王道学園のコミュ障ニセチャラ男くん、憧れの会長と同室になったようで

伊月乃鏡

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密着! 夏休み旅行!

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さて、夏である。
中間テストの成績もそこそこに、俺たちはとうとう夏休みへとその身を投じてしまった。

三年の夏休み。受験勉強に精を出さなければいけない俺たちの最後のチャンス──と言いたいが俺はここの付属にチャッと上がるのであんま必要がない。

「別に成績も悪くないですからね!」
「聞いとらんて」
「宗介が自分からそゆこと言い出した時は大抵やらかしてるよなー」
「赤点取らなきゃ良いって花音は思うワケ」

花音さんは赤点常習犯らしく、この時期は宿題も多いので萌さんと勉強している姿がよく見えた。

夏休みの喫茶アネラ。今日も閑古鳥が鳴いている、午睡の夢のような店。猫と戯れて時々人間と話すこの場所は俺の拠り所になっていた。

「こうちゃんとか成績いいよな。なーこうちゃん」
「? まぁ……勉強、苦手?」
「に、苦手ってほどじゃないけどぉ~……」

こうちゃんは渡された宿題を大抵渡された日にちゃっちゃと解いてしまっていたらしい。俺が数学のプリントに躓いてウンウン唸ってた時に写させてくれて、その時に聞いた。

「てか、苦手だったら王道高校なんて受かってませんからね? あと俺は平均、平均ですー!」
「まぁそれはそうか」
「そうだそうだー! 受かってるだけすごいんやで!」

様々なハーブが吊るして干された店内、木漏れ日が差す中にお冷だけを配膳して一生懸命英語のノートを完成させている花音さんを応援する。
今回はシェフがいないので、ご飯が作れないのだ。

「わ、わからん……なーんもわかる気がせぇん」
「今進みどんくらーい?」
「ワークの27.28ページ」
「ほぼ最初の範囲じゃねーか!」

何しろここのシェフ、勉強ができなかった。意外と頭がいいとかそんな展開はなくシンプルに勉強ができていない。

「え、なんか親近感なんだが~?」
「花音、近づかないほうがいいよ。まだそいつ信用できないし」

そして女子高生組からはまだ嫌われていた。というか萌さんから。萌さんってかわいいもの好きだから、新メニューとかはめっちゃ喜ぶのにな。

その二人の様子に苦笑しつつ、二人から少し離れた入り口近くの席で頭を抱えてるイブキにアイスコーヒーを出す。

「ま、せいぜい頑張れよ」
「大将ォ……」
「おー、情けない声」

ゴワゴワの毛をもふもふと適当に撫でて、手持ち無沙汰にペチンと叩く。

「あーーっ!! いいなー!! そーちんウチもウチもー!!」
「じゃ~あたしも」
「ええ? 普通に言ってくれればいいのに」

キャイキャイと騒ぎ始める二人を見て和やかな気持ちになりながら、一度カウンターに戻って二人の席に歩み寄った。

「今試作してたアイスハーブティーです。花音さんにはローズヒップ、萌さんはミントでしたよね」
「わーい! ……じゃなくて!」
「知らんぷりかー宗介ーそんな男なのかオマエはー」
「ちょ、やめてくださいセクハラですよ。訴えます」
「おう、法廷で会おう」
「“覚悟”しないでください……!」

撫でられるわけないだろ女子高生の頭を。セットとか崩したらどうするんだ。俺は昔事故で姉の前髪に触った時ぶん投げられた経験を持つんだぞ。

二人に挟まれて弱々しく抵抗していると、来客を知らせる鐘がなった。
カランコロン、と澄んだ音に目を向け二人を引き剥がす、と。

「……田中宗介?」
「風紀委員長……!?」

めちゃくちゃ見知った顔がそこにいた。
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