王道学園のコミュ障ニセチャラ男くん、憧れの会長と同室になったようで

伊月乃鏡

文字の大きさ
104 / 201
密着! 夏休み旅行!

28

しおりを挟む
クソ、このゴリラ女めいつか絶対復讐してやるからな。俺がそんな決意を胸に宿していると、鎖で引っ張られたらしい真道が姉と強制的に近づくことになって戸惑っていた。ウチの姉顔だけは美人だからな。

「え、あれセンパイの姉ちゃん? きれーなお人やなぁ」
「爆イケじゃねぇか……マブいぜ」
「語彙力古臭いな」

アーーーーッッッッ俺の可愛い後輩たちが見た目だけに騙されている。この女は暴君だぞ暴君! 俺は実家で許可なく口を開くことを禁じられてるんだからな!?

「ん? 人の声……」

そこでようやく姉ちゃんは俺以外の存在に気がついたらしく、呻き声を上げ続ける弟を苦しめながら周囲を見渡した。

出るぞ、姉ちゃんの悪癖。

「あらやだっ♡ イケメンイケメンあっちにもイケメンこっちは……かわい子ちゃんじゃな~い♡♡
いつも弟がお世話になっております田中宗介の姉、田中唯香ゆいかともうします~♡♡」
「グヘェッ」

ぶはーっっ解放された! 倒れ伏す俺、駆け寄ってくるみつる、今日の俺歓迎会(と称した宴会)について話している叔父さんたち、その他小学校の頃の先生。先生たちは生徒が乱暴されてるんだから助けてくれても良いんだぞ。

「シャス!! 俺ァセンパイの舎弟そのいち、大月獅童言います!! センパイ──宗介さんにはいつもお世話なっとります!!」
「わしゃ九鬼イブキ!! 大将の舎弟そのにじゃ!」

真っ先に名乗り出る二人。二人は何なの? その肩書きでいいの? それ人権とかその他諸々失ってる肩書きじゃない? 番号をつけるな自分に。

「はぁ~、大人しくなったと思っていましたが、やはり宗介くんは変わりませんね~」
「そうでしょ~? ごめんなさいねぇうちの子がいつもいつも」
「はっはっは! いやいや教頭先生にご母堂、彼の元気さは昔からみんなの活力になっていたじゃありゃせんか!」
「ですがね篠澤先生、活力になる分子供達を従えて山登りをしたりいじめっ子の骨を追ったりスズメバチでテニスしたりといつも……」

ッッッッダァ!!!! 黙れ教師たち!!!!!
向こうのほうで話し合ってるのは母さんと教頭、体育教師の篠澤先生だ。クソガキだった俺を根気よく指導してくれた。

幼少期一人での山歩きで迷った時に深夜まで探してくれたり、地元を出て一人暮らしする決断に本気で向き合い、両親を説得してくれたりもした。

ようするに大恩がある。が。

「す、すんません。その話詳しく……」
「ああ猪が食いついちゃった。お前田中先輩の強そうな噂好きだもんな。呆れたもんだよ。なぁ島田」
「田中様の幼少期の話ですか!?!?」
「あーだめだこりゃ」

今はマジで黙ってほしい。
姉に関節を長々とキメられたせいで俺自身は立てないし、こんな、こんな悲惨なことある? ちなみに父さんは人口密度に気後れしたらしく『い』のパネルを持って遠くの方に佇んでいた。父さん!

「宗介おじちゃん! 大丈夫? ごめんねお母さんが」
「い、いや、は大丈夫……ごめんね、急に大所帯で……びっくりしただろ……」
「大丈夫だよ、元々宗介のお友達が来るって話はあったし」

ふんわりとした猫っ毛の黒髪に、俺たちの遺伝子にないバサバサまつ毛。自然に猫っぽい口になる垂れ目の上品なこねこちゃんみたいな少年。
これが俺を頑なにおじちゃんと呼ぶ甥、天才小学生の京極みつる(8)である。

「みつるは相変わらず可愛いなぁ、可愛すぎる小学生で賞とかを取った方がいいんじゃないか?」
「賞ならこの間取ったから大丈夫だよー」
「聞いてないが????」
「だって宗介おじちゃん騒ぐんだもん」

『だもん』だって!! カワイ~~可愛すぎる。こんなんなぁ、世界最高峰の天使ちゃんと言われても過言ではないだろ。なっ!!

「これで更に頭がいいんだからみつるはスーパーウルトラ小学生だよ。よーちよちよちよちちょっとでっかくなったなぁ~」
「もーおじちゃんったら!」
「てめーは相変わらずみつるに目がねぇなぁ」

男を精査し終わったのか姉ちゃんが寄ってくる。生徒たちはそれぞれ教頭先生から宿泊場所や行事に関する説明を聞いているみたいだ。

俺は小学生からの積み重ねでもう諦められているので聞かなくても後でしおりが送られてくる。

「姉ちゃんは違うのかよ。冷たい女だなーなーみつる」
「はぁ~? 大好きに決まってるだろうがこんな天使ちゃん! 魔の二歳児を経験してないてめーに言われたかないなァ!!」
「グッ……でも心神喪失状態だったあんたの代わりに悪魔の三歳児は俺が見てんだぞ!」
「それはありがとな!!」
「家族なんだしお互い様だろゴリラ女!!」
「誰がゴリラじゃガキ!」
「痛い!!」

当時小学六年生。三歳になったばかりの甥っ子は、男に裏切られ会社も倒産し首が回らなくなった姉には重かったと子供心に分かった。

父母の支えも当然あったが、俺なりにアンパ○マン(冬用スウェット)がいいあれ(同じ柄の夏用)はヤだ(なお夏)、靴が履きたい全部自分でやりたい手伝うとギャン泣きできなくてギャン泣き、その他諸々に対処してきたつもりだ。

まぁ対処も何も泣かせてやらせるしかないのだが。

「懐かし。急に卵の黄身を体に塗りたくりよってさァ」
「あーあったな。あと何回言っても壁にクレヨンで絵描いて、こりゃ将来は有名画家かーって」
「お母さんおじちゃん!!」

思い出話に花を咲かせていると、ベムッと小さな手で口を塞がれた。やっぱ恥ずかしいかな。もう二年生のお兄ちゃんだもんな。
可愛い羞恥心だ……

「アラヤダッあんたって子達は~カワイイもんでしょ。唯ちゃんなんて十二歳の頃おねしょして泣いてたし宗ちゃんに至っては好きな子に自作のポエム贈って泣かれてたじゃないの!」
「「バッ、ババアーーーッッッ!!!!!!!」」

っぱ親がいるデメリットってこれだよな。葬り去りたい過去を全部言われる。テロだろこんなん。

「師匠自作のポエムか! 見てみたいものだな!」
「アラッ見る? あたしも~可愛くてね~写真に撮って保存してあるのよッ!」

ババアーーーッッッ!!!!!!!!!
しおりを挟む
感想 9

あなたにおすすめの小説

【完結】我が兄は生徒会長である!

tomoe97
BL
冷徹•無表情•無愛想だけど眉目秀麗、成績優秀、運動神経まで抜群(噂)の学園一の美男子こと生徒会長・葉山凌。 名門私立、全寮制男子校の生徒会長というだけあって色んな意味で生徒から一目も二目も置かれる存在。 そんな彼には「推し」がいる。 それは風紀委員長の神城修哉。彼は誰にでも人当たりがよく、仕事も早い。喧嘩の現場を抑えることもあるので腕っぷしもつよい。 実は生徒会長・葉山凌はコミュ症でビジュアルと家柄、風格だけでここまで上り詰めた、エセカリスマ。実際はメソメソ泣いてばかりなので、本物のカリスマに憧れている。 終始彼の弟である生徒会補佐の観察記録調で語る、推し活と片思いの間で揺れる青春恋模様。 本編完結。番外編(after story)でその後の話や過去話などを描いてます。 (番外編、after storyで生徒会補佐✖️転校生有。可愛い美少年✖️高身長爽やか男子の話です)

とある金持ち学園に通う脇役の日常~フラグより飯をくれ~

無月陸兎
BL
山奥にある全寮制男子校、桜白峰学園。食べ物目当てで入学した主人公は、学園の権力者『REGAL4』の一人、一条貴春の不興を買い、学園中からハブられることに。美味しい食事さえ楽しめれば問題ないと気にせず過ごしてたが、転入生の扇谷時雨がやってきたことで、彼の日常は波乱に満ちたものとなる──。 自分の親友となった時雨が学園の人気者たちに迫られるのを横目で見つつ、主人公は巻き込まれて恋人のフリをしたり、ゆるく立ちそうな恋愛フラグを避けようと奮闘する物語です。

風紀委員長様は王道転校生がお嫌い

八(八月八)
BL
※11/12 10話後半を加筆しました。  11/21 登場人物まとめを追加しました。 【第7回BL小説大賞エントリー中】 山奥にある全寮制の名門男子校鶯実学園。 この学園では、各委員会の委員長副委員長と、生徒会執行部が『役付』と呼ばれる特権を持っていた。 東海林幹春は、そんな鶯実学園の風紀委員長。 風紀委員長の名に恥じぬ様、真面目実直に、髪は七三、黒縁メガネも掛けて職務に当たっていた。 しかしある日、突如として彼の生活を脅かす転入生が現われる。 ボサボサ頭に大きなメガネ、ブカブカの制服に身を包んだ転校生は、元はシングルマザーの田舎育ち。母の再婚により理事長の親戚となり、この学園に編入してきたものの、学園の特殊な環境に慣れず、あくまでも庶民感覚で突き進もうとする。 おまけにその転校生に、生徒会執行部の面々はメロメロに!? そんな転校生がとにかく気に入らない幹春。 何を隠そう、彼こそが、中学まで、転校生を凌ぐ超極貧ド田舎生活をしてきていたから! ※11/12に10話加筆しています。

モテる兄貴を持つと……(三人称改訂版)

夏目碧央
BL
 兄、海斗(かいと)と同じ高校に入学した城崎岳斗(きのさきやまと)は、兄がモテるがゆえに様々な苦難に遭う。だが、カッコよくて優しい兄を実は自慢に思っている。兄は弟が大好きで、少々過保護気味。  ある日、岳斗は両親の血液型と自分の血液型がおかしい事に気づく。海斗は「覚えてないのか?」と驚いた様子。岳斗は何を忘れているのか?一体どんな秘密が?

BL世界に転生したけど主人公の弟で悪役だったのでほっといてください

わさび
BL
前世、妹から聞いていたBL世界に転生してしまった主人公。 まだ転生したのはいいとして、何故よりにもよって悪役である弟に転生してしまったのか…!? 悪役の弟が抱えていたであろう嫉妬に抗いつつ転生生活を過ごす物語。

実は俺、悪役なんだけど周りの人達から溺愛されている件について…

彩ノ華
BL
あのぅ、、おれ一応悪役なんですけど〜?? ひょんな事からこの世界に転生したオレは、自分が悪役だと思い出した。そんな俺は…!!ヒロイン(男)と攻略対象者達の恋愛を全力で応援します!断罪されない程度に悪役としての責務を全うします_。 みんなから嫌われるはずの悪役。  そ・れ・な・の・に… どうしてみんなから構われるの?!溺愛されるの?! もしもーし・・・ヒロインあっちだよ?!どうぞヒロインとイチャついちゃってくださいよぉ…(泣) そんなオレの物語が今始まる___。 ちょっとアレなやつには✾←このマークを付けておきます。読む際にお気を付けください☺️

俺、転生したら社畜メンタルのまま超絶イケメンになってた件~転生したのに、恋愛難易度はなぜかハードモード

中岡 始
BL
ブラック企業の激務で過労死した40歳の社畜・藤堂悠真。 目を覚ますと、高校2年生の自分に転生していた。 しかも、鏡に映ったのは芸能人レベルの超絶イケメン。 転入初日から女子たちに囲まれ、学園中の話題の的に。 だが、社畜思考が抜けず**「これはマーケティング施策か?」**と疑うばかり。 そして、モテすぎて業務過多状態に陥る。 弁当争奪戦、放課後のデート攻勢…悠真の平穏は完全に崩壊。 そんな中、唯一冷静な男・藤崎颯斗の存在に救われる。 颯斗はやたらと落ち着いていて、悠真をさりげなくフォローする。 「お前といると、楽だ」 次第に悠真の中で、彼の存在が大きくなっていき――。 「お前、俺から逃げるな」 颯斗の言葉に、悠真の心は大きく揺れ動く。 転生×学園ラブコメ×じわじわ迫る恋。 これは、悠真が「本当に選ぶべきもの」を見つける物語。 続編『元社畜の俺、大学生になってまたモテすぎてるけど、今度は恋人がいるので無理です』 かつてブラック企業で心を擦り減らし、過労死した元社畜の男・藤堂悠真は、 転生した高校時代を経て、無事に大学生になった―― 恋人である藤崎颯斗と共に。 だが、大学という“自由すぎる”世界は、ふたりの関係を少しずつ揺らがせていく。 「付き合ってるけど、誰にも言っていない」 その選択が、予想以上のすれ違いを生んでいった。 モテ地獄の再来、空気を読み続ける日々、 そして自分で自分を苦しめていた“頑張る癖”。 甘えたくても甘えられない―― そんな悠真の隣で、颯斗はずっと静かに手を差し伸べ続ける。 過去に縛られていた悠真が、未来を見つめ直すまでの じれ甘・再構築・すれ違いと回復のキャンパス・ラブストーリー。 今度こそ、言葉にする。 「好きだよ」って、ちゃんと。

平凡ハイスペックのマイペース少年!〜王道学園風〜

ミクリ21
BL
竜城 梓という平凡な見た目のハイスペック高校生の話です。 王道学園物が元ネタで、とにかくコメディに走る物語を心掛けています! ※作者の遊び心を詰め込んだ作品になります。 ※現在連載中止中で、途中までしかないです。

処理中です...