に困り事とは。一体何があったんだろうか……
しおりを挟む
感想 9

あなたにおすすめの小説

【完結】我が兄は生徒会長である!

tomoe97
BL
冷徹•無表情•無愛想だけど眉目秀麗、成績優秀、運動神経まで抜群(噂)の学園一の美男子こと生徒会長・葉山凌。 名門私立、全寮制男子校の生徒会長というだけあって色んな意味で生徒から一目も二目も置かれる存在。 そんな彼には「推し」がいる。 それは風紀委員長の神城修哉。彼は誰にでも人当たりがよく、仕事も早い。喧嘩の現場を抑えることもあるので腕っぷしもつよい。 実は生徒会長・葉山凌はコミュ症でビジュアルと家柄、風格だけでここまで上り詰めた、エセカリスマ。実際はメソメソ泣いてばかりなので、本物のカリスマに憧れている。 終始彼の弟である生徒会補佐の観察記録調で語る、推し活と片思いの間で揺れる青春恋模様。 本編完結。番外編(after story)でその後の話や過去話などを描いてます。 (番外編、after storyで生徒会補佐✖️転校生有。可愛い美少年✖️高身長爽やか男子の話です)

モテる兄貴を持つと……(三人称改訂版)

夏目碧央
BL
 兄、海斗(かいと)と同じ高校に入学した城崎岳斗(きのさきやまと)は、兄がモテるがゆえに様々な苦難に遭う。だが、カッコよくて優しい兄を実は自慢に思っている。兄は弟が大好きで、少々過保護気味。  ある日、岳斗は両親の血液型と自分の血液型がおかしい事に気づく。海斗は「覚えてないのか?」と驚いた様子。岳斗は何を忘れているのか?一体どんな秘密が?

BL世界に転生したけど主人公の弟で悪役だったのでほっといてください

わさび
BL
前世、妹から聞いていたBL世界に転生してしまった主人公。 まだ転生したのはいいとして、何故よりにもよって悪役である弟に転生してしまったのか…!? 悪役の弟が抱えていたであろう嫉妬に抗いつつ転生生活を過ごす物語。

俺、転生したら社畜メンタルのまま超絶イケメンになってた件~転生したのに、恋愛難易度はなぜかハードモード

中岡 始
BL
ブラック企業の激務で過労死した40歳の社畜・藤堂悠真。 目を覚ますと、高校2年生の自分に転生していた。 しかも、鏡に映ったのは芸能人レベルの超絶イケメン。 転入初日から女子たちに囲まれ、学園中の話題の的に。 だが、社畜思考が抜けず**「これはマーケティング施策か?」**と疑うばかり。 そして、モテすぎて業務過多状態に陥る。 弁当争奪戦、放課後のデート攻勢…悠真の平穏は完全に崩壊。 そんな中、唯一冷静な男・藤崎颯斗の存在に救われる。 颯斗はやたらと落ち着いていて、悠真をさりげなくフォローする。 「お前といると、楽だ」 次第に悠真の中で、彼の存在が大きくなっていき――。 「お前、俺から逃げるな」 颯斗の言葉に、悠真の心は大きく揺れ動く。 転生×学園ラブコメ×じわじわ迫る恋。 これは、悠真が「本当に選ぶべきもの」を見つける物語。 続編『元社畜の俺、大学生になってまたモテすぎてるけど、今度は恋人がいるので無理です』 かつてブラック企業で心を擦り減らし、過労死した元社畜の男・藤堂悠真は、 転生した高校時代を経て、無事に大学生になった―― 恋人である藤崎颯斗と共に。 だが、大学という“自由すぎる”世界は、ふたりの関係を少しずつ揺らがせていく。 「付き合ってるけど、誰にも言っていない」 その選択が、予想以上のすれ違いを生んでいった。 モテ地獄の再来、空気を読み続ける日々、 そして自分で自分を苦しめていた“頑張る癖”。 甘えたくても甘えられない―― そんな悠真の隣で、颯斗はずっと静かに手を差し伸べ続ける。 過去に縛られていた悠真が、未来を見つめ直すまでの じれ甘・再構築・すれ違いと回復のキャンパス・ラブストーリー。 今度こそ、言葉にする。 「好きだよ」って、ちゃんと。

【BL】男なのになぜかNo.1ホストに懐かれて困ってます

猫足
BL
「俺としとく? えれちゅー」 「いや、するわけないだろ!」 相川優也(25) 主人公。平凡なサラリーマンだったはずが、女友達に連れていかれた【デビルジャム】というホストクラブでスバルと出会ったのが運の尽き。 碧スバル(21) 指名ナンバーワンの美形ホスト。自称博愛主義者。優也に懐いてつきまとう。その真意は今のところ……不明。 「絶対に僕の方が美形なのに、僕以下の女に金払ってどーすんだよ!」 「スバル、お前なにいってんの……?」 冗談?本気?二人の結末は? 美形病みホス×平凡サラリーマンの、友情か愛情かよくわからない日常。 ※現在、続編連載再開に向けて、超大幅加筆修正中です。読んでくださっていた皆様にはご迷惑をおかけします。追加シーンがたくさんあるので、少しでも楽しんでいただければ幸いです。

とある金持ち学園に通う脇役の日常~フラグより飯をくれ~

無月陸兎
BL
山奥にある全寮制男子校、桜白峰学園。食べ物目当てで入学した主人公は、学園の権力者『REGAL4』の一人、一条貴春の不興を買い、学園中からハブられることに。美味しい食事さえ楽しめれば問題ないと気にせず過ごしてたが、転入生の扇谷時雨がやってきたことで、彼の日常は波乱に満ちたものとなる──。 自分の親友となった時雨が学園の人気者たちに迫られるのを横目で見つつ、主人公は巻き込まれて恋人のフリをしたり、ゆるく立ちそうな恋愛フラグを避けようと奮闘する物語です。

風紀委員長様は王道転校生がお嫌い

八(八月八)
BL
※11/12 10話後半を加筆しました。  11/21 登場人物まとめを追加しました。 【第7回BL小説大賞エントリー中】 山奥にある全寮制の名門男子校鶯実学園。 この学園では、各委員会の委員長副委員長と、生徒会執行部が『役付』と呼ばれる特権を持っていた。 東海林幹春は、そんな鶯実学園の風紀委員長。 風紀委員長の名に恥じぬ様、真面目実直に、髪は七三、黒縁メガネも掛けて職務に当たっていた。 しかしある日、突如として彼の生活を脅かす転入生が現われる。 ボサボサ頭に大きなメガネ、ブカブカの制服に身を包んだ転校生は、元はシングルマザーの田舎育ち。母の再婚により理事長の親戚となり、この学園に編入してきたものの、学園の特殊な環境に慣れず、あくまでも庶民感覚で突き進もうとする。 おまけにその転校生に、生徒会執行部の面々はメロメロに!? そんな転校生がとにかく気に入らない幹春。 何を隠そう、彼こそが、中学まで、転校生を凌ぐ超極貧ド田舎生活をしてきていたから! ※11/12に10話加筆しています。

Q.親友のブラコン兄弟から敵意を向けられています。どうすれば助かりますか?

書鈴 夏(ショベルカー)
BL
平々凡々な高校生、茂部正人«もぶまさと»にはひとつの悩みがある。 それは、親友である八乙女楓真«やおとめふうま»の兄と弟から、尋常でない敵意を向けられることであった。ブラコンである彼らは、大切な彼と仲良くしている茂部を警戒しているのだ──そう考える茂部は悩みつつも、楓真と仲を深めていく。 友達関係を続けるため、たまに折れそうにもなるけど圧には負けない!!頑張れ、茂部!! なお、兄弟は三人とも好意を茂部に向けているものとする。 7/28 一度完結しました。小ネタなど書けたら追加していきたいと思います。

処理中です...