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密着! 夏休み旅行!
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老舗の温泉旅館、砂月屋。我が街の誇る大きな宿泊施設であり、地元の人ですら泊まるのは難しいほどの高級宿。
「す、すげぇー……!!」
「でっっか!!!!」
誰ともなくこんな簡単の言葉を漏らす。隣を見れば真道もおお、と感心している様子だった。
巨大な屋敷のような外観、硫黄の匂い。すっかり夜の帳が下りた世界にきらきらと輝く提灯の灯り。三階建ての和モダンな外観に別棟もついており、着物姿の女の子が外で掃き掃除をしていた。
黒髪にタレ目の黒目、小柄な見た目にぽってりとした唇。童顔で愛らしい印象だが、ここの娘さんなら確か同じくらいだろう。
「あ、……た、田中くん……」
やっぱり知り合いだったみたいだ。
この辺りは小学校の知り合いが多い。温泉宿の娘といえば中学から不登校になったと風の噂で聞いたが、元気にしているようで何よりだ。
「あの店員? さん、かわいいな……」
「おめーああいう娘好きだよなぁ市ヶ谷」
「えっ、万人受けする可愛さじゃない!?!? 僕もかわいいと思ったんだけど」
下世話な後輩たちがほんのりと騒ぎ始めている。人の容姿を品評するのはやめような、下品だぞー。
あわあわと箒を持ち替えたり持ち替えたりしていた女の子が、ハッと思い出したかのような顔をしてこちらに駆け寄ってきた。
ちょこちょことした動きが小動物を思わせる。
温泉宿の娘さんってこんな感じだったっけ、ガキの頃はこの子の対極に位置する乱暴者だったし、関わり薄かったんだよなぁ……
ああでも確かこの子すごいドジだったような──
「た、た、田中くん、ひさしぶっ、きゃ!」
「あぶな!」
ほらーー!!
温泉宿の若女将(たぶん)になったところでドジは変わってないらしく、玉砂利に足を引っ掛けてすっ転んでいた。予想していたためこちらも駆け寄って危なげなく抱き止める。
「ヴッ」
あっ引っ張られた真道ごめん。
「ごっ、ごごごめんなさい!! わっ、わたしその、きゃああ!」
「体幹が“無”なの? 一旦落ち着きな、ほら」
「アワワワワワ」
胸元にもたれかかっていた娘さんが驚き、跳ね起きた拍子に今度は後ろに倒れる。脳内で謝りつつも腰を抱き、バランスが取れるまで待つ。
「ウワ、簡単にキザ仕草するやん」
「女たらしの真髄を見たな」
「女たらしは女がいて初めて機能すんだな」
「え? あの子可愛いって童貞の夢とかじゃないよね? 普通にみんな思うよね? みんな?」
「人の容姿について品評するのは失礼に当たるぜ~」
「東郷くん!?!?」
うるせ~四バカ達だ。島田くん、三人グループにあとから入って馴染めるコミュ強なあたり佐藤くんっぽさを感じるぞ。俺のファンなのに俺よりコミュ力あるのは何?
バランスを取れたらしい娘さんが控えめに胸を押してくるので謝罪してパッと離れる。
さっきからほんのり大胸筋を触られてるのでセクハラな気がするが、まぁ向こうはパニックなので言わないほうがいいか。
「師匠、その子とは一体?」
童貞が童貞の夢に食いついてやがる。
ドジったのが恥ずかしかったのかまろくて白いほっぺをリンゴのように赤く染めながら、小さな声ですみませんと謝られる。構わんよ別に。
「小学校の同級生。中学は合わんかったけど、元気っぽくて良かった」
「!! おっ、覚えてくれたの、ん、ですか」
「え? ウン。生き物係の砂月ユキだろ。ウチの小学校あんま人いないし、地元に残ったやつ珍しいし」
生き物が好きで、教室の金魚の世話をよく買って出ていた思い出がある。ただ気弱な性格は昔からで、度胸試しに川に入れられそうになった時や山で他の子に置いてかれた時何回か助けに行ったので覚えている。
まぁ、ユキちゃんからすると黒歴史だろう話なので言わないほうがいいと思うが。
「う、うれしい……」
そうして心底嬉しそうに頬を染めて微笑まれると逆に戸惑ってしまう。
「嬉しいなら良いけど。それよりユキちゃん、俺たち泊まりたいんだけど……」
「あ、ご、ごめんなさい遅くなって! 話は聞いてましたっ、私立王道高校御一行様ですね……! 案内致します」
ピャッとまた跳ねたあと咳払いして、ユキちゃんはニコリと笑みを浮かべた。おお凄い、昔は泣いてばかりだったユキちゃん、ここまで成長するものなのか。
そして通された温泉宿は、最高級の名に違わぬクオリティのものであった。
「す、すげぇー……!!」
「でっっか!!!!」
誰ともなくこんな簡単の言葉を漏らす。隣を見れば真道もおお、と感心している様子だった。
巨大な屋敷のような外観、硫黄の匂い。すっかり夜の帳が下りた世界にきらきらと輝く提灯の灯り。三階建ての和モダンな外観に別棟もついており、着物姿の女の子が外で掃き掃除をしていた。
黒髪にタレ目の黒目、小柄な見た目にぽってりとした唇。童顔で愛らしい印象だが、ここの娘さんなら確か同じくらいだろう。
「あ、……た、田中くん……」
やっぱり知り合いだったみたいだ。
この辺りは小学校の知り合いが多い。温泉宿の娘といえば中学から不登校になったと風の噂で聞いたが、元気にしているようで何よりだ。
「あの店員? さん、かわいいな……」
「おめーああいう娘好きだよなぁ市ヶ谷」
「えっ、万人受けする可愛さじゃない!?!? 僕もかわいいと思ったんだけど」
下世話な後輩たちがほんのりと騒ぎ始めている。人の容姿を品評するのはやめような、下品だぞー。
あわあわと箒を持ち替えたり持ち替えたりしていた女の子が、ハッと思い出したかのような顔をしてこちらに駆け寄ってきた。
ちょこちょことした動きが小動物を思わせる。
温泉宿の娘さんってこんな感じだったっけ、ガキの頃はこの子の対極に位置する乱暴者だったし、関わり薄かったんだよなぁ……
ああでも確かこの子すごいドジだったような──
「た、た、田中くん、ひさしぶっ、きゃ!」
「あぶな!」
ほらーー!!
温泉宿の若女将(たぶん)になったところでドジは変わってないらしく、玉砂利に足を引っ掛けてすっ転んでいた。予想していたためこちらも駆け寄って危なげなく抱き止める。
「ヴッ」
あっ引っ張られた真道ごめん。
「ごっ、ごごごめんなさい!! わっ、わたしその、きゃああ!」
「体幹が“無”なの? 一旦落ち着きな、ほら」
「アワワワワワ」
胸元にもたれかかっていた娘さんが驚き、跳ね起きた拍子に今度は後ろに倒れる。脳内で謝りつつも腰を抱き、バランスが取れるまで待つ。
「ウワ、簡単にキザ仕草するやん」
「女たらしの真髄を見たな」
「女たらしは女がいて初めて機能すんだな」
「え? あの子可愛いって童貞の夢とかじゃないよね? 普通にみんな思うよね? みんな?」
「人の容姿について品評するのは失礼に当たるぜ~」
「東郷くん!?!?」
うるせ~四バカ達だ。島田くん、三人グループにあとから入って馴染めるコミュ強なあたり佐藤くんっぽさを感じるぞ。俺のファンなのに俺よりコミュ力あるのは何?
バランスを取れたらしい娘さんが控えめに胸を押してくるので謝罪してパッと離れる。
さっきからほんのり大胸筋を触られてるのでセクハラな気がするが、まぁ向こうはパニックなので言わないほうがいいか。
「師匠、その子とは一体?」
童貞が童貞の夢に食いついてやがる。
ドジったのが恥ずかしかったのかまろくて白いほっぺをリンゴのように赤く染めながら、小さな声ですみませんと謝られる。構わんよ別に。
「小学校の同級生。中学は合わんかったけど、元気っぽくて良かった」
「!! おっ、覚えてくれたの、ん、ですか」
「え? ウン。生き物係の砂月ユキだろ。ウチの小学校あんま人いないし、地元に残ったやつ珍しいし」
生き物が好きで、教室の金魚の世話をよく買って出ていた思い出がある。ただ気弱な性格は昔からで、度胸試しに川に入れられそうになった時や山で他の子に置いてかれた時何回か助けに行ったので覚えている。
まぁ、ユキちゃんからすると黒歴史だろう話なので言わないほうがいいと思うが。
「う、うれしい……」
そうして心底嬉しそうに頬を染めて微笑まれると逆に戸惑ってしまう。
「嬉しいなら良いけど。それよりユキちゃん、俺たち泊まりたいんだけど……」
「あ、ご、ごめんなさい遅くなって! 話は聞いてましたっ、私立王道高校御一行様ですね……! 案内致します」
ピャッとまた跳ねたあと咳払いして、ユキちゃんはニコリと笑みを浮かべた。おお凄い、昔は泣いてばかりだったユキちゃん、ここまで成長するものなのか。
そして通された温泉宿は、最高級の名に違わぬクオリティのものであった。
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